夢霧無(むむむっ)

木芙蓉

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帰還

帰り

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その日俺は午前中に診察を受けていた。退院出来るのか最終チェックだ。結果は異常なし。翌日の退院が決まった。部屋に帰りスマホの地図アプリを起動する。結局彼女と約束した湖らしき場所は見つからなかった。あれは夢だったのだろうか。何度思い返してみても答えは出ない。1年後また此処に来よう。それまでま死ぬわけにはいかない。
  気が付けば眠ってしまっていたようだ。一晩中眼を覚ますことがなく、退院する日を迎えた。長い夢を見ていたようだ。内容は思い出せないが夢の中に出てきた言葉が頭から離れない。目が覚めた時、気付くと俺の右手には見覚えのある古ぼけたお守りを握っていた。
  帰り際病室を眺めながら頭に繰り返される言葉を口に出してみた。
「一緒に帰ろう。」
誰と何を約束したのだろうか。

自分で何を言ってるのかさっぱりわからなかった。いや、なんとなく気付いてはいたが、
自分自身に対してもわからないふりをしてそれを心の奥にそっとしまった。

さあ、帰ろう。俺達は電車を乗り継ぎ生まれ育った街へ帰っていった。

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感想 1

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みんなの感想(1件)

早寝早起き
2019.12.04 早寝早起き

とても不思議な物語でした。失った事で生きる意味を失くしたはずの主人公が、失った人から生きるすべを与えられる。

私は、男性の中でずっと生きている彼女が、生きるために必要な物を取り戻すことを望んでいるのではないか?

そんな風に感じられました。苦しい心情を描いている作品なのに優しさも感じてしまう。

さて1年後、この主人公はどう変わっているのか?気になります。

木芙蓉
2019.12.10 木芙蓉

早寝早起きさん
お返事遅れて申し訳ありません。
イメージは基本モノトーンです。色彩豊かにするほど表現力無いので。ボヤけてここで完結です(笑)

DIR EN GREYって比較的ダークな曲を書くバンドがいるんですが、DUM SPIRO SPEROっていうアルバムのタイトルをテーマに拝借しました。



解除

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