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第259話 ルーナ両国改修工事完了(担当分)

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密偵2人は国外の人目を最小限にペイルロンド国境を越えて入国を果たした。

荷物は身軽で上級馬を借りたそうで。ストレートに行けば1週間前後で王都カラフィエ入りする。

西部の町で時間を喰うかが焦点。後は任せてコンパスで見守る。

デオン滞在4日目。
試作した船を走らせながら北中央橋を改修する班とデオン側北1本目の石橋を建造する班に別れて作業開始。

白ロープで支え。ハの字ブロックを逆に填め接着剤固定で単一アーチを描き。接着剤が乾いてから既存橋を崩し高い手摺と木材を溝打ちで固定して1本目完成。

北2本目はWアーチ。ソプランの大地の叫びで仮土台を片方ずつ形成。その上にブロックを積み。中柱は煉瓦積みで足場を削った大岩に固定。アーチ間の凹みには厚板を填め込んで完成。既存橋を崩して手摺補強。

北3本目を飛ばし中央大橋2本を一気に総掛かり。北側はソプランとアローマが。南は俺とフィーネで担当。人手は役員と町民たちとで。

その他隊員はロイドと一緒に試作船を本組み。軽量化を施した上で2隻目を着手。角材竜骨を前端と後端で立てるキール構造を採用。逸らせたケヤキ材は中型船に使用するので温存。ミリータリアの使者を待つか自分たちで試作してみるかはお任せ。

こちらの大橋に取り掛かろうとした時。
予想していた冒険者ギルドの隊員たちと商業ギルド職員数名が俺の周りに集まり出した。

「スターレン様。この様な大規模な施工。費用面は締結されているのでしょうか」
全く話通してないからの質問。
「材料も資材もこの国の物を使って。メインの作業者もここの人たちだから無償だよ」

対岸のフィーネに手を振り呼び寄せ返答を耳打ち。
「無償だと何か問題が有るの?早く施工しないと日が暮れちゃうのだけれど」
「問題は無いのですが…。どの様な直契約を結ばれたのか気になりまして」
「商業ギルドは口出ししないんじゃないの?それとも本部が文句言ってるの?」
「実はギルド本部長のレフレッタから差し止めの打診をせよと先程連絡書が届きまして」

「は?ちょっと何言ってるか解らないわ。もう橋まで浮かせてるのに今更。貴方この状況ちゃんと伝えた?」
「伝えはしました」
フィーネも俺も舌打ち。
「両国の女王様と役員連れて一緒に見るから支部の大部屋を開けなさい」
「はい…」

「冒険者の皆さーん。これは無償事業なのでー。手伝いは不要でーす。遠目から記念に見学してくださーい」
「はーい」
冒険者隊は素直に引いた。

ソプランの元へ走り一時中止。対岸のアローマの所に固まる女王以下役員を呼び寄せ。ロイドには念話で伝えて4人とルーナ両国代表者でギルド支部へ突。

イライラMAXの嫁。
「お茶なんて良いから早く連絡書持って来て!」
「只今!」

持ち込まれた連絡書を係から引っ手繰って読み上げ。
「何何?

大規模工事を施工しているとの事で差し止めの案内を送付します。

有償であれば然程問題には当らず。
無償であった場合。訪問先毎で格差が生まれ後々の国の対応に双方への悪影響懸念が見込まれます。

何を出せば勇者一行を抱き込めるのかと言う憶測が飛び余計な軋轢を産む元に。

金銭以外で何が影響されたのか。詳細は公表せずとも何かしらの商業ギルドの介在契約を以てならば当本部が防壁とも成り得ます。

しかしながら直接契約での大規模工事では後から口を挟めません故。至急仲介書の発行を願いされたし。

以上。

困ったわね…」
「有名税で大きな物を遣り過ぎたか…」
言われてみれば当然だった。

ソプランたちも。
「言い訳と理由が必要だったのか」
「非常に困りましたね」

女王たちも悩む。
「正直お金に換算すると」
「お支払いは困難かと」

「労働の対価…。この国が好きに成りました、とか感情論では他の国が納得しない。何か無いかなスタンさん」
「うーん…。ちょっと落ち着いて考えてみよう。先程お断りしたお茶をお願いします。
それからキツく当って済みませんでした」
「済みませんでした」フィーネも謝罪。
「いえ。こちらも説明不足で。お茶は直ぐにご用意を」

場の全員で言い訳を考える。

「無償だと冒険者ギルド員に言った手前。農地や土地の買収だと辻褄が合わない。
農作物ではタイラントまでは遠すぎる。
宿のサービス対応だとやっぱり贅沢したいだけだと言われて後の対応が過剰方向に発展する。
お祝い品は貰うが価値はそれなり。高価な物だとするとミリータリアへの対応と食い違うし。何を渡したんだと他国から侵害される。
初歩的だけどマズったな…」
俺とした事が凡ミス。

「工事が楽しくてと言えば。じゃあ自分たちの国でも遣ってよと言われて益々重労働が発生。歯止めが利かない。
駄目だわ。何も思い浮かばない」

カタリデが助言。
「そんな難しく考えなくてもいいんじゃない?
スターレンたちが遣ってるのは他国で出回ってる技術の供与でしょ。スターレンのロープやソプランの魔道具は使ったけれど。それは飽くまで例題を見せる為の時間短縮。
反対側のリオンの橋は丸残り。
土台作りから板張って。雨期までの時間を使えばこの国の人たちだけでリオン北2本位は余裕で作れるわ。
デオン側の技術指導の一環で。中央大橋は絶対間に合いそうにないから仕方無ーーーく手伝いました。
ホントは嫌嫌だった。他の国では絶対に遣りたくないって添えれば良いのよ」

「成程!」
「逆感情論。いいわね。それで行きましょう。
どうかしらサファエリ様とリエリル様は」
「大変良いお考えだと思います」
「私たちが土下座して勇者隊の温情に縋った体とすれば押し通せますね」
総員納得であっさり解決。

「では私とスターレン。両女王の4人署名で仲介書を発行します。レフレッタ殿宛に本件事案の定義書を添え。
偶々滞在期間と女王様のお願いが噛み合っただけだと強調して」
「心得ました。直ぐに書類の準備を」

仲介書と定義書。正副4枚に4人の署名。ギルド支部長トロエ氏の署名も添えられ無事に締結。

時間も押していた為。北大橋を修繕補強と設置に留め接着剤の粉を大量に作り空き倉庫にIN。
その他の橋は明日へ持ち越し。


夕食時に皆でカタリデ様を讃えた。
「今日は助かりました。カタリデ様~」
「助言を有り難う。フウ様~」
「止めなはれ。私もこの世界に来た当初。時代に合わない農耕具作り過ぎて神様に成っちゃった口だから。こう言う状況も有ったなぁと。
建築も自由に出来ると楽しいもんね」

「楽しさ余って初動の理由付け忘れてたよ。
神格化ってどうやって形成されて行く物なの?」
「私も気になってた。クワンティとか大丈夫かなて」

「そうね…。クワンティは大丈夫。山神の御遣いで信仰の根源は大自然て形が定義されてるから。
形は色々だけど。結局は信仰の対象と信者数よ。
私の場合。レイルが召還される前。黒竜が主体の東大陸に降り立ち。何じゃあれ絶対勝てないやんて西側に逃げてる最中に徐々に信者が増えて。中央大陸の今のロルーゼから帝国方面へ移動の際にも増え続けたみたいな。
その後に女神ちゃんを信仰する女神教が発足。そっちの方が解り易くて信者が爆発的に増加。
魔神て形が既に成り立ってた西大陸はそのまんま大陸統一神。
初期時代のベルが居たアルカンレディアが水竜に沈められた頃に魔神が西を飛び出て世界征服に乗り出した。
次に生まれ変わったベルが異常な武装と仲間を集めて西へ殴り込み。外装は運良く倒せたけど。初見のコアの壊し方が解らず失敗。
もう一度生まれ直したベルが女神ちゃんでなく私の所へ来て相談。私も人間に限界感じてたから聖剣へ。彼は初代勇者にと言う流れ。

水竜が神格化したのはベルに逆鱗剥がされて丸く成った後で西以外の大陸沿岸部の人々を大勢助けてしまったからね。姿もバッチリ見られ。深海には配下と魚人たち」
「ほえ~。真に神話やね」
「うんうん」

「勇者が神格化しないのは人間代表として戦い。戦死するか老衰でちゃんと死ぬから。あぁ勇者も人間だったのかってな感じで定義が固定化されてる」
「超安心。俺も中身普通人間やし」

「定義がしっかりしてれば大丈夫。神格化すると解り易く背中から後光が差して。半永久不滅の身体に変化する。
私は望んでなかったから光った時は心の底から、あーあやっちゃったぁ…。
寝る時も眩しくて慣れるまで殆ど寝られなかったわ。1年間は続いたかしら。それもあって神、確定。
女神ちゃんの方が早かったけど数年なんて誤差よ誤差」
「にゃるほろ~」
「ほろほろ~」

ソプランが冷酒とぐい呑み。
「有り難い神話が聞けた所で今日はお開きか、お嬢」
「あ、ごめん。話が脱線しちゃった。この宿は明日の朝食まで。作業後にリオン側の宿へ移動。お昼は各自自由なお店で。私はリオンタイザ内西寄りかなぁ。女王様たちにお誘い受けたらそっち。
リオン城で全員分用意されてたら事前に私とスタンで連絡と回収しに行きます」

デオン最後の夜も嫁とイチャイチャしながら仲良く就寝。




--------------

中央北大橋の補強。橋脚末端足を筆型にカット。断面を焼き切り松ヤニと火魔石粉を混ぜた防水防腐剤を塗りたくって大岩の足下駄に差し込む。その下駄部を菱形の柵で囲い足場は完成。

橋脚中間の梁を太木に張り替え内外杭打ち止め。外側の凸部は削って丸く面取り。梁同士を連結する中間橋を中央部から順に2本ラインを通して更に補強。各梁の凸部に縄を張ればメンテも楽ちん。

一旦手摺を全部取っ払い。度胸試しを兼ねた上部耐風補強作業へ移行。

作業員が数名落下したが華麗な着水着地で無事。どんな鍛え方やねん。

休憩と昼休を挟み南大橋も同時進行で着手。作業員のペースも上がり夕方までに設置補強を済ませ。北大橋の手摺部再設置でその日の作業を終えた。

船班は3隻目に突入。今有る資材で出来る所まで量産する。途中から既存船の竜骨入替えと軽量化も施す。
全て手漕ぎ小型船なので嵐が来れば土手上まで引き揚げる方式。

翌日は河川敷に流され難い桟橋を数カ所設置する予定。


夕食は牛すき鍋。出汁の利いた割り下に生卵。白滝と春菊はお好み。山菜の天麩羅。大粒帆立の刺身。帆立の紐と肝と三ツ葉のお吸い物。

「最高です。追い求めてた味がここに!」
「もう駄目…。完全に胃袋掴まれた。この国離れたくないよぉ」

「タイラントで作ってくれた物より牛肉が柔らかいな」
「差しの入った牛肉の旨味と甘み。灰汁が全く出ないお肉は初めてですね」

「これが本物の牛鍋…。生卵の鮮度と清潔さ。そして奥ゆかしいコクの味わい。何れも良品」
「鍋も吸い物も良い味付けじゃ。山菜の苦みも丁度良い口直しに成っておる。絶妙なバランス感じゃな」
「…言うべき台詞が。有りません…」

クワンとグーニャにはそれぞれからお裾分け。ダメスドーテは天麩羅に添えられた柚を舐めながらバナナを貪り満面の笑み。

「ダメスは何か食べるかえ?」
「おいはスープに潜らせた春菊が欲しいでやす」
肉食だと思ってたがまさかの草食系魔獣!?

グーニャとの違いが解らない…。

デザートはほろ甘い冷製茶碗蒸し。これも全く想定外の新感覚プリンで大変美味でした。


リオン滞在2日目。

今日の夕食からペッツ分で8人前にして欲しい旨を仲居長に伝えると。
「はっ!?これは大変な失礼を!座椅子が八脚…の意味を今理解致しました。申し訳ありません!しっかり料理長に伝えご用意を致します」
「言わなかったこちらに責任があるのでお気に為さらずお願いします」
「はぁい!」
額を床に打ち付け足音を消してササッと退出。

「今更気付いたけどデオンの旅館従業員も足音全く立てずに移動してたよな」
「板の間でどうやって歩いてるのかなぁ。最後に聞いてみよっか」
新たな謎に全員が唸った。


改修工事も本日で最後。全力のラストスパート。

リオン側の北3本橋はそのままに。デオン側で飛ばした北3本目を中央南大橋の補強仕上げと同時に着工。

大きな中州でクランクする南1本は午後に船班以外の総員で片付ける。

構想としては北2本の石橋で土石流の緩和と防壁を担い北3本目から既存木造橋を改修し風除け分散する狙い。

桟橋は北橋3本目から南1本橋まで両岸の河川敷奥に移設後縄で橋脚と連結。流されても大部分は残る設計。

追加4隻と改修した8隻。計12隻を各桟橋へ配備。

南1本の中州までの足場固定を施工した所でタイムアップ終了。

旅館で一っ風呂浴びてからリオンタイザ城に集まり工事完了式が開かれた。

両女王の挨拶。
「この度は大変なご迷惑お掛けし。言葉に出来ぬ程の感謝をお送り致します」
「南のリオン側半分と北の三本は寄贈して頂いた基本書籍と実際の施工経験を活かし自両国民で行います。魔導漁船の改良も目処が立てられました。ミリータリアからの使者が来られるまでに船の知見を広めて参ります。
貴重なお時間を頂戴し私共からも感謝を」
両国一同が礼。

「タイラント特使としての作業は終わりました故。両国の商業ギルドへのご連絡はお忘れ無きよう願います。
明日1泊延長し身体を休めて明後日にペイルロンドへ出発する予定です。
宿への連絡もお願い出来ますでしょうか」
リエリルが返答。
「直ぐに遣いの者を走らせます」
後ろ壁に控えていた2人に指示を出した。

「施工は終えましたが雨期明け以降に時間を作り状況確認に参りますのでご安心を。今件も含め別の問題が見付かれば当国の方へご連絡をば」

サファエリに戻り。
「ゆっくりお話するのはその時の楽しみに」
奥の控えを向き。
「お祝いの品と道具をお持ちして」

綺麗に畳まれた色彩豊かな反物と帯。帯留め。
5本指の足袋。
上級作務衣が薄紫、薄桃、薄灰の3色。
「反物は内釦で殿方用と嬢方用で別れていますので後程ご確認願います。
地下足袋は消音効果を持つ特殊加工です。これに慣れると市販品の靴下でも同様の歩き方を習得出来ます。鍛錬用品だとお考え下さい」
「「あぁ~」」
無音の足音は足袋の効果も有ったのか。
「作務衣は上下通気性に優れた素材で部屋着にでも使って頂けると幸いに。続いて迷宮産物を少々」

別台車で運ばれた赤い布が4枚と金属製の銀色小型チョーカーが1個。

「布は薄手ですが身体の何処へ巻いても身体能力を上昇させ持久力を向上させる物。外した時に着用時間に応じた疲れが反動で降り掛かるので最初は時を刻んでお試しになると宜しいかと思います。
小型のホルダーは…」
クワンティを見詰めながら。
「身に着けたペットや魔物が人語を話せるように成る物。ミリータリアの蜥蜴数匹が喋れたのはこれが原因です」
「おぉ!」
「両方共に善き品です」

早速クワンの足首に巻いてみた。
「あーあー。あ!あたしはクワンティ。これでやっと自分の言葉で喋れます!あれ?でも切り替えが…」
「着用されている間はずっとそのままですね」
「後で小袋に入れて練習しようね」
「はい!いいわぁ。通訳要らずで感動ですぅ」
喜ぶ姿が超絶不思議だが可愛さは変わらない。
両国の人たちもクワンの声を聞いて歓喜した。

ルーナ両国でも大変良い物を頂き。風呂上がりに作務衣を着て夕食を堪能した。

良質な牛のしゃぶしゃぶを胡麻ダレで。冷製豚しゃぶサラダはポン酢で頂き白飯が止まりません!

デザートは小豆入りライ麦シフォンでお口もしっとり爽快。

「長居すると確実に太れる」
「運動しないとねぇ」

グーニャと半々にしたシフォンを食べ終わったクワンが。
「クワッ。明日お昼を港で食べたら南極大陸を回っても良いですか?運動がてらと。スマホの履歴がすっぽり抜けているのが気になってまして」
「うーん。何が有るか解らないからソラリマ装備でなら散歩しても良いよ」
「クワ。お散歩して来ますぅ~」

「クワンの散歩用に未開の地を残したのか」
「ホントに何も無い氷の世界だったのか」
「「気になる…」」

「興味持つなよ。何か有ってもそんな暇ねえだろ」
ソプランに指摘され。
「今回じゃないよ。流石に」
「クワンの報告を待ちます」
「クワッ!」

「我輩の仕事が一つ減りましたニャ」
「僕もです」
グーニャとピーカー君は不満顔。
「皆それぞれ役目が有るじゃない」
「グーニャは高速移動。ピーカーは建築と小道具作り。ダメスドーテはレイルの隠し切り札てね」
「ハイニャ」
「はい」
素直でええ子。ダメスは無関心でレイルの膝上で惰眠。本来の猫ぽい。




--------------

白鳩異国探訪記・その二。

リオン側の南一番街で好物の貝類と烏賊の磯焼きをたっぷり補給。

ご主人様たちが散歩で歩く浜辺を飛び立ち南の空へ。
暫く飛んでからソラリマ装備で超加速滑空。

強い気流もへっちゃら。気圧の変化と気温の低下も大狼様のローブマントで何のその。

眼下に広がる北大陸とは違う白銀の世界。

茶色い陸地から真上に切立つ白い氷の剣山群を眺め。南極点は何処かは解らないのでとりま広い大陸中心部を上空から目指した。

「ソラリマは何か感じる?」
『いや特に何も』

動く生物はまだ見えない。
剣山群を越えると緑色の苔のような植物の群生地帯が現れそこへ降り立った。

クンクン。磯臭くはない植物。ソラリマの先端を伸ばし苔を掻き取り中型の麻袋に詰め込んだ。

「餌が有るって事は」
『何かは居るな。奥の方に数カ所穴が見える。気配はまだ感じないが周囲の苔が禿げている』
「ふむ。巣穴の下で冬眠中?なのかな」

割と大きな穴だらけの地帯に接近して暗い穴を覗いた。

僅かな震動と何かが動く気配。
「お、何か」
『来るな』
土竜のような何か。

穴の真上を旋回して待つ。

暫くすると黄色い嘴が穴から飛び出た。続け様に自分目掛けて放たれる茶色い高速弾。

あたしが餌だと思われた様子。

被弾しない高度スレスレを飛び弾切れを待ちながら回避を楽しんだ。

弾が打ち止めになった頃。穴群中央の大穴から主が顔を出してこちらを威嚇。

「?土竜じゃなくて」
『ペンギン種の魔獣か?』

次は鑑定眼が欲しいな…。そこまでは贅沢か。

「餌!鳥!降りろ」
お前らもだろ!知能は低い。
「あたしは餌じゃないわ~」
「餌!」
「海まで穴掘ってお魚獲りに行けばいいじゃない」
「え…さ?穴…あ!」
今気付いたの?

一斉に引っ込み北海方向に地中の震動が遠離った。
お魚さんが居るとは言ってない。

海水で水没するであろう穴の探索は止めもっと南へ。

低い氷山と茶色い地肌が混在隆起する地帯に到達。

「氷山の下に何か居るわね」
『雪猿?北大陸とは違う小型だな』

クレバスの隙間から雪猿の地下町をご訪問。

光が真上からの屈折で入る幻想空間。

お猿たちと目が合い暫し睨み合い。
「ご機嫌よう」
「ご…ご機嫌よう?鳩がここに何用か」
知能は高い。
「上空散歩中に見えたから立ち寄っただけよ。この大陸には生物が居ないと思ってたけど。結構居るのね」

「結構とは?」
「少し北に空を飛べないペンギンみたいな魔物が居るじゃない。地面に穴掘って。他にも居るのかしら」
「…他は知らない。ずっと土を食べて生きている」
「あぁゴーレムさんだったの。てっきり地上に住んでたお猿さんだと思ってた」
「そうか…」
「外には出ないの?」
「外は危険。ここは安全だから」
「危険?貴方たち強そうなのに」

「大吹雪には勝てない。偶に来る灰色の霧にも」
「あ、吹雪ねぇ。灰色の霧って何?」
「霧は良く解らない。巻かれると身体がバラバラにされる」
「へぇ面白そうね。探してみようかな」
頑丈そうなゴーレムの身体を破壊する霧。

「お勧めはしないが好きにすると良い。我らよりも遙かに強そうだし」
「照れるわね。所で地中を掘ってる間に綺麗な石とかは見た事無い?光に当てると輝いて透明とか青とか黄とか赤に透き通った石」
「消化吸収出来ない石粒か。それなら奥に集めてある。持って行くか?」
「貰ってもいいの?」
「我らには不要だからな」
「やったー。有り難う。遠慮無く頂くわ」
特殊な力を宿す宝石があれば更にラッキー。

会話をしたゴーレムの肩に乗り。土をお食事中の皆さんに翼を振り振りしながら奥へ奥へ。

やがて見えた山のように積まれたキラキラの石たち。
「まぁ~綺麗」
鑑定は出来ないので構わず全部パックへ収納。
「便利な袋だな」
「凄いでしょ。ご主人様の妹さんに作って貰ったの。綺麗な石はどの位の時間を掛けて集めた物なの?」
「さあ解らない。ここはずっと昼間だ。霧が来なければ暗くもならない」
白夜地帯か。極点に近い場所では当たり前だった。
「変な事を聞いて御免為さい」

もう一度お礼を告げて最初のクレバスから飛び立った。
お土産沢山~♡


黒い霧とやらを探す事数分。それは割りに高い氷山の先の窪地に現われた。と言うより。

激しい乱気流に阻まれた場所。天まで昇る大量の渦巻き。
「おぉ黒い極太竜巻!」
『確かにこれは。並の魔物ではバラバラだな』
「あの先が極点ぽいね。で…」
『居るな。ドデカい黄金色の竜が』

黒竜巻群の遙か上空でこちらを見下ろす一体の黄金竜。
接近しないと解らないが六十mは越えてそう。
白夜の光を浴びて金色に輝いている。
竜巻の中でも丸見え。こちらも丸見え。

「スターレン様見たいって言うかなぁ」
『言いそうだ』
「取り敢えずレイル様には内緒でって伝えて」
『…黙って置くがあんな奴は見た事も無い。戦うなら慎重になだと』
「まずは接近してお話よ。攻撃して来たら戦う。勝てそうになかったら転移で逃げるわ」
『順当だな』

乱気流と竜巻の隙間を縫い上空へと飛翔。

黄金竜は問答無用で放射状に黒い渦ブレスを放った。
鈍いわねぇ。放射速度に緩急の波を付けられたが全く余裕で回避しながら接近。

全身翼の先まで黄金。鱗の隙間に上手く刃を入れないと外からの斬撃は弾かれそう。

「出涸らしの子天竜戦は詰まらなかったから丁度良い」
『同意』

接近するとやはり六十m級の体躯。

回避と挑発旋回を続け鈍速ブレスが切れるのを待った。
ブレスが途切れた。と思わせてまだまだ油断はしない。

顔の正面に回ると金竜は大口を開き黒白金が折り混ざる極大ブレスを放った。今度は速度が桁違い。
「やっぱりね」
『フフッ』

様子見からちょい本気を出した感じ。

回避に転移を混ぜ下方に軌道修正。自分で起こしたであろう乱気流と竜巻にブレスが当るように誘導。

真下の大地まで深く長く抉れ捲れ上がった。
威力はまあまあ。でも黒竜様に感じた絶望感には程遠く…より何の脅威も感じない。

半面の竜巻が消し飛んで金竜はブレスを止めた。

あたしよりも下へ瞬間移動。下からの噛み付き。
迫る大口の中に入り転移で金竜の背後へ擦り抜け背鰭付近に飛び乗った。

「薄鈍~。おっそいわぁ~。欠伸が出ちゃうじゃない。ここに穴開けてお昼寝でもしようかしら~」

挑発が聞こえたのか全背鰭が変形し槍状の棘を射出。
伸縮も速度も乱雑。棘の雨を誘導しながら金竜の眉間に移りお尻を降ろした。

「詰まらないわぁ~。もっと他に無いの?」
鼻先に飛びウンチを鼻穴に投下。

金竜激怒。太い首を暴れ回す。

今度は周囲に金銀縞模様の箱型結界を展開。金竜は消え去りあたしだけが閉じ込められ。結界が縮小。

難無く転移でお外に出る。待ち構えていた極大ブレスと棘の雨をヒラリと躱し金竜の鼻先へ。

「もっと面白い事しなさいよ。運動にもなりゃしない」
『攻撃が単調過ぎる』
翼で欠伸をする仕草を見せ付けた。

長い髭と頭頂部の二本角が輝き。見るからに高熱線を放ち屈折しながらあたしへと向かい来る。

大口の中の分厚い舌裏へ潜り金竜自身を身代わりに。
被弾した金竜は絶叫の咆哮。舌で音も軽減されてあたしは無事。強いて言えば唾液でべちょべちょ。

絶叫が止んだ頃に再び鼻先へ移動。

「やーだ臭いわ。海に入って洗わなきゃ」
『臭いは解らん』

焼け爛れ顔面崩壊を起こした涙目金竜の再生を待つ。
「これは貴方の自爆よ。あたしの所為じゃないわ。勘違いしないでねお馬鹿さん」
『馬鹿。地上生物にも劣る』

「…」
漸く意思を表わし始めた。

再生が終わると金竜が喋り出した。
「話をしてやろう」
「口の利き方がなってないわ!!」

口の中へ飛び込みソラリマを十倍に延長して口内を乱切りに深く傷付けた。

再度の絶叫を聞き流し金竜の眼前へ。再生を気長に待つ。

「ここへ何用だ。強き小鳥よ」
「その質問が最初でしょ?行き成り攻撃して来て貴方何様の積もりなの?空は皆の物であたしは散歩中。南に在りそうな南極点を見に行きたいのよ」

「我は一応…その極点と天空の守護者なのだが…」
「あぁ領域守護者みたいな竜だったのね。守護者の貴方がなんであたしの散歩の邪魔すんのよ。天空に張ってある人間用の結界は貴方の仕業なの?極点の守護って見られて困る物なの?ねえ!」

「し、質問が多いぞ。まず極点には誰であろうと近付けさせるなとの使命を受けている」
「誰から?」
「もう名を忘れてしまったが太古に消えた音楽の女神だ。それを思い出せれば我の使命も終わり。空の結界も晴れるであろう。
人間は放って置くと。飛翔道具を進化させ空を突き抜け宇宙へと拡散する」
「それは人間の勝手よ。神様が制限する事ではないわ」
「そう言われても我には解らない」
まあ尤もね。

「音楽の女神…何処かで聞いた事があるような…。
あ!音楽の女神オメロニアン」
「オメロニアン…。そうだオメロニアン様だ!おぉ…思い出させてくれて感謝する。小鳥よ」
「どう致しまして」

後方の竜巻も乱気流も消え去り心無しか空が一段と輝いて見えた。

「南極点には何が有るの?」
「北とは違い本当に何も無い只の大地。我が守っていれば何か有ると勘違いした人間たちが目指す。空に対する興味を逸らせるのが目的だった」
「えーがっかり。あたしはクワンティ。貴方の名前は」
「我は…何だっただろうか…」
「それも忘れちゃったかー」
何だか可哀想。

「貴方はこれからどうするの?」
「どうするか…。我はオメロニアン様が造り出した孤高の竜種。
黒竜とも白竜とも水竜とも天空竜にも属さぬ固有種。使命を果たせば消え去ると考えていたが…そうでも無い。
折角自由を手にしても特に遣るべき事も無い。クワンティに付いて行っても良いか」
「良い訳ないじゃない。そんな巨体で。あたしの主は人間の勇者夫婦なのよ?」

「人間の勇者と番が主人か…。会ってみたいな。オメロニアン様が憂いた人間社会も見てみたい。少し待ってくれクワンティ」

金竜は上空へ舞い上がり反転を繰り返した。巨大な身体はどんどん小さく縮小。目の前に戻った時にはあたしと同じ位の大きさに成った。

「これ位が限度だ。どうだろう」
「大きさはいいわね。でも金ピカ」
『キラッキラだな』
「主人のスターレン様は好みそう。勇者の眷属に成る気は有る?格好良い名前も考えてくれるわよ」
「おぉ…勇者の眷属か。先程も言ったが今の我には主が居ない。新たな主が得られるならそれも良い」
「決まりね。連絡するからまずは地表に降りましょ」
「うむ」




--------------

南部1番街を散策しながらクワンの帰りを待っていたらスマホがブルッた。こっそり覗くと相手はクワン。

近くに居たフィーネの隣のレイルが腹を抱えて笑う…。
恐ろしいまでの予感。良いか悪いかは解りません!

路地裏に入り応答。
「ど、どうしたんだいクワン」
「スターレン様。大変希少な黄金色のピカピカ竜をゲットしてしまいました」
「…何ですと」

要点を聞き。聞いただけでは理解出来ず。
皆を集め。夏に使う更衣所を借り防寒装備に着替え。クワンを呼び南極大陸へ運んで貰った。

元の大きさだよとクワンが説明してくれた黄金の巨大竜を前に笑い続けるレイル以外全員絶句。

とりま最初から順にクワンと黄金竜の話を伺った。

「ホントに…俺の腕の中でいいの?」
「良いぞ。勇者なら我が主に相応しい。従者クワンティに惨敗したのだからその主に従うまでだ」
「クワン単騎で勝ったの?」
「レイル様は慎重に行けと言いましたが楽勝でした」
「「へぇ…」」

「大型との戦闘には慣れていたが我より素早い小さき鳥との戦いは不慣れでな」
「な、成程…」
腕からルーナを呼び出してリサーチ。
「同居させてもいい?」
「良いも何も我より格上で従順。我が文句を言える立場ではない」
「そか…。ルーナがいいなら言葉に甘えて。
の前に名前か」

鑑定しても名無し君。

「前の主オメロニアン様も元人間。しかし名は授けて下さらなかった。性別は無いが格好良い名前が良いな」

音楽の女神様が造りし無名の黄金竜。彼女は何を思い何を憂いて黄金の竜を…。

暫く辺りを歩いて考案。

「フィーネ様は何処となくオメロニアン様に面影が似ている気がするな」
「私が?音楽の女神様に?」
「うむ。貴嬢を見ていると懐かしく安心する気持ちだ」
「めっちゃ照れるわ」

背中のカタリデも宙に浮き。
「ほぇ~。こんなの初めて見た。まだまだ知らない事沢山有るものねぇ」

レイルがクワンを持ち上げて。
「腹筋が割れてしまう所じゃったぞ。近距離転移はああして使うのじゃな。妾も勉強になった」
「それほどでも~」

名前が浮かんだ。
「良し。オーラメニア、でどう?音楽の意味は無くなるけど魂の繋がりと繁栄の意味を残した」
「オーラメニア…。大変善き名だ。気に入った」
「呼ぶ時はオーラで呼ぶよ。自分から出たい時の合図は何にする?ルーナは暖かくなるんだけど」
「そうだな…。軽く振動させよう。入ってから試す。我の何処でも良いから紋章で触れてくれ」
ルーナの時と一緒だな。

袖を捲り前足の爪腹に触れた。即座に吸収。
ルーナも収納。ルーナだけだと証の内側が赤くなるだけだったがオーラメニアが入ると枠線が金色に輝いた。

「すっげえ豪華な入れ墨。身体が前より更に軽い。このまま空飛べそう」
腕がブルッた。
「出て来いオーラ」
小型の黄金竜が肩に乗る。
「今ので良いか」
「按摩器当てたような感じで丁度良かった」
「そうか。これからは無制限で空も自由に飛べる。道具も翼も不要だ。我が中に居なくとも」
「有り難い。その機能欲しかったんだよ。1日1回しか飛べなかったから」

従者2人が。
「俺たちの主がどんどん人外の道へ」
「人間勇者とは何なのでしょうね」
「中身は普通人間だって」
「「普通とは?」」

「ルーナとの相乗効果で再生能力が更に早く。
高速飛翔中でも呼吸が乱れないし外因を受け付けない。
水中でも長時間無呼吸で居られる。
総合的な身体能力が上昇。鑑定力と魔力も上昇。
西の天空竜など最早雑魚。
黒竜とも単独で良い勝負が出来そうだ」

「…頼む皆!まだ普通だと言ってくれ!」

全員諸手を挙げた。
「あーあ」
カタリデの失笑が寒空に響き流れた。


折角来たのでオーラの案内で南極点を皆で歩き。少量だけ埋まっていたマウデリンを拾い。地底ゴーレムたちにもう地上に出ても大丈夫だよと挨拶し。北部の大型ペンギン叩きで遊び。

何の図鑑にも載っていない大変珍しい緑苔を集めてリオンタイザへ帰った。




--------------

リオン最後の夕食後。

「さて。ダメスドーテに続きオーラメニアと言う心強い仲間が増えました。のはさて置き。
先行2人も無事ペイルロンド王都手前の町へ入った様子で一安心。
明日朝食後。少し買い物をして私たちもペイルロンドへ向けて出発します」
全員ふむと頷いた。
「先行組を先に王都へ入れるので。日数調整で西端の町ピリューズ前後で1泊か2泊の進行予定です。
何か質問は有る?」
全員特に無し。

「さあお風呂に入ってオーラを触り捲るぞぉ」
「フィーネ様は駄目だな」
「え…?なんで?」
「最悪水竜の加護が消えてしまう」
「そんなぁ…。どうして私ばっかり触れないのよぉーーー」
フィーネの悲痛な叫びが部屋に虚しく響いた。

彼女以外にオーラが触られ捲るのを羨ましそうに見詰める嫁に。
「ちょっと指先で触れる位なら良いかどうか聞いてみ」
「うん…。ん?止めた方がいいって。自分の意思で触りに行くのは」
「あ…ごめ」
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