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第220話 嘗ての逢瀬
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合同接待日3日前の出来事。
この日。ミーシャの家族移民団がパージェント入りを果たした。
移民者25名。護衛隊20名の大所帯。
ミーシャと近衛兵数名で出迎えカエザール邸にご案内。
身重のマリーシャに代わりムルシュとモヘッドで対応。
全員金椅子に座らせたいがそんな訳にも行かず。
慰安会を催し。翌日に護衛隊は冒険者ギルドで引き取り特別報酬を撒いて解散。
体調不良を訴える人は零。通信具を使う素振りは誰も見せず。…堂々と使う馬鹿は居ないよな。
その慰安会の会場を従業者控え室から覗く俺たち。
一人一人見回すトロイヤの目が一点に留まった。
「居た?」
「…ええ居ました」
「どいつ?」
とても言い辛そうに。
「嫁には秘密でお願いします。ベルエイガの娼館で数回相手をさせた女です」
おぉ…。
「言える訳ないだろ。どの人?」
「今、ミーシャと話をしている男の後ろに立つ女が…
確か通名でルミア、だったと」
「ふむふむ…。本名はルーミルだな」
ミーシャとお話中なのは弟のガラード君。
フィーネとロイドは別件。俺たちとミーシャを繋ぐアローマはロロシュ邸待機。
控え室には俺、トロイヤ、ソプランの男組。
全てを把握しているのはミーシャ当人とマリーシャ、ムルシュ、モヘッドの4名。
従業者には俺たちは不在者として扱うようにと伝えた。
至近距離で中々シビアな状況だ。
「男だけで来て良かった」
「あの様子だとルーミルが弟誑してるぞ。寝技で」
とソプラン。
「だろうな。可哀想に」
「今日はここに泊まりでしょうから。明日邸外に出た所で話し掛けます。支援はソプランが居れば充分かと」
「ここで張る訳には行かねえし…。五区内の普通宿で見張るか」
「護衛隊が剥がれてからだな」
非常に単純な計画を練り。ソプランに双眼鏡を渡して場を離れようと足を動かした時。想定外の声が響いた。
「何を言ってるんですか!!」
ん?ミーシャの怒声?
会場内の状況が変わり。話相手が弟君からルーミルに入れ替わっていた。
怒る相手もルーミル。
「私でも中々お会い出来ないのに王女様に会わせろ?
一般人はお招きが無くては城には入れません。貴女頭可笑しくてよ」
随分な言い草。
打ち合わせに無かった正義感荒ぶるアドリブで。
ルーミルも何か言い返してるが聞き取れない。
「ルーミルって頭…」
「悪かったんでしょうね。寝ただけで実のある話なんてしませんよ。舌足らずで可愛げは有りました。
店では底底の人気だったかな…。うろ覚えです」
それはそう。
「どうしよか」
「何か大した情報持って無さそうだが。どの道ここじゃ限界だ」
「まあトロイヤに任せるよ。一応金椅子もソプランに渡して置く。使い処が難しいから普通に情報絞って開放する方向で」
「了解です」
最寄りの宿に2人を預け自分は撤収。
---------------
御仁から仰せ付かった二度目の任務も情報収集。
しかしルーミルは微妙だ。
何とかローデンマンの後ろの謎淑女を探りたいが…
とても情報を持ってると思えない。
全部演技の線も無くは無い。と切り替えた。
ソプランと交代で宿の中から監視を続ける事、翌昼前。
「やっと動いたぜ。ガラードと腕組んで出て…」
双眼鏡を構えるソプランが固まった。
「どうした?」
「あの女…。パージェント来た事有るのか?」
「何かしらの伝手を持つとかローデンが言っていたから来ていても可笑しくはない」
「気を付けろ。ルーミルの足取りに一切迷いが無い。
指差してガラードに説明してる感じだ」
演技の線が出て来た。
「ああ解った」
最悪想定で読心スキル持ち。感情抑制の指輪は持っているが以前の俺の情報は筒抜け。
昨晩同じ屋敷内に居たのも周囲から漏れている?
だが御仁の鑑定で何か見えたとは言っていない。取り越し苦労で終われば御の字。
用心はしよう。
大通りを恋人同士のように歩く二人。ルーミルの反応を見る為正面から近付き声を掛けた。
「おぉ。ルミアじゃないか」
「…あらブラスさんだぁ」
俺が前に使っていた名を呼び。一瞬俺の後ろを見た。
ソプランが隠れている方向を見やがった…。
「誰この人?」
ガラードが敵意剥き出しの目で俺を睨んだ。
「昔仕事でねぇ。ガラードは屋敷にお帰りぃ」
「…うん」
敵意は消え。感情を失った人形が如く来た道を戻った。
従属系のスキルをスターレン様が見逃した…?
疑問は残るが危険だな…この女。
「何をしたか知らんが近くに個室付きの店が在る。そこで仕事の話だ」
「なーんにもしてないよぉ。それより他に誰か居るのぉ?」
「俺も安全は確保する質でな。何時情婦に刺されてもいいように。
まあ気にするな。何も無ければ勝手に帰る」
「ふーん~」
鬱陶しい喋りだ。
予定していた五区内の静かな店で個室の一つに入った。
茶と軽食を頼み。運ばれてから話を切り出した。
「北東の依頼主には知り合いが混じってるとは聞いてたがまさかお前だったとは。お前も雇われた口か」
「どうかなぁ。そうかもねぇ」
鬱陶しいを通過して忌々しい。前とは明らかに違う。
丸で別人。
「で、城には入れそうなのか」
「ちょっと直ぐには難しそぉ。あの屋敷に居る人たち私の力受け付けなかったしぃ。あんたもね…」
昨日屋敷に居たのは認識されてないようだ。
「俺が知るか。スキルなら相性の問題だろ。高度な防御壁張ってる屋敷は幾らでも在る」
「そうかなぁ。そうかもぉ」
「お前と一緒に城へ入れと言われてる。報告が月末〆で時間も無い。どう動けばいい」
「せっかちな早漏さんは嫌われるよぉ~」
大袈裟な舌打ちで返した。
「無計画なら付き合い切れん。お前が無能な股緩で何も情報が取れなかった、と報告する迄」
「むぅ~」
少し感情が乱れた。
基本こいつは馬鹿な気がする。
「もう一度聞く。どうする積もりだ」
「弟君は使えなさそうだからぁ。ミーシャの今彼捕まえて操ろっかなぁ、て?」
ここは知らない振りが適当。
「ミーシャの彼氏?さっきのガラード…とか言う男か」
「何も知らないのねぇ。さっきのが弟君。彼氏君は三区の飲食店に居るわ。店に防御壁なんて無さげだからぁ」
「その店で捕まえるのか」
事前に情報を得たか誰かの心を読んだか。
「肌に触れれば確実だしぃ。ちょっと握手でもすればちょちょいよぉ」
接触系。若しくは接近系。スキル範囲は広くない。
「ふん。俺は連絡専門だ。この時間に出て来たって事は今から乗り込む積もりだな」
「一緒に行かない?あんたが裏切り者じゃないなら協力してくれるでしょぉ」
上目遣いで誘って来た。
さてどうするか。とは言え選択肢は一つ。
「行ってやってもいいが…。お前が単独だと証明しろ。
最大従属で背中を刺されたくないんでな」
「疑り深いなぁ。使えない道具並べても意味無いじゃん?
一人の方が動き易いしぃ」
まあ信じてみるか…。
不意に。
ルーミルの背後に妖艶な美女が音も無く現われた。
あーあ…。終わった。
「これ、俺の仕事なんですが」
「回り諄いのじゃ」
「へ?」
突然の声に振り返ったルーミルが首を掴まれ片手で持ち上げられた。
足をバタ付かせ。倒れそうになった椅子を俺が拾い二人から引き離す。
「あぐっ、がっ、な…」
「妾の目を見よ」
冷淡な微笑みと澄んだ声。
その声が届いたかルーミルは力無く垂れ自我を失った。
ガラードのような虚ろな瞳でレイル様を見詰めて。
「ふむ。此奴は一人じゃな。ミーシャの父と弟を食い物に潜った鼠。死ねばその記憶も周囲から消える」
それは安心。じゃない。
「ここで殺すと店を出る時面倒に」
「…此奴の荷物も回収させんとのぉ。このまま屋敷まで操る。出て来たら都外東の森に飛ばせ」
「承知」
物言わぬ人形と化したルーミルと店を出た。
その背を見送り後方のソプランに手を振る。
「終わりかよ」
「その様だな。東の森へ飛べと仰られた」
「うへぇ。同時に何人運べるんだ」
「自分含めて五人迄。それ以上だと片道になる」
「じゃあ俺も頼むわ」
「ああ…」
任務が半端に終わり、溜息しか出ない。
---------------
人気が皆無の森の中。吹き通る風がかなり冷たい。
南寄りの国だろうと冬は冬。
そんな季節の中でレイル様はルーミルを裸に剥いて身体検査を始めた。
「なあレイル。スターレンからは殺さなくていいって言われてんだけど?」
隣のソプランが一応の抗議。
「妾がやったと言えば良いじゃろ」
「まあ…いっか」
諦めた。
「レイル様。ローデンマンの後ろに居る女の情報。取れそうですか?」
ルーミルの額を鷲掴み。
「…女の姿は見えるが何も知らんの。天涯孤独の身。
その孤独に付け入られた哀れな情婦。しかし…此奴は割りに楽しんでおったようじゃ」
娼館によく居る孤独女だった。
そしてルーミルの胸を手刀で一突き。
返り血が一滴も出ない早業で何やら黄色の小粒石を取り出した。
「ほぉ…。彼奴じゃったか」
鼻で笑い納得していた。
「何だそれ」
「西大陸の亜種魔族の体組織結晶じゃな。こんな低俗な物を埋められては壊れるのも無理は無い」
人間風情には過ぎた物。だったらしい。
結晶石を暫く眺め。それが終わると握り潰した。
「世界の何処か。同類を埋められた人間が数人死んだ」
「「死んだ!?」」
「心臓付近で破裂させたからのぉ。生き残っていたら既に人外じゃて」
恐怖より驚きが勝る。遠隔で同種道具を破壊する何て。
この方には雑作も無いか。
「そう言えば昨日。スターレン様はこの女のスキルを見逃した気がするんですが」
「スターレンのは接触特化型じゃからの。人体とは切り離された所持品は見え難い」
「あぁ…」
疑問は直ぐに解けた。
「普段のあいつは偶に抜ける。誰でもそうだろ」
「確かに」
立ち尽くすルーミルに服を着せ所持品を検めた。
衣装鞄には衣類と化粧品。身分を示す物は無し。
小型の腰巻きには懸念していた通信具などは無く。その代わりに強制避妊薬と催淫薬の小瓶が出た。
レイル様が瓶を手に。
「従属と合わせて手駒を増やす積もりじゃったな。使われる前に阻止出来て良かったじゃろ。妾に感謝せよ」
「「有り難う御座います!」」
俺たちが見逃して数日経っていたら…。
結果は想像に易い。
「しかしどうするかのぉ。何人もの男を好きで咥えた女なぞ眷属にしとうない。じゃが結石を抜いた事で埋められてからの記憶が消えた」
「まだこいつ生きてんの?」
「生きてはおる。不死でもない普通の人間じゃ。従属を強く受けた移民団員の記憶からも消えたじゃろうし。生かすも殺すも半端じゃの」
二人の遣り取りを聞き。一つの案が浮かんだ。
「ペルエイガの寺院に預けましょう。前回多額の寄付をしましたし。この女の地元でもある。
敵に見付かれば消去される可能性大ですが。計画失敗を知ればまた何か動き出す」
「まあまあの案じゃな」
「トロイヤに任せるってあいつが言ったんだ。それでいいと思うぜ」
「なら妾はホテルに戻る」
ふわりと姿が消えた。真に神出鬼没な御方だ。
「俺は走って帰るぜ。お前はハイネに直接。あいつ連れてくから今晩外で飲もうや」
「ああ、それで」
俺には帰るべき場所が在る。
この女は過去の記憶を失った。
敵地の真ん中に放り込む形に若干の心苦しさを覚えた。
が女は逞しい生き物。存外上手く生き長らえるのではと思い直し転移した。
---------------
ロルーゼ王国。王都ベルエイガ。カモレア家離れ。
小さくない書庫。
その多くの蔵書が集められた部屋の片隅で。
ローデンマンは作家名:ローゼルマン・カモレアとして執筆活動に勤しんでいた。
執筆は唯一の彼の趣味。過去に数作出してみたものの無名として見向きもされなかった。
芸術の国ロルーゼ。彼は大きな願望を持ちこの国にやって来た。
多くを裏切り多くを泣かせた傲慢な男。そんな表向きの評価とは違い。彼の書く作品は何れも繊細。
隣国マッハリアの新王載冠式典を来月に控えた一月のある日。自身が認める最高傑作を遂ぞ書き上げた。
その直後。
書のインクが乾く迄の間。凝り固まった肩と腰を伸ばす為机を離れ本棚を眺め歩いていた。
突然左胸に走った激痛に蹲る。
心臓…。普通であれば心不全。しかし彼には思い当たる節が多過ぎた。
道具の、一つが壊された。それも遠隔で。
こんな芸当が出来る人物は唯一人。スターレン…
的外れでは無い答え。
伝えなければ…。本館に居る、あの方に。
刻まれるような痛みに声も出ず。
吐き出されるのは鉄の味。
口から溢れた赤い粘液は盛大に胸元と床を汚した。
回復の秘薬は隣の書斎。人払いをした為に日暮れ迄は従者も来ない。
元より邸内には人が極端に少なく。彼はそれを賄える人望も持たなかった。
全ての警備は離れの外。書庫には窓すら無い。
彼は夕食を抜かす事も多く。茶も好まない。
結局。彼の亡骸が従者に発見されたのは翌朝。
本館の主は見向きもせずに火葬へと回された。
裏切り者の末路。と誰かが噂した。
数年後。ローゼルマンの遺作はマニアの間で流行り。
目を付けた貴族たちが挙って書籍最高値を更新し続けた。
製書、印刷、複写技術向上と共に世界に名が広く。
彼を知る一部が口々に。
時代が違えば。人嫌いでなければ。
故国を裏切らなければ良かったのにと残念がった。
後に大ヒットした彼の最期の傑作『瓶の中の風』
物語は王道。
独裁的な女王に幽閉された姫君に恋心を抱いた王国騎士が自国と諸国で武勲を挙げ。その一陣の風を以て姫君の解放を為し得た。
結末は誰もが望み羨むハッピーエンド。
著者の現実の恋は実らなかった。
心底焦がれたリリーナ姫を救う為。フレゼリカ側に寝返るに至る。
地下施設の約二割を設計したのも彼。
その褒美としての解放。
真実を告げるべく赴いた彼女の屋敷。
そこで目にしたのは悲恋。
何も知らぬ彼女の隣に座っていたのは。
後から表の解放を手伝った親友のローレン。
愛が憎しみへと変わった瞬間だった。
けれど真実を知るのは彼一人。
そこから凡そ九年の後に悲劇を招いた最大要因である。
そしてもう一つの作品『新説・人体解剖図鑑』
それはローデンマンが地下施設で蓄えた知識を余す事無く秘密裏に書き起こした最初の書物。
因果が手伝いスターレンに渡ったその図鑑。
しかし、スターレンが著者ローゼルマンの正体に気付いたのは十年以上も後の事だと言う。
『瓶の中の風』を書いたのは、毒死させてしまったリリーナへの罪滅ぼしだったのかも知れない。
永久に。誰にも伝わる筈の無い、独り善がりな横恋慕。
この日。ミーシャの家族移民団がパージェント入りを果たした。
移民者25名。護衛隊20名の大所帯。
ミーシャと近衛兵数名で出迎えカエザール邸にご案内。
身重のマリーシャに代わりムルシュとモヘッドで対応。
全員金椅子に座らせたいがそんな訳にも行かず。
慰安会を催し。翌日に護衛隊は冒険者ギルドで引き取り特別報酬を撒いて解散。
体調不良を訴える人は零。通信具を使う素振りは誰も見せず。…堂々と使う馬鹿は居ないよな。
その慰安会の会場を従業者控え室から覗く俺たち。
一人一人見回すトロイヤの目が一点に留まった。
「居た?」
「…ええ居ました」
「どいつ?」
とても言い辛そうに。
「嫁には秘密でお願いします。ベルエイガの娼館で数回相手をさせた女です」
おぉ…。
「言える訳ないだろ。どの人?」
「今、ミーシャと話をしている男の後ろに立つ女が…
確か通名でルミア、だったと」
「ふむふむ…。本名はルーミルだな」
ミーシャとお話中なのは弟のガラード君。
フィーネとロイドは別件。俺たちとミーシャを繋ぐアローマはロロシュ邸待機。
控え室には俺、トロイヤ、ソプランの男組。
全てを把握しているのはミーシャ当人とマリーシャ、ムルシュ、モヘッドの4名。
従業者には俺たちは不在者として扱うようにと伝えた。
至近距離で中々シビアな状況だ。
「男だけで来て良かった」
「あの様子だとルーミルが弟誑してるぞ。寝技で」
とソプラン。
「だろうな。可哀想に」
「今日はここに泊まりでしょうから。明日邸外に出た所で話し掛けます。支援はソプランが居れば充分かと」
「ここで張る訳には行かねえし…。五区内の普通宿で見張るか」
「護衛隊が剥がれてからだな」
非常に単純な計画を練り。ソプランに双眼鏡を渡して場を離れようと足を動かした時。想定外の声が響いた。
「何を言ってるんですか!!」
ん?ミーシャの怒声?
会場内の状況が変わり。話相手が弟君からルーミルに入れ替わっていた。
怒る相手もルーミル。
「私でも中々お会い出来ないのに王女様に会わせろ?
一般人はお招きが無くては城には入れません。貴女頭可笑しくてよ」
随分な言い草。
打ち合わせに無かった正義感荒ぶるアドリブで。
ルーミルも何か言い返してるが聞き取れない。
「ルーミルって頭…」
「悪かったんでしょうね。寝ただけで実のある話なんてしませんよ。舌足らずで可愛げは有りました。
店では底底の人気だったかな…。うろ覚えです」
それはそう。
「どうしよか」
「何か大した情報持って無さそうだが。どの道ここじゃ限界だ」
「まあトロイヤに任せるよ。一応金椅子もソプランに渡して置く。使い処が難しいから普通に情報絞って開放する方向で」
「了解です」
最寄りの宿に2人を預け自分は撤収。
---------------
御仁から仰せ付かった二度目の任務も情報収集。
しかしルーミルは微妙だ。
何とかローデンマンの後ろの謎淑女を探りたいが…
とても情報を持ってると思えない。
全部演技の線も無くは無い。と切り替えた。
ソプランと交代で宿の中から監視を続ける事、翌昼前。
「やっと動いたぜ。ガラードと腕組んで出て…」
双眼鏡を構えるソプランが固まった。
「どうした?」
「あの女…。パージェント来た事有るのか?」
「何かしらの伝手を持つとかローデンが言っていたから来ていても可笑しくはない」
「気を付けろ。ルーミルの足取りに一切迷いが無い。
指差してガラードに説明してる感じだ」
演技の線が出て来た。
「ああ解った」
最悪想定で読心スキル持ち。感情抑制の指輪は持っているが以前の俺の情報は筒抜け。
昨晩同じ屋敷内に居たのも周囲から漏れている?
だが御仁の鑑定で何か見えたとは言っていない。取り越し苦労で終われば御の字。
用心はしよう。
大通りを恋人同士のように歩く二人。ルーミルの反応を見る為正面から近付き声を掛けた。
「おぉ。ルミアじゃないか」
「…あらブラスさんだぁ」
俺が前に使っていた名を呼び。一瞬俺の後ろを見た。
ソプランが隠れている方向を見やがった…。
「誰この人?」
ガラードが敵意剥き出しの目で俺を睨んだ。
「昔仕事でねぇ。ガラードは屋敷にお帰りぃ」
「…うん」
敵意は消え。感情を失った人形が如く来た道を戻った。
従属系のスキルをスターレン様が見逃した…?
疑問は残るが危険だな…この女。
「何をしたか知らんが近くに個室付きの店が在る。そこで仕事の話だ」
「なーんにもしてないよぉ。それより他に誰か居るのぉ?」
「俺も安全は確保する質でな。何時情婦に刺されてもいいように。
まあ気にするな。何も無ければ勝手に帰る」
「ふーん~」
鬱陶しい喋りだ。
予定していた五区内の静かな店で個室の一つに入った。
茶と軽食を頼み。運ばれてから話を切り出した。
「北東の依頼主には知り合いが混じってるとは聞いてたがまさかお前だったとは。お前も雇われた口か」
「どうかなぁ。そうかもねぇ」
鬱陶しいを通過して忌々しい。前とは明らかに違う。
丸で別人。
「で、城には入れそうなのか」
「ちょっと直ぐには難しそぉ。あの屋敷に居る人たち私の力受け付けなかったしぃ。あんたもね…」
昨日屋敷に居たのは認識されてないようだ。
「俺が知るか。スキルなら相性の問題だろ。高度な防御壁張ってる屋敷は幾らでも在る」
「そうかなぁ。そうかもぉ」
「お前と一緒に城へ入れと言われてる。報告が月末〆で時間も無い。どう動けばいい」
「せっかちな早漏さんは嫌われるよぉ~」
大袈裟な舌打ちで返した。
「無計画なら付き合い切れん。お前が無能な股緩で何も情報が取れなかった、と報告する迄」
「むぅ~」
少し感情が乱れた。
基本こいつは馬鹿な気がする。
「もう一度聞く。どうする積もりだ」
「弟君は使えなさそうだからぁ。ミーシャの今彼捕まえて操ろっかなぁ、て?」
ここは知らない振りが適当。
「ミーシャの彼氏?さっきのガラード…とか言う男か」
「何も知らないのねぇ。さっきのが弟君。彼氏君は三区の飲食店に居るわ。店に防御壁なんて無さげだからぁ」
「その店で捕まえるのか」
事前に情報を得たか誰かの心を読んだか。
「肌に触れれば確実だしぃ。ちょっと握手でもすればちょちょいよぉ」
接触系。若しくは接近系。スキル範囲は広くない。
「ふん。俺は連絡専門だ。この時間に出て来たって事は今から乗り込む積もりだな」
「一緒に行かない?あんたが裏切り者じゃないなら協力してくれるでしょぉ」
上目遣いで誘って来た。
さてどうするか。とは言え選択肢は一つ。
「行ってやってもいいが…。お前が単独だと証明しろ。
最大従属で背中を刺されたくないんでな」
「疑り深いなぁ。使えない道具並べても意味無いじゃん?
一人の方が動き易いしぃ」
まあ信じてみるか…。
不意に。
ルーミルの背後に妖艶な美女が音も無く現われた。
あーあ…。終わった。
「これ、俺の仕事なんですが」
「回り諄いのじゃ」
「へ?」
突然の声に振り返ったルーミルが首を掴まれ片手で持ち上げられた。
足をバタ付かせ。倒れそうになった椅子を俺が拾い二人から引き離す。
「あぐっ、がっ、な…」
「妾の目を見よ」
冷淡な微笑みと澄んだ声。
その声が届いたかルーミルは力無く垂れ自我を失った。
ガラードのような虚ろな瞳でレイル様を見詰めて。
「ふむ。此奴は一人じゃな。ミーシャの父と弟を食い物に潜った鼠。死ねばその記憶も周囲から消える」
それは安心。じゃない。
「ここで殺すと店を出る時面倒に」
「…此奴の荷物も回収させんとのぉ。このまま屋敷まで操る。出て来たら都外東の森に飛ばせ」
「承知」
物言わぬ人形と化したルーミルと店を出た。
その背を見送り後方のソプランに手を振る。
「終わりかよ」
「その様だな。東の森へ飛べと仰られた」
「うへぇ。同時に何人運べるんだ」
「自分含めて五人迄。それ以上だと片道になる」
「じゃあ俺も頼むわ」
「ああ…」
任務が半端に終わり、溜息しか出ない。
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人気が皆無の森の中。吹き通る風がかなり冷たい。
南寄りの国だろうと冬は冬。
そんな季節の中でレイル様はルーミルを裸に剥いて身体検査を始めた。
「なあレイル。スターレンからは殺さなくていいって言われてんだけど?」
隣のソプランが一応の抗議。
「妾がやったと言えば良いじゃろ」
「まあ…いっか」
諦めた。
「レイル様。ローデンマンの後ろに居る女の情報。取れそうですか?」
ルーミルの額を鷲掴み。
「…女の姿は見えるが何も知らんの。天涯孤独の身。
その孤独に付け入られた哀れな情婦。しかし…此奴は割りに楽しんでおったようじゃ」
娼館によく居る孤独女だった。
そしてルーミルの胸を手刀で一突き。
返り血が一滴も出ない早業で何やら黄色の小粒石を取り出した。
「ほぉ…。彼奴じゃったか」
鼻で笑い納得していた。
「何だそれ」
「西大陸の亜種魔族の体組織結晶じゃな。こんな低俗な物を埋められては壊れるのも無理は無い」
人間風情には過ぎた物。だったらしい。
結晶石を暫く眺め。それが終わると握り潰した。
「世界の何処か。同類を埋められた人間が数人死んだ」
「「死んだ!?」」
「心臓付近で破裂させたからのぉ。生き残っていたら既に人外じゃて」
恐怖より驚きが勝る。遠隔で同種道具を破壊する何て。
この方には雑作も無いか。
「そう言えば昨日。スターレン様はこの女のスキルを見逃した気がするんですが」
「スターレンのは接触特化型じゃからの。人体とは切り離された所持品は見え難い」
「あぁ…」
疑問は直ぐに解けた。
「普段のあいつは偶に抜ける。誰でもそうだろ」
「確かに」
立ち尽くすルーミルに服を着せ所持品を検めた。
衣装鞄には衣類と化粧品。身分を示す物は無し。
小型の腰巻きには懸念していた通信具などは無く。その代わりに強制避妊薬と催淫薬の小瓶が出た。
レイル様が瓶を手に。
「従属と合わせて手駒を増やす積もりじゃったな。使われる前に阻止出来て良かったじゃろ。妾に感謝せよ」
「「有り難う御座います!」」
俺たちが見逃して数日経っていたら…。
結果は想像に易い。
「しかしどうするかのぉ。何人もの男を好きで咥えた女なぞ眷属にしとうない。じゃが結石を抜いた事で埋められてからの記憶が消えた」
「まだこいつ生きてんの?」
「生きてはおる。不死でもない普通の人間じゃ。従属を強く受けた移民団員の記憶からも消えたじゃろうし。生かすも殺すも半端じゃの」
二人の遣り取りを聞き。一つの案が浮かんだ。
「ペルエイガの寺院に預けましょう。前回多額の寄付をしましたし。この女の地元でもある。
敵に見付かれば消去される可能性大ですが。計画失敗を知ればまた何か動き出す」
「まあまあの案じゃな」
「トロイヤに任せるってあいつが言ったんだ。それでいいと思うぜ」
「なら妾はホテルに戻る」
ふわりと姿が消えた。真に神出鬼没な御方だ。
「俺は走って帰るぜ。お前はハイネに直接。あいつ連れてくから今晩外で飲もうや」
「ああ、それで」
俺には帰るべき場所が在る。
この女は過去の記憶を失った。
敵地の真ん中に放り込む形に若干の心苦しさを覚えた。
が女は逞しい生き物。存外上手く生き長らえるのではと思い直し転移した。
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ロルーゼ王国。王都ベルエイガ。カモレア家離れ。
小さくない書庫。
その多くの蔵書が集められた部屋の片隅で。
ローデンマンは作家名:ローゼルマン・カモレアとして執筆活動に勤しんでいた。
執筆は唯一の彼の趣味。過去に数作出してみたものの無名として見向きもされなかった。
芸術の国ロルーゼ。彼は大きな願望を持ちこの国にやって来た。
多くを裏切り多くを泣かせた傲慢な男。そんな表向きの評価とは違い。彼の書く作品は何れも繊細。
隣国マッハリアの新王載冠式典を来月に控えた一月のある日。自身が認める最高傑作を遂ぞ書き上げた。
その直後。
書のインクが乾く迄の間。凝り固まった肩と腰を伸ばす為机を離れ本棚を眺め歩いていた。
突然左胸に走った激痛に蹲る。
心臓…。普通であれば心不全。しかし彼には思い当たる節が多過ぎた。
道具の、一つが壊された。それも遠隔で。
こんな芸当が出来る人物は唯一人。スターレン…
的外れでは無い答え。
伝えなければ…。本館に居る、あの方に。
刻まれるような痛みに声も出ず。
吐き出されるのは鉄の味。
口から溢れた赤い粘液は盛大に胸元と床を汚した。
回復の秘薬は隣の書斎。人払いをした為に日暮れ迄は従者も来ない。
元より邸内には人が極端に少なく。彼はそれを賄える人望も持たなかった。
全ての警備は離れの外。書庫には窓すら無い。
彼は夕食を抜かす事も多く。茶も好まない。
結局。彼の亡骸が従者に発見されたのは翌朝。
本館の主は見向きもせずに火葬へと回された。
裏切り者の末路。と誰かが噂した。
数年後。ローゼルマンの遺作はマニアの間で流行り。
目を付けた貴族たちが挙って書籍最高値を更新し続けた。
製書、印刷、複写技術向上と共に世界に名が広く。
彼を知る一部が口々に。
時代が違えば。人嫌いでなければ。
故国を裏切らなければ良かったのにと残念がった。
後に大ヒットした彼の最期の傑作『瓶の中の風』
物語は王道。
独裁的な女王に幽閉された姫君に恋心を抱いた王国騎士が自国と諸国で武勲を挙げ。その一陣の風を以て姫君の解放を為し得た。
結末は誰もが望み羨むハッピーエンド。
著者の現実の恋は実らなかった。
心底焦がれたリリーナ姫を救う為。フレゼリカ側に寝返るに至る。
地下施設の約二割を設計したのも彼。
その褒美としての解放。
真実を告げるべく赴いた彼女の屋敷。
そこで目にしたのは悲恋。
何も知らぬ彼女の隣に座っていたのは。
後から表の解放を手伝った親友のローレン。
愛が憎しみへと変わった瞬間だった。
けれど真実を知るのは彼一人。
そこから凡そ九年の後に悲劇を招いた最大要因である。
そしてもう一つの作品『新説・人体解剖図鑑』
それはローデンマンが地下施設で蓄えた知識を余す事無く秘密裏に書き起こした最初の書物。
因果が手伝いスターレンに渡ったその図鑑。
しかし、スターレンが著者ローゼルマンの正体に気付いたのは十年以上も後の事だと言う。
『瓶の中の風』を書いたのは、毒死させてしまったリリーナへの罪滅ぼしだったのかも知れない。
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