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第114話 カラードキャメオ迷宮01

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昼にお勧めの定食屋の2軒目。

ここでは鰹のスパイシー小麦揚げを頂いた。
そのスパイスを利かせたスープカレーに近いスープも南国らしいスッキリ汗ばむ刺激的な味わいでした。

外れが無いな。

「そういや料理の特許とかロイヤリティとかって他国だとどうなんだ?」
とソプランからの質問。
「良い質問です。結論から言うと縛れるのは国内だけ。人伝えで他国まで広まったら其れっ切り。少しでも手を加え品を替えアレンジすれば自由に商売出来るよ」

「ふーん」
「今国外に出たら使えるなって考えたりしただろ」

「し、してねえよ」
「私は嫌です。私に飽きたら捨てるのですか?」
「ひっどーい」
「考えてねえって!」


適当に寺院や教会を回り、港方面を練り歩いた。ロロシュ財団の事務所にも顔を出してご挨拶。

大歓迎を受けたが時間が無いのでと夕食はお断りした。
うーん残念だ。カラードを早めに攻略出来たら絶対に寄ろうと思う。

雑貨屋方面は帰りか出掛けですな。

カメノス財団事務所では医薬品を購入出来たらと思っていたが綺麗に完売御礼開店休業状態。カウンターで予約受付業務だけ稼働していた。

「大変申し訳ありませんスターレン様。南方の新迷宮が発見されてからと言うもの、常時品切れ状態が続いて居りまして。予約状況も全品数ヶ月待ちなのです」
カウンターテーブルに額をくっ付けながら、器用に喋るなぁって。
「止めて下さい。そんな事をされると俺が怒られます」
「普通に接客して下さい。逆に困ります」

久々に見たなこれ。

事務所を即時退散。
「お前らも有名になったなぁ」
「遂に海を渡ってしまいましたね」

「「人事だと思って」」

「悪名でないなら結構な事ではないですか。人の噂も何とやらとも申しますし」
「噂が途切れる前に際限なく上書きしてんのはお前らだ」
身の覚えがありすぎてもう解らんよ。


適当な硬パンとレタスを購入して15時過ぎに王宮へ戻り夕食準備前の厨房を借りて梅肉サンド作りに勤しんだ。

アローマにも救援を頼み、ソプランは選抜隊の武装一式の点検準備に行って貰った。

持参した梅干しは使い切りになったが、自宅でミランダとプリタが量産中。折を見て取りに帰れば良し。


蛇肉は休憩食と抗鬱作用を期待して突入組には全員食べて貰う。きっと効果はある筈。…多少は。

王宮料理長が興味を示す前に全ての作業を片付けた。
広めてしまったら貴重なお肉が奪われる。それだけは絶対に阻止したい。


アルカンレディア産の殆どの武装には聖属性と水属性が標準で備わっていた。流石は水竜様に喧嘩を売った古代人だけはある。選抜隊に配布する分までは無いがソプランとアローマの武装は新調した。

俺たちの完全武装とは比べてはいけないが並の騎士団より遙かに性能は上を行く。少なくとも俺たち4人とクワンが呪いを受ける事は無い。上位種とは戦ってみるまでは解りません。

後は…基本的な恐怖に打ち勝てるか。己との戦い。
それに尽きる。どれだけ装備を調えようとも一度芽生えた恐怖心は簡単には拭えない。

即死魔法もざらに飛んで来る。誰か一人でも恐慌状態に陥れば即時撤退。責めて俺たちだけは正常に居ないと脱出も困難だ。その責任は重い。

隊が分断された場合も難問だ。
古竜の泪は1つしか無い。誰が持つのか。架振を持つクワンの所に10人以上固まったらどうするか。

不安を募らせながら急造された野営エリアを2つ経てカラードキャメオの迷宮前まで来た。

入口洞窟から東が冒険者ギルド員が集う野営地。
西がペカトーレ軍の仮設野営地。他国の敷地で遣りたい放題。印象悪いぞお前ら。かなりの減点対象行為だ。
洞窟南側にサンタギーナ軍の仮設砦と野営地。当然設備も兵数も最も充実している。

王都から来たと言うので大注目を浴びた。
主に俺たちが。

見た事も無い武装をしてるんだから目立つ目立つ。

最初に声を掛けて来たのはやさぐれた冒険者たち。
ギルド組は今週アタックの筈だが…予定前日に切り上げて来た様子。
「お前が中央から来たって言う英雄様かよ。ケッ」

俺ではないので無視をした。

「お、おい!無視すんのかよ!」
俺を見ながら叫んでいるが人違いだ。と答えようとする前にソプランが蹴り飛ばして野営地手前まで転がした。
「汗臭え。人違いだ。失せろ」

「こ、この糞餓鬼ゃーーー」
と抜刀寸前で後ろから来た紳士風の男に手刀で落とされてしまった。もうちょいだったのに。

「済まないな。こいつの隊が壊滅して大半を失い気が立っていただけだ。気にしないで貰えると嬉しい」
「あんたがギルド隊のリーダーか。意外に元気そうに見えるぞ」

紳士は鼻で笑いながら。
「リーダーではないが似た様な立場だな。
私の隊は最後に来た組でな。遙々東大陸から潜りに来たのに…優先を決められて未だに入れてない」
東大陸の遠征組か。死霊系専門家の。
「丁度こいつの隊で前が空いた。が今週は明日一日しか無い。流石にそれでは飛び込めない。後二週間は待ち惚けだよ。スターレン殿」

「どうして俺の名を?」
「低級だが鑑定眼を持っていてね。名前程度なら人を見れば解る。紹介が遅れた。私はタツリケ・ノーノ。
ギークやデュルガの昔馴染みと言えば解り易いかな」

「あぁ貴方が。残念ですがデュルガとエドガントは前皇帝に操られてる時に死亡しました。俺たちと戦闘になって仕方なく」
「やはりか…。私も突然呪縛を解かれ。風の噂で聞き、残念には思っていたが。君たちとの戦いで散ったのか。
東で魔物に食い殺されるよりはマシ、と考えるべきかも知れないな」
何処か他人行儀で余り感情の起伏が見られない。

「悪く思わないでくれ。これでも悲しんでいる方なんだ。
君たちに別段恨みは無いが。長らく死霊系を相手にしているとね。心が擦り切れて死んでしまう。死、と言う物事自体に寛容になってしまう。そんな具合だ」
そうでなければやってられない。それだけ厳しい世界なんだな。

「ギークとデニスさんはタイラントの王都で元気にしてますよ。立ち寄る事があったらデニスさんの酒場を訪ねてみて下さい」

ソプランが加えた。
「ギークは城勤めで新兵の教官やってるよ。意外だろ」

伝えると少しだけ柔らかく笑った。
「それは意外だ。東にも飽きたし、何時か訪ねてみよう。
済まない。引き留めてしまったな。その様子だと来週潜るのかね」
「ですね」

「なら君たちの突入を数日見てからサンジナンテに向かうとしよう。これも何かの縁だ。中で解らない事があれば聞いてくれ。助言出来る事も有るかも知れない」
「それは助かります。じゃあそのお礼の前払いで。長年染み付いた呪いを解除してみましょうか?」

「…解除の道具を持っているのか。私たちの物は精神的な部分が強くて期待は薄いが。是非やってみて欲しい。
とその前に私の隊を集める。少しだけ待って貰えるか」
「どうぞ。今日は南の砦に入るだけなので。時間的には余裕です」

感謝の言葉の後で集められたのはタツリケさんを含めて10名。少数精鋭部隊か。この人数の方が動き易いとかもあるのかな。成り行きでこう成ったのかも知れないし。

聞くに聞けないから参考程度に留めよう。

キラリと一光。結果は…。

「おぉ…。かなり気分が軽くなった。長年の肩凝りが取り去られた気分だ。素晴らしい道具だな、それは」
肩凝りっすか。
「女神様の彫像に不思議な浄化作用が宿りまして」

ほうほうと隊員の皆さんと握手を交して喜び合っていると周囲から羨望の眼差しが。

「スタン。表でやっちゃ駄目でしょ。ほら、ペカトーレの兵士さんたちも凝視してるよ」
油断した!お試し感覚で。
「やっちゃった」

西の野営地からも気付いた数人が走って来てしまった。

そこで突然モメットが大きな立て札を持ち出して。
「皆さーん。タダでスターレン様の恩恵を受けようだなんて虫が良すぎぃ。お一人様共通金貨二十枚!
そこの人たちは偶然お知り合いだったから実現出来たのよぉ。効果不問で前払い!誤魔化したりしたら…私がお仕置きしちゃうから♡」
根っからの商売人で仕切り屋だな。商魂逞しい。
俺の名前然り気無くバラしてるし。

ペカトーレの人員が引き返して行った。

冒険者のテントからも小袋を手にワラワラと。あれよあれよと群がって寄って集って。

始まりましたよ、呪いの解除会。

商売に繋げて済みません。
これ俺の所為じゃないですから。
「ふんふん。自分から遣ってはいけませんよ。ですね」
肝に銘じます!

この場限りの大盤振る舞いだ。やってしまおう。


数集団の前を回り、冒険者ギルド員の部が終わった。

真っ青な顔で涎を垂れていた人々が元の血色と意識を取り戻し、一通り何かと感謝の言葉を叫んだかと思えば直ぐに仲間と各テントを撤収し始めた。

「あんなの俺たちには無理だ!」
「殺された奴らも敵に寝返って中は酷い有様だ!」
「弔いも諦める!」
お家に帰るんだと叫び合っていた。

こっちも段々と入りたくなくなって来たよ…。帰りたい。

タツリケさんが冷静に。
「経験の乏しい素人が下手に手を出すからこうなる」
俺たちも素人なんですが?いっそ一緒に…は無理か。
サンタギーナの兵士が居る時点で。

財宝の振り分けも難しくなるしなぁ。


ペカトーレの反応を見ようとその場で待機していると。先程の兵士が上官を連れて戻って来た。

俺の前に行儀良く膝を落として。
「スターレン様とお見受けします。私はキタン大統領付直下第五師団副団長のニーメン・ツァンメンと申します」
美味しそうな名前だな。ピリ辛担々麺食べたい。

「初めまして。副団長と言うからには団長さんは?」
「お初に。恥ずかしながら団長のマホロバは先週の突入時に呪詛を受け昏倒中にあります。代わりに私が。

スターレン様の施しを受けたく思う人員の総数が三百を越えており動かし辛く。手持ちの路銀では必要額には到底足りません。

何卒譲歩と温情を頂けないかと伺いました」
まあまあ丁寧な対応ではあるな。でもでも…。

「無礼者が!!」
やっぱり怒るよな。サンタギーナ王宮騎士団近衛隊長で今回の見届け人のニーナ・ドロンペソさんが激怒した。
「領土侵害に加える越権行為。現在は我が国の国賓であらせられるスターレン様に温情を求めるなど。許される筈が無いであろう!こちらの退去勧告を一切無視して居直った挙句にこの腑抜け共め!恥を知れ!!」

「そうだよ。ニーメンさんに言っても仕方ないけど。サンタギーナの次には貴国に伺おうと思ってたのに」
「印象最悪」とフィーネさんが言い捨てた。

「言葉も無く…。我が大統領令でなければ我らもこの様な愚行を冒す事由は有り得ません」
TOPの指示か。益々印象悪いぞ。

彫像を片手に思案中。
「モメットが金20なんて吹っ掛けるからだぞ。冒険者からはキッチリ取っちゃったし…」
「商売は商売ですぅ。妥協をすれば損ばっかり。混乱を手っ取り早く諫めるのに丁度良い額かなぁって出しちゃいました。テヘッ♡」テヘッじゃねえよ。


譲歩案を出そうとした矢先。手元の彫像がロストした。

タツリケさんが伸した冒険者の荒くれ者が起き抜けに彫像を俺から奪って西に走り出した。

「ちょ…」

「ペカトーレの兵士さんよぉ。道具は手に入れた。俺様が使うからその金全部寄越せ…」
男の言葉はそれ以上続かなかった。

断ち切ったのはニーメンさんの抜剣術。綺麗な納剣と共に男の身体が崩れた。

拾い上げた彫像を布で拭き上げながら俺へと返却。

「領土侵害序でに塵を増やしてしまいましたが。どうかご容赦を」

「中々見事な抜剣術でした。それに免じて全額費用はキタン大統領に付けで良いよ。踏み倒すなら貴国には未来永劫行かないって伝えてくれる?」
「志かと心得ました。必ず伝えます」

元から彫像は俺とフィーネ以外には使えないけど。


崩れた塵処理はタツリケさんにお任せし。その他大勢で西の野営地へ押し掛けた。

率先してモメットが救護者の点呼を始めた。
「あ、モメットさんそれ私の仕事」
「いいのいいの。お二人はゆっくりしててぇ~」
ちょっとキモいが動きは優秀。しっかりテントの中まで押し入って確認を怠らない。

新時代の人でなけれ今直ぐにでも雇いたい。本人が良ければ南西大陸専任者としてなら考えなくもない。


点呼も終わり数発で終了。
「俺たちも迷宮探索に集中したいんで。ここでの交渉や干渉は禁じます」
「何か有益な道具でも有るなら貸し付けは遠慮無く受け入れますよー」フィーネさんがちゃっかりと。

それならばとニーメンさんが差し出してくれたのは、真っ白な鉱物で出来た数珠。
「此度のお礼の一環として。是非こちらをお持ち下さい。
鑑定して頂ければお解りですが。これは隊のリーダーが持っていれば外因に因る隊員の分散が回避出来る魔道具。
常時発動で最大五十名まで確保可能なお守りです」
それはいい。丁度欲しいと思ってた機能だ。

「遠慮無く。マホロバさんはいいの?」

重たい頭を振り、半身を起こしたマホロバ。
「貴方様がスターレン様ですか…。噂通りにお若い」
見た目だけね。
「お恥ずかしい。元々ウチらも納得為かねる派兵で。無茶振りにも程があるって反対したのに…もう嫌嫌。どうぞどうぞお持ち下さい。もうクビでもいいや」
言動が子供っぽい。

「大変ですね」
「それはもう…。キタン様には付き合い切れませんよ。折角共和国化して選挙までしたのに過去の栄光に縋り付いて掌返しで支持率も急落下。正直会わなくてもどうでもいいと思いますよ」
「マホロバ様。…喋り過ぎです。お疲れなら就寝を」

「そうするよー」

「参考程度に留めます。統領には興味無くても共和国には大変興味があるんで」

「そうだ。迷宮一層の奥地はレイスの巣窟だったね。
更に奥にデッドリーがチラリと見えたんで。気を付けて」
「うわぁ…やっぱ居るんだ」
隣のソプランも頭掻き毟ってる。

「デッドリー?」
「即死魔法バンバン打って来るレイス系の強敵」
「…へ、へぇ…」

イビルアイみたく鈍い動きじゃない。素早く壁や人体まで擦り抜けてしまう難敵だ。

「ウチらで持って行った守りの護符も一瞬で消し飛んだし。暫くは入れない。じゃなくて二度と御免だよ」


良い物は借りられたが気持ちも足取りも重く南の砦に向かった。



サンジナンテの女神教と水竜教の教会やら礼拝堂やらで即死防止の護符は潤沢に頂いて来たので俺たち以外に均等に振り分けた。

1人頭各5枚程度。それでどれだけ持つのか…不安だ。

突入前日にタツリケさんらを砦に招いて全体会議。
貴重な情報を拝聴した。

「デッドリーか…それは厳しいな。護符も過信してはいけない。一撃で数枚吹き飛ぶ事も多々ある。
こちらでも生還者から集めた情報に依れば。東で主流のスケルトンやガーゴイルは一層には居ない様子だ。略無限湧きするそれらに比べれば、まだ序盤のグール等のゾンビ系は可愛い方だ。首を落とせば大人しくなる」
ゾンビが可愛い…とは。
「な、成程…」
結局俺とフィーネが前衛張るしかないのか。

「一層でデッドリーまで出るなら下層は更に酷いだろう。
引き返す術を持つなら。初回は確認だけで戻った方が無難だ。冷静なスターレン殿ならそうするだろうが」
「そうさせて貰います。分散回避の道具はペカトーレの団長さんから借りられたんで。強引に転移可能な道具も持ってます」

「そうか。羨ましいな。兎に角冷静に居る事を心懸けろ。
リーダーは勿論、他の隊員も。どれ程悍ましい物を見ても心を強く持て。たった一人の恐怖心でもそれは簡単に伝播して直ぐに瓦解する。

昨日の礼として周囲の恐慌状態を抑える道具を貸し出そう。それも抑えるだけで過信は禁物だ」

「助かります」
タツリケさんに借りられた物は無字で紅白色の小さなタペストリーだった。リーダーが身に着ければ隊員はそれを見て乱れた精神を整えられると言う代物。
兵士を鼓舞する軍旗みたいなもんか。

リーダーに充分なカリスマがあれば道具も要らないがとも言っていた。

俺には無いから別の道具が欲しいっす。
分散防止と恐慌抑制。確かに集団戦では重宝するアイテムだ。今回は借用品だから自分用が是非とも欲しい。

出るといいなぁ。

「カリスマかぁ。俺には全く無いからなぁ」
「…スタン。それ本気で言ってる?」
フィーネも周囲も俺を不思議そうな目で見ていた。
何故?

タツリケさんが小さく笑った。
「本人に自覚が無いのは寧ろ僥倖と言える、のかも知れないな」
意味が解りません。


昼食代わりに梅肉サンドを議場全員に振舞い、午後からは内々の打ち合わせ。

集められた情報をマップに起し壁に貼り出してそれを見ながら。

「1層終盤までの正規ルートは以上です。サンタギーナの方々は全員後方支援でお願いします。
俺とフィーネが前衛。従者のソプランとアローマが中衛。
鳩は遊撃ですが何を見ても直ぐに記憶から消して。前方には矢を射らない事を心懸けて下さいね」

「ハッ!」俺は何時から上官になったの?

「レイス系は壁天井地面、何処からでも湧いて来ますが決して取り乱さずに後ろ向きの円弧陣形を乱さない様に」

剣魚角の矢筒を後方部隊に配布。
「標準で聖属性が付与されている貴重品です。潤沢に持ってはいますが無駄撃ちは避けて欲しいです。レイスに横湧きされたら手で持って短槍代わりに使っても良いですね」

後方部隊がおぉおぉ言いながら受け取っていた。ちょっと面白い。

「ソプランたちにも後で渡す。…で」
壁のマップを見ながら。
「デッドリーは俺たちで対処するしかないか」
「でしょうねぇ」

デッドリーを越えた先。索敵や双眼鏡では全く見えない下層の存在も気になる。

タツリケさんの助言通りに初回は撤退しよう。

「欲張っちゃいけないけど。出来れば初日で下層に降りたいです。初回は脱出しますが俺の転移は迷宮到達点から再開可能ですのでご安心を。内緒ですよ。
目標は高く、週内の踏破を目指します。それ位の気構えで宜しくお願いします!」

「はい!」士気は充分みたいなだな。




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軽めの朝食後に突入隊全員に海蛇生血入りの檸檬水水筒を配布。

「中では何が起きるか解りません。今配布した水筒には一時的に気分を高揚してくれる秘薬に似た物が入ってます。
生者から魔力を吸い取るドレイン攻撃を受けた時。怖くてどうしようもない時に飲んで下さい。

以上。サンタギーナ軍合同、カラードキャメオ迷宮の攻略戦を開始します!」

返る威勢の良い声を聞きながら俺たちは仄暗い迷宮へと足を踏み入れた。

偉そうに宣言した俺だったが…。

入って数分で水筒ガブ飲み。
怖い、なんてもんじゃねえ!

漂う腐敗臭と色彩形状豊かなZの方々がフィーネのライトと後衛のニーナさんが持つカンテラ目指して我先にと群がる群がる。

地を這い、折れてる脚で宙を飛び。垂れ下がった腕を光に伸ばして襲い来た。

「口を閉じろ!叫んでも状況は変わらない。多少臭くても我慢!叫んだら負けだと思え」

反応が鈍い。

「嘗ての仲間たちを哀れむなら正しく冥土に送り届けてやれ!この世との未練を断ち切ってやるのも弔いだ!」

酸欠必至で遺体に着火は不能。頭だけを落として放置するしかない。

前に出ようとしたフィーネの肩に手を置き。
「フィーネは起点で大事な光源だ。前面は俺とクワンに任せろ。鞭もアンデッドには利かない。狭い通路では円月も不向き。槍を振るのは接近された時のみだ」
「うん。ごめん」

「ソプラン、アローマ。中距離を保って側面集中。後衛隊も触れられる前に斬り捨てろ。弓矢は出来る限り温存。
クワンは中段から上方前面を頼む」

「おお。食欲が落ちるぜ」
「はい。今夜は軽めに済ませましょう」
「クワッ!」

俺自身も抑制の起点になっているので突出は出来ない。
クワンだけが頼りだ。

聖属性オンリーのソラリマを装備した赤マントのクワンが飛び回る。

煉獄剣の2番スロットに炎の魔石をセットし、群がるグール集団を一掃。斬った傍から炭化して霧散して行った。

臭いまで消える…。これはいい!

フィーネの背中に回りマップと地形を片眼鏡で交互に見比べて確認。

「ニーナさん。暴れ足りないだろうが君の出番はここじゃない。君も大事な光源だ。兵士諸君。お転婆な姫君を守ると思って気合いを入れ直せ!」

「なっ…」
「おおーー!!」

不満顔のフィーネに進路を指示して隊を前進させた。


未完のマップ中間点まで来た所で臨時の休憩所を設営。
煉獄剣で周囲を焼き切り、各自に剣魚矢を撃たせて天井や壁や地面に簡易封印を施した。

片隅に個室トワレも設置して。

「突き刺した矢も落とした矢も拾わなくていいです。後発部隊の手助けにもなり。今後の不要な氾濫防止にもなりますので」

ニーナさんが申し訳無さそうに。
「何から何まで。忝い」お侍さんですか。

「いえいえ。一度やると言ったらとことんやりますよ」
「何かと限度が解らない夫婦なので」

「…そうですか。しかし、先程の姫呼ばわりは分不相応なお言葉。出来れば訂正して頂きたいと愚考します」
堅物だなぁ。
「そんなの報告しなきゃいいじゃん。本物のお姫様を姫って呼んで何が悪いの?」

「え?」

「俺に隠し事する方が問題だと思うけど?」
「お国の評価を減点しますよー」
「はぁ…。家名まで替えているのに。何もかもお見通しとは恐れ入りました。ですがこの事は他の者には内密に。
次期女王の座を賭けた得点稼ぎ故。反意を示す物ではありません」

「得点稼ぎにこんな死地に飛び込むなんて正気ですか」
「守り切れる保証も無いのに。責任を取らされるのは私たちですよ」

「ご心配には及びません。私の代わりは幾人も居ります。他と差を付ける為には危険も冒さねば成らぬのです。
父上ともしっかりと誓約を交わして居ります故に」
並々ならぬ決意の瞳で拳を小さく握っていた。

次世代の女王様は随分と武闘派な人になりそうだ。




---------------

各自の休憩と水分補給を終えてリスタート。

三叉路の右手の通路に突入した。先の出来事。

先頭を歩くフィーネが叫ぶ。
「スタン!前方の地面が隆起してる。あれは…」

地面だと思われた物は少し違った。そこの部分だけ紫に変色している、グールの集合体だった。

そそり立ったのはアンマイヤ。肉片や武装を寄せ集めた亡骸の成れの果て。最早何処が頭で手足なのかも不明で数点起立をしていた。

接近される前に討伐した方がいい。だがクワンの一点突破では急所を突き切るのは困難に思われた。

俺もフィーネも出られない。

一瞬の遅れは命取り。一つの決断に至り袋から一振りの長剣を地面に突き立てた。

「ニーナ!カンテラを隣に渡してこの剣を取れ」
「は、はい!」

彼女が剣の柄に手を掛けた瞬間。歪な形をしていた刀身が直線に整い、淡白い輝きを放った。

正解だ。

「君には古代人の血が流れている。それこそが証明。その剣は神をも穿つが為に造り出された古代の剣。あんな雑魚に敗北など有り得ない。
俺たちを信じ、先祖の血脈を信じ、己を信じろ!」

ニーナが剣を両手に構え目を閉じた。
「濁流の如き力を感じます。そのお話の続きは後程に。
冥府に行き遅れた輩たちよ。今、送り届けよう」

彼女が走り出したと同時に。
「クワン!側面攻撃を退けニーナの道をこじ開けろ」
「クワッ!」

「総員ニーナの後に続け!あの後ろにはレイスが居る。気を抜く事は許さない!!」

呼応を聞き届けて俺たちも走り出した。


勝負を決めたのはニーナの一閃。飛び上がりの上段からの一太刀で刀身数倍はあったアンマイヤが2つに割れた。

その身の中心部で輝く漆黒の魔石諸共。


魔石を回収して煉獄剣で後処理をした。

納刀後に足元に転がった血の色を称えた宝石を拾い上げた。

名前:祈りの血石
性能:所有者を起点に半径500m内の即死系攻撃
   魔法・魔道具の発動を完全無効化する
特徴:即死で散った者たちの祈りが込められた石

「良し!これで即死攻撃は無効化出来る。だがデッドリーは即死魔法以外も油断は出来ない」

もう一つアイテムを拾ったニーナが。
「これは何でしょう」

「それは君の物だ。一応見せて貰ってもいいかい?」
「今回出た物はスターレン様の物と決まっております。どうぞ気にせずお納め下さい」

後で欲しいと言われたら考えようか。

それは銀板のレリーフ。文字も無く茨のような紋様が刻まれていた。

名前:亡者の十戒
性能:所有者の周囲1km内に居る全死霊系の魔物の
   実力値を3割低減する
特徴:彷徨い続ける哀れな死者たちの魂を戒め鎮め給え

「これもいいな。交渉は後日。今週は俺が預かる」

広い空間に出て一呼吸。
「後衛部隊はニーナを囲んで円展開。打ち合わせ通りに前には撃つな。ソプラン、アローマはその前方を固めて。
フィーネ、ライトを俺に。クワンと一緒に好きな様に暴れてくれ」
「やっと私の出番ね」

フィーネとクワンの飛び出しを見届けて。
「足元にも注意。ニーナを起点に浮き出た醜い顔面を突き破れ。俺は中間で走り回る」

と唱えてる間に周囲はモノホンの幽霊たちで溢れ返った。

口から出掛けた悲鳴を抑え込む。リーダーが怯えてどうすんだ!

「配布した半数まで打ち捲れ!」

烏合無象の半透明な浮遊物体。物体なのかも疑わしい。
しかしここが迷宮で相手が魔物である限り斬れぬ者など無いのも事実。

下手クソな矢を放ち、避けた所を煉獄剣で切り裂いた。

霧散して行くレイスたち。小さな魔石は後回しにして斬って斬って斬り捲った。

あんまし肉眼で視認しないように。

高低混じり合う断末魔はお化け屋敷のBGM。俺は今BGMをシャッフルするミキサー。格好良いDJではない。



一通り倒し切れた所で満を持して登場したデッドリーは。
フィーネとクワンに胸と頭を同時に貫かれ、出落ちで消え去った。

他のレイスとは違い。淡く輝いていたのに感想を述べる間も無く散った。

精神的な疲労は肉体にも現われる物で。波状攻撃を潜り抜けた時にはクワン以外全員肩で息をしていた。

鳥類には人様の魂なんぞ無関係。なの?


一息付けた。のも束の間。1人の兵士が横道に現われた煌びやかな宝箱に誘われた。
「た…宝箱…」

即座にソプランが片足を掴んで匹倒した。
「死霊系の迷宮産の宝箱は全部罠だ馬鹿野郎!冒険者の基本中の基本だろうが」
そうだったんですか…。有り難うソプラン。

もっとギルドの手引き書を読まねばならぬ。


当然だと言う顔を作り、戻って来たフィーネを出迎えると彼女は手に黒ずみ薄汚れた布切れを持っていた。
「これデッドリーから出た物だけど…汚い!」
と速攻でリバイブとクリアを掛けていた。

「お!中々いいじゃない」
真っ白に洗浄された布状の物を双眼鏡で眺め、ライトの光に空かして仰いで振った。

手渡された白い布切れ。

名前:羨望のパレオ
性能:着用者の魅力値とカリスマ性を爆上げする
   (但し着用者の素養に起因する)
   死霊系特化
   全属性攻撃回避
   物理・魔法防御力:+2000
特徴:男女問わず何処に巻いても良い

「取り敢えずスタンが首に巻く?寧ろ巻きなさい」
何故命令系?

クソ暑い最中で素直に巻き巻きしながら。
「どっちかと言うとこれ、ニーナの方が似合うんじゃ?」
「まだこの先で出るかも知れないじゃん。出たら人にあげればいいのよ。私の戦利品だし」
さいですか。

「何か変わった?」と周囲の人々に聞いてみたが首を捻るばかりで反応が今一だった。

試しに腰ベルトに括り付けた借り物の紅白布を外してみた所。皆から拍手を浴びた。

「ちょっとだけ格好良く見える。ような気がする」
ソプランとアローマにも。
「いいんじゃねえか。王様度が上がった。ような気がする」
「大変お似合いですよ。一段と凜々しく見えます」
アローマは高評価。やったぜ。

ニーナにも。
「何処かの国の王子様みたいに見えます。中央の国の王子様なのですが」元だってば。

まあいいかとニーナに紅白布を又貸しした。
「前と後が離れた時は君に後ろの指示を任せる」
「心得ました」

爆上げって何だろうと思いつつ。ライトを持ち上げて周囲を見渡すと奥に下へと続く洞穴が見えた。

「冗談は程々に。下を少し確認したら今日は戻ります」

緩んだ顔触れが引き締まるの見てゆっくりと降りた。

抜け切る途中に開けた場所が在り、剣魚の矢を各所に突き立ててセーフティーエリアを構築。

「万が一の時はここに逃げ込んで救助を待って下さいね」


出入り口付近は大概敵は居ない。と言う勝手な予想はあっさりと覆され。

出だしからデッドリーハウスでした!

「弓矢残存2割まで打ちっ放し!」
穴を背に後衛を前面に出し矢を放出。

フィーネとクワンに側面展開させ、自分とソプランで身を屈めながら前に出た。

打ち方が終わった段階で総員前進。

周辺の安全を確保してやっとの休憩。

周囲に散らばる魔石と黒い布。デッドリーは特化装備に量産者(機織り器)だったのか…。

フィーネが洗浄中に俺は白紙を地面に広げ、見える範囲でマッピング。

入口穴を起点に小空間。奥に続くのは3つのトンネル。

真ん中と右手の先は片眼鏡で覗くとライトの光が乱反射して陽炎みたいに揺らめいて見えた。

「明日は左からだな」
ソプランが背後で。
「その片眼鏡で見えるのか?」
見たそうにしていたので渡してみると。
「俺には違いが解らねえ」

「多分俺のスキルの重ね掛けで見えるだけだよ。探し物とか行くべき場所とかが自然にね。それ以外だと霞んで見えたりする」
「便利だなぁ、鑑定スキル」
そう言えば開眼のスカーフ2人に使わせてないな。

帰ったら試してみるか。


敵の接近は無い。静かなもんだと振り返るとフィーネさんがホクホク顔。
「沢山出たわ。これなら私のあの時用の服が作れそう。シュルツにお願いしなきゃ」
一々裸にならなきゃいけない竜人化用にか。
欲しいだろうなぁ。

俺の霊廟と違って部位装備が不可能だもん。


分配と配分は後で要相談として。

「戻る前に。左手の通路の先の状況を見てからにします。
やけに静かなのが気になるんで」

異議無しで今度は固まって移動を開始。

通路を抜けた先の空間で見えた物は…。

大小様々な、鎌。空中を漂う死神の鎌だった。

「やっば…」
誰の悲鳴よりも早く全員を捕縛して飛んだ。


迷宮入口に戻り、モメットたちと合流して砦に帰還した。

休憩を取りながら早速マップを書き込みながらタツリケ隊を招集した。

「二層目のデッドリーの次に、デスサイズが…」
「ええ。宙に浮く鎌なんてそれしか無いですよね。一瞬見えた限り百以上は飛び交ってました」

「逃げたのは好判断だな。東でも最高難度の迷宮でしか見た事がない。あれは本体自体が即死攻撃の塊だ」
「それならまだ1層のアンマイヤから祈りの血石が出たんで戦えますね」
血石をタツリケさんに渡して見て貰った。

彼も自前の鑑定眼鏡を取り出してスキルの重ね掛けをしていた。

その鑑定も終わり。
「違うな。これは確かに自分の身から離れている敵の即死攻撃を無効化出来る。しかしデスサイズは刃に致死の猛毒が塗られている様な物で、掠り傷一つ負わされただけであの世に驀地。この道具では内部破壊は防げない」

何…ですって…。

俺たち全員言葉を失った。

「対処は至極簡単だ。敵の斬撃速度を上回る速さで刀身部を木っ端に破壊し尽くせば済む。もっと大きな問題はデスサイズの次だ」

「次…?」

「鎌の次は眠れる魔剣の成れの果て。エクスキューショナーが居るだろう」
「…」

「意の通り。魂自体を喰らい尽くす代物だ。見た目で騙されてはいけない。ボロに見えようが亀裂が入っていようが関係無い。同等以上の魔装武具か、それこそ聖剣でなければダメージが一切入らない。

奴は出会ったら最後。何処に転移しようと転移先まで追って来る。迷宮の壁を破ってでもな。

私たちが出会したのは低位のエクセスルーズ。魔剣の失敗作だったからまだ助かったがね」

「誰か実際に戦った事があるんですか?」

「ここでは…」
ニーナたちの方を見詰めていた。
「国の兵士諸君の前では話せない。最低限ギルドに登録していないとな」

聖剣の秘密。
ギルドに登録しているかどうかも関係するのか。

「これ以上は聞かない事にします。大変勉強になりました。
その3種はその場で倒し切ります。魔装の類は幾つか持ってますんでそいつで叩きます」

「頑張ってくれ。自分たちで対処するには東に預けた武装を取りに戻らねばならない。鎌や魔剣は一度倒せば二度と再発はしない。唯一無二だからな」
それだけでも有り難い。

その後も弱点を聞いてみたが、全部ぶっ壊せとしか聞けなかった。

壊すのは得意だから大丈夫!
問題は後衛の防衛だけか。
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