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第87話 合同婚礼式
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フィーネさんの。
「まだ嫌だって言ったのにぃ」
「御免なさい。自分ではどうしようも無くて」
苦情から始まった朝。
いつも以上に気合いを入れてトレーニング。
ロープでルームランナーを拵えて兎に角我武者羅に走り捲った。夫婦共々。
クワンは首輪を外した状態で大空を飛び回ったそうだ。
「…ハァ…ハァ。こ、これいいな。今後はこれで、持久力も鍛えて、行こう」
「ゼェ…、全力で。走り続ける、のも。悪く、ないね」
気持ちの良い汗をお風呂で流し、昨晩の豚汁の残りと普通の焼き魚と目玉焼きパンと牛乳で朝食。
バランスは宜しくなくても腹は大いに満たされた。
蛇肉バーガーは昼から皆で楽しもうと。
アローマと共同で蛇肉を作成中。
「トモラ君の離乳食って始めるのって今位だっけ」
「大体生後半年位からだから丁度いい頃合いだね」
「そうですね」
「レーラさんもチャレンジャーだな。行き成り固形物行くなんて」
「ほんの少しだけあげたくなっちゃったんだよ。それ位鰻が美味しかったから」
「その様な事があったのですね」
「欠片を少しだけね。あれは蜂蜜使ってたから止めたけど」
「成程」
手元の蛇肉を見詰めた。
「有り得んな」
「幾ら何でも早いよ」
「責任取れませんからね」
「今度は事前に注意しよう」
「「そうしましょう」」
アローマに尋ねた。
「シュルツは何やってるの?」
「昨日から工房に籠りきりだそうです。贈呈品と言うよりお二人への鞄作りに没頭しているらしく」
「え?もう着手してるのか」
「慌てなくてもいいのに」
シュルツに通話。
「あの蛇肉がさ。鰻並みに美味しくて、ど」
「今直ぐ参ります!」
「早いな」
「私も見習わないと」
「迎えに行って参ります」
侍女長さんから引き渡されたシュルツを拾ってアローマが戻って来た。
ダイニングに座らせて牛乳と蛇肉バーガーを並べた。
「今日の式にも差し入れるけど。事前に試食してみて」
「鰻と同じで疲れが吹き飛ぶよ」
「はい!頂きます」
モグモグ…からの目を見開く。
「鰻よりも脂っこくなくてあっさりしているのに濃厚。醤油やタルタルともピッタリです。
飲み込んだ瞬間から疲れが消えて行くようです!」
「やっぱり無理してた?」
「無理は良くないよ」
「無理はしていません。楽しいですし、もう少しで完成しそうな感じがするので。
昨夜も徹夜をしようとしましたが侍女長さんに連れ戻されて寝室に閉じ込められましたから」
「徹夜はいかんな。お肌に悪いし」
「ちゃんと寝ないと大きくなれないぞ」
「そう言われましても。スターレン様の灰色の鞄は…公務や正装には似合いませんもの。何とか同等の物をサーペントの皮製で持って行って頂かないと」
「「……」」
やっぱ格好悪かったんや!!
「それは済まなかった」
「誰も突っ込まなかったからね」
「スターレン様の鞄が収納袋である事は周知されておりますので。多少変でも誰も何も言えずに」
「新作完成したら灰色は陛下に返却しよう!」
是非ともお願いとシュルツを撫で撫でして褒め称えた。
「明日の午前中には完成します。それまでお待ちを」
「待ってる待ってる。夕方までは余裕あるから」
「慌てなくてもいいのよ」
「はい!」
時刻は10時手前。
「まだ時間あるけど。そろそろ着替えて準備する?」
「うーん。昨日買った武器も試したい気もする…には少し半端な時間だしなぁ」
俺も弓の練習したいな。
アローマも試したそうにしてるし…。
「私もお髭で防御壁作りたいです!」
これもシュルツの成長に繋がる事だし。
うーんと4人で首を捻っていると。
軽いノックをしてソプランが入って来た。
「おーい。昨日の要請書貰って来たぞ」
解除要請書を確認後。
「今昨日買った武器の試しをしようかって話になってるんだけど。どうする?」
「シュルツもか?」
「はい!」
「いやぁ…。この面子だと。遣り出したら止まらんだろ。
汗塗れで行きたくねえし」
確かに!
妙に納得してそれぞれ準備に入った。
結局ソプランが正しく、準備をして本棟に集合した頃には11時過ぎ。欲張っちゃいけないぜ。
出発まで食堂でお茶をして待機していると。
ロロシュ氏と堂々としたお忍びでメルシャン様も来た。
「あれ?メルシャン様も出席でした?」
「それは勿論。飽くまで個人としてですが。
数少ない友人の式ですから」
「そうっすかぁ」
「何か問題でも?」
「今日も希少な食材出すんで。また上から怒られないかなぁって」
「…今更ですわ」
そいつを言われちゃ何も返せん。
「ロロシュさんもお腹の具合は?」
「しっかりと空けてある。万端だ」
この食欲を見る限り、まだまだ死にそうにはない。
酒も普通に強いしなぁ。
「じゃあ早めに移動して向こうでゆっくりしますか」
「そうしましょう。私はメルシャン様の馬車に乗るわ。
シュルツは?」
「私もそちらに」
アローマにも目線を送ったが、涙目で拒否。そりゃそうか。
「カーネギとミランダさんは?」
「デートがてら先に歩いてった」
出席予定者が出揃ったので出発。
カメノス邸に着き、綺麗に修繕された中庭には仮の祭壇が設けられていた。
セルダさんが微妙かと思っていたが、どうやら水竜教式で行く様子。
順番で受付を済ませ…。
「幾ら包んだのだ?」ロロシュ氏に逆聞きされた。
「それ俺の方が聞きたいですよ。カエザール家には400でゴンザさんに200。今日は悩みましたが、どうせカメノスさんが拒否するんで。
形上で100ずつです。夫婦で折半ですが」
鼻で笑われた。
「どうせ拒否するか…。まあそれも良かろう。ミラージュとしては君の少し上で安心した」
絶対少しじゃないだろ。有り体にシュルツの贈呈品が一番高価なんだが。
しかし今日の蛇肉は鰻にそっくりとは言え、もう二度と出会えない。その価値は、正にうなぎ登りだ。
気になるのはフェンリル様は興味を示さなかった事。魔物のカテゴリーには興味が無いのかも知れない。
続々と来場者が集まり、レーラさんへの注意事項はフィーネが伝えてくれた。
心置きなく開催を待つ。
異教を含めた合同婚礼式は珍しい。第2別館へ向かう商団関係者も足を止めて中庭を見ていた。遠目には正副所長の晴れ姿を見届けようと研究員の皆さんの姿も。
2組の登場。ペルシェさんのドレスの丈が短めで、その歩調に合わせる形での行進。
誓いの儀式と柔らかいキス。
来場者も外周も子供たちも大きな拍手で祝福。
復路ではラベンダーの花片のシャワーが舞い飛んだ。
皆に祝われる本式は無事に終了。
終始モーラスとセルダさんがガチガチに緊張していて面白かった。
宴会場に場を移して贈呈品の贈与。そこではお話はなく渡すだけ。
やはりサーペントの蛇肉の説明には会場が沸いた。魔物肉だからか悲鳴もチラチラ。
鰻よりも美味しいですよと告げると歓声に切り替わった。
現金じゃのぉ。
各家の贈与が終わってからご挨拶、フリートーク、お色直しと続いた。
挨拶ではセルダさんが泣き出して大変だった。
「済みません。今日は泣かないって決めていたのに」
「キャライさんが泣いてないのに」
「泣き虫さんですねぇ」
「お恥ずかしい限りです。私もスターレン様と同じく焼き印を消して改信しました」
「そうだったんですね」
「私の信仰心は水竜様と共に、スターレン様に捧げ」
「それ重いっす。勘弁して下さい」
「それは口に出さずに居て下さい」
「も、申し訳ありません!つい嬉しくて」
「恥ずかしいので止めて下さいと言ったのに」
取り繕うキャライさんも大変だ。
相変わらず嘘が吐けない人だなぁ。
長くなりそうだったので次の組に譲った。
お色直し後に全員着席し直してのお食事タイム。
俺たちが何時も食事を持ち込む所為か、カメノス邸で用意された品目が少なめ。
誰もが初の蛇肉に戸惑い、恐る恐るナイフを通していた人たちも。一度口にした途端に悶絶していた。
鰻も初のメルシャン様も食べ比べて目を剥いていた。
余る想定で作って来たがあっと言う間に全員完食。
もっと無いの?の多くの目が突き刺さる。
山程在庫は抱えているが。
「あーもう。伝説級の希少品です。もっと味わって食べて下さいよ。
ペルシェさん。悪阻はまだ大丈夫ですか?」
「今ので消えてしまいました!全然平気です」
悪阻すら抑え込む蛇肉効果が凄まじいな。
「ペルシェさんの物だけ薄味で。それ以外の人は同じ味付けでいいですか?」
了承の大合唱。
「厨房借りて来まーす」
「これが一番人気になっちゃったね」
2人で焼き増し作業後に戻ると会場は酒宴に切り替わっていた。
扱いが酷い。
俺たちの外交官就任祝いが何処かへ消えてしまった。
………
主役たちがラフな衣装に着替えた後も酒宴は続く。
女性と男性で真っ二つに分かれ、隅っこ方面でロロシュ氏とカメノス氏との3人だけで小テーブルを囲んだ。
それは何時かの約束。
「俺の就任祝いは何処行ったんですか?」
「申し訳ないな。君があんな美食を出してしまうから吹き飛んでしまった」
俺の所為で済まされてしまった。
「うむ。あれは美味かった。二度と食えないのが残念だ」
「多分もう出会えませんし。居たとしても俺たち以外では討伐も難しいと思います。港で出現情報が出たら飛んで行くので連絡下さい」
「そうしよう」
カメノス氏が。
「持ち込んでくれたシャンパンで思い出したが。君から依頼された未熟性の林檎酒が出来た。試飲してみるか」
「それは是非」
カメノス氏が給仕を呼んでいる間に。
「また抜駆けか」ロロシュ氏が文句を。
「それは販売用じゃなくて数年後の東大陸で必要になる物なので色々な食材を熟成させるのが得意なカメノスさんに頼んだんです」
「その後に売りますがね」
その正直な答えにロロシュ氏が舌打ち。
面倒くさ。
運ばれて来たグラスは2種類。
「薄い緑が青林檎。赤みがかったのが赤林檎。下手な着色はせずとも皮毎発酵させたらそうなった」
「綺麗な色合ですね。これなら女子受けしそう」
何方も爽やかな香りだ。
「清涼感のある甘い蜜の香りだな」とロロシュ氏が感想を述べた。
「蜜を蓄えた物だけを選りすぐりましたからな。どの道大量生産は難しい代物です。卿よ。林檎農園の拡充でも共同でどうですかな」
一口舐めて。
「むぅ。味も葡萄よりも軽やかだ。これは高級酒として売れるな。その話は後日検討しよう」
「熟成を進めるともしかしたら自然発泡するかも知れませんので。その時は耐久性のあるボトルに入替えて下さい」
「このシャンパンのようになるのか。留意して観察を続けよう」
「東は数年後か」
「必要になるのは数年後ですが。それよりも前には行く積もりです。南西か東。何方に先に行くかはまだ悩んでいます。重要度は何方も変わらないと思っているので」
ロロシュ氏が不吉な言。
「アッテンハイムで何も無ければ良いがな」
「嫌な事言いますね。西方三国が黙って居てくれる事を祈るばかりです」
「大国が君に助言を求めなければいけない様な状況ならすんなり帰さない事も有り得る、か?」
「カメノスさんまで。止めて下さいよ。現実に成りそうで怖いです。西大陸にはまだ行く気はないので。
第一大国に対して微塵も影響力を持たない俺を引っ張り出してもどうにもならんでしょう。三国共に女神教が主神ですし」
「まあ教皇が盾に成ってくれるだろう」
「だといいんですがね」
胡椒が利いた肉料理を肴に林檎酒を飲んでいると。
「それは何をお飲みになっているのですか?」
メルシャン様に捕捉された。
カメノス氏がご説明。
「私にも頂けますか?」
販促用じゃないって箇所を吹き飛ばしちゃった。
「試作品でありスターレン殿の案件ですからな。しかもここから熟成に入る前段階の酒です。
少ししかお出し出来ませんが。それでも良いなら」
「構いませんわ」
俺にも目を向けたのでどうぞと答えた。
飲める女性陣にも配られ、最初に毒味をしたライラがウンと唸って絶賛していた。
また一段とワイワイと騒がしくなった。
「我が儘王女の未来が見えるな」
「王女様のお陰で王宮食堂のメニューも改善されるかも知れませんよ」
「それならば良いな」
「そんなに酷いのですか?」
「ソプランが言っていたが…。あれでは病人食だ」
「塩分と糖分を極限まで削った薄味でしたよ。全品が」
「ほう。長生きは出来そうですな」
「ストレスで逆に早死にしそうだ。調味料を持ち込んでもゼファーにも止められる始末。昨日は偶々席を外していたから救われたが」
「それ掛け過ぎなんですって絶対に」
「むぅ…」自覚はあるようだ。
「光景が浮かぶようですな」
ワハハと笑うカメノス氏に対して鼻息を粗くしていた。
子供たちが舟を漕ぎ始めたのを見てカメノス氏が。
「今日はこの辺でお開きにしますか」
「ですね」
「仕方ないな」
主催の締めの挨拶と共に、合同婚礼式は主役2組の礼辞で幕が下りた。
---------------
自宅に戻ってからもフィーネのテンションは高かった。
「あの林檎のお酒美味しかったねぇ」
「あれは献上品だから商品化は全部終わってからだよ」
「遠いなぁ」
「達成出来たら。あれを祝杯に挙げようか」
「良いですねぇ。名案です」
時計を覗くと20時手前。
「ちょっとエドワンド寄って来ていい?状況確認と合コンの打診に行くだけだから」
「うぅ~。デニスさんのだっけ」
「それ。ただそれだと1対5になるから…。モヘッドとかノイちゃんとか誘おうかなぁて考え中。ギークは微妙」
「1人を除いておじさんばっかりか。身近な独身男性をもう1人……。メドベドさんってどうだったっけ」
「昨日聞いてみりゃ良かったな。モテすぎて不自由してなさそう。結婚してる可能性大だな」
「ぽいね。まあ先の話は確認後で。
ちゃちゃっと行って来て。何かお摘まみ作って待ってる」
「おけ」
サクッと駆け足でエドワンドへ…。と思っていたら途中で夜回り最中のメドベド隊と遭遇。
「衛兵長自ら夜回りですか?」
「おぉスターレン殿か。今週無理を言ってゴンザとライラの式で休んだツケでね。明日まで夜勤だよ」
「変な質問ですけど。メドベドさんって独身でしたっけ」
「…悲しいかな独身だ。意中だった二人はゴンザに取られてしまってね」
それは切ない。
「ご愁傷様です。もしもですけど。俺が誰かを紹介するって言ったらどうします?」
両肩をガッシリ掴まれた。
「それは、本当かい?」
「まだ女性陣の確認取りの段階ですけど。嘘ではないですよ」
メドベドさんのテンションが爆上がり。周りの隊員が若干引き気味。ガッツポーズまでして。
「スターレン殿の紹介なら信用出来る。是非頼むよ。
周りを見ても金に汚い女ばかりで」
衛兵の1人がコッソリ教えてくれた。
「前に手痛く騙された事がありまして」
「へぇ。意外だ」
教えてくれた衛兵さんは即座に足を崩されて転がされた。
「今のは聞かなかった事にしてくれ。気にせずに」
「じゃあ上手く行ったら来月辺りに連絡します」
「外務後か…。待ち遠しいな」
手を振りお別れ。
優男のエリートでも女の子には滅法弱いと見える。
エドワンドのブルームさんの了解を得て、ジェシカさん以外に確認した所。全員フリーだった。
「どんな人ですか?」
「それは何時ですか?」
等々質問が飛んだが。
「40代の人が居ても大丈夫ですか?ベトベトしてない渋い人が最大3人。30前後の兵士職が1人。後は20代半ばの出世頭が1人の予定です」
「「「「「大丈夫~」」」」」
満場一致で良かった。
ジェシカさんだけ怪訝な表情。
「どうして私だけ除け者に?」
そっと耳打ち。
「もう直ぐ迎えに来ますよ。急かしておいたんで」
「…」
珍しく顔を赤くしていた。
了解が得られた所で即時撤収。
自宅へと引き返して報告。
厚揚げを焼いて鰹節に醤油を垂らしたお摘まみを囓りながらのシャンパンが美味い。
「メドベドさん意外だね」
「ホントそれ」
「後はノイツェさんとモヘッドとギークさんの確認だけか。
立場的には微妙な2人が問題ね」
「ノイちゃんは貴族同等。モヘッドはそれ相当に成ろうとしてるし。その確認は帰って来てからにしよう」
クワンにお休みを告げて今宵は就寝。
「まだ嫌だって言ったのにぃ」
「御免なさい。自分ではどうしようも無くて」
苦情から始まった朝。
いつも以上に気合いを入れてトレーニング。
ロープでルームランナーを拵えて兎に角我武者羅に走り捲った。夫婦共々。
クワンは首輪を外した状態で大空を飛び回ったそうだ。
「…ハァ…ハァ。こ、これいいな。今後はこれで、持久力も鍛えて、行こう」
「ゼェ…、全力で。走り続ける、のも。悪く、ないね」
気持ちの良い汗をお風呂で流し、昨晩の豚汁の残りと普通の焼き魚と目玉焼きパンと牛乳で朝食。
バランスは宜しくなくても腹は大いに満たされた。
蛇肉バーガーは昼から皆で楽しもうと。
アローマと共同で蛇肉を作成中。
「トモラ君の離乳食って始めるのって今位だっけ」
「大体生後半年位からだから丁度いい頃合いだね」
「そうですね」
「レーラさんもチャレンジャーだな。行き成り固形物行くなんて」
「ほんの少しだけあげたくなっちゃったんだよ。それ位鰻が美味しかったから」
「その様な事があったのですね」
「欠片を少しだけね。あれは蜂蜜使ってたから止めたけど」
「成程」
手元の蛇肉を見詰めた。
「有り得んな」
「幾ら何でも早いよ」
「責任取れませんからね」
「今度は事前に注意しよう」
「「そうしましょう」」
アローマに尋ねた。
「シュルツは何やってるの?」
「昨日から工房に籠りきりだそうです。贈呈品と言うよりお二人への鞄作りに没頭しているらしく」
「え?もう着手してるのか」
「慌てなくてもいいのに」
シュルツに通話。
「あの蛇肉がさ。鰻並みに美味しくて、ど」
「今直ぐ参ります!」
「早いな」
「私も見習わないと」
「迎えに行って参ります」
侍女長さんから引き渡されたシュルツを拾ってアローマが戻って来た。
ダイニングに座らせて牛乳と蛇肉バーガーを並べた。
「今日の式にも差し入れるけど。事前に試食してみて」
「鰻と同じで疲れが吹き飛ぶよ」
「はい!頂きます」
モグモグ…からの目を見開く。
「鰻よりも脂っこくなくてあっさりしているのに濃厚。醤油やタルタルともピッタリです。
飲み込んだ瞬間から疲れが消えて行くようです!」
「やっぱり無理してた?」
「無理は良くないよ」
「無理はしていません。楽しいですし、もう少しで完成しそうな感じがするので。
昨夜も徹夜をしようとしましたが侍女長さんに連れ戻されて寝室に閉じ込められましたから」
「徹夜はいかんな。お肌に悪いし」
「ちゃんと寝ないと大きくなれないぞ」
「そう言われましても。スターレン様の灰色の鞄は…公務や正装には似合いませんもの。何とか同等の物をサーペントの皮製で持って行って頂かないと」
「「……」」
やっぱ格好悪かったんや!!
「それは済まなかった」
「誰も突っ込まなかったからね」
「スターレン様の鞄が収納袋である事は周知されておりますので。多少変でも誰も何も言えずに」
「新作完成したら灰色は陛下に返却しよう!」
是非ともお願いとシュルツを撫で撫でして褒め称えた。
「明日の午前中には完成します。それまでお待ちを」
「待ってる待ってる。夕方までは余裕あるから」
「慌てなくてもいいのよ」
「はい!」
時刻は10時手前。
「まだ時間あるけど。そろそろ着替えて準備する?」
「うーん。昨日買った武器も試したい気もする…には少し半端な時間だしなぁ」
俺も弓の練習したいな。
アローマも試したそうにしてるし…。
「私もお髭で防御壁作りたいです!」
これもシュルツの成長に繋がる事だし。
うーんと4人で首を捻っていると。
軽いノックをしてソプランが入って来た。
「おーい。昨日の要請書貰って来たぞ」
解除要請書を確認後。
「今昨日買った武器の試しをしようかって話になってるんだけど。どうする?」
「シュルツもか?」
「はい!」
「いやぁ…。この面子だと。遣り出したら止まらんだろ。
汗塗れで行きたくねえし」
確かに!
妙に納得してそれぞれ準備に入った。
結局ソプランが正しく、準備をして本棟に集合した頃には11時過ぎ。欲張っちゃいけないぜ。
出発まで食堂でお茶をして待機していると。
ロロシュ氏と堂々としたお忍びでメルシャン様も来た。
「あれ?メルシャン様も出席でした?」
「それは勿論。飽くまで個人としてですが。
数少ない友人の式ですから」
「そうっすかぁ」
「何か問題でも?」
「今日も希少な食材出すんで。また上から怒られないかなぁって」
「…今更ですわ」
そいつを言われちゃ何も返せん。
「ロロシュさんもお腹の具合は?」
「しっかりと空けてある。万端だ」
この食欲を見る限り、まだまだ死にそうにはない。
酒も普通に強いしなぁ。
「じゃあ早めに移動して向こうでゆっくりしますか」
「そうしましょう。私はメルシャン様の馬車に乗るわ。
シュルツは?」
「私もそちらに」
アローマにも目線を送ったが、涙目で拒否。そりゃそうか。
「カーネギとミランダさんは?」
「デートがてら先に歩いてった」
出席予定者が出揃ったので出発。
カメノス邸に着き、綺麗に修繕された中庭には仮の祭壇が設けられていた。
セルダさんが微妙かと思っていたが、どうやら水竜教式で行く様子。
順番で受付を済ませ…。
「幾ら包んだのだ?」ロロシュ氏に逆聞きされた。
「それ俺の方が聞きたいですよ。カエザール家には400でゴンザさんに200。今日は悩みましたが、どうせカメノスさんが拒否するんで。
形上で100ずつです。夫婦で折半ですが」
鼻で笑われた。
「どうせ拒否するか…。まあそれも良かろう。ミラージュとしては君の少し上で安心した」
絶対少しじゃないだろ。有り体にシュルツの贈呈品が一番高価なんだが。
しかし今日の蛇肉は鰻にそっくりとは言え、もう二度と出会えない。その価値は、正にうなぎ登りだ。
気になるのはフェンリル様は興味を示さなかった事。魔物のカテゴリーには興味が無いのかも知れない。
続々と来場者が集まり、レーラさんへの注意事項はフィーネが伝えてくれた。
心置きなく開催を待つ。
異教を含めた合同婚礼式は珍しい。第2別館へ向かう商団関係者も足を止めて中庭を見ていた。遠目には正副所長の晴れ姿を見届けようと研究員の皆さんの姿も。
2組の登場。ペルシェさんのドレスの丈が短めで、その歩調に合わせる形での行進。
誓いの儀式と柔らかいキス。
来場者も外周も子供たちも大きな拍手で祝福。
復路ではラベンダーの花片のシャワーが舞い飛んだ。
皆に祝われる本式は無事に終了。
終始モーラスとセルダさんがガチガチに緊張していて面白かった。
宴会場に場を移して贈呈品の贈与。そこではお話はなく渡すだけ。
やはりサーペントの蛇肉の説明には会場が沸いた。魔物肉だからか悲鳴もチラチラ。
鰻よりも美味しいですよと告げると歓声に切り替わった。
現金じゃのぉ。
各家の贈与が終わってからご挨拶、フリートーク、お色直しと続いた。
挨拶ではセルダさんが泣き出して大変だった。
「済みません。今日は泣かないって決めていたのに」
「キャライさんが泣いてないのに」
「泣き虫さんですねぇ」
「お恥ずかしい限りです。私もスターレン様と同じく焼き印を消して改信しました」
「そうだったんですね」
「私の信仰心は水竜様と共に、スターレン様に捧げ」
「それ重いっす。勘弁して下さい」
「それは口に出さずに居て下さい」
「も、申し訳ありません!つい嬉しくて」
「恥ずかしいので止めて下さいと言ったのに」
取り繕うキャライさんも大変だ。
相変わらず嘘が吐けない人だなぁ。
長くなりそうだったので次の組に譲った。
お色直し後に全員着席し直してのお食事タイム。
俺たちが何時も食事を持ち込む所為か、カメノス邸で用意された品目が少なめ。
誰もが初の蛇肉に戸惑い、恐る恐るナイフを通していた人たちも。一度口にした途端に悶絶していた。
鰻も初のメルシャン様も食べ比べて目を剥いていた。
余る想定で作って来たがあっと言う間に全員完食。
もっと無いの?の多くの目が突き刺さる。
山程在庫は抱えているが。
「あーもう。伝説級の希少品です。もっと味わって食べて下さいよ。
ペルシェさん。悪阻はまだ大丈夫ですか?」
「今ので消えてしまいました!全然平気です」
悪阻すら抑え込む蛇肉効果が凄まじいな。
「ペルシェさんの物だけ薄味で。それ以外の人は同じ味付けでいいですか?」
了承の大合唱。
「厨房借りて来まーす」
「これが一番人気になっちゃったね」
2人で焼き増し作業後に戻ると会場は酒宴に切り替わっていた。
扱いが酷い。
俺たちの外交官就任祝いが何処かへ消えてしまった。
………
主役たちがラフな衣装に着替えた後も酒宴は続く。
女性と男性で真っ二つに分かれ、隅っこ方面でロロシュ氏とカメノス氏との3人だけで小テーブルを囲んだ。
それは何時かの約束。
「俺の就任祝いは何処行ったんですか?」
「申し訳ないな。君があんな美食を出してしまうから吹き飛んでしまった」
俺の所為で済まされてしまった。
「うむ。あれは美味かった。二度と食えないのが残念だ」
「多分もう出会えませんし。居たとしても俺たち以外では討伐も難しいと思います。港で出現情報が出たら飛んで行くので連絡下さい」
「そうしよう」
カメノス氏が。
「持ち込んでくれたシャンパンで思い出したが。君から依頼された未熟性の林檎酒が出来た。試飲してみるか」
「それは是非」
カメノス氏が給仕を呼んでいる間に。
「また抜駆けか」ロロシュ氏が文句を。
「それは販売用じゃなくて数年後の東大陸で必要になる物なので色々な食材を熟成させるのが得意なカメノスさんに頼んだんです」
「その後に売りますがね」
その正直な答えにロロシュ氏が舌打ち。
面倒くさ。
運ばれて来たグラスは2種類。
「薄い緑が青林檎。赤みがかったのが赤林檎。下手な着色はせずとも皮毎発酵させたらそうなった」
「綺麗な色合ですね。これなら女子受けしそう」
何方も爽やかな香りだ。
「清涼感のある甘い蜜の香りだな」とロロシュ氏が感想を述べた。
「蜜を蓄えた物だけを選りすぐりましたからな。どの道大量生産は難しい代物です。卿よ。林檎農園の拡充でも共同でどうですかな」
一口舐めて。
「むぅ。味も葡萄よりも軽やかだ。これは高級酒として売れるな。その話は後日検討しよう」
「熟成を進めるともしかしたら自然発泡するかも知れませんので。その時は耐久性のあるボトルに入替えて下さい」
「このシャンパンのようになるのか。留意して観察を続けよう」
「東は数年後か」
「必要になるのは数年後ですが。それよりも前には行く積もりです。南西か東。何方に先に行くかはまだ悩んでいます。重要度は何方も変わらないと思っているので」
ロロシュ氏が不吉な言。
「アッテンハイムで何も無ければ良いがな」
「嫌な事言いますね。西方三国が黙って居てくれる事を祈るばかりです」
「大国が君に助言を求めなければいけない様な状況ならすんなり帰さない事も有り得る、か?」
「カメノスさんまで。止めて下さいよ。現実に成りそうで怖いです。西大陸にはまだ行く気はないので。
第一大国に対して微塵も影響力を持たない俺を引っ張り出してもどうにもならんでしょう。三国共に女神教が主神ですし」
「まあ教皇が盾に成ってくれるだろう」
「だといいんですがね」
胡椒が利いた肉料理を肴に林檎酒を飲んでいると。
「それは何をお飲みになっているのですか?」
メルシャン様に捕捉された。
カメノス氏がご説明。
「私にも頂けますか?」
販促用じゃないって箇所を吹き飛ばしちゃった。
「試作品でありスターレン殿の案件ですからな。しかもここから熟成に入る前段階の酒です。
少ししかお出し出来ませんが。それでも良いなら」
「構いませんわ」
俺にも目を向けたのでどうぞと答えた。
飲める女性陣にも配られ、最初に毒味をしたライラがウンと唸って絶賛していた。
また一段とワイワイと騒がしくなった。
「我が儘王女の未来が見えるな」
「王女様のお陰で王宮食堂のメニューも改善されるかも知れませんよ」
「それならば良いな」
「そんなに酷いのですか?」
「ソプランが言っていたが…。あれでは病人食だ」
「塩分と糖分を極限まで削った薄味でしたよ。全品が」
「ほう。長生きは出来そうですな」
「ストレスで逆に早死にしそうだ。調味料を持ち込んでもゼファーにも止められる始末。昨日は偶々席を外していたから救われたが」
「それ掛け過ぎなんですって絶対に」
「むぅ…」自覚はあるようだ。
「光景が浮かぶようですな」
ワハハと笑うカメノス氏に対して鼻息を粗くしていた。
子供たちが舟を漕ぎ始めたのを見てカメノス氏が。
「今日はこの辺でお開きにしますか」
「ですね」
「仕方ないな」
主催の締めの挨拶と共に、合同婚礼式は主役2組の礼辞で幕が下りた。
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自宅に戻ってからもフィーネのテンションは高かった。
「あの林檎のお酒美味しかったねぇ」
「あれは献上品だから商品化は全部終わってからだよ」
「遠いなぁ」
「達成出来たら。あれを祝杯に挙げようか」
「良いですねぇ。名案です」
時計を覗くと20時手前。
「ちょっとエドワンド寄って来ていい?状況確認と合コンの打診に行くだけだから」
「うぅ~。デニスさんのだっけ」
「それ。ただそれだと1対5になるから…。モヘッドとかノイちゃんとか誘おうかなぁて考え中。ギークは微妙」
「1人を除いておじさんばっかりか。身近な独身男性をもう1人……。メドベドさんってどうだったっけ」
「昨日聞いてみりゃ良かったな。モテすぎて不自由してなさそう。結婚してる可能性大だな」
「ぽいね。まあ先の話は確認後で。
ちゃちゃっと行って来て。何かお摘まみ作って待ってる」
「おけ」
サクッと駆け足でエドワンドへ…。と思っていたら途中で夜回り最中のメドベド隊と遭遇。
「衛兵長自ら夜回りですか?」
「おぉスターレン殿か。今週無理を言ってゴンザとライラの式で休んだツケでね。明日まで夜勤だよ」
「変な質問ですけど。メドベドさんって独身でしたっけ」
「…悲しいかな独身だ。意中だった二人はゴンザに取られてしまってね」
それは切ない。
「ご愁傷様です。もしもですけど。俺が誰かを紹介するって言ったらどうします?」
両肩をガッシリ掴まれた。
「それは、本当かい?」
「まだ女性陣の確認取りの段階ですけど。嘘ではないですよ」
メドベドさんのテンションが爆上がり。周りの隊員が若干引き気味。ガッツポーズまでして。
「スターレン殿の紹介なら信用出来る。是非頼むよ。
周りを見ても金に汚い女ばかりで」
衛兵の1人がコッソリ教えてくれた。
「前に手痛く騙された事がありまして」
「へぇ。意外だ」
教えてくれた衛兵さんは即座に足を崩されて転がされた。
「今のは聞かなかった事にしてくれ。気にせずに」
「じゃあ上手く行ったら来月辺りに連絡します」
「外務後か…。待ち遠しいな」
手を振りお別れ。
優男のエリートでも女の子には滅法弱いと見える。
エドワンドのブルームさんの了解を得て、ジェシカさん以外に確認した所。全員フリーだった。
「どんな人ですか?」
「それは何時ですか?」
等々質問が飛んだが。
「40代の人が居ても大丈夫ですか?ベトベトしてない渋い人が最大3人。30前後の兵士職が1人。後は20代半ばの出世頭が1人の予定です」
「「「「「大丈夫~」」」」」
満場一致で良かった。
ジェシカさんだけ怪訝な表情。
「どうして私だけ除け者に?」
そっと耳打ち。
「もう直ぐ迎えに来ますよ。急かしておいたんで」
「…」
珍しく顔を赤くしていた。
了解が得られた所で即時撤収。
自宅へと引き返して報告。
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「メドベドさん意外だね」
「ホントそれ」
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「ノイちゃんは貴族同等。モヘッドはそれ相当に成ろうとしてるし。その確認は帰って来てからにしよう」
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