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第43話 新婚旅行後半戦(海賊討伐編)
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本当に丸1日を掛け、彫像製作は完成した。
名前:女神の彫像(女神の加護)
性能:半径100m内に居る全ての者の隷属化、
奴隷化、異常状態を完全解除
使用回数制限:無し
魔力消費量:2
防御力:2000
特徴:真実の愛を知る2人の合作
「で…、出来たーーー」
「疲れたーーー。枯渇寸前…」
床に寝ながら2人で彫像を持ち上げ、窓から入る月光に彫像を翳した。
鮮やかな赤の中に、輝ける淡い白い光が灯っているように見える。
「ねぇねぇフィーネさん」
「なになにスタンさん」
「使用回数制限も無くて、半径100m内に居る人の隷属化を完全に解除出来る。のはいいんだけど」
「希望通りの性能だね。…けど?」
「防御力が2000。付いてるのですが…」
「宝石だから、硬度じゃなくて?」
「じゃないんです」
「それはまた…」
「「深く考えない!」」
彫刻刀を片し、削った粉を床上に張った布シートに包み、全てをリュックに詰めた。
何も考えず、夜食をオーダーして細やかな晩餐。
お風呂は朝でいいやと、歯を磨いてそのまま就寝。
---------------
翌日。ゴーギャンに海図を貰いに行く日。
午後のおやつ時までには時間が在る。
財団の港から、近海の運航許可を出して貰っていて。
小型船の試運転を口実にして行く。
「試運転でコツを掴んだら、そのままうっかり東海域に出ちゃいます!」
「あらうっかりさん」
「これまたピックリ。海賊船団が居るではありませんか」
「それはビックリしますね」
「しかも船上には人質が一杯」
「それは一人でも多く助けねば」
「クワンティちゃんも驚いて大空へ」
「クワンティが飛んで行くー」
「「それで行こう!」」
「クワッ!」
モーニングは食べ終わり、暫定の作戦会議も終わった。
「午前の予定が真っ白ですねぇ」
「一昨日買った水着を…」
「いえいえ。朝っぱらから着こなす勇気が足りません。
ご容赦下さい」
「町中を散策して、適当にお昼食べますか。人質には申し訳ないけど」
「そこまでスタンが気にする事はないよ。戦況がどうなるか解らないんだから」
「ですね」
何時もの旅装備に着替えて出発。
1階のカウンターに鍵を預け、数日外出する旨を伝えた。
クルーザーにはシャワー、トイレ、簡易キッチンと大人が余裕で4人は寝られるベッド。
食料や薬もリュックにたっぷり。
たっぷりと言っても、人質全ての腹を満たすには全く足りない。
千人以上の人質をどうやって助け、運ぶのかも難問だ。
自分たちだけなら、海の上を海賊目指して探し回る事は出来る。
しかし海上での救出程困難な物はない。まして、縛られている人が大半。本当に困ったもんだ。
水竜様に海での安全祈願をして、見ていない雑貨店を巡り時間を潰した。
初日に行った定食屋に並んで昼食。
メニューに在ったミックスフライ定食を2人共注文。
午後に向けた緊張感で喉の通りが悪かった。
無理矢理完食。
昼からも海岸と港をフラフラし、15時位の連絡船へ乗り込んで移動。
ここまで来たら後には退けない。
船と一緒で全身あるのみ。
管理棟に到着して、ゴーギャンと面会。
「例の物はどうですか?」
かなりお疲れ気味のゴーギャン。
無理言って御免なさい。
「出来ている。また上で話をしよう」
3階会議室。
広げられた海図は南海域の全図。離れた諸島と南東大陸までが描かれていた。
そこに黒い点で海賊船の目撃情報。
「助かりました。これだけあれば、大凡の位置が割り出せます」
「一応。ここまでが、海賊船が接近して来る以前の点」
ゴーギャンはプロット群の真ん中辺りに斜線を入れた。
縮尺は大体10km/1cm。
斜線からは約100km移動している計算。
「この斜線は、いつ頃の事ですか」
「境目は、丁度国王生誕祭以降になりますな」
あの糞。昼食会ではもう手を出さないって言っておいて。
翌日には動いていやがる。
いっそ腕と言わず、両肩やっちゃうか。
止血が面倒だからそれは止めよう。
「こちらも隷属化解除方法を手に入れました。
これからの試運転後に、うっかり沖に出て一気に東沖に出ます。宜しいですか、と言ってもやるんですけど」
盛大な溜息を吐き出して。
「そう言われると思いまして。高性能コンパスを船内に置いておきましたよ」
船旅の必須アイテムだ。
「有り難う御座います。状況次第ですが、救出した捕虜を一旦ここの海岸に運ぼうと考えています。
俺たちが走り出したら、軍部に連絡して受け入れ態勢を整えさせて下さい。
海賊船団丸ごと拿捕するのは困難なので、何回かに分けてになるでしょう。
折り返しの時に軍艦が動いてくれたら、理想的です」
「やれるだけやってみます。軍が動かないなら財団の全従業員を動かして、クビを覚悟で商船も。救出なら、漁港も喜んで手を貸してくれるでしょうし」
良かった。いい流れだ。
これで俺たちが失敗したら元も子もないな。
造船所で船に乗り込み、レクチャーを受ける。
誰か別のスタッフが来るのかと思っていたら、ゴーギャン自らご指導。
「他の従業員では緊張で作戦の邪魔になると思いまして。
こう見えて昔は船乗りです。
魔導船の操作は実は非常に簡単。魔道具を扱えるスターレン様なら、大型船でも楽勝でしょう」
そうなんです。
操舵室には何と!何と!!
十字に倒せるレバーが1本だけ。
動力装置は初動に使う分しか魔力が溜まっておらず。
加速したい時に随時魔力を流すだけ。
後ろに倒せば、減速魔力解放。
前に倒せば、加速魔力注入。
左右は旋回。
これ、フィーネには言えないけど。
ゲーマーなら誰でも出来るわ。
勿論自分はすんなりクリア。
手子摺ったのは、やっぱり嫁さん。
しっかり船舶の通らない沖に出たのに。
嘘みたいに加速して、危うく大型船と接触事故。
海洋ルールで船舶同士が擦れ違う場合。両方共右旋回しなければいけない所を、テンパって左へ。
「右!右に倒して!」
「右ってどっち!スプーン持つ方?フォークかな?」
「と、兎に角後ろに倒して減速!」
「はい!」
結構な時間を食って、漸く習得したのは夕焼け空。
「何よ。簡単じゃない」
君がそれを言っちゃうのかい。
一時は今夜は止めにしようかと思ったが、何とか間に合いそうだ。
港に引き返し、造船所ドック左手から入り元の位置へ。
「ゴーギャンさんは、夜釣りでも垂らして待ってて下さいね」と降ろした。
「流石にそれはちょっと…」
寂しげな背中を見送り、うっかりスタート。
「あれぇ。動いちゃうなぁ」
「岬の灯台目指しまーす」
全解放された扉からスタートダッシュ。
当然沖に出て岬を越えるまでは俺。
帰りの漁船に気を付けながら。
光源のランタン+スポットランタンも自動点灯。
金掛かってるわぁ。
港を離れる頃にはすっかり満天星空。
動力もエンジンではないので静寂そのもの。
ゆったり走れば、波も穏やかで快適なのだが…。
海図を読もうと、フィーネにチェンジした途端。
「どれ位の速度?」
「弱で」
グングン加速。
「ちょっとそれ中じゃないの?」
「弱だよー」
まあギリギリ読める。
「そのままキープで」
「あい」
可愛いなぁもう!抱き締めたろか。
真面目に海図とコンパスと望遠鏡で照らし合わせ。
左手遠方に見える大陸岸壁を頼りに。
「ちょい右」
「ちょい右ー」
大分慣れてきたな。
目標のプロット群までは遠い。
そろそろ彼女の出番だ。
「クワンティ。君の眼だけが頼りだ。赤く光る球を乗せた船を見付けたら戻って来い。いいな」
「クワッ!」
ケージから取り出して、操舵室の窓から解き放った。
見付からなければ今夜は諦める。
もしもの場合はフィーネに呼び戻して貰えばいい。
だがしかしあっさりとクワンは数分後に帰って来た。
「もう見付けたのか」
「クワッ!」
「よし!出来した。船の前を飛んで案内してくれ。
フィーネはクワンティの後ろに付いて行け」
「クワッ」
「了解」
月明かりに照らされて、やがて見えて来た船団。
海のど真ん中で錨を降ろして停泊中の5隻。
黒光りした海賊船の姿。
「あの真ん中のデカい船だ。こっから減速して上が見える位置で止まってくれ」
「はい!」
やはり居た。小物大将クインザ。
こちらを見下ろし、眼を剥いていた。
俺は狭いデッキに出て、叫んだ。
「おーい。クインザ。ここで何やってるんだ」
「…」
顔を合わせ、次の声を発しようとした時。リュックの異変に気付いた。
ソラリマが…居ない…。
ヤバい。出してもいないのに、
無意識に海へ落としたかな。などと逡巡していたら。
「クワァァァ!!」
遙か上空から、鳩の鳴き声。
そこには、煌びやかに白発光する螺旋を身に纏った。
クワンティの姿。
彼女は更に上昇すると。そこから…。
船上に居た者は、空を見上げて静止する。
ある人質を取られていた兵士は語る。
「あれは、音の無い稲光だった」と。
ある無理矢理連れて来られた従者は悟る。
「あれは、星空を駆ける流星だった」と。
意識の混濁した少女たちは記憶する。
「あれは、羽衣を纏った天使様だった」と。
そして。俺たち夫婦は同時に思う。
「「何やってんのーーー!!」」と。
クワンは正しい。俺が交渉を始める前。
クインザを認識した瞬間に。飛んだのだから。
彼女は上昇を止め、上から見える赤い球を目掛けて直下降を開始した。
それは一瞬の出来事。
真っ白い、音の無い線が出来上がり、問答無用で球体を破壊した。
敢えて彼女を人であると括るならば。
この3人の中で、ソラリマを武装展開したならば。
それは誰よりも速い。
クワンは迷わない。球の破壊こそが最優先だと。
この場の誰よりも速く。
クインザが次の回避行動を起こすよりも早く。
俺たちが言葉を発するよりも早く。
次に聞こえたのは大きな物が弾ける破砕音。
一切の迷いの無い彼女は、誰よりも早く行動した。
仰け反ったクインザの肩を鷲掴み、
一旦空へと持ち出した。
翻り、持ち運んだその先は…俺の目の前だった。
この場の最善策を、瞬時に見出してくれたクワンティに応え、考えるよりも前に。
ロープを往なして、クインザの両腕を肘から断った。
泣き叫びながら無い腕を求めて悶えるクインザを尻目に、落ちた腕の指から、5色の指輪を外して鑑定。
これは違う、これも違う。
水竜様に謝罪を祈りながら海へと投げ捨てた。
3つ目にそれはあった。
名前:架振の指輪(古代兵器)
性能:任意の場所に瞬間転移できる
魔力消費:3割/1回
座標条件:装着者が行った事の在る場所
座標軸:記憶、指定した人物付近の平場
同時搬送可能数:10名+装備品
(紐等で締結された状態で装着者と接触)
特徴:転移秘宝の1つ
迷っている暇は微塵も無い。
デッキを赤く染めている獣を保留し、指輪を左中指に嵌めた。
後で消毒しよう。
ロープを握り、海賊中央船のメインマスト中段にアーチを描いた。
船を乗り移り、力の限り叫んだ。
「中枢の魔道具は破壊した!呪いの解除は後で掛けに必ず戻る!あの塵虫を然るべき所に預けてからだ!
この中で離反者は居るか!!」
「…」
「俺に刃を向ける者は居るか!!」
「…」
「ならば良し!協力し!人質を全員デッキへ引き上げろ!
君たちは!もう!自由だ!!」
涙混じりの豪声が吹き荒れる。
動き出す兵士たちを振り返らずに、
フィーネの元へ戻った。
「フィーネはここに居てくれ。君が指輪の座標になる。
俺は王都へ塵処理に行く」
「解った。行って!」
---------------
タイラント王都パージェント。
商業ギルド。2階、支部長室。
そこでは今日も、ムートンが国政案件と商業案件の振り分け業務に追われていた。
そんな中。突然、唐突に。デスクの前に。
見慣れた青年が、見慣れた男を抱えて現われた。
「ムートン!」
呼ばれたムートンは一瞬、何が起きたのかが理解出来なかった。
「なっ…」
「この国家反逆者を置いていく。必ず陛下の前に送り届けろ。隷属の魔道具は木っ端に破壊した。
今は、海上の人質の救出中だ。
人質は全て呪いを完全解除する。
一旦、ラフドッグに収容。衰弱の激しい者は、後で総本堂前広場まで運んで来る。
カメノス商団の協力を仰ぎ、治療に当たらせてくれ。
金なら俺のツケでもいい。
クインザは倒れた!解ったか!」
「………」
「時間が無いんだ!呪いを解くのに制限時間がある!
今直ぐ答えろ!解ったのか!!」
「了解だ!!」
答えを聞くと、青年は大きく頷き、両腕を失ったクインザを床に降ろした。
一歩後ろに下がった場所で、思い出した様に青年は振り返った。
「あぁそうだ。俺はこんな雑魚に、聞きたい事なんて何一つ無い!斬首は俺の帰りを待たなくていいと。
陛下に伝言を頼む」
そう言い残して、青年はその場から消え去った。
---------------
そこはラフドッグから南東の海域。
一艇の小型クルーズ船のデッキ。
戻って早々に、呪いの解除、衰弱者の選別とピストン搬送を経て、残る人々はラフドッグを目指して貰った。
この短期決戦はたった一晩で幕を閉じた。
クインザは腕を縛るだけで、しっかり止血をせずにそのまま届けたが、腕の他にも何か装備はしていただろうと放置した。
届けるまでは生きてたし。
「終わったーーー」
フィーネの膝枕の上で、伸びをした。
「お疲れ様。マストの上で叫ぶスタン。格好良かったよ」
「ありがと。でも一晩で片付いて、本当に良かった。
特にクワンティ。お前は本当に賢いな」
フィーネの肩に乗って胸を張るクワンを、下から仰ぐ。
「俺の策だと、もう少し時間掛かってたし。失敗していた可能性が大だ」
「お手柄だね。クワンティ」
「クワッ」
「ソラリマも。今回ばかりは助かったよ。礼を言う」
『では、我も外に』
「だーめ。ソラリマは私たちの秘密兵器なんだから。
大人しくしてて」
今宵のフィーネは優しいのぉ。
『秘密兵器…。相解った!』
単純だな。
「王都も。今頃凄い事になってるだろうねぇ」
「まー、100人位は運んだしな。もういい、知らん」
「私も知らなーい」
「そういやあいつの腕は」
「水竜様にごめんなさいしてポイしました」
今の船の上は、フィーネが洗浄したので綺麗さっぱり。
序でに俺の指も。
「魚の餌になっていいのかも」
「そのお魚が回って来たら、嫌だなぁ」
言われてみれば…。
軽く笑い合い、満天の星空を見上げた。
「王都に帰るのが怖い。絶対ロロシュ爺ちゃん怒る。
寧ろ今真に怒ってると思う」
「私が盾になるよ」
「心強いっす」
「だって自分を守る為だもん。ゴチャゴチャ言われたくないよ」
「フィーネさんフィーネさん」
「なんだいなんだい、スタン君」
「このまま海の上で数日過ごすというのはどうだろう」
「非常に魅惑的だけど。ここって漁師さん来ない?」
「あー。そりゃ来るかぁ。じゃあ明日の朝にホテルに帰りましょ」
「そうしましょ」
「フィーネさん。お願いがあるのです」
「な、内容に依るかな」
「ご一緒にシャワーを」
「ん??あれは、お一人用では」
「だからいいのです!」
「…私からもお願い」
「何でしょう」
「その。真面目なのと、エッチなの。落差が激しすぎて心臓に悪いのです。どうにか出来ませんか。前よりどんどん悪化している気がします」
「無理です!」
「そんなにハッキリと言われると…」
兎に角海賊討伐は終わった。そんな夜。
名前:女神の彫像(女神の加護)
性能:半径100m内に居る全ての者の隷属化、
奴隷化、異常状態を完全解除
使用回数制限:無し
魔力消費量:2
防御力:2000
特徴:真実の愛を知る2人の合作
「で…、出来たーーー」
「疲れたーーー。枯渇寸前…」
床に寝ながら2人で彫像を持ち上げ、窓から入る月光に彫像を翳した。
鮮やかな赤の中に、輝ける淡い白い光が灯っているように見える。
「ねぇねぇフィーネさん」
「なになにスタンさん」
「使用回数制限も無くて、半径100m内に居る人の隷属化を完全に解除出来る。のはいいんだけど」
「希望通りの性能だね。…けど?」
「防御力が2000。付いてるのですが…」
「宝石だから、硬度じゃなくて?」
「じゃないんです」
「それはまた…」
「「深く考えない!」」
彫刻刀を片し、削った粉を床上に張った布シートに包み、全てをリュックに詰めた。
何も考えず、夜食をオーダーして細やかな晩餐。
お風呂は朝でいいやと、歯を磨いてそのまま就寝。
---------------
翌日。ゴーギャンに海図を貰いに行く日。
午後のおやつ時までには時間が在る。
財団の港から、近海の運航許可を出して貰っていて。
小型船の試運転を口実にして行く。
「試運転でコツを掴んだら、そのままうっかり東海域に出ちゃいます!」
「あらうっかりさん」
「これまたピックリ。海賊船団が居るではありませんか」
「それはビックリしますね」
「しかも船上には人質が一杯」
「それは一人でも多く助けねば」
「クワンティちゃんも驚いて大空へ」
「クワンティが飛んで行くー」
「「それで行こう!」」
「クワッ!」
モーニングは食べ終わり、暫定の作戦会議も終わった。
「午前の予定が真っ白ですねぇ」
「一昨日買った水着を…」
「いえいえ。朝っぱらから着こなす勇気が足りません。
ご容赦下さい」
「町中を散策して、適当にお昼食べますか。人質には申し訳ないけど」
「そこまでスタンが気にする事はないよ。戦況がどうなるか解らないんだから」
「ですね」
何時もの旅装備に着替えて出発。
1階のカウンターに鍵を預け、数日外出する旨を伝えた。
クルーザーにはシャワー、トイレ、簡易キッチンと大人が余裕で4人は寝られるベッド。
食料や薬もリュックにたっぷり。
たっぷりと言っても、人質全ての腹を満たすには全く足りない。
千人以上の人質をどうやって助け、運ぶのかも難問だ。
自分たちだけなら、海の上を海賊目指して探し回る事は出来る。
しかし海上での救出程困難な物はない。まして、縛られている人が大半。本当に困ったもんだ。
水竜様に海での安全祈願をして、見ていない雑貨店を巡り時間を潰した。
初日に行った定食屋に並んで昼食。
メニューに在ったミックスフライ定食を2人共注文。
午後に向けた緊張感で喉の通りが悪かった。
無理矢理完食。
昼からも海岸と港をフラフラし、15時位の連絡船へ乗り込んで移動。
ここまで来たら後には退けない。
船と一緒で全身あるのみ。
管理棟に到着して、ゴーギャンと面会。
「例の物はどうですか?」
かなりお疲れ気味のゴーギャン。
無理言って御免なさい。
「出来ている。また上で話をしよう」
3階会議室。
広げられた海図は南海域の全図。離れた諸島と南東大陸までが描かれていた。
そこに黒い点で海賊船の目撃情報。
「助かりました。これだけあれば、大凡の位置が割り出せます」
「一応。ここまでが、海賊船が接近して来る以前の点」
ゴーギャンはプロット群の真ん中辺りに斜線を入れた。
縮尺は大体10km/1cm。
斜線からは約100km移動している計算。
「この斜線は、いつ頃の事ですか」
「境目は、丁度国王生誕祭以降になりますな」
あの糞。昼食会ではもう手を出さないって言っておいて。
翌日には動いていやがる。
いっそ腕と言わず、両肩やっちゃうか。
止血が面倒だからそれは止めよう。
「こちらも隷属化解除方法を手に入れました。
これからの試運転後に、うっかり沖に出て一気に東沖に出ます。宜しいですか、と言ってもやるんですけど」
盛大な溜息を吐き出して。
「そう言われると思いまして。高性能コンパスを船内に置いておきましたよ」
船旅の必須アイテムだ。
「有り難う御座います。状況次第ですが、救出した捕虜を一旦ここの海岸に運ぼうと考えています。
俺たちが走り出したら、軍部に連絡して受け入れ態勢を整えさせて下さい。
海賊船団丸ごと拿捕するのは困難なので、何回かに分けてになるでしょう。
折り返しの時に軍艦が動いてくれたら、理想的です」
「やれるだけやってみます。軍が動かないなら財団の全従業員を動かして、クビを覚悟で商船も。救出なら、漁港も喜んで手を貸してくれるでしょうし」
良かった。いい流れだ。
これで俺たちが失敗したら元も子もないな。
造船所で船に乗り込み、レクチャーを受ける。
誰か別のスタッフが来るのかと思っていたら、ゴーギャン自らご指導。
「他の従業員では緊張で作戦の邪魔になると思いまして。
こう見えて昔は船乗りです。
魔導船の操作は実は非常に簡単。魔道具を扱えるスターレン様なら、大型船でも楽勝でしょう」
そうなんです。
操舵室には何と!何と!!
十字に倒せるレバーが1本だけ。
動力装置は初動に使う分しか魔力が溜まっておらず。
加速したい時に随時魔力を流すだけ。
後ろに倒せば、減速魔力解放。
前に倒せば、加速魔力注入。
左右は旋回。
これ、フィーネには言えないけど。
ゲーマーなら誰でも出来るわ。
勿論自分はすんなりクリア。
手子摺ったのは、やっぱり嫁さん。
しっかり船舶の通らない沖に出たのに。
嘘みたいに加速して、危うく大型船と接触事故。
海洋ルールで船舶同士が擦れ違う場合。両方共右旋回しなければいけない所を、テンパって左へ。
「右!右に倒して!」
「右ってどっち!スプーン持つ方?フォークかな?」
「と、兎に角後ろに倒して減速!」
「はい!」
結構な時間を食って、漸く習得したのは夕焼け空。
「何よ。簡単じゃない」
君がそれを言っちゃうのかい。
一時は今夜は止めにしようかと思ったが、何とか間に合いそうだ。
港に引き返し、造船所ドック左手から入り元の位置へ。
「ゴーギャンさんは、夜釣りでも垂らして待ってて下さいね」と降ろした。
「流石にそれはちょっと…」
寂しげな背中を見送り、うっかりスタート。
「あれぇ。動いちゃうなぁ」
「岬の灯台目指しまーす」
全解放された扉からスタートダッシュ。
当然沖に出て岬を越えるまでは俺。
帰りの漁船に気を付けながら。
光源のランタン+スポットランタンも自動点灯。
金掛かってるわぁ。
港を離れる頃にはすっかり満天星空。
動力もエンジンではないので静寂そのもの。
ゆったり走れば、波も穏やかで快適なのだが…。
海図を読もうと、フィーネにチェンジした途端。
「どれ位の速度?」
「弱で」
グングン加速。
「ちょっとそれ中じゃないの?」
「弱だよー」
まあギリギリ読める。
「そのままキープで」
「あい」
可愛いなぁもう!抱き締めたろか。
真面目に海図とコンパスと望遠鏡で照らし合わせ。
左手遠方に見える大陸岸壁を頼りに。
「ちょい右」
「ちょい右ー」
大分慣れてきたな。
目標のプロット群までは遠い。
そろそろ彼女の出番だ。
「クワンティ。君の眼だけが頼りだ。赤く光る球を乗せた船を見付けたら戻って来い。いいな」
「クワッ!」
ケージから取り出して、操舵室の窓から解き放った。
見付からなければ今夜は諦める。
もしもの場合はフィーネに呼び戻して貰えばいい。
だがしかしあっさりとクワンは数分後に帰って来た。
「もう見付けたのか」
「クワッ!」
「よし!出来した。船の前を飛んで案内してくれ。
フィーネはクワンティの後ろに付いて行け」
「クワッ」
「了解」
月明かりに照らされて、やがて見えて来た船団。
海のど真ん中で錨を降ろして停泊中の5隻。
黒光りした海賊船の姿。
「あの真ん中のデカい船だ。こっから減速して上が見える位置で止まってくれ」
「はい!」
やはり居た。小物大将クインザ。
こちらを見下ろし、眼を剥いていた。
俺は狭いデッキに出て、叫んだ。
「おーい。クインザ。ここで何やってるんだ」
「…」
顔を合わせ、次の声を発しようとした時。リュックの異変に気付いた。
ソラリマが…居ない…。
ヤバい。出してもいないのに、
無意識に海へ落としたかな。などと逡巡していたら。
「クワァァァ!!」
遙か上空から、鳩の鳴き声。
そこには、煌びやかに白発光する螺旋を身に纏った。
クワンティの姿。
彼女は更に上昇すると。そこから…。
船上に居た者は、空を見上げて静止する。
ある人質を取られていた兵士は語る。
「あれは、音の無い稲光だった」と。
ある無理矢理連れて来られた従者は悟る。
「あれは、星空を駆ける流星だった」と。
意識の混濁した少女たちは記憶する。
「あれは、羽衣を纏った天使様だった」と。
そして。俺たち夫婦は同時に思う。
「「何やってんのーーー!!」」と。
クワンは正しい。俺が交渉を始める前。
クインザを認識した瞬間に。飛んだのだから。
彼女は上昇を止め、上から見える赤い球を目掛けて直下降を開始した。
それは一瞬の出来事。
真っ白い、音の無い線が出来上がり、問答無用で球体を破壊した。
敢えて彼女を人であると括るならば。
この3人の中で、ソラリマを武装展開したならば。
それは誰よりも速い。
クワンは迷わない。球の破壊こそが最優先だと。
この場の誰よりも速く。
クインザが次の回避行動を起こすよりも早く。
俺たちが言葉を発するよりも早く。
次に聞こえたのは大きな物が弾ける破砕音。
一切の迷いの無い彼女は、誰よりも早く行動した。
仰け反ったクインザの肩を鷲掴み、
一旦空へと持ち出した。
翻り、持ち運んだその先は…俺の目の前だった。
この場の最善策を、瞬時に見出してくれたクワンティに応え、考えるよりも前に。
ロープを往なして、クインザの両腕を肘から断った。
泣き叫びながら無い腕を求めて悶えるクインザを尻目に、落ちた腕の指から、5色の指輪を外して鑑定。
これは違う、これも違う。
水竜様に謝罪を祈りながら海へと投げ捨てた。
3つ目にそれはあった。
名前:架振の指輪(古代兵器)
性能:任意の場所に瞬間転移できる
魔力消費:3割/1回
座標条件:装着者が行った事の在る場所
座標軸:記憶、指定した人物付近の平場
同時搬送可能数:10名+装備品
(紐等で締結された状態で装着者と接触)
特徴:転移秘宝の1つ
迷っている暇は微塵も無い。
デッキを赤く染めている獣を保留し、指輪を左中指に嵌めた。
後で消毒しよう。
ロープを握り、海賊中央船のメインマスト中段にアーチを描いた。
船を乗り移り、力の限り叫んだ。
「中枢の魔道具は破壊した!呪いの解除は後で掛けに必ず戻る!あの塵虫を然るべき所に預けてからだ!
この中で離反者は居るか!!」
「…」
「俺に刃を向ける者は居るか!!」
「…」
「ならば良し!協力し!人質を全員デッキへ引き上げろ!
君たちは!もう!自由だ!!」
涙混じりの豪声が吹き荒れる。
動き出す兵士たちを振り返らずに、
フィーネの元へ戻った。
「フィーネはここに居てくれ。君が指輪の座標になる。
俺は王都へ塵処理に行く」
「解った。行って!」
---------------
タイラント王都パージェント。
商業ギルド。2階、支部長室。
そこでは今日も、ムートンが国政案件と商業案件の振り分け業務に追われていた。
そんな中。突然、唐突に。デスクの前に。
見慣れた青年が、見慣れた男を抱えて現われた。
「ムートン!」
呼ばれたムートンは一瞬、何が起きたのかが理解出来なかった。
「なっ…」
「この国家反逆者を置いていく。必ず陛下の前に送り届けろ。隷属の魔道具は木っ端に破壊した。
今は、海上の人質の救出中だ。
人質は全て呪いを完全解除する。
一旦、ラフドッグに収容。衰弱の激しい者は、後で総本堂前広場まで運んで来る。
カメノス商団の協力を仰ぎ、治療に当たらせてくれ。
金なら俺のツケでもいい。
クインザは倒れた!解ったか!」
「………」
「時間が無いんだ!呪いを解くのに制限時間がある!
今直ぐ答えろ!解ったのか!!」
「了解だ!!」
答えを聞くと、青年は大きく頷き、両腕を失ったクインザを床に降ろした。
一歩後ろに下がった場所で、思い出した様に青年は振り返った。
「あぁそうだ。俺はこんな雑魚に、聞きたい事なんて何一つ無い!斬首は俺の帰りを待たなくていいと。
陛下に伝言を頼む」
そう言い残して、青年はその場から消え去った。
---------------
そこはラフドッグから南東の海域。
一艇の小型クルーズ船のデッキ。
戻って早々に、呪いの解除、衰弱者の選別とピストン搬送を経て、残る人々はラフドッグを目指して貰った。
この短期決戦はたった一晩で幕を閉じた。
クインザは腕を縛るだけで、しっかり止血をせずにそのまま届けたが、腕の他にも何か装備はしていただろうと放置した。
届けるまでは生きてたし。
「終わったーーー」
フィーネの膝枕の上で、伸びをした。
「お疲れ様。マストの上で叫ぶスタン。格好良かったよ」
「ありがと。でも一晩で片付いて、本当に良かった。
特にクワンティ。お前は本当に賢いな」
フィーネの肩に乗って胸を張るクワンを、下から仰ぐ。
「俺の策だと、もう少し時間掛かってたし。失敗していた可能性が大だ」
「お手柄だね。クワンティ」
「クワッ」
「ソラリマも。今回ばかりは助かったよ。礼を言う」
『では、我も外に』
「だーめ。ソラリマは私たちの秘密兵器なんだから。
大人しくしてて」
今宵のフィーネは優しいのぉ。
『秘密兵器…。相解った!』
単純だな。
「王都も。今頃凄い事になってるだろうねぇ」
「まー、100人位は運んだしな。もういい、知らん」
「私も知らなーい」
「そういやあいつの腕は」
「水竜様にごめんなさいしてポイしました」
今の船の上は、フィーネが洗浄したので綺麗さっぱり。
序でに俺の指も。
「魚の餌になっていいのかも」
「そのお魚が回って来たら、嫌だなぁ」
言われてみれば…。
軽く笑い合い、満天の星空を見上げた。
「王都に帰るのが怖い。絶対ロロシュ爺ちゃん怒る。
寧ろ今真に怒ってると思う」
「私が盾になるよ」
「心強いっす」
「だって自分を守る為だもん。ゴチャゴチャ言われたくないよ」
「フィーネさんフィーネさん」
「なんだいなんだい、スタン君」
「このまま海の上で数日過ごすというのはどうだろう」
「非常に魅惑的だけど。ここって漁師さん来ない?」
「あー。そりゃ来るかぁ。じゃあ明日の朝にホテルに帰りましょ」
「そうしましょ」
「フィーネさん。お願いがあるのです」
「な、内容に依るかな」
「ご一緒にシャワーを」
「ん??あれは、お一人用では」
「だからいいのです!」
「…私からもお願い」
「何でしょう」
「その。真面目なのと、エッチなの。落差が激しすぎて心臓に悪いのです。どうにか出来ませんか。前よりどんどん悪化している気がします」
「無理です!」
「そんなにハッキリと言われると…」
兎に角海賊討伐は終わった。そんな夜。
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