上 下
98 / 115
第3章 大狼討伐戦

第59話 消えない思い出

しおりを挟む
光は物質か。科学的な難題。
熱には質量が存在するのか。盲目的な難問。

問うても答えは出ない。だから僕は叫ぶ。
「移譲!」

全身が燃えていた。文字通り高熱に焼かれて。

極太の光線は、押し出したBOXの端を通り抜け再沸騰。
圧し捻じ曲げられた光が、北の山脈の幾つかを抉った。

エンパイアは即座に気付いた。それでも吐き出された物は元には戻せない。ザマァ。

巨人は排出を中断。無理な中止が崩壊を招いた。

過ぎたる力に躯が堪えられなかった。

崩壊と焼失。断末魔を上げる事も無くドロドロの溶岩と成りその場で垂れた。

仲間や配下、城まで取り込んだ挙句。エンパイアは自壊の道を選んだ。

意識を失い、溶岩の溜りに落ち掛けた無能の身体をキュリオとジェシカが寸手で掴み取り、溜りから離れた。

「北の山が動いている!無能を回復後、一旦退こう」

峰岸の指示の前には既に、妻の2人が最大の回復術を施していた。

「リンジー。操れそう?」
「いや無理。規模が桁違いだ」
蠢く山の裾野。草木や岩場。小動物までもが土砂崩れに巻き込まれ沈んで行った。
動いている部分だけでも、遙か東まで続いていた。

余りの距離に地震で震えているのかと錯覚してしまう。

土煙と地鳴りの規模の割に震動が伝わって来ず、余計に勘違いを助長した。


「命を賭してまで、戦わねば成らぬ相手だったの…」
3人の傍らでルドラが呟いた。

その抑揚の無い感情は誰にも解らなかった。
当の本人さえも。

「意識が戻らない」キュリオが苦しそうに術を掛け続けた。
「落着いて。息はしっかりしてる。気絶してるだけ」
ジェシカに窘められ、漸く術を解いた。

「感想は後だ。俺は引き続き山の動きをここで見張る。無能は後方医療班に任せるんだ」
そう伝え終わると羽根を広げて飛んだ。


「無茶しやがって。格好悪いぜ、タッチー」
ヒオシが全身ケロイド状態のタッチーを背負い、峰岸だけを残して一気に離脱した。



峰岸は深追いはしなかった。
高く飛び上がると、無数の大木と大岩が飛んで来た。

山の向こう側をひた隠す様な行動。

フェンリルは必ずあの山の向こう側に居るに違いない。
好奇心より恐怖感が優る。

飛来物を叩いて落とし、燃え盛る溶岩溜りを序でに冷ました。木々が燃え黒煙が充満。所々でプラズマ現象も見え出した。長居は出来ない。したいとも思わないが。

偵察は冒険者の仕事。
何よりも無能をリタイアさせる切っ掛けを作ってしまった責も有る。

突然片側の羽根が動かなくなった。

気負い過ぎたか?いや、これは違う。
体感魔力には余裕を感じた。多少長く飛んだ位で枯れてしまう訳がない。

何かの妨害意志。こんな芸当が出来る存在。
フェンリル。その力は遠く離れたこの距離でも。

バランスを崩し、吹き上がった黒煙の只中へと落下した。

飛び込む寸前。
制御を失った身体が、細い腕に絡め取られ煙の外側へ押し出された。

「ミストか」

「遅れたね。こんな場所で死なれても困る。ユーコとてさぞ怒るだろう」

「助かった」

「持ちつ持たれつ。まだまだ働いて貰わねばな。子種すら貰い受けてはおらんと言うのに」

笑っていいのか、幾分悩む。

「大狼に捕われる前に離脱しよう」

「私なら問題無い。既にルドラ様の傘下に入った。上位存在が滅しない限り、誰の影響も受けない。夫や輩のお願い以外はな。感謝なさい」

「…有り難う」素直に喜べない自分が居た。

ミストに連れられ、山から離れた。




-----

監視台から千里眼を発動した城島が震えた。
「一難去ってまた一難てか…。あれはヤバいっしょ」

「山の全容は掴めませんか?」問い合わせは勿論ジョルディちゃん。伊達眼鏡が色っぽい。

「あんまし深読みすると、フェンリルに捕捉されるからさ。大体の大きさは解ったよ」
解った所でって話だけど。

「感心しました。今回は逃げないのですね」笑顔皆無で辛辣ぅ。萌えるわ。

「今更何処に?」笑って答えてあげた。
実際問題。今更逃げてもぼっちに逆戻り。
一人になったら、また門藤に狙われる危険が高まる。
とても面白くないわぁ。
クラスの生き残りも、この場所に集合してるんだしね。

後衛に居ながら逃げ出す意味が理解不能。


全身に重度の火傷を負った無能を受け入れた時は冷や汗が出た。

つい数時間前まで笑いながら言葉を交わしていた人が、こうもあっさり死にかける。

戦争だから仕方ない?誰も好きで参加してないのに。

-スキル【天配】
 並列スキル【塞配】発動が確認されました。-

試しに拡大を続ける山の端を塞き止めてみた。
ほんの一瞬で飲み込まれた。

弱いなぁ。時間稼ぎにもなりゃしない。
一人では手が足りない。リンジーさんを加えても無理だ。
最低でも後一人。同等の力を持つ人が。

候補として浮かぶのは、岸川さん。少し性格に難がある。
あの子は優し過ぎる。

高確率で東の人員が巻き込まれている状況では、本領を発揮してくれるか不安が残る。

あの山を潰せても。潰した瞬間に後ろから、てね。


「どうかな。止まりそう?あれ」
オートが隣まで来て聞いてきた。

「さぁね。あそこのマグマ溜りは越えられないみたいだよ。冷めちゃったら知らんけどさ」

「暫く様子を見て、拡大が再開したら、こちらは後退を始めた方が良さそうですね」ジョルディが見解を述べた。
みんなが薄々と感じてのを言葉にしてくれた。

「強引に押せる相手でもなさそうだしね。魔物でも魔獣でもない大自然と戦う事になろうとは…」
普段の冗談交じりには言わない。

きっと誰しもこの状況は予想してなかったんだと思う。

「タッチーの具合も気になります。私たちは一旦後ろに戻ります」

「そうしてよ。どうせ前に居たってやる事ないしさ」

オートが苦手なのか、彼の前では余り話をしないジョルディに連れられ、後衛部隊まで戻る途中。

「ジョルディって、オートっち苦手でしょ?」

「苦手と言いますか…。何故か、危ういなと」
「危うい?」

「少し探った程度ですが、居ないのです」
「居ないって誰が」

「オートさんが時折口にする、婚約者の方がです」
「あ…」
言われてみれば。

冒険者なら。何時何処で死んでいても不思議じゃない。
「既に亡くなってたりしたら、心の傷は突っ込んでは聞けないでしょ。今現在も乗り越えようとしてるかもしんないしさ。意外に前線部隊じゃなく後ろに置いてるかも」

「だとするなら良いのですが。一時期酷かった頃の、リンジーお姉様と似通う所も在ると感じまして」

「自暴自棄って奴?」
あの冷静さが、何処から現われる物なのかは少し気にはなってた。
友達でもないのに、プライベート面の質問は御法度。

女の子同士ならアリでも、男同士だとどうしても切り込んじゃいけない気がする。



後衛部隊のテント群まで戻ってきた。
出始めは分散した異世界組が、結局集結。
口にはしないが、みんな無能が心配なのだ。

自分には無く、無能君に有る物の差って何だろ。
僕が怪我しても…。ま、まあ人それぞれ。

彼女なんて要らないと豪語したのは自分だし。

「ジョルディはさ。…僕が死にそうになったら、泣いてくれたりする?」

「泣く?泣いて欲しいのですか?この私が居る目前で、恋人は元世で探す!と堂々と宣言された人が?」

「…」サーセン。調子に乗りました。
心で全力土下座っす。

「冗談です。お会い出来ない家族が心配なのは理解しています。でも死にかけ程度では泣けません。悲しみの涙は死者に対して捧げる物と考えます」クールっす。

死んだら一応は泣いてくれるんだ。
それだけでも有り難い。それだけでも、僕が戦う理由にもなるのかな。

今ここでジョルディに告白したら。
フラれるのは当然。逆にOKされた時が困る。何せ率先して帰ろうとしているのだから。

一時の感情だけで、打つけたら一番傷付くのは彼女だ。
帰還の道が全て無くなったら…。
その時までフリーで居て欲しいな。

もうグチャグチャだ。少なくとも告白は今じゃないな。


医療班の区画。
医療班長のチェイダさんを筆頭に、専門の人員が配備されていた。
設備面では移動用に制限されるので、高度な医療は望めない。それでも初期に比べれば雲泥の差。

僕らがマルゼに到着直後は、正直ボロボロだった。

非常に簡潔に述べると。
切った?舐めとけ。折った?整えて固定して寝とけ。
傷口が腐った?焼いちゃえばOK。
腹が痛い?大量に水飲んで全部出せ。
頭が痛い?ハンマーでぶっ叩いてみるか。

いやー。ズブ素人でも、こりゃあかんわと思うレベル。

稀少な回復の魔道具を適用されるのは上層。
末端なんてそんな扱い。酷いもんだった。

岸川、鴉州が点滴やら水回りを整え。無能、來須磨が道具を揃えた。4人の功績はとっても大きい。


無能君が運び込まれたと言うテントを覗いた。
「あれ?」
「あら?」
意外に元気そうな無能を見て、似たような声を上げた。

大型テントに1人だけ。個室対応とはVIPだねぇ。

全身ケロイドだったのも消え、髪の毛も元通り。寝顔は血色が良く、寝息も落着いてた。

2人の嫁さんも落着いてるから心配ないみたい。

「一瞬意識戻ってさ。竜血一瓶一気飲みしてやんの。自分で大切に飲めって言った癖によ」
來須磨が笑ってる。それなら本当に大丈夫そう。

テント内には峰岸夫妻が居ない代わりに、班長のチェイダさんが居た。

峰岸夫妻は別テント。主にユウコ殿が休養中。

冒険者隊の中核人物の無能。対応も班長自ら取り仕切ってるらしい。

「判断ミスは連戦の疲れも祟ったのでしょう。自然に起き上がれるまで完全静養。超常の秘薬を持っている事と、若さで乗り切れるとでも考えたのか。蓄積疲労を軽視し過ぎです」
チェイダさんが痛くご不満の様です。
医者からすれば、秘薬も回復術も自己の回復能力を妨げる物だとする思想から来る意見だ。
専門外なので誰も口を挟めない。

ふと浮かんだ疑問を打つけてみた。
「チェイダさんは、誰か想い人は居るの?」

「居ますよ、普通に。貴方は今の上官なので答えますが。私的な質問は避けて欲しいですね」

食い付いたのは鴉州と岸川。
「え?居たんだ」
「誰?誰?教えて」

「そうですか。誰も知らない所を見ると、彼からは何も聞いてないのですね」

「勿体振らずに」

「勿体振っている訳ではありません。皆様は信用出来ると信じて答えます。冒険者隊総隊長のオートです」

「「…」」僕とジョルディだけ顔を見合わせる。

「昔から戦闘能力は並以下。前線を仕切る彼の隣には組めず、こうして医療班に従事しています。彼が多くを語らないのは、私が狙われる危険性を配慮してだと思います。それが私には不満の種ですが」
堂々と公表出来ない辛さ。
両方の気持ちは理解した。隣に居られない苦しさも。

「ごめん。余計な事聞いちゃった」
「いいえ。幾分気持ちが楽になりました」

最後に無能の体温を確認して頷いた。
横から離れない2人の肩に手を置き。
「このまま体温が下がれば問題無いでしょう。2日経っても下がらなければ解熱剤を投与します」

他のテントに向かうチェイダを見送った。
鴉州、岸川もその後を付いて行った。


少し間を置いて、夫妻とルドラ以外はテントを出た。

「女の勘も、たまには外れるもんだねぇ」
「言わないで下さい。危ういと感じたのは本当です」

「自殺願望までは邪推としても、どっかで負傷すればチェイダさんに診て貰えるとかは考えてそだね」
「如何にも殿方が考えそうな事です」
全く以て。

オートに対する見方が変わった。良い方向に。

僕らもそれぞれのテントへと向かって解散した。



翌朝。…になる前の深夜。

遠方で響く爆音。これが日常だから普通に寝られるように成った。人間慣れっす。

敵は何も北側だけと限らない。
中級の魔物は常に横沸き。大きく三分割している部隊では全域に結界を張るのは難しい。

その対応は主に国軍の仕事。

マルゼから先は、魔物の領域。何が襲って来ても不思議じゃないさ。

休める時に休むべし。

ジョルディが隣の簡易寝袋で眠る事にも慣れた。
最初はドキドキ期待感で心臓飛び出るかと思ってました。

でも特別な事は当然無いまま。
だってチキンだし。何より僕より断然強いし。手なんて出せる訳ねぇです。

彼女が数日間西ルートに行ってる間は、逆に落ち着かなかった。
何処かで怪我してないか。
異常な魔獣に遭遇してないか。
弱い自分が何を心配してんだか。

もう気付いた。ボッチでおバカな僕でも気付いちゃった。

遠征を始めた頃には、僕の心は完全に落ちてた。恋に。

同時に勘違いしちゃいけない。
彼女はただ僕を監視してるだけ。任務であり仕事。
何かあると直ぐに逃げ出すチキン野郎の監視役。
それ以上でも、それ以下でもない。

変な期待をするだけ無駄なのさ。

「まだ、起きてますか?」
「寝てない。こうして寝るのも久々だしね」

「緊張しますか?」
「いやぁ、緊張しない方がどうかしてる」
同じ部屋、テントでも。家族で川の字で寝るのとは全然違う。三日で飽きない位、美人さんだもん。

「こう見えて、私も緊張しているのですよ」
「…意外っす」

平気なんだと思ってた。
寝袋に入る前、武装を解除して肌着になるのも堂々としてた。一応背中向けてたけど。
ひょっとしたら顔を隠してたのかな。なんて。

「私の母も、幼い頃に病気で亡くなったと聞いています。今では殆ど顔も思い出せません」
「…」母ちゃん。

「聞いていたはずの声も。優しさも温もりも。時と共に消えてしまう。人の記憶とはどうしてこうも、大切な記憶を失えるのでしょう」
今夜は何だか哲学的だなぁ。

「前を向く為、とか」くっさいわぁ。

「だと良いですね。ガモウも私も何れ道を分ける。どれ程忘れまいと願っても、時が過ぎれば忘れてしまう」
「…」それは先の話だ。

胸が苦しい。心が抉られるってこの事か。

「戻って来るまでの数日間。何時もガモウの事ばかり考えていました」
「…僕も、同じ。君の事ばっか考えてた」

ジョルディが袋の端を開いて半身を起こした。

「感情など後にして、思い出を作りませんか?簡単には忘れられない思い出を」
その言葉を聞いた瞬間。僕の理性はぶっ飛んだ。

初めて作る2人だけの思い出。
心の奥深く。記憶の奥に刻み付ける。
感情など後でいい。そんなの嘘っぱち。
温もり、体温、溢れる吐息、貪る様なキス。
顔、身体の形。仄かな汗の匂い。
交わるそこには、確かな感情が在った。
好きです!大好きです!何時からだ何てどうでもいい。

-最上位スキル【偏愛】は【天配】の影響を受け、
 【博愛】へと進化しました。
 同時にブラッディスキル【飛雲】を継承しました。-
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

浮気中の婚約者が私には塩対応なので塩対応返しすることにした

今川幸乃
恋愛
スターリッジ王国の貴族学園に通うリアナにはクリフというスポーツ万能の婚約者がいた。 リアナはクリフのことが好きで彼のために料理を作ったり勉強を教えたりと様々な親切をするが、クリフは当然の顔をしているだけで、まともに感謝もしない。 しかも彼はエルマという他の女子と仲良くしている。 もやもやが募るもののリアナはその気持ちをどうしていいか分からなかった。 そんな時、クリフが放課後もエルマとこっそり二人で会っていたことが分かる。 それを知ったリアナはこれまでクリフが自分にしていたように塩対応しようと決意した。 少しの間クリフはリアナと楽しく過ごそうとするが、やがて試験や宿題など様々な問題が起こる。 そこでようやくクリフは自分がいかにリアナに助けられていたかを実感するが、その時にはすでに遅かった。 ※4/15日分の更新は抜けていた8話目「浮気」の更新にします。話の流れに差し障りが出てしまい申し訳ありません。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜

k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」 そう婚約者のグレイに言われたエミリア。 はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。 「恋より友情よね!」 そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。 本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。

私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】

小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。 他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。 それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。 友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。 レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。 そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。 レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

ローゼンクランツ王国再興記 〜前王朝の最高傑作が僕の内に宿る事を知る者は誰もいない〜

神崎水花
ファンタジー
暗澹たる世に一筋の光明たるが如く現れた1人の青年。 ローゼリア伯フランツの嫡子アレクス。 本を読むのが大好きな優しい男の子でした。 ある不幸な出来事で悲しい結末を迎えますが、女神シュマリナ様の奇跡により彼の中に眠るもう1人のアレク『シア』が目覚めます。 前世も今世も裏切りにより両親を討たれ、自身の命も含め全てを失ってしまう彼達ですが、その辛く悲しい生い立ちが人が生きる世の惨たらしさを、救いの無い世を変えてやるんだと決意し、起たせることに繋がります。   暗澹たる世を打ち払い暗黒の中世に終止符を打ち、人の有り様に変革を遂げさせる『小さくも大きな一歩』を成し遂げた偉大なる王への道を、真っすぐに駆け上る青年と、彼に付き従い時代を綺羅星の如く駆け抜けた英雄達の生き様をご覧ください。 神崎水花です。 デビュー作を手に取って下さりありがとうございます。 ほんの少しでも面白い、続きが読みたい、または挿絵頑張ってるねと思って頂けましたら 作品のお気に入り登録や♥のご評価頂けますと嬉しいです。 皆様が思うよりも大きな『励み』になっています。どうか応援よろしくお願いいたします。 *本作品に使用されるテキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。 *本作品に使用される挿絵ですが、作者が1枚1枚AIを用い生成と繰り返し調整しています。  ただ服装や装備品の再現性が難しく統一できていません。  服装、装備品に関しては参考程度に見てください。よろしくお願いします。

処理中です...