上 下
83 / 115
第3章 大狼討伐戦

第44話 帝都の宴

しおりを挟む
夜風が寂しいっす。
宿の窓から出て、窓から戻って来た。
そのまま開け放ってカラッとした微風を受けながら、夜空を見上げ、久々のボッチを楽しんでいた…。

のは最初だけ。

時が経つに連れ、段々と寂しさ方が増して行った。

これまで常に誰かが隣に、傍に居た。

元世界だったら煩わしさを感じていたかもと思う。
こちらでは助け合い、互いに高め合う親友。
抱えきれない程の愛を与えてくれる2人の嫁。

腐れ縁とも呼べる、クラスメイトの生き残り。

旅で出会った人たち。誰一人、煩わしいとか面倒臭いとか思えた人は居ない。

「僕、死ぬのかな…」

-死んだら俺出られるぜ。ヒャッハー-

「前言撤回する」

-つまんねぇ…-

亜空間に閉じ込められ、ストレスは相当なもんだろう。

「必ず元に戻せる方法見つけるから、今は大人しく我慢してて」

反応は無かった。ある程度の了解の意と捉える。

「最近よく考えるんだ。最初に学校を出る時、もっと遣り様が在ったんじゃないかって」

-偽善者、だね。そう言うのは梶田にイジメられてる時に言って欲しかったよ-

「やっぱそう聞こえちゃう?」

-悪ノリする奴が居なかった分、よく聞くイジメに比べりゃマシだったってだけ。今のも全部結果論-

「たしかに。クラスの大半、他人に興味が薄い子ばっかだったね。僕含めて」

悩んでも、後悔しても。失われた命は戻らない。

-今じゃ俺も生きてんだか死んでんだか。期待せずに待ってるよ。でも途中で死んだりしたら、ホントに飛び出て暴れる予定だから。そこんとこヨロシク-

「ますます死ねませんなぁ」

手に馴染んだブレイカーを取り出す。
索敵マップに注意を払いつつ、身支度を済ませる。

放たれた刺客は10人。既に宿が囲まれていた。

お世話になったモールさんたちには迷惑は掛けられない。
赤斑点以外も偽装の疑い有り。今夜は寝られないぜ。

3階の窓から飛び降りた。

在り来たりなフラグを立ててみる。
「もしもの時は頼んだよ。君は、悪魔にでも天使にでも成れる。まだ誰も、殺してないんだからさ」

-だからさぁ。それ、解ってて言ってるよな-

死ぬ気は全く無い。簡単に殺される気もしない。
「言ってみたかっただけ」

藤原氏も少し笑ってくれた様子。


剣を鞘に納め、両手を上に高く上げた。
抵抗の意思無しアピールで、ワラワラと現われた刺客たちは意外そうな顔をしていた。

「不正入国の疑い有りとの情報を得た。大人しく…、しているなら危害は加えない」

看破に似たようなスキルだろう。
入場前に止めなかったのが不思議。

「どうぞ。何処行くの?」

「野鼠が知る必要はない」
-スキル【拘束】
 並列スキル【緊縛】発動が確認されました。-

刺客たちの手首から太い縄が飛び出し、一瞬で簀巻きにされた。
集団スキル。初めて見た。こんなのあるんだねぇ。

多少の息苦しさはあるが、これだけで死ぬ感じはしなかった。手加減してる?

不穏な異分子が入場したのが解っていても、まだこちらの素性には気付いてないと思われる。

大人しくしていよう。

目隠しまでされた。最近ちゃんと寝てなかったので、序でに寝ちゃえ。

「こ、こいつ…。寝やがった」



目を覚ますと、そこは地下牢。
地下としたのは、外気との温度差で身が震えたから。
縄は解かれ目隠しは無し。独房で粗末な藁と簡易便所が置かれていた。当然景色が見える出窓は無い。

他にもお仲間が居るようで、遠目から呻き声が聞こえてきた。

対岸の牢屋には誰も居ない。

明かりは廊下の蝋燭のみ。通風口からの微風でほんのり火が揺れていた。

巡回の兵士は僕を一瞥しただけで、直ぐに何処かへ行ってしまった。

敷地面積は十畳程で独房にしては広々設計。

これならと。
ランタン、コンロ、小型の炉、溶接材、カーテン、鍋を取り出した。

牢の鉄格子を溶接。カーテンを全面に張り、鍋で水を湧かしてパスタを茹でた。
もう一つのコンロで屑野菜炒めを用意。
味付けは塩胡椒オンリー。醤油やバターなんて贅沢だよ。

茹で汁は移し替えて収納。

-自由だな…。無能君-

「え?そうかな。監獄なんて初めてだから知らないよ」

お腹を程良く満たした後、時間潰しに城島君が要らないと言った少女漫画を読み耽った。

何このメルヘン。かと思えばドロドロな人間模様。
薔薇色な百合、BL当たり前。清純路線なヒロインが猟奇的に選出した男を殺しまくる。…意味不明なラブストーリーにページを捲る手が止まらなかった。

集中し過ぎて廊下の騒がしさに気付かなかった。

「おい鼠!この布を開けろ、皇帝陛下様の御成だ!」

行き成りTOPかよ…。暇なの?

読み掛けの漫画を収納。照明のランタン以外の小道具も戻した。


無視を続けていると、叫ぶ兵士に、怒鳴る上司の声が飛び込んで来た。

それでも無視を続けていると。
「どうやら開ける積もりはないようだな」
冷たく細い笑い声が聞こえた。

-スキル【消去】
 並列スキル【物滅】発動が確認されました。-

溶接した鉄格子ごと、カーテンが消えた。
す、すげぇ。

-なにあのチートスキル-

「鼠よ、きさ…」

何となく催していたので、ズボンを降ろして便器に跨がっていた時に、相手が強引に入って来た。

「ちょ、ちょっと待ってよ!」
牢屋ってプライバシーが無いんだね。

大層憤慨していたが、振り上げていた拳を降ろした。
「…後で上へ連れて来い」
背を向けて去って行った。

「早く済ませろ!」看守のおっちゃん、さっきから命令してばっかだな。兵士は逆に無口なのに。


用を済ませ、手を洗い流し、手枷を頂戴した。
引かれるまま、素直に看守に同行。後ろから兵士数名にサンドされた。

長い螺旋回廊を上り、上階へと出た。
そこは中宮のロビー?エントランスのような場所。
明るい照明器具が各所に並び、とても明るかった。

皇帝さんが居るからか。

腕組みしたまま金髪短髪のイケメンが振り返った。
「手は、洗っただろうな」
心配はそこかよ。

「洗いましたとも」当然でしょ。


「代は現皇帝ヴェルガ。お前は何者だ」

「僕はタッチー。ゴーウィンに無理矢理召喚された異世界人の一人さ」

「やはりか。あの御仁の言う通りになったな…。招いてもおらぬのに、何故我が帝国に入国した」
あの御仁ねぇ。予想通りかな。

「飛空挺。あんな愚かな乗り物を造った馬鹿が、どんな人なのかと思って。挨拶に」

「愚か、だと?この代がか?」他に誰が?

ヴェルガは面白そうに笑って首を振った。
「あれには代の能力を盛り込んである。見た上で記憶が消し飛ばないとは、珍しい事もあるものだ」
気付くべきタイミング。彼はそれを逃した。

跪く無能に向けて、右掌を翳した。

-スキル【消去】
 並列スキル【記滅】発動が確認されました。-

最大出力のスキルは、人の記憶さえも消去する。

「う、うわぁぁぁ(棒)」嘘です、演技です。ホントは何ともありません。

「な!?こ、これでもか!」

特に何も起きない。代わりに猛烈な眠気に襲われた。

-お、ビックチャンス到来?-

「だ、ダメだ…。フジワ…」

記憶を消し去るスキルの暴走。最早発動者にも止められなかった。

その場に居た者。遠くから監視していた者。ヴェルガ本人も無能も含め、全員が意識を失い倒れた。



「パンパカパーン」

無能のBOX内から脱出した藤原。道真は巨大なゲーターの姿で豪快に伸びをした。

「久々のシャバの空気は美味いぜぇ」

スヤスヤと眠る無能と、イケメンヴェルガを見比べる。

さっきの漫画の続きが何気に気になる。もしここで殺してしまったら、BOXまで消えそう。

愛しの鷲尾さんにも嫌われちゃう。

残る選択は一択。

-スキル【不死身】
 並列スキル【捕食】【融合】同時発動されました。-

パックンチョ。ヴェルガの身体を衣服丸ごと飲み下し、小躍りを始めた。

それが暫くの間続いた後、突然の停止。
大きなゲーターの腹を破って現われたのは。

「パンパカパーーン。2回目」

久し振りの人間の身体。頭に残るヴェルガの記憶。
あの飛空挺。門藤と思われる影。帝国の統治。
言語体系も同時習得。三十代のイケメン。
尚且つ、同性愛者…。

思わず胃の中の内容物を、転がる看守の背に吐き出した。

こ、この記憶は忘れよう。そもそも俺のじゃないしぃ。

記憶を辿ると、後ろ暗い事ばかり。皇帝ってここまでやるもんなのかぁ。元の自分の闇よりも深い闇。

道真の精神構造が反転。裏の裏は、表。


胃液塗れの身体と衣服。あぁ、お風呂入りたい。
しかし帝国内ではシャワーだけで、風呂に浸かる文化は存在しなかった。

プチ怒りに任せて、側近と看守長を蹴り起こした。

眠り呆ける無能の肩を揺すって起こす。
「…まだ眠いよ。あんた、誰…」
少し消去が効いていた模様。呆けた顔で薄目を開けた。

「藤原だよ!このイケメンにジョブチェンジした」

ハッと我に返った無能。
「藤原君!皇帝乗っ取ったの!?」

「これ以上中で待つのも暇だしさ。俺がいちゃ色々と遣り辛いでしょ?ゲーターの捕食と、こいつの消去スキルは使えなくなったけど。まだ、誰も殺してないよ」

「…まぁ。君がそれでいいならいいけどさ。この展開は予想してなかったわ」


「代は熱い湯を浴びる。用意せよ。してこのお客人は代の寝室に通せ」
「ハッ。直ちに」

男色の気配を察した側近たちが走り出した。

看守長に次々に起こされた兵士たちが、横たわるゲーターの遺体に驚きつつも、即座に指示に従い散開。それぞれの持ち場に戻って行った。

どうしてだかゲロ塗れの看守長だけは泣いていた。



ドゴーンと不意に後方で巻き上がる爆音と炎雷。
「何事だ!」

そこには、見覚えの有る3人と。知らない美女が立っていた。

ヴェルガの記憶にはある美女。その名は。
「聖女、シンシアたん!」いけね、素が出た。

「たん?兄方様。お久しゅう御座います」
「ひ、久し振りだな。今から、こちらの客人を持て成す所である。貴公らも…」

「させません!」
ジェシカの短刀が背後から喉元に当てられた。

周囲の衛兵も一切反応出来ない早業。

「ジェシカ。もう大丈夫だから、それ収めて!」

駆け寄るキュリオが無能を抱き締めた。
「よかったー。良かったよぉ」

「キュリオも、アルバさんも。もう心配ないよ」

シンシアもBOXに入れた手を出して下ろした。


「アルバ様と、聖女様が」
状況を飲み込みきれない、衛兵たちが身構えた。

「どうなってるっぺよ」

道真の代わりに無能が答える。
「後で説明します。ここは矛を収めて下さい!」

「今宵は客人が多いな。多少の誤解は在ったようだが問題はない。風呂の後は宴を催す。ジェシカたんも、お胸が当たってますよ」最後はジェシカだけに聞こえるように。

顔を赤くして剣を納めたジェシカ。



「んでもって、空飛ぶお舟はもうええんだべか」
テーブルに並べられたステーキ肉を頬張りながら、アルバが確認した。

「お行儀が悪いですよ。アルバ様」
シンシアがアルバの口端をナプキンで拭い取る。

ヴェルガの私室に繋がる議室の一つ。
侍女も給仕も衛兵も、全てを退かせた後の宴会。

藤原は久々の人間らしい温かい食事に夢中で、只管頷くだけに終始していた。

「偵察と情報集取だけして、さっさと逃げる積もりだったけど。予想外の展開で。うっかり出て来た藤原君が、皇帝さんの身体乗っ取っちゃった」
要約するとそんな感じになる。

「驚きましたね。人の意識を支配下に置くのではなく、乗り移るでもなく、融合したとは」
無能の両サイドから、キュリオと交互に食事を口に運びながら、ジェシカは感想を述べた。

無能自身もされるがままに、食べながら。隣のキュリオはニコニコするばかり。

「んご、ごもむんむう!(おい、王様かよ!)」
藤原はナイフで無能を指して、今直ぐ止めろと訴えた。

「シンシアさん、初めまして。で、考えたんだけど。飛空挺はここで壊すんじゃなくて。フェンリル戦で使い潰そうと思うんだけど、どうかな?」

「初めまして、タッチーさん。皆様の事は粗方、アルバ様から聞き及んでおります。それはとても奇抜な発想、だとは思いますが…」

咀嚼を中断して飲み干した道真が加えた。
「うーん。既に量産体制は整ってる段階で、北の本格開戦に合わせて乗り込む算段だったみたい。記憶では門藤先生ぽい人も出てくるし、このまま素直に終わるとは思えないんだけど?」

「あの人も、考える事は同じか…」

それもそうかと考え直す無能。
門藤の差し金だとして。その真意が丸で見えない。
味方でないのは確定してる。
いったい何が狙いなのだろう。


「根を詰めても妙案は浮かびません。今夜は休み、翌朝に話し合いましょう。自己紹介が未だでしたね」

シンシアは立ち上がり一礼した。

彼女は皇帝ヴェルガの遠縁の貴族の公女。
末席に近く、皇位継承とは無縁。アルバニルを崇拝し、英雄の意志を継ぐ為に家出。
彼に付き従う途上で発現した【聖女】スキルは優秀で、単騎で魔物数千を相手取れる強者。

タッチーとジェシカは、彼女の話を聞きながら思う。何処かで会った事があるような、と。真逆ねと。


各自の紹介も終わり、藤原が呼び鈴を鳴らした。
その夜は各自邸内での解散となった。

大陸唯一の帝国領は、無能たちの思惑とは全くの予想外に、たった一日足らずで陥落した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

【完結】王子と結婚するには本人も家族も覚悟が必要です

宇水涼麻
ファンタジー
王城の素晴らしい庭園でお茶をする五人。 若い二人と壮年のおデブ紳士と気品あふれる夫妻は、若い二人の未来について話している。 若い二人のうち一人は王子、一人は男爵令嬢である。 王子に見初められた男爵令嬢はこれから王子妃になるべく勉強していくことになる。 そして、男爵一家は王子妃の家族として振る舞えるようにならなくてはならない。 これまでそのような行動をしてこなかった男爵家の人たちでもできるものなのだろうか。 国王陛下夫妻と王宮総務局が総力を挙げて協力していく。 男爵令嬢の教育はいかに! 中世ヨーロッパ風のお話です。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

処理中です...