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第3章 大狼討伐戦

第33話 奇人vs変人

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「こ、これは…?」
王女様の驚く顔。これは何度見ても飽きないな。

事の序でに手渡した物。一つの武具。
実戦で使う者は中々居ない。ある意味凶器。鬼に金棒。
「メリケンサックです。もしもの時は、それで皆をお救い下さい。敵は、残念ながら魔物だけとは限りません」

「指輪にも似ているな。私は一国の主と婚姻した身。其方は先日皆の前で祝言を唱えた身。これは浮気に…」

「考え過ぎです、フレーゼ様。それは民を守る為の刃。そして盾ともなりましょう。それらで僕らの自由を確約して下されば結構。実に、それは交渉の品」

「過ぎると言えば其方もだぞ、タッチー。一人の時を狙い我が寝室に忍び込むとは。ダイヤの塊石だけでも過ぎたる物を。その上でこれか。私がもう少し若ければ、脱いでやっても良かったが」

「ご冗談を。後ろに控えますは我が妻たち。その前で醜態は晒せません。お言葉のみ有り難く」
両腕を掴まれている無能。元より身動きは取れない。

「では後日。誰も居らぬ時に参られよ。フフッ、こちらも冗談だ。そう怖い顔をするでない」
両側で燃え上がる2人を窘める。お、と、な。

「時間が無いので失礼します。夜分に寝室に大変失礼しましたー」

「まったく何かと思えば。反省なさい」
「すんません。マジでごめんなさい。二度としません」


「彼らには護衛も役に立たないな。いつまでそこに隠れておる。一国の主」
空気と化していた王が寝台へと戻った。
「いやしかし。怖かった」

「何とも情けない。あなたの浮気を断じた我が身。責任は取ります。さぁ、励みましょう。それとも、嫌だとでも?」
「め、滅相も無い。つ、次こそは女児を」

「まだ間に合う気がします。頑張りなさい、旦那様。それにしても、本当に面白い方々ですね。旅人たちは」
「そうだな。あれを御しようとしたのが、そもそもの間違いだと痛感する」

交差するは主と妃。一組の男と女。




-----

「ここで会ったが百年目。剣を返しな…」
「あ、アーチェ。預かっていた剣を返すよ。随分と助けられた。扱いが悪くて刃毀れが出来て済まない。無能たちに補修して貰って、更に英雄ゴルザさんに研いで貰った。仕上がりは文句無いはずだ」

手渡された鞘から刀身を引き抜く。
目映い月光を浴びて尚、輝く銀剣。英雄の手に掛かったと聞けば文句など出ようが無い。

見間違える程の逸品に仕上がっていた。美しい。
思わず見惚れてしまう。

軽さ、馴染み、強度。以前を遙かに凌ぐ領域。
何の文句が言えようか。

「だか、ら。普通に、返してくれる、って」
去り行く峰岸の背中を目で追いながら呟いた。
「ナイゾウ。私を抱け」
「は、はい!?」

「四方や。ここまで女に言われて退くまいな?」

「は、はい!全力を、尽くします」

ある意味必然。済し崩し的。熱く激しい戦闘が、繰り広げられた。らしい。




-----

「真逆あなたが、ここに来ているとは」

「あー、くちゃい、くちゃい!オエエエェェェ…」

「会って早々行き成り吐くとは。悪い酒でも飲んだのですかね?」

「おいらは酒弱くねぇだ。お前が、臭いだけ!あー臭いっぺよぉ」
悔しそうに地面を拳で叩いた。

「…随分と失礼な」

-スキル【変調】
 並列スキル【消臭】発動が確認されました。-

「あー慣れた!慣れたと思えば何でもいけ…オエエェ。な、何だおめぇは!自覚はねぇだか」

「これでも抵抗しますか。流石はS級の端くれ」

-スキル【奇術師】
 並列スキル【ダメ推し】発動が…。-

右手の拳を尻の末端で握り絞める。

「自覚してるでねぇか!あぁ、止めるだ。その手を、その手を開くでねぇ」
一抹のヴィジョン。怯めば敵の思う壺。

その手は無惨にも開かれた。絶望の香りが広がる。
「我らの願い。それは、三番手の神の復活。彷徨って頂きますよ。我らの苦渋と同じ時間を」

「やっぱし、自覚してるでねぇかぁ!!」

気絶の闇に堕ちるアルバ。その寸前で。

「見抜いたでよ。思い上がるな旅人。他の者の声を聞くといいべや!」

懸念材料の一つは排除出来た。
後はゴルザを排除すれば達成出来る。崩れ去るアルバは回収出来ない。こちらにもそれ程の余裕は無い。

次に目覚める時。それが彼らと真の雌雄を決する時だ。

二度目の邂逅を果たす。今生の別れを告げたはずの異世界。再びここへ呼び戻された。
アーデス様が呼んでいる。この私を、呼んでいる。

それだけが希望。例えそれが…。

大地が震える。その答えを拒絶するかのように。
我らは震える。その答えを異端だと断ずる為に。
故に我思う。異端こそが正義足らんことを。


「あー慣れたっぺ!させねぇよ」
起き上がったアルバが、奇術師に向かって指を鳴らした。
完全に注意を離していた奇術師は、その音で振り返った。
「それが?」

「消臭が駄目なら、除菌だべ」

次の瞬間。真っ青な炎に全身が包まれた。
「あーーー、熱い。消さなければ、今直ぐに」
全身に纏った油とガス。そして体内の可燃性ガス。中に着火すればかなりの痛手。考えている時間は無い。

奇術師は空高く舞い上がった。
直近の水場。森の湖。却下だ。あれは綺麗過ぎる。

距離はあるが学校の校舎。あの地下には溜め込まれた下水ヘドロが堆積しているに違いない。
貯水槽で消火してから、再び汚物を取り込めれば。負のオーラは再生出来る。

僅かな記憶と風景を頼りに迷わず飛んだ。

彼は知らなかった。残る校舎の外周に張られた、透明な多重障壁の存在を。


半壊した校舎の脇には清らかな泉が湧き、東方の川までの小川が出来ていた。

不審には思った。
生徒たちが造ったにしては規模が大きい。穴を掘れる重機は持って来なかったはずなのに。

「けっ!?」
一枚目の障壁を突き破った所で、彼の身体は爆散した。

人の成長速度は速い。この世界に順応を果たせば劇的。
彼は生徒の成長分を考慮していなかった。

「…他の者の声を、聞けか…」
つい先程のあの男の言葉。

このままでは終われない。例え灰燼と化したとしても。
血肉一片からでも甦る。奇術師に不可能は(ほぼ)無いのだから。

薄れ行く意識を笑いながら手放した。




「うわぁ、何あれ」
「何かここまで臭くない?」

「キモい!私たちの大事な温泉が汚されるのは嫌。フウは梱包。カルちゃん転送魔術」
「また損な役回り…、しゃーないなぁ」
「転送はまだ実験段階だよ?」

「転送?おもろそうだで、おいらも手伝う」

「アルバさん、いつの間に!?」

「さっきだべや。置いてくんだもんよぉ。ビューンとパパッと、あんなばっちいもんは…。西の大陸にかっ飛ばそう」

「西側の情景はアルバさんにお任せします。精密な情景を浮かべられる程、精度も上がる計算です」

カルバンとアルバは即席石棺の上で手を重ね、祈る。
空いた手には黒の魔道具。

黒い瘴気のような渦が巻き上がり、石棺全体を包む。
靄が晴れると、音も無く石棺が消えていた。

「意外だわ。てっきり流れ星みたいに飛んで行くのかと」
「私ももっと派手なの想像してた」

「残念ですが、本来非戦闘用魔術に派手さはないよ。それよりアルバ様は、西の大陸に渡った事がおありで?」

「もちのろんだっぺ。たまーに強い魔族が渡って来た時がちょいちょいあって。ちょちょいと懲らしめに」

「魔族が?今、西海岸の守護は何方が?」

「代打の聖女ちゃん。キュートでめちゃんこ強い、おいらの一番弟子さ」

「ほらやっぱり。言った通りでしょ」
山査子が神妙に頷いた。鷲尾とカルバンも深く同意した。

「お師匠様の一番弟子。俺も会ってみたい」
「この浮気者。キュートに食い付いたな」
鷲尾が浮つくサリスの頬を抓った。

「イタイッす。アビさんが一番っす」
「どうだか。怪しいなぁ」


「後方5km地点。先頭集団が到着」
エストマからの定期報告。他の2人も偵察と警戒に回っていた。それぞれが地図の魔道具を持ち、捕捉は万全。

これからが本番。敵の増援にも注意した上で、囲い込みと籠城戦が始まる。

生物は糧と水が得られないと死んでしまう。檻の中で多人数で衛生面も悪化。軽い病でも流行れば大打撃。

誰一人殺さず、要求は全面降伏と撤退。
清潔な水。食料や薬の用意はする。物資の運搬は無能に託してあるので心配はしていない。

不安要素が在るとすれば。こちらの心が折れる事。流石に救える人たちが目の前で死に始めたら、檻は解除せざる終えない。

先に敵が折れてくれるのを願うしかなかった。




-----

「ねぇ、ヒオシ。私思う訳よ」

「な、何をでしょう」

「ヒック…。放っておけって話よ。一々一々、ちょっかい掛けんなって話よ。解る?ねぇ解ってる?」
「解ってるよ。飲み過ぎだよメイリダ」

「なーにが解ってるんだか言ってやってよ、リンジー。ねぇこの年増。私だけでもヒオシを幸せにするっての」
「い、今のは聞き捨てならんぞ、メイリダ」

「なーにが捨てられないって?昔の男?気色悪い。私第一よね?他は要らないんだよねぇ、ヒ、オ、シ君」
ヒオシに手を伸ばし掛けた所で、メイリダはテーブルに伏して眠ってしまった。

最近のメイリダは荒れていた。式を挙げてから、ではなくマルゼに到着してからだろうか。

そっとベッドまで運び、厚手の毛布を掛ける。

「いったい何が不満なんだろ」
「不満ではなく、不安なのね。きっと」
リンジーがメイリダの頭と枕の位置を整えていた。

「不安?」

「明後日から始まるワーウルフ討伐。その後のフェンリル討伐。何方も名だたる強者。死者が出るのは免れない。私たちとて同じ。死にたくない。ヒオシに死なれたくない。仲間も同じ。そこに、私も含まれていると良いのだが」

「含まれてるよ、絶対。おれが保証する。でなきゃあんな悪口、本人の前で言うはずないよ。本当に嫌いだったり興味なかったら、多分何も言わないだろ?」

「前線には出るな、とでも言いたいのかな。この私でも年増は傷付く…」

「まぁ、何と言うか。おれは全く気にしてないから。明日になれば、謝りに来るって」

「一度本音で喧嘩でもしてみる」

「抜刀したら止めるからな」

「冗談よ。腹の内を見せ合わなければ、前に進めない事だってあるでしょ。…複数婚の難しさ。これで解った?」

「正直、こんな展開は想像もしてなかった。上手く行ってる他の2組が羨ましい」

「あれらは特殊。私たちだって上手くやっている方だ。普通はこうはならない。愛する者を独占したい気持ち。子を設けるのは自分だけ。女なら誰でもそう考える」

「…」

「フレーゼ様が良い例だ。多妻が通例の王家の中に在って一婦を貫かせた強き人。その昔、エラム王にも妃の候補者が何人も居た。時に聡明な話術と策略、時に拳を交わし頂点にまで登り詰め、王を説得為された」

「王様、ドMじゃん」
「ドエム?」

「いや独り言。気にしないで」

「公言通りに健康な男児ばかりを設けた運の良さ。誰も反意を示さず、下の人望も厚い。実に短気で衝動的な面が表に立つが、しっかりと歩を弁える素晴らしい御人。騎士団時代には大変良くして頂いた。身内にはとても優しいが裏切りや敵対者には、容赦無く鉄槌が降ろされる」

「何だかハチャメチャな人だなぁ」

「それも魅力の一つだと捉えてくれると嬉しい。根っからの武闘派なのは自他共に認める所。先日タッチーに王国が帝国に成り得ると評された時も、私はあの御方なら遣り兼ねないと思った。何故なら、一時期フレーゼ様の教育係をしていたのが」

「ロンジーさん?」

「ご名答。どうして解ったの?」

「何となくだよ。聴聞会とか式でも、王女様一切ロンジーさんを見てなかったから。態と逸らしてる風に見えてさ」

「じゃじゃ馬を躾けるのは慣れっ子さ。は、母さんの口癖。私もその内の一人。その縁もあり、騎士団長のベンダー様の推薦で、私は王女専属の近衛隊に置かれた」

「人に歴史あり、か。リンジーのお父さんってどんな人?あの御母様を射止められた人って相当強い人?」

「…その話は。今度、メイリダも起きている時に。こう言う小さな所から、1つ1つ壁を乗り越えられたらと思う。と言っても父に関しては私も知らないの。母さんは一切教えてくれない。今でもね。責めて生きているとか息災なのかだけでもいいのに」

「意外に、近くに居たりして。ただの勘だけど」
ただの勘。これ以上は適当な発言を慎み、ロンジーに直接聞いてみようと心に誓った。

難しい顔をするリンジーを解きほぐし、その夜は別々のベッドで眠った。


気になる所で終わらないでよ…。気になり過ぎて眠れないよ。
メイリダは、明日どうやってリンジーに謝罪すべきか。父親は誰なのかばかりが頭を巡り、遠退いた眠気が戻るのを切望していた。
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