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3章。 クズと令嬢
あまりにも早すぎる諸々を決して見逃すな
しおりを挟む「では、また気が変わったら声をかけてくれ」
「...失礼します」
ぶっ壊してやると息巻いたものの、
今すぐに行動にうつせるわけではない。
一番安易なのはセックスして調教することだが、早坂に矢印を向けている2人や会長を口説くのは正直今のままだと難易度が高すぎる。
無理矢理なんてレイプ紛いなことをする趣味はないし、そんなことをしたら佐藤優の築き上げてきたイメージが崩壊する。
そもそも心を破壊したいわけではない。
ただ関係性を歪ませてやりたいだけだからな。
なのでその場は特に何もせず、当たり障りなくポーカーフェイスで乗り切った。
...さて、どうするか。
と言っても今できることは限られている。
まずはカイさんに確認したいところだが、あの人の性格上俺が巻き込まれたと知ったら自首してしまいそうだからそれはできない。
本当に良い男なんだ、あの人は。
あまりもたもたしていると次は彩花に話が行くかもしれない。まぁ彩花はあまりカイさんを好んでないからそもそもほとんど絡みもないし、本当に心当たりもないだろうから大丈夫だと思うが、新見関係の話はあまり聞かせたくないところだ。ただでさえメイのこともあって新見が大嫌いなのに、俺まで狙われてたと聞かされたら暴れて彩花まで問題になりかねない。最近の彩花は俺が絡むと狂気すら感じるんだよな...。
さて誰から手をつけるか。
生徒会長はまだ無理だ。
矢印が一切俺に向いていない。
なんらかの取っ掛かりが必要だ。
同じ理由で藤浪と東堂も無理。
こいつらは特に難しい。
好意どころか敵意を感じる。
ならまずは早坂と副会長にハニートラップを仕掛けて関係性を歪ませてやりたいところなんだが....
彩花とメイは...やめておこう。
薄々気付いていたがメイはともかく彩花は俺への愛が重い。ただでさえ付き合わないと宣言している現状で奇跡的に安定した関係性を築けているのに、その好意を私的に利用しようとしたらまた殺されてしまいそうだ。
メイも新見に利用されそうになったトラウマを刺激しそうだから無理だ。
紗雪も最近その兆候がありそうだからあまり刺激したくない。
美愛も無理。彩花同様殺されそうだ。
...改めて考えると俺のセフレレギュラー陣、相当危ういな...。いや、今は考えないようにしよう。
後は...
立花に修行と称して...
いや、無理だわ。この前、適当な男を捕まえてどれだけ技術が向上したか試してみるか?って悪ノリして言ったんだが
「師匠以外とセックスなんか絶対にしません!」と宣言されたんだった。
いやそんな一途にならんでも...。
楓先輩は論外。あれは本物の天然だ。
小百合はそもそも彼氏がこの学園にいるらしいから無理。
...咲夜に頼むか?
考えれば考えるほどあいつしか適任がいない。そもそもまともな奴はハニートラップなんか協力してくれないだろうが、咲夜はまともじゃないからな。
勿論あいつが面食いなのは分かっている。
早坂は無理だろう。
だが幸いにして副会長はイケメンだ。
年上のイケメンで、これは勘だが女慣れはあまりしてなさそうな気がする。
あいつの大好物だろうから喜んでやってもらえそうだな。
で、俺は一番イージーな花山華をまず堕とす。
内部からじわじわと崩していこう。
よし、咲夜に連絡をしよう。
◇◇◇
「優様~♡私、幸せすぎますぅ。優様に初めてを捧げられるなんて...」
生徒会をぶっ壊すと決めた翌日、
俺はすぐに花山華と肉体関係を持った。
正直言って同じ高校のファンを食うのはリスクが大きすぎて多少躊躇したが、形振り構っていられない。
別になんてことはない。
花山華は流石俺のファンだけあって、昨日のやり取りをかなり気まずい気持ちで見ていたらしく、わざわざ自分から謝罪に来たのだ。
それを優しく受け流しつつ本気で口説いて、抱いた。
花山華をちょろいとは言ってやるな。
自分で言うのもあれだが、花山華は俺を推している。
推しに罪悪感を持っている状態で逆に推しに気遣われ、優しく接せられた上で口説かれて落ちない人間はそういないだろう。
しかも口説いた人間がこの俺だからな。
しっかり仕事を口実に付き合わないことと関係を秘密にすることを念押しした上でな。俺に死角はない。
花山華と事後のピロートークをしている最中、俺の携帯に連絡が届いた。
「ご馳走様♡」
笑顔でピースしている咲夜と
すっかり腑抜けた面で緩んだ笑顔をした副会長とのツーショットつきだ。
ご丁寧に2人とも裸で。
...俺が言うのもなんだが、あいつ本当に仕事が早いな。
しかも別に俺はヤれなんて流石に頼んでない。誑かしてくれとは頼んだが、一瞬で捕食しやがった。
まぁ男と女じゃ初体験の価値は違うから何とも言えないが、俺が処女を抱くまでとあいつが童貞を食うまでのタイムアタック対決とかしたら勝てる気がしない。今回は俺が形振り構わなかったから同着だったが、そもそも下地があった俺と下地0の咲夜が同着だ。意味分からん。
「ありがとう。手筈通りに頼む」
「はぁい!でも優君とえっちしてから他の男としても全然イケなくなっちゃったんだから、ちゃんとご褒美ちょーだいねっ♡」
「わかったわかった。
でもイケなくても童貞は好きなんだろ?」
「まぁね♡可愛いんだもんっ。別腹だよ。
優君は全然可愛くないけど女を心底感じさせてくれるから大好き♡」
返ってきた返信に苦笑いを落としつつ。
俺は俺で花山華にあることを頼んだ。
本来であれば違うことを頼む予定だったんだけどな。こうして花山華と関係を持って話を聞くと、これがまたとてつもない爆弾を持っていたのが追い風になった。
このままいけば想定より早く片がつく。
こうしてわずか1日で
キラキラした生徒会に地雷を二つ仕込むことに成功した。
...てかまじで咲夜が凄まじいんだが。
真面目で厳つい上に他に好きな人がいる他校の2年生をどうやって1日で口説いたのかめちゃくちゃ気になるんだが。
あまりにも早すぎないか?
◇◇◇
僕には幼馴染が2人いる。
1人は桜ちゃん。
少し暴力的なとこもあるけれど、
困った人がいたら見過ごせなくて、誰にでも手を差し伸べる凄く良い子だ。
実は僕も幼稚園の頃に周りと馴染めなくて浮いていた頃に声をかけてくれて引っ張ってもらったことがある。
それに凄く可愛い。自慢の友達だ。
なんだかんだで高校までずっと一緒で、いつも一緒にいた。
桜ちゃんは凄くモテるから、いつも告白されているけど誰とも付き合わないんだよね。不思議。
勿論そんな桜ちゃんと一緒にいるのが冴えない僕。やっかみをうけることも多くて、でも昔助けてもらった桜ちゃんと離れるなんて不義理な選択をする気もないからまずは自信をつけた。誰に対しても堂々と接せられるように頑張ってきた。
それに運動はあまりできないけど、勉強は凄く頑張ったんだ。入試成績も学年三席だった。
...ただ、この長い髪のせいであまり顔が見えなくて暗そうな雰囲気が抜けないから切りたいんだけど、それを言うと絶対に
「切らなくていいわよ!カズはそのままでいいの!それが似合ってるから切らないで!
...カズの本当の格好良さを知られたら独占できないじゃない」
いつも後半は小さくてよく聞こえないんだけど、真っ赤な顔で切らないでと言われてしまうんだ。
まぁ桜ちゃんが言うならいいのかな。
そういえば僕が前髪を上げるといつも真っ赤な顔になるんだよね。そんなに酷いのかな...僕の顔。悲しいからあまり考えないようにしてる。
もう1人の鞘ちゃんは何と東堂グループの令嬢なんだ。
東堂グループと言えばまだ社会に出てない僕でも知ってる大きい会社。
住む世界の違う僕がなんでそんな凄い人と仲がいいかと言うと、中学校1年生の時に鞘ちゃんは凄く浮いていたんだ。
なんだろう、いじめられていたわけではないんだけど、こう、避けられているっていうか、周囲から一歩引かれている感じだった。
それは鞘ちゃんがご令嬢だったのもそうだし、なんだか孤高のオーラみたいなものを発していたんだよね。
でもある雨の日に、鞘ちゃんが下駄箱の近くで立ち尽くしていたんだ。
その時の鞘ちゃんの横顔が何だか寂しげに見えて、思わず話しかけてしまった。
勿論冷たい態度を取られてしまったけど、桜ちゃん譲りの堂々とした態度でめげずに話しかけたら、やっと答えてくれた。
「はぁ。しつこいですね、あなたは。
迎えの運転手の家族が風邪を引いてしまったみたいで、今日は迎えはいらないと伝えていたんです。この平和な日本で白昼堂々誘拐なんてまずないですからね。そしたらこの雨で...」
とのことだったので、僕の傘を渡して
僕は走って帰ろうとしたんだけど...
「ちょっ、待ってください!あぁ、もう、強引な人ですね。わかりました、折衷案です。一緒に差して帰りましょう」
と言ってくれて一緒に帰ったんだよね。
まぁちょっとかっこつけすぎて鞘ちゃん寄りに傘を差しすぎて結局僕はずぶ濡れになっちゃったんだけど。
そういえばあの時も濡れた髪をかき上げたら鞘ちゃんが真っ赤な顔をしていたな...
全然目を合わせてくれなくなったし...
やっぱり僕の顔って相当ひどいんだろうな...あ、泣きたくなってきた。
まぁそれから鞘ちゃんは少し僕に心を開いてくれて、そこからどんどん仲良くなった。
その繋がりで誰にも物怖じしない桜ちゃんとも仲良く...いつも口論してるけど...まぁ仲良くなったんだ。
なにを言い争ってるのかよくわかんないけど、僕を挟んで喧嘩するのはやめてほしいけどね。あ、事あるごとに桜ちゃんが幼馴染を強調するせいで、「私も幼馴染です」って鞘ちゃんが言い出していつしかそれが暗黙の了解になった。その発言は今思うとおかしいよね。
そういえば鞘ちゃんは凄く可愛い上にその...胸もめちゃくちゃ大きくて...
わざと僕に押しつけてからかってくるから困ってしまう。
そういうのは誰彼構わずやったらだめだよってやんわり注意するんだけどいつも
「カズさんにしかしないので大丈夫です。
...それに桜さんに勝つにはこの胸を使うしか...」
と言われてしまう。後半はいつも小声で聞き取れないんだけどね。
でもそういうことじゃなくていつか好きな人ができた時に僕とこうしてたら誤解されちゃうんじゃないかなって心配してるんだけどな...。
そんな僕たち3人は同じ高校に入学した。
成績的にS組だから違うクラスになっちゃうと思ったんだけど何故かS組にはならず3人同じクラスだった。不思議だなぁ。
「鞘、あんたが何かしたの?」
「裏から手を回しました。桜さんをSにするのは無理があるのでカズさんをこちらに」
「ぐっ...。まぁ、いいわ。ありがとう鞘」
「いえ。抜け駆けもつまらないですからね」
2人がコソコソなにか話している。
全く聞こえないけど、仲良いなぁ。
そして揃って生徒会に入った。
発端は僕がひょんなことから会長と知り合って誘われて、強引に2人が入ってきたんだけどね。
会長は大人の女性って感じで、綺麗だしなんかこう凄く...ドキドキする。
副会長は厳ついけどかっこいいし、実は優しい。
書紀の花山先輩は他の4人には気さくに接してるんだけど、何故か僕はあまり良く思われていない。
いつかどうにかしたいんだけど、先輩だし、実害はないから追々だ。
そんな充実した学園生活を送っていた。
今僕は一人で生徒会室に向かっている。
会長に一人で来てと呼び出されたからだ。
そういえば先週に初めて話した佐藤優君。
流石人気モデルだけあってすっごくかっこよかったなぁ。同い年なのに大人っぽくて。
でも同じモデルの3年生で、凄くかっこいいんだけど評判の悪い天道先輩に脅されてそうでとても心配だ。大丈夫かなぁ。
そんなことを考えながら生徒会室に入ると、神妙な顔をした会長が待っていた。
神妙な顔も綺麗だなぁ。てかなんだかいつもよりも綺麗...?なんだか顔もちょっと赤いし、呼吸も少し乱れてて...なんかこう、色っぽくてドキドキしてしまう。
「おはようございます、会長。なにかありました?」
「おはようァッ...早坂。あぁ..あったとんッ...言えばァッ...たんだが...くッ」
珍しく歯切れの悪い会長。
これは珍しいなと思いながら、返答を待つ。
「その、だ。っ...
突ん...然で申し訳ないィィ...が...。ン..早坂、今日限りでお前には生徒会を辞めてもらうことになったァッ...」
へ?
───────────────────
咲夜ちゃんは主人公以外とも普通にやります。
女版佐藤君だと思ってください。
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