19 / 41
2章。クズと親友
時として楽観が必要なこともある
しおりを挟む「...それで、実は僕は幼馴染なんだ。
小さい頃の話だけど、結婚の約束もしていた。
....まぁ、子供の時の話だし、流石にそれは覚えていないかもしれないけどね。
同じ高校に通っていることは知っていたんだけど、やっぱり学年も違うし、それに今は人気モデルだ。もしかしたら僕のことをわからないかもしれない。そう思うと中々会いに行けなくてさ...それで、佐藤君は同じ事務所に所属しているんだろう?学校で話してるところも見たことがあるんだ。もしよかったら橋渡しをしてくれないかな...?」
「あ、あぁ...。結婚の約束云々は知らないが、幼馴染がいたことは聞いてるよ。君がそうなんだね。いいよ、今から行く?」
「そうなんだ!よかった、忘れられていなかったんだ....ありがとう、佐藤君。今からはちょっと急すぎるから、明日の昼休みに会えるようにしてくれないかな?」
「あぁ、聞いてみるよ」
「ありがとう!...ところで佐藤君は、あやちゃん...あぁ、僕はあやちゃんって呼んでたんだ。あやちゃんとは仲良いのかな?」
めちゃくちゃ不安そうに聞いてくる春日井君。だけど安心してくれ、ただのセフレだ。
「まぁ仕事でも学校でも先輩だしな。人並みには仲良いよ。でも多分春日井君が思ってるような関係じゃないから安心してくれ」
「そ、そ、そ、それはどういう!?...って、誤魔化しきれないよね...あはは。ありがとう、ちょっと安心したよ。佐藤君が相手じゃ自信ないから...それじゃあ、また明日お願いね」
「あぁ。頑張れよ」
そして連絡先を交換して別れた。
正直内心の動揺を止められなかったが、なんとか乗り切った....
しかし、春日井 朝日か...
そして、境彩花...萩原メイ...
ってことは..新見真(にいみ まこと)もいるんだろうか....
それになによりも、遊嵐学園....
なぜ俺が会ったこともない春日井朝日を知っていたか。
それは俺が前世で主演を務めた映画の主人公が、春日井朝日その人だったからだ。
◇◇◇
「彩花の幼馴染を名乗る春日井君なる者が
あやちゃんに会いたいって言ってたから明日の昼休み空けといて」
「は!?なにそれ!?」
午後の授業をぼーっと過ごし、その帰り。
彩花にとりあえず連絡しながら、俺は帰路についていた。
しっかし、境彩花....
何で今まで気づかなかったんだ俺は。
モデルをやっていて、遊嵐学園に通っている。親友は萩原メイ。
小学生の頃に仲の良い幼馴染と引っ越しで別れる。
そして遊嵐学園で再会...
そうか...俺は
[あおはるっ!]の世界に転生していたのか...
しかもメインヒロインの彩花を既にセフレにしてしまっている...不味くないか...?
「まぁ、別にいっか」
よく考えたらいくら物語の世界に、原作に名前も登場しないモブとして転生したからと言って俺が自重しなければいけない理由はないな。
恨むならモブを無駄にイケメンにしてしまった世界を恨むべきだ。
彩花と春日井君がくっつかなければ世界が滅亡するって言うなら話は別だが、そんなカオスな展開はないだろう。
そもそも俺は彩花と付き合ってないし、
特に彩花に対する独占欲も持ち合わせていないので、彩花が春日井君と愛を育むことになっても特に不利益はない。
ちょっとだけ惜しい気持ちもあるが、他人の恋愛は邪魔したくない主義だ。
しかし、そう考えると心が楽になった。
そしてスッキリした気持ちで家に着くと、
そこからあまり時間を置かずに来客がきた。
扉を開けると、走ってきたのか、息が切れている彩花がいた。とりあえず中に招き入れる。
「彩花?いきなりどうした?連絡なしでくるのは珍しいな」
「はぁ、はぁ。..
優君が返事くれなかったんじゃん!」
「ん?あぁ、悪い悪い、気づかなかった」
「ねえ、優君!春日井君に何か変なこと言われた!?」
「いや、別に」
「お願い!言って!」
「んんん?あー...なんだったっけな...
あやちゃんって呼んでるのと、結婚を誓った仲みたいなことを言われ...」
「違うの!!!」
食い気味に俺の言葉に重ねてくる彩花。
「えっと...なにが?」
「ぜんぶ!誤解しないでね!あやちゃんなんて子供の時の呼び名だし、もう呼ばせる気もないから!それに結婚なんて誓い合ってない!お嫁さんになってって言われたことは確かにあるけど、私は返事なんかしてないもん!」
「いや...別に子供の時の話だしそんなムキにならなくても...それに仲良かった幼馴染なんだろ?春日井君がモデルをやるきっかけになったなんて言ってたんだし、そんなこき下ろさなくてもよくないか?」
「やだやだ!やだもんっ!私が仲良い男の子は優君だけなのっ!」
あ、はい。
「どーどー、落ち着いて、落ち着いて」
「...優君、抱いて」
「また随分と急だな!?」
「いいから!はやく抱いてよ!」
...紗雪といい、最近の美愛といい、今回の彩花といい、俺のセフレは肉食系が多いな...
てか3人しかいないから全員だわ...
みんなこんな子じゃなかったのに...どうして....
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたのだが、この後どうしたらいい?
みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。
普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。
「そうだ、弱味を聞き出そう」
弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。
「あたしの好きな人は、マーくん……」
幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。
よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?


男女比1対99の世界で引き篭もります!
夢探しの旅人
恋愛
家族いない親戚いないというじゃあどうして俺がここに?となるがまぁいいかと思考放棄する主人公!
前世の夢だった引き篭もりが叶うことを知って大歓喜!!
偶に寂しさを和ますために配信をしたり深夜徘徊したり(変装)と主人公が楽しむ物語です!

俺の好きな人は誰かの幼馴染(ヒロイン)らしいけど、知ったことではない
シダ植物。
恋愛
高校生の三枝叶翔は入学して早々今泉柚羽に一目惚れをする。しかし、彼女には仲良くしている幼馴染がいた。そうそれはまるでラブコメの主人公とヒロインのような...。だが、そんなことは関係ない!とアピールをする叶翔の運命は!?ハイスペック男子が全身全霊をかけて誰かのヒロインを搔っ攫っていく。まるで見る人が見れば当て馬のような主人公の送る青春ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる