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1章 クズと天才
現実が創作を超える時もある
しおりを挟む時が経つのは早いもので、
学園に入学してからもう1ヶ月が経つ。
そういえば案の定、紅より入試成績が良かったことについては多少騒ぎになりかけた。
だが、紅が同じクラスにいることもあってかクラスメイトのみんなは自重してくれた。
まぁさすがに、本人の前で紅より頭良いんだね!なんて騒がれたら俺も居た堪れないから本当に助かった。
紅も特に俺に絡んでくることはなく、俺も若干の気まずさを感じているので勿論俺から絡むこともなく完全にノータッチだ。
周囲もなんとなく察してくれている。
いや察しすぎて最早俺達はアンタッチャブルになってる。
そうだ、学園生活と言えば、
俺は学生を中心に人気のモデルなのだが、そもそもこの学園には他にも色々な意味で有名人が多く、あまり突出して目立つこともなく思ったよりも平和に過ごせている。
先輩にも彩花やカイさん等モデルがいるしな。
というか、この学園、イケメンはクラスに1.2人いればいい方なのに対して、何故か美少女がやたら多い。全国の学校一の美少女を集めました。ってレベルだ。
下手な芸能人じゃ太刀打ちできないレベルが本当に沢山いるんだよな。
モブ...と言ったら失礼だけど、その辺の廊下を歩いてる女子生徒もみんな中の中はある。いや、どんな学校だよ。顔採用でもしてるんか。
なので、まだ入学して1ヶ月なのにも関わらずそこらかしこで告白イベントが絶えない。
ちょっと校舎裏を除けば大行列だ。
その割にカップル成立の話はあまり聞かないが...
まぁ大して絡みもないのに見た目だけで告白されて頷くような物好きは早々いないだろうから当たり前の話か。
「ごめんね。仕事が忙しくて、恋人とか今は考えられないんだ。君のこともよく知らないし、ね?」
「そう...ですよね....ごめんなさい、いきなり」
「よかったら友達として、仲良くしてくれたら嬉しいな」
「は、はい!!!」
そして俺も物好きではない。
ちょこちょこ知らない子に告白されることも増えたが、その全てを今のところ断っている。
ちなみにこの子は結構可愛かったから友達としてキープしておくことにした。
美愛と彩花と常に予定が合うわけでもないから、あわよくばたまに相手してもらおう。
俺は彩花と浮気して、自分は昔と変わらずセックスすることでしか生きられないクズだと自覚してからは、前世の嵐のように女の子をやれるかやれないかで判断するようになっていた。
明らかな退化だが、染み付いた性根だけは変えられない。
だけど前世のように雑に扱うことだけはしないようにしている。人の気持ちは前世よりよっぽど考えられるようになった。
もう殺されるようなヘマをすることはないだろう。
そんな俺だが、決してそれを表に出したりはしない。セフレ候補は既に何人か確保しているがまだ誰にも手を出していないし、ちゃんと男友達だってつくっている。
モデルの仕事と学校生活の両立をして充実した毎日を過ごしているキラキラ高校生、佐藤優として生きている。
「明日はテストをする。範囲を伝えておくからみんな、しっかり予習しておくように」
担任からの伝達だ。
明日はこの学園に入学して初めてのテストだ。
正直前世、元々頭の出来は悪くなかったのに、それでも本当にひたすら勉強していて国内トップの大学を卒業予定だった俺にとって、今までもそうだったが高校に上がったところで大して追加で勉強する必要もない。
授業を真面目に受けて、本当に軽く予習するだけで十分なので何の不安もなかった。
その日の放課後は特に撮影も入っていなかったので真っ直ぐ家に帰った。
程なくして同じく学校帰りの美愛が家事をしにくるとのことで、駅前のスーパーで待ち合わせをして迎えに行く。制服姿の美愛を拾って、スーパーで買い物をして一緒に俺の家に向かい美愛の料理と美愛を美味しく頂き、夜も遅かったので制服の美愛を一人で帰すわけにもいかなく、家まで送ってあげた。
帰宅した頃には23時を過ぎていたので、風呂に入ってさっさと寝た。
あ、予習してないわ...まぁいいか。
◇◇◇
無事にテストが終わり、順位の結果が張り出された看板を見に行くとやたらと騒がしい。
「あっ!佐藤!お前なんでそんな頭いいんだよ」
「ほんと、不思議...仕事で学校を休むことも多いし放課後も普通に遊んでるのに...」
「さすが優様...ハァハァ」
思い思いに知り合いに声をかけられる。
てかなんだよ様って...知らない人だし。
厄介ファンがいるな....
「んー。まぁ俺割となんでもできるしな?」
適当に軽口で返し、順位表に目をうつすとそこには
1位 佐藤優 100点
2位 紅紗雪 99点
3位 早坂一 93点
....
あー....
なるほど、ねぇ...
「なんで...なんで...私が負け...いや、それよりも。あの最終問題を解いたって言うの...あんなの上澄みの大学生でも下手したらわからないはずなのに...」
さて、俺の目の前で俺を睨みながら
何やらぶつぶつ言ってる紅にどう対処しようか。
ダレカタスケテー
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