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訓練と成長
後方では
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このいつ麻痺が終わるか分からない状況では先手あるのみだ。
まず、設置した魔法陣に魔力を送りつつ自分も氷魔法と水魔法を同時発動する。
込める魔力は僕ができる最大にした。
この際出し惜しみはできない。
麻痺が続いている内に全力の魔法を撃ち込む。
時は少しさかのぼる。
マイは自分のテントでカイの帰りを待っていた。
しかし、中々帰ってこない。
そう思っていると周りが騒がしくなってきている。
テントの中ではなんと言っているかは分からなかったが声色からして歓喜の声であることが分かった。
しばらくその声が続いていたがカイが帰ってこないことに不安を覚える。
カイならば瞬間移動ですぐに帰ってくることができる。
だからこそ帰るのが遅いと心配なのである。
また、死神の目についてもまだすべての力が分かっていない。
模擬戦の時のあの笑顔が思い出され、さらに不安になる。
落ち着けない時間が続く。
「グオーーーーーーーン」
急に聞こえた咆哮。
少し小さかったが確かに聞こえた。
状況を確認するために外に出る。
周りを見渡すと周りの人すべてがある方向を見て唖然としていた。
その方向にはここからでも見えるほど大きな影があった。
目をこらすとそれがドラゴンであることが分かる。
そして、もう一度周りを見渡す。
やはりカイの姿はなかった。
そこでカイの前へだけ行ける瞬間移動の魔法を使うことにする。
「待て、スタール」
しかし、呼び止められてしまう。
「何故ですか。レクス様」
強く言ってしまったかと少し後悔するがその思考は振り捨て許可がもらえたらすぐにいけるように心の準備をする。
「行くな。私がここで呼び止めたのはカイのからの頼みだ。まあ、こんな状態になることを予期してお願いしたわけではないだろうけどな」
カイからの頼みというところで少し心が揺れる。
「考えてみろ。もし、スタールが行ったとしてこの状況では足手まといになりかねないだろう。私の勘だがカイは帰ってくる」
レクスの勘は当たることで有名だ。
そこで少し安心し冷静になれた。
そのため自分のテントに帰ることにする。
~レクス視点~
これは昨日の出来事である。
兵達の士気が上がりすぎ私がそれを収めた後のこと。
私のテントにカイが一人でやって来た。
「どうしたのだ?スタールをほったらかしにして良いのか?」
ひとまずからかってみる。
この反応により真面目な話か即座に判断でき、面白い反応が見られるという一石二鳥の理にかなった行動であると自負している。
「まあ、マイに関する大切な話だからな」
あまり大きな反応は見られなく残念だったが真面目な話と言うことが分かった。
「分かった。とりあえず座れ」
込み入った話になりそうだったため座らせる。
「それで話とは何なんだ」
座ってから少し経ち落ち着いた頃に声をかける。
「ああ、瞬間移動の魔法を覚えているか?」
瞬間移動の魔法、少し嫌な思い出がよみがえる。
「ああ・・・・・・しっかり覚えているぞ・・・・・・・・・」
「そういう反応になるってことはしっかり覚えているみたいだな。どうしても僕の前にしか移動できなかった。だけど、裏を返せばいつでも僕の前に現れることができる」
「確かにそうだな」
「ということは戦場で何かあった時いつでも僕の前に現れることができる」
「・・・・・・もし、危なくなってスタールが飛び出しそうになったら止めろということか?」
「察しが良いな。その通りだ」
しかし、これにはあることが関わっていそうだ。
「死神の目、危なそうなのか?」
「正直分からない。でも、念には念を入れておかないとね」
笑顔でそういう彼に一つだけ釘を刺しておくことにする。
「無茶はやめろよ」
その一言だけ伝えると笑いながら分かっていると言い彼のテントに帰って行った。
こうして今に至る。
「考えてみろ。もし、スタールが行ったとしてこの状況では足手まといになりかねないだろう。私の勘だがカイは帰ってくる」
勘の部分は安心させるための嘘だ。
自分の勘は良く当たると言う噂を利用した。
この嘘をつけたのは単純にカイを信頼しているからである。
正直ドラゴンが見えたとき不安を覚えた。
しかし、今優先すべきことはカイの頼みをしっかり果たしカイを信頼することだとその不安を振り切った。
そもそもカイがドラゴンと対峙しているかはマイもレクスも知らない。
それでもそうだと確信していたのは今までのカイの行動を見ていたからだろう。
身近な二人からの印象に面倒くさがりというものはなかった。
そう思わせなかったのは好きな人の前、一応王子の前という思いがあるかもしれないが二人はそれを知らない。
魔法を放つともの凄い勢いでドラゴンが水と氷で囲まれた。
僕自身が放った魔法はドラゴンの開いた口の中に。
一瞬水と氷でドラゴンが見えなくなる。
まず、設置した魔法陣に魔力を送りつつ自分も氷魔法と水魔法を同時発動する。
込める魔力は僕ができる最大にした。
この際出し惜しみはできない。
麻痺が続いている内に全力の魔法を撃ち込む。
時は少しさかのぼる。
マイは自分のテントでカイの帰りを待っていた。
しかし、中々帰ってこない。
そう思っていると周りが騒がしくなってきている。
テントの中ではなんと言っているかは分からなかったが声色からして歓喜の声であることが分かった。
しばらくその声が続いていたがカイが帰ってこないことに不安を覚える。
カイならば瞬間移動ですぐに帰ってくることができる。
だからこそ帰るのが遅いと心配なのである。
また、死神の目についてもまだすべての力が分かっていない。
模擬戦の時のあの笑顔が思い出され、さらに不安になる。
落ち着けない時間が続く。
「グオーーーーーーーン」
急に聞こえた咆哮。
少し小さかったが確かに聞こえた。
状況を確認するために外に出る。
周りを見渡すと周りの人すべてがある方向を見て唖然としていた。
その方向にはここからでも見えるほど大きな影があった。
目をこらすとそれがドラゴンであることが分かる。
そして、もう一度周りを見渡す。
やはりカイの姿はなかった。
そこでカイの前へだけ行ける瞬間移動の魔法を使うことにする。
「待て、スタール」
しかし、呼び止められてしまう。
「何故ですか。レクス様」
強く言ってしまったかと少し後悔するがその思考は振り捨て許可がもらえたらすぐにいけるように心の準備をする。
「行くな。私がここで呼び止めたのはカイのからの頼みだ。まあ、こんな状態になることを予期してお願いしたわけではないだろうけどな」
カイからの頼みというところで少し心が揺れる。
「考えてみろ。もし、スタールが行ったとしてこの状況では足手まといになりかねないだろう。私の勘だがカイは帰ってくる」
レクスの勘は当たることで有名だ。
そこで少し安心し冷静になれた。
そのため自分のテントに帰ることにする。
~レクス視点~
これは昨日の出来事である。
兵達の士気が上がりすぎ私がそれを収めた後のこと。
私のテントにカイが一人でやって来た。
「どうしたのだ?スタールをほったらかしにして良いのか?」
ひとまずからかってみる。
この反応により真面目な話か即座に判断でき、面白い反応が見られるという一石二鳥の理にかなった行動であると自負している。
「まあ、マイに関する大切な話だからな」
あまり大きな反応は見られなく残念だったが真面目な話と言うことが分かった。
「分かった。とりあえず座れ」
込み入った話になりそうだったため座らせる。
「それで話とは何なんだ」
座ってから少し経ち落ち着いた頃に声をかける。
「ああ、瞬間移動の魔法を覚えているか?」
瞬間移動の魔法、少し嫌な思い出がよみがえる。
「ああ・・・・・・しっかり覚えているぞ・・・・・・・・・」
「そういう反応になるってことはしっかり覚えているみたいだな。どうしても僕の前にしか移動できなかった。だけど、裏を返せばいつでも僕の前に現れることができる」
「確かにそうだな」
「ということは戦場で何かあった時いつでも僕の前に現れることができる」
「・・・・・・もし、危なくなってスタールが飛び出しそうになったら止めろということか?」
「察しが良いな。その通りだ」
しかし、これにはあることが関わっていそうだ。
「死神の目、危なそうなのか?」
「正直分からない。でも、念には念を入れておかないとね」
笑顔でそういう彼に一つだけ釘を刺しておくことにする。
「無茶はやめろよ」
その一言だけ伝えると笑いながら分かっていると言い彼のテントに帰って行った。
こうして今に至る。
「考えてみろ。もし、スタールが行ったとしてこの状況では足手まといになりかねないだろう。私の勘だがカイは帰ってくる」
勘の部分は安心させるための嘘だ。
自分の勘は良く当たると言う噂を利用した。
この嘘をつけたのは単純にカイを信頼しているからである。
正直ドラゴンが見えたとき不安を覚えた。
しかし、今優先すべきことはカイの頼みをしっかり果たしカイを信頼することだとその不安を振り切った。
そもそもカイがドラゴンと対峙しているかはマイもレクスも知らない。
それでもそうだと確信していたのは今までのカイの行動を見ていたからだろう。
身近な二人からの印象に面倒くさがりというものはなかった。
そう思わせなかったのは好きな人の前、一応王子の前という思いがあるかもしれないが二人はそれを知らない。
魔法を放つともの凄い勢いでドラゴンが水と氷で囲まれた。
僕自身が放った魔法はドラゴンの開いた口の中に。
一瞬水と氷でドラゴンが見えなくなる。
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