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レクスと婚約者

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カイとマイが談笑していた頃。
レクスは自室で婚約者のローゼとの時間を過ごしていた。
以前は怒られたり、根掘り葉掘り聞かれたりして疲れていたが今回はそのような事は無いようだ。
ゆったりと流れていく時の中で話しは次第にカイの事になる。

「それにしてもカイと言ったかしら。相当強いのね」
「私もまだ本気を見たことが無いからな。本気のときどれ程強いのか想像も出来ん」
「それ大丈夫なの?」
「何がだ?強いにこしたことはないだろう」
「裏切りとか……………」
「その点については大丈夫だ。1つだけ不安要素はあるが」
「不安………要素?」
「ああ、カイに彼女がいるのは話したな?その彼女と仲が良くてな。一緒にいてこっちが恥ずかしくなる程なんだ」
「ねえ、愚痴になってるわよ」
「ああ、すまん。その彼女が旅の途中で盗賊に狙われたことがあったんだがそれを把握した瞬間にギリギリ死なない程度の魔法を撃ってな」
「それなら大丈夫なんじゃない?死なないようにしてたんでしょ?」
「それはそうだが狙われただけでそれだぞ。もし彼女の身に何かあれば……………」
これはレクスにも婚約者がいて想像しやすいからこその意見だろう。
カイなら相手が国であっても勝てるであろう力を持っている。
だから何としてもそれを避けなければいけないと考えていた。
「本当に大丈夫たの?」
カイが最上級の群れを1人で討伐したことを知っているローゼはとてつもない不安を感じた。
それは、実際に会ったことが無いということもあるだろう。
「一応手は打ってある」
それはロヴァイトによって既に成し遂げられている。
カイをSランクにし、この国の者がいや、この世界の者がちょっかいをかけないようにすることだ。
Sランクは格が違う。それは貴族の間でも広く知られている。
市民ならなおさらだ。
そんな人物にちょっかいはかけないだろうというわけだ。
そのためレクスはロヴァイトにあくまでお願いをしただけだ。
Sランク冒険者に依頼を強制することは出来ない、これもこの世界では当たり前のことだ。
だが、レクスはロヴァイトが99%このお願いを聞いてくれると思っている。
理由は2つ。
1つ目は娘の為になるから。
2つ目はロヴァイトはカイと模擬戦をしたいと思っているから。
1つ目は当然として2つ目は教師になってまで模擬戦をしにきた事からそうなのだろうとレクスは理解した。

これをレクスは端的に説明した。
「私も1度会っておくわ」
「え?」
唐突な発言に思わず聞き返すレクス。
「明日行きましょう」
困惑しているレクスにさも決定事項のようにローゼは言い、明日会いに行くことになったのだった。
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