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訓練と成長

護衛のお仕事

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レクスの護衛の仕事をすることになった僕は王城のしかも王子と同じ部屋で寝泊まりすることになった。
だから、ほぼ初対面だよ?
どうしてこんなに信用されているのやら。聞いても直感と返されそうなので聞いてない。
返されそうというかほぼ確実だ。それ以外で答えられたら逆に驚いてしまう。
僕が王子の部屋で一緒に寝泊まりすることは、周りに反対する人が多いだろうと思っていたのだが、王子様のことだから何か考えがあるのだろうという感じで反対されることはなかった。以外と王子様は信頼されているようだ。アゴットさんも同じようなこと言ってたし。何故感を信じて動いている人が信頼されているのか気になった僕は城の人にレクスの印象を聞いてみた。
話からすると、普段は真面目で聡明なのだが時々突拍子のないことをする。しかし、なんだかんだ成功しているので今はそれを期待している人もいるのだとか。
やっぱり感で動いているみたいだな。
しかし、感が良く当たるのは凄いな。そんなに当たるのなら従う方が良いのかもしれない。
そんな評価の王子様レクスと今、謁見の間に入ろうとしている。理由は僕が護衛になることの報告と僕の紹介らしい。
それにしても最近会うメンツがおかしい。レクスに警備軍長のアゴットさんそれから今会おうとしている国王やその側近達だ。
謁見の間の扉が開いたのでレクスの少し斜め後ろでレクスについて行く。
王座には30代くらいの国王にしては若く感じる人が座っている。レクスと同じ赤髪だが少し濃い。レクスのチャラそうな要素を消して成長させた感じだ。
その王座の前でレクスは立ち止まる。
僕もそれにならう。
「父上、この者が先日私が護衛にしたいと申した者です。」
「カイ=マールスと申します。」
自己紹介をしてると国王が近くの兵士に目で合図を送っていた。すると、数人の兵士達が僕だけでなくレクスを含めて囲もうと走ってきた。しかも、武器を持って。念のため防御の魔方陣をインベントリから透明化の魔法をかけた状態で取り出しておく。
案の定武器を振りかぶってきていたので用意していた魔方陣を起動させながら投げレクスを覆うように展開させる。すると兵士達は僕とレクス半々に別れていたのを戻し全員で僕の方に来た。自分で防御の魔法を使っても良いのだが、それをすると自分は攻撃出来なくなる。そのため全ての攻撃を避けることにした。前後左右から攻撃が来るのだがその全てを避け、反撃にでようとした。
「そこまでだ。」
国王から声がかかった。兵士達は何事もなかったかのように元の位置に戻った。
「いきなり悪かったな。レクスを頼める者かどうか試しておかねばと思っていたのだよ。」
レクスも平然としている。これはこういうことが起きることを予測していたな。一声かけてくれといても良いじゃん。
「父上、アゴットと模擬戦をさせるだけでは足りませんでしたか?」
「強さだけで見るならそれで充分なのだが、人を護るのは簡単ではない。強いからといっても、ようは足手まとい的な存在を抱えると負けてしまうことが多いのだ。」
「それでは父上、カイは合格でしょうか?」
「ああ、ダメ出しのしようがない。どこでそのような子を見つけてきたのやら。貴重な存在だ。大切にするのだぞ。」
「はい。心得ております。」
「うむ、それではカイと言ったな。お主に我が息子レクスの護衛を任せる。」
「ご期待に答えられるよう精進いたします。」
「それでは公務に戻らなければならないので失礼する。」
こんな感じで終わった。そして今はレクスの部屋に戻ってきている。
「はぁ~、緊張した~。」
「なに、今さらだろう。王子である私とこうやって話しているのだからいずれ父上に会うことも分かっていただろう?」
「それはそうだけどさ~。」
「そうだ。明日お前に用意しているものの準備が整ったから見に行くぞ。」
「用意しているもの?」
「明日になれば分かる。そして、多分喜ぶだろう。」
この日はそれ以降何事もなく寝ることになった。言っておくけど同じベッドで寝たりしてないからな。
翌朝、準備が終わるとレクスについてこいと言われたので今、移動中だ。
レクスは王城から徒歩5分位の所にある家の前で止まり、
「ここだ。」
家を指しながらそう言った。
「どういう事?」
「私が用意していたものはこの家だ。」
………え~っとどういう事?
「だから、この家に住んで良いと言っている。」
「………………え!?マジで!?」
王子様って凄いな。
すると、笑いながら
「その反応を見るために用意したのだ。ちゃんとリヤクションをとってくれたから私も満足だ。」
いや、リヤクション見るために家まで用意するやついるか?
さすが王族と言えば良いのか。
「中に入るぞ。」
「お、おう。」
家は平屋で部屋が5つに5~6人位が囲めるテーブルがあるリビング。その横に立派な台所がある。一人で住むにしては広すぎないか?
一通り見回った僕たちはリビングにあった椅子に座った。
「気に入ってもらえたか?」
「一人で暮らすには広すぎないか?」
「いや、お前が愛人をかこうとなるとこれでは足りんだろう?」
「なんで愛人かこう前提で作ってんだよ。
愛人なんてかこわないよ。」
「ハハハ、冗談だ。やはりお前といると楽しいな。心配しなくても私が毎日来てやる。」
「王子様って暇なのか?」
「そんなわけないだろう。だが、休憩は大事だし護衛のお前がいるのだから何も言われんだろう。」
「そんなもんか。」
この時、僕達が何者かに見張られていたことに気づいていなかった。
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