平凡な高校生活を送る予定だったのに

空里

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遊園地 8

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ついに僕達が乗るゴンドラが目の前に来た。
それに二人で乗り込み対面に座る。
「それで、サプライズって?」
「気が早いね。でも良いよ、教えてあげる。実は一泊してから帰ります」
1拍?いやどう考えても一泊だよな。
「え?」
脳内で整理した上でそうとしか言えなかった。
「ビックリしたでしょ」
「・・・・・・そんなお金持ってきてな」
「それは美奈子さんから僚太くんの分貰ってきたから大丈夫だよ」
いつの間に・・・・・・まさか朝の時か?お祖父ちゃんの話と一緒にしてたのか。
いつであったとしても親からお金が出ているということは許可されたということだ。
「明日着る服は?」
「この後買いに行こ」
なるほど、感づかれないように現地調達することにしたのか・・・・・・って感心するのもおかしいか。
まあ、どうせ早く帰ったところで待っているのは勉強のため反対する理由はなかった。
「ということは観覧車が終わったら服を買いに行くの?」
今の時間は16時半。チェックインや夕食のことを考えるとそろそろ遊園地を出た方が良いように思えた。
「何か乗りたいアトラクションでもある?あるなら後一個位なら行けると思うけど」
「いや、別に」
これは本心だった。正直遊びたいという気持ちよりも疲れたという方を強く感じてしまっている。
10年ぶりの遊園地だったためか思ったよりも疲れがどっと来ていた。
ふと、外の景色を見ると中間辺りまで上がってきていた。
あまりにも想定外のことで景色を見るのを完全に忘れてしまっていた。
「一番上の時に写真撮ろ」
「うん」
そういえば全く写真は撮っていなかった。
僕はそこまで写真で思い出を残したいとは思わないタイプなので正直どちらでも良い。
そう思い合わせることにした・・・・・・のだが、
「何で隣に?」
「何でってこうしないとツーショット撮れないじゃん」
どうやら凛花は景色ではなくツーショットを撮りたかったようだ。
僕はてっきり景色を撮るものだと思っていた。
正直自撮りは好きじゃないのだが、一人ではないため良しとしよう。
そう考えながら頂上に来るのを待った。

ゆっくりと着実に進んでいくゴンドラはもうすぐ頂上を迎えそうであった。
写真を撮るためスマホの準備をする凛花を見ながら頂上を待つ。
「じゃあ、撮るよ」
その声と共に何故かこちらを向いたのを疑問に思った瞬間、それは頬に感じた感触とシャッター音で動揺に変わる。
あ、明らかに今頬にく、唇が・・・・・・
「こっちが本命のサプライズ。文句はなしだよ。体育の時のお願いを使ったということで」
僕の動揺が少し紛れたのはその言葉に自分からやったのに初めて照れを感じたからだろう。
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