29 / 94
契約書
しおりを挟む
家に帰るとすぐに部屋に行きパズレンを始める。
少し経った後、ノックもなしに部屋の扉がバンッと開いた。
それから繰り広げられるのは親が勉強をやっているかの確認ではなく、
「僚太くん、一緒に勉強しよ」
という凛花からの言葉だった。
◆
「嫌だ」
一言断り追い出そうとする。 すると一枚の紙を差し出された。
________________________________
契約書
これよりテスト期間中は僚太と共に勉強すること。
なお、僚太が全教科80点以上とれなかった場合野宿すること。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
承諾 立花 凛花
見届け人 田中 美奈子
________________________________
何てもの作ってんだ!
印鑑まで押してるし。切り取り線まである。提出するわけでもないだろうに
内心そう思いつつため息を吐く。
毎回欠点ギリギリのやつにこのお題は通常高すぎるものだ。
しかし、僚太にとって80点以上は勉強すれば普通に取れるということを美奈子は知っていたのだ。
なぜなら高校入試の結果が全教科45点以上。
さらには50点満点の教科もあったのだ。
単純計算で全教科90点以上で100点満点であったということになる。
それだけの実力がありながら勉強をしないために前回も欠点ギリギリだったのだ。
通常の親ならそれを何とかするために背水の陣を構えたと思えるのだが、うちは欠点さえとらなければ問題ないというのが今までの方針だったはずだ。
何か他の意図が混ざっているのかもしれないが、お母さんは絶対に約束を守る人だ。
僕が全教科80点以上とれなかったら本気で野宿させる可能性がある。
まあ、それはさすがにないにしても格安のホテルとかに泊らせる(お金は凛花負担)まではやる可能性がある。
それを無視して生活し続けられるほど僕は落ちぶれてはいない。
もう一度大きなため息をした後、
「勉強道具は?」
「僚太くんの使う」
凛花は僕が受け入れるのを完全に読んでいたかのごとく普通に話を進めた。
そう言いながらトコトコと部屋に入ってきて鞄の中に手を突っ込みテスト時に回収されるワーク(宿題)を確認し始めた。
もちろんのことだが、一切やっていない。
「これは・・・・・・ひどいね」
「ストレート過ぎだろ!」
「じゃあ、早速始めよっか。早く私に追い付こう~!」
「どれくらい終わってるんだ?」
「え?全部だけど?」
・・・・・・そりゃあ、他の人を教える余裕がある訳か。
こういうところは本当に優等生だよな。最近壊れていたイメージが若干修復された。
◆
「あ、そこAじゃなくてBだよ。何でだと思う?」
凛花の教え方はワークを解かせ間違った答えの本当の正解を先に言いその理由を答えさせるというもの。
ワークを後で見直して丸を付ける必要がなくなるため効率的だと言える。
「三人称単数の後にsを付けてないからか?」
「正解。さ、次解いていこ」
こんな調子で夕食の時間までみっちり勉強させられた。
◆
夕食を食べ終え僚太がお風呂に入っていたとき。
「調子はどう?」
美奈子が凛花に問う。
「全然大丈夫そうです。りょうちゃん地頭は良いですよね」
「そうじゃなくて・・・・・・」
「そっちはどうでしょうね。今のところ手応えなしです」
「そう・・・・・・」
気まずさを払い除けるように美奈子が話を変える。
「でも、入試の時国語が満点だったときはあの力のおかげ?せいなのかって考えちゃったけどね」
「色々な感情に触れたという意味ではそうなのかもしれないですね」
「そうなんだけど・・・やっぱり素直には喜べなくてね」
「本人の中で解決しているならそれで良いんですよ」
そういう彼女の瞳はどこか遠い所を見ているようだった。
少し経った後、ノックもなしに部屋の扉がバンッと開いた。
それから繰り広げられるのは親が勉強をやっているかの確認ではなく、
「僚太くん、一緒に勉強しよ」
という凛花からの言葉だった。
◆
「嫌だ」
一言断り追い出そうとする。 すると一枚の紙を差し出された。
________________________________
契約書
これよりテスト期間中は僚太と共に勉強すること。
なお、僚太が全教科80点以上とれなかった場合野宿すること。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
承諾 立花 凛花
見届け人 田中 美奈子
________________________________
何てもの作ってんだ!
印鑑まで押してるし。切り取り線まである。提出するわけでもないだろうに
内心そう思いつつため息を吐く。
毎回欠点ギリギリのやつにこのお題は通常高すぎるものだ。
しかし、僚太にとって80点以上は勉強すれば普通に取れるということを美奈子は知っていたのだ。
なぜなら高校入試の結果が全教科45点以上。
さらには50点満点の教科もあったのだ。
単純計算で全教科90点以上で100点満点であったということになる。
それだけの実力がありながら勉強をしないために前回も欠点ギリギリだったのだ。
通常の親ならそれを何とかするために背水の陣を構えたと思えるのだが、うちは欠点さえとらなければ問題ないというのが今までの方針だったはずだ。
何か他の意図が混ざっているのかもしれないが、お母さんは絶対に約束を守る人だ。
僕が全教科80点以上とれなかったら本気で野宿させる可能性がある。
まあ、それはさすがにないにしても格安のホテルとかに泊らせる(お金は凛花負担)まではやる可能性がある。
それを無視して生活し続けられるほど僕は落ちぶれてはいない。
もう一度大きなため息をした後、
「勉強道具は?」
「僚太くんの使う」
凛花は僕が受け入れるのを完全に読んでいたかのごとく普通に話を進めた。
そう言いながらトコトコと部屋に入ってきて鞄の中に手を突っ込みテスト時に回収されるワーク(宿題)を確認し始めた。
もちろんのことだが、一切やっていない。
「これは・・・・・・ひどいね」
「ストレート過ぎだろ!」
「じゃあ、早速始めよっか。早く私に追い付こう~!」
「どれくらい終わってるんだ?」
「え?全部だけど?」
・・・・・・そりゃあ、他の人を教える余裕がある訳か。
こういうところは本当に優等生だよな。最近壊れていたイメージが若干修復された。
◆
「あ、そこAじゃなくてBだよ。何でだと思う?」
凛花の教え方はワークを解かせ間違った答えの本当の正解を先に言いその理由を答えさせるというもの。
ワークを後で見直して丸を付ける必要がなくなるため効率的だと言える。
「三人称単数の後にsを付けてないからか?」
「正解。さ、次解いていこ」
こんな調子で夕食の時間までみっちり勉強させられた。
◆
夕食を食べ終え僚太がお風呂に入っていたとき。
「調子はどう?」
美奈子が凛花に問う。
「全然大丈夫そうです。りょうちゃん地頭は良いですよね」
「そうじゃなくて・・・・・・」
「そっちはどうでしょうね。今のところ手応えなしです」
「そう・・・・・・」
気まずさを払い除けるように美奈子が話を変える。
「でも、入試の時国語が満点だったときはあの力のおかげ?せいなのかって考えちゃったけどね」
「色々な感情に触れたという意味ではそうなのかもしれないですね」
「そうなんだけど・・・やっぱり素直には喜べなくてね」
「本人の中で解決しているならそれで良いんですよ」
そういう彼女の瞳はどこか遠い所を見ているようだった。
0
あなたにおすすめの小説
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら
普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。
そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる