月の都の花嫁

城咲美月

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土嚢の袋をアイテムボックスに全部入れ終わった時

倉庫の外から声が聞こえてきて、アレックスが頷く。

アレックスが外に出ると、私達も入り口近くに待機する。

「おーい、アンタら道具も何もこちらの不手際で用意出来なかったが大丈夫だったか?」
「大丈夫ですよ」

アレックスと男性の話からして、不手際だと言うが
あの工場長と他の作業員のにやにや顔を見てたら
雰囲気で分かるものだ。

こういう人達は何処にでもいる、そんな事でいちいち
時間を取られたくはない。

私はアネッタに「外に出るわよ」とヒソヒソ声でいうと
私は、アイテムボックスを持って出て行く。
アネッタも持とうとしたけど、私はそれを手で制した。
重たさを感じない仕様になっている。

アレックスが私の姿に気づいて、「では我々はこれで」と
そそくさと私達の後ろに追いつく。


「え、?お、おい??」

困惑している男性を残して、私達は廃棄処分工場を後にした。


「奏様、この後はどちらに行きますか?」
アネッタの言葉に「そうね、寄りたいところがあるの」

「では、何処に行きますか?」
「道具屋さんはあるかしら?筆記用具や画材が置いてあるところがいいのだけど」
「では、サンマリーノ店に行きましょう
そちらは、品揃えが豊富で身分を気にせずに出入り出来るお店です」

嬉しそうな顔のアネッタ

サンマリーノ店に行くまで話をしながら歩いている。

「アネッタはよく行くの?」

「そう、ですね学院生時代に何度か足を運ばせていただきました」

前を思い出すように話アネッタの顔はとてもイキイキしている。


「可愛い文房具もあるんですよ!」

と、アネッタの瞳がキラキラしている。


そんなこんなで「着きました」とアネッタの声で、サンマリーノ店に到着した事が分かった。


そんなサンマリーノ店の外観は、外から見えるようにガラス窓で柱がエメラルド色と深緑が混ざったような色だった。
見慣れていたがこちらでは、ガラス窓は余りないらしい。

そして、中に入ってみると店員さんが「いらっしゃいませ」

と声をかけてきた。

「あら、コールディお嬢様 
お久しぶりですね、今日は何かご入り用で?」

そうアネッタに問いかけると、アネッタはニコッと微笑むと

「いいえ、今日はこちらの奏様の入り用で来ました」

「左様ですか」
そう女性の店員さんはニコッと私のほうに向いて
微笑む。

「初めまして、私櫻井奏と申します
今日はアネッタからこちらの店舗を紹介されましたの」

「まあ!それはようございました
では、サクライ様今日は何をお求めになりますか?」

「そうね、キャンパスの画材と大小の筆に、ステンレス乳鉢にめのう乳鉢、ふるいに、水入れ
それから小鉢にパレットに膠がありまして?」

「ええ!それでしたらこちらにございます」


早速、店員さんの案内で
画材に筆数本とパレット、ステンレス乳鉢、めのう乳鉢と膠を手に入れる事ができた。

お金は心配する事はない。
との通達があった事による、購入は何も心配する事はなく
それぞれ買えた。

事前に、リーデルさんから最初の内に受け取っていたお金だ。
たった今確認してびっくりしたけれど。

まさか、ゲーム内で貯めていたお金とポイントだったとはね。
このお金も今の紙幣に変わっていて、使える。

何気なく、日常生活みたいについつい忘れてしまう
もっとしっかりしないと。


「さて、帰りましょうか」

「ハイ!」

アネッタの元気の良い返事が聞けたところで、私達は
女子寮に帰る事にした。


私達が帰ると
「おかえりなさいませ、奏さん」


そうリーデルさんが、ニコッと微笑むと
「おかえりなさいませ」と皆が出迎えてくれた。

「ただいま戻りました」








⭐︎








それから私は、「私の部屋」に戻って
絵の具の作製に取り掛かった。


買ってきた物をテーブルの上に置いて、並べて
最初に水入れに水を入れて、筆とパレット
それから画材を置く。
膠に乳鉢も次々と置いていく。

全部出し終えた。







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