月の都の花嫁

城咲美月

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夕食会

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アセリアルージュ城まで送ってくれたあのショーファーさんと、あの車に乗るのはこれで2回目。

朝と同じような順番で乗る。
リーデルさんに朝陽さん最後に私だ。
降りる時は、リーデルさんからだ。

専属侍女と護衛騎士の4人は、奇獣で空から駆けてくるらしい。
リーデルさんの専属侍女3名と護衛騎士3名合計6名
総勢10名、これでも少ないほうなのだとか。
それぞれが奇獣に乗って、である。

多分、大型バスが無いのと護衛としては空のほうが見やすいらしい。
旧型の馬車では、飛行石のついた洋車のスピードにはついて来れない為却下。
後、なんと言っても皇帝陛下のお住まいの敷地の広大さが物語っている理由だ。


車内にて
私は、チラッと隣に座る朝陽さんの姿を見た。
私と同じオフショルダーのドレス。

だけど、私との違いは首元の黒のレースのチョーカーと
オフショルダーの部分の黒のレース
それに、ウエストマークの黒のレースが
とてもドレスの生地と映えて似合っている。
ドレスも薄い緑色と白のグラデーションで花模様がくどくはないカクテルドレスだった。
ハニーブロンドのロングストレートもドレスに映えていて、私は妖精がいる。と確信していた。

リーデルさんが天使なら、朝陽さんが妖精姫よね。
と思っている。

そんな奏の心の声など他所に話がどんどん進んでいく。
リーデルの声が聞こえてきて、奏の目線は
リーデルのほうに向く。

「お2人にも説明した通り私は公式の場では貴女方を様呼びします。
そして私の事は公爵夫人、もしくは様呼びでよろしくお願い致しますね。
それから皇帝陛下の無茶振りやその場の思い付きには、
のらりくらり交わす必要があります。
今回は、非公式の場だと言えど皇帝陛下のお宅に行く、と言う事はほとんどあり得ない事です。
ですから、今日この場からは公式の場と心得ておきましょう。
そうする事で多少の心持ちが違いますもの。
それに、私も居ますが今日のところは皇后陛下がストッパーの役目をなさいますのでよく見ていてくださいね。」

リーデルさんはそう微笑む。

リーデルさんが微笑むと私達が微笑みを返して頷くのは
もう普通になっていた。


そんなこんなで皇帝陛下のお住まいに到着した。

「到着しました」と言うショーファーさんの声がかかると、



皇帝陛下のお住まいは、どう見ても宮殿だった。
車内から見える景色に圧倒されっぱなしで
何と言っても、門から違う
黒とターコイズブルーが映えている。
中央にはセントセシリアのバラのモチーフが飾られている。
左右の石像は龍が堂々たる姿で鎮座していた。

門の豪華さと門から続く道はもう一つの町並みと言っていいほど。

季節の花が咲いている庭園もまた、よく整えられていて
いるのも、圧巻と言う言葉しか浮かばない。
何処までも続いているような庭園、いや森みたいな奥行きは見渡そうにもない。


皇帝陛下の執事頭が出迎えてくれて、「この度は急なお誘いに応じてくださり感謝しております。
さて、到着早々に申し訳ありませんが皇帝陛下並びに皇后陛下と殿下が揃ってお待ちです。
それと、急遽、直帰する予定のアルベルト龍騎士団長も
同席するように、となりましたのでご了承の程宜しくお願い致します」

執事頭からそう告げられればこちらは「了承しました」と言う他ない。

執事頭からの説明を受けている隙にそれぞれの侍女と護衛騎士が到着していた。


リーデルさんの微笑み爆弾が破裂しないかとハラハラする。


何でもありませんわよ、と言うような態度で優雅に歩いて行かなくてはならない。

どんなに皇帝陛下のお住まいの広大さが伺えるとしても、だ。

玄関と言うよりは、ダンスホールのような入り口を通り過ぎていくと吹き抜けの天井の高さに目を奪われそうになる。

っといけないいけない…。

やはり私ひとりだったら確実に迷っている。

少しだけ息が上がりそうだけど、ぐっと力を込めて皆に付いていくとサロンにどうやら着いたようだった。






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