月の都の花嫁

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アネッタと一緒に荷物を整理してたら、やはり出てきた。

アネッタには、少しだけ席を外してもらっている。
考えをまとめる時間が欲しかったのと、
紅茶を淹れて欲しいと頼んでおいた。

荷物の中から出てきた物は、シリーズを通して、キャラクターが好むドレスとアクセサリー。

親密度が上がるとキャラクターから貰える
特別な品と特別なドレスと特別なアクセサリー。
それはあったらゲーム上の進行度としては可笑しな話だから、無いほうが理解できる。

ただ、綺麗なんだよねぇと思い浮かべるけど
攻略したキャラクターは
殿下の他に、他国の王子と竜騎士の騎士団員に
隠しキャラクターの合計4人

ストーリー上、月の都の花嫁は殿下の婚約者候補となるのが王道のパターン

事実、1番気合いが入ってたようだったとし…と甘々の殿下とのスチルの静止画を思い出す。
ちょっと…何も今思い出さなくても良いじゃない

赤くなった頬の熱を冷ますようにパタパタと手で煽ぐ。
誰も居ないのにコホンと小さく咳払いして誤魔化す。

だけど、そこは乙女ゲーム。
多少の強引さはあるけれども、試練を乗り越える為に選ぶパートナーを
殿下以外にも出来ると言う事だ。


最初の選択肢が
「月の花嫁候補生になる」
「月の花嫁候補生以外の道を選ぶ」
「どれも選ばない」

どの選択肢を選んでも、分岐点である以上は、パートナーが決まってくる。

「月の花嫁候補生以外の道を選ぶ」の選択肢を押せば
つまり殿下の婚約者候補としてではなく
月藜龍の世話係として任命されてクレセント国に行くストーリーに変化する。
そこもちょっとだけ説明が足される感じだったから
強引さはあるけど、問題は無さそう。

最初からライバル役の朝陽さんを選んだ場合も同様。
殿下狙いなら花嫁候補生だし
花嫁候補生以外なら、他のパートナーからスタートするから
まぁ、……それにパートナーとのコミュニケーションなどや個人イベントで絆を深めて甘めの蜜月を過ごす

と言うのは、主人公よりライバル役の朝陽さんのほうが
よりエロっちくの展開が多めだったなぁ…
ってハッ……ダメダメ！また思い浮かべそうになってるわ

それで最終的には
月の都の花嫁となり結婚式を挙げると言う流れには変わりはないもの。
それに途中で主人公あるあるの設定が、説明文だけでサラッと流れる。

そして選んだ選択肢によっては、キャラクターの好感度が下がったり上がったりする。
また特定のルートに入る為には
わざと他のキャラクターの好感度を下げておく必要もある。

その点を除けば比較的殿下とは、早めのラブラブっぷり
甘めの台詞が飛び出す。
思わず笑ってしまう台詞も、声優さんの声だけで
全て無かった事になるのが怖いところ。(個人的な感想です)

またスチルを回収する為に違う選択肢を選んで
はい、終わりってのもやったなーとしみじみ思い出してきた。

最初の周回だけ「どれも選ばない」は、ライバル役の朝陽さんが、殿下の婚約者となり国母となる
私は友達と学生生活を楽しむ。と言う3人の笑顔のスチルのみ、のエンディング。

2週目以降は、隠しキャラクターからのスタートだけど、
その選択肢だけは、全員の好感度が下がると言うエフェクトの演出がある。

んーでも私としては、別に殿下は好きなキャラクターだし
花嫁候補生となっているわけだからそのままでも問題はない。


ん、待てよ？
確か、「主人公側にもエロっちくな展開を多めに！」や「溺愛をもっと」と言う声にお応えして……って最初に言われなかっけ？？？

その時甘々の殿下の
色々なスチルを思い出して、ハッ…違う違う違う！
ヤダっ！そうじゃなくてっ…………！

ただ問題はこのまま、私の知らない展開もあるって事。
ゲーム補正やバグが起こらないとも言えないって事と
唯一救いなのが、死ぬようなバッドエンドがないって事だけ。
かと言って、私が知っているストーリーが思い通りの展開じゃない事だけは確か。
だって最初の冒頭シーンから(スキップしてれば)スムーズに2、3分でもう「私の部屋」に居て朝を迎えているはずだもの。
船でのハプニングもなかったし護衛騎士と専属侍女は、私には付いていなかったしこの「私の部屋」だって違う。

頭をふるふると左右に振る私に、「楽しんで」の言葉が蘇る。
気持ちを切り替えるの、確かにゲームだけど
ゲームの選択肢を選んでただプレイしている状況とは違って、私の行動次第では現実世界みたいに反映されると思う。
パラレルワールドみたいな、って言っていた意味を考えるとそう言う事だ。

ふぅー難しい事はもう考えたくない
そう思ったタイミングでノックの音が聞こえる。