月の都の花嫁

城咲美月

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裏庭にて

周りのガヤガヤとした喧騒に
ハッと我に返る。

「櫻井君」

あ、さっきのメガネ教師
至極嫌そうに私を呼びに来た。

表情から垣間見える
何故君が?と考えている顔だ。

「校長室に今から一緒に行きますよ
遅れないでください」

私だって嫌だよ
そう口に出してしまえれば楽だけど、仕方なく立ち上がりこのメガネ教師の後ろを歩く。





⭐︎






このメガネ教師が案内役かと後ろで歩きながら付いていく事数分後


長い長い廊下を歩いて渡ると
校長室と吊り下げられている、白い板が入り口付近にあるのを見ていた。

コンコンコン。
数回ノックすると、「はい」とのんびりした声が聞こえてくる。

「失礼します」
そう言ってこのメガネ教師と私は一緒に
校長室に入室する。

「櫻井君を連れてきました」


一緒に中に入ると、ニコニコと笑顔のふくよかなまるで安○先生のような人と、もう一人の女子生徒と綺麗な人が居た。

「どうぞ、おかけなさい」
そう促されて

「はい、失礼します」そう言ってもう一人の女子生徒の隣に座った。

目の前には、安○先生のような校長先生が座っていて

右側のソファーにメガネ教師と綺麗な女性も一緒に座る。

そっか......これ....。

視線だけ動かすと、革の座り心地よいソファーと調度品にトロフィーや歴代の校長先生の写真。


として、私の横に座っている女の子は...。


「揃った所で、話しましょう。
単刀直入に言いましょうかね
君達二人は、月の都の花嫁候補に選ばれました」



やっぱり....オープニング。
そして私がゲームの中にいる現実。



そしてこの後言われる言葉が想像つく。

「校長、お言葉ですが
成績優秀の朝陽君は分かるのですが 「平凡の」櫻井君はどうなのですかね?」

“平凡"って強調したなぁ~!

はぁ...でも仕方ない。実際私は今初期アバターで、(本来なら、けどこれ私だけどね)初期の制服で魅力もスタート値だもの。

言われるのはわかってたけど、実際言われると凹むわ………

「ふむ。私には平凡な生徒には見えませんな
ふおほっほっほ」

何でもないと言うように
顎に手をおきながら笑う姿はまさしく.....!

校長先生はこっそり私の癒しと認定した。

「ふぉほっほ、じゃないですよ全く」

呆れたように言うメガネ教師

「それに、あちら側から正式な招待状がきちんと送られてきています。
疑いがないように本物ですよ。
それとも君がこれさえも嘘だと言って疑いになるとは、私には思えないんですがね。ほっほっほ」


「ぐっ.....」



メガネ教師は、自分の手を握りしめ口を閉じぐっと堪えている。

メガネ教師にも意味は通じたようだ

グッジョブ!安〇先生~!

「君にはこの招待状も嘘だと疑って騒ぐつもりかね?
それほど愚かな真似はしないよな?」だ。

いや、校長先生はメガネ教師から視線を外し、こちら、私達に向き直る。

「さて、君達にもわかったように我が校から二人も選ばれた事を嬉しく思っています。
君達二人は、どうしますか?」

スッと私の隣の女の子が手をあげ
校長先生が「どうぞ」と先を促すと
女の子はスッと手を下げてそのまま手を自分の胸の上に持っていき
「大変光栄に思っています。お話お受けします」

「そちらの君は?櫻井君、と言ったかね?」

「はい、私もお受けします」

「よろしい」

ニコッと穏やかに笑う校長先生。

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