月の都の花嫁

城咲美月

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「質問を....」
「ほお、貴女が珍しい」

そう教師の顔がキラリと光り興味津々な表情をする。

同時に貴女が質問ですか?とどうせロクな質問ではないでしょうけど
と鼻で笑う様子が伺える

し、しまった。何も考えてなかったわ

でもここは古城の月の都が題材だったはず。
古城の月の都、シンボルは龍が住まわる古城。
何故、月の都なのか。
それは、初代の皇帝が夜しか姿を現さない為にまことしやかな噂が常に流れていた。
その噂は魔女の仕業である。または吸血鬼だったとでも私は答えを知っている。
反則に近いけど、私はこの時間を乗りきりたい.....!


「皇帝が夜にしか姿を現さないのは大変珍しい病気の為ではないかと思います」

ほぉ?と目の前の教師はまたメガネをクイクイッと2、3度上下運動をさせる。

私の言葉に耳を傾ける気になったようだ

いいぞ、その調子だ

「それで月の都の花嫁は皇帝の変わりに薬を探すのですがその手掛かりとなる場所がはっきりと書かれていないので何処にあってまたどのような病気だったのか詳しく記載されていません」


「そう、そのようだね。
だが多くの見解はこのように記してある『月の都の花嫁は皇帝の愛を勝ち取り、二人で試練を乗り越えた』と
だから、この習わしのように国母となる人は月の都の花嫁、と呼ばれる。」

そこで、終了の音が鳴る。


「さて、終了の音が鳴ったからにはこれで終わるとしょう。
君の解釈をまた今度の楽しみにするとしようじゃないか
櫻井君、音に救われたな」

そう言って、ニヤリとイヤな笑いを浮かべながら背を向けるメガネ教師

な、なんとか乗り切った…かな?
ほっと私は胸を撫でおろした。

教師が教室から出ると、ガヤガヤと騒ぎ出す。



に、しても本当に現実のような感覚になるのね。
キャラクターが動く様は、映像じゃないみたい。

これなら、動作確認.....と、パロメーターの確認も。

っと、教室でやったら...マズイか。
何処か、....っと周りをキョロキョロと見ていると
ピン!と思い出す。

あったじゃない!裏庭のとっておきの場所!
そう、セーブポイント。

小さな噴水と、金木犀の樹とベンチが置いてあるだけの小さな裏庭。

私は、教室から裏庭にやってきた。



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