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変態協会1-7
しおりを挟むしばらくの間女装男を見ていた
もしかしたら変態協会の奴かもしれないと思ったからだ。
二駅ほど過ぎたあたりで制服を触る男が現れた。
痴漢だ!
暫く制服を撫でたあとスカートの中に手を入れて、手の甲で感触を味わっている様だ。
その男の顔は見えなかった。
突然その手が動きを止めたかと思うと、手のひらで揉みだした。
女装男を見ると顔を赤らめて俯いている。
嫌がる素振りは見えない。
やがて後ろにいた痴漢は自分の腰を女装男の腰に当てて擦り出し、手は前へと移動していた。
だがそこにおるのはギンギンに勃ってる女装男の竿だ。
俺は青褪めるだろう痴漢男を密かに笑っていた。
だが、一瞬止まった後そのまま触りだした。
(え⁉)
もう少しで俺が悲鳴をあげるところだった。
その二人は男同士でちちくり合い始めた……。
電車の中で……。
なんだろうこの絵図等……。
彼氏彼女の関係なのだろうか?
それなら良い。
最近は色んな病気が分かってきているからな。
だが、朝の満員電車でするもんじゃない筈だ……。
俺はその二人を見ない様にしながら次の駅で降りた。
だが、その二人も降りてきた。
肩を組んで……。
そして、その時話す声が聞こえて来た。
「キミ男なのに制服なんて着て変態なのかな?」
「うふふ♡そんなあなただって痴漢じゃないですかぁ♡」
「うへへ♡そうなんだけどさ、どうかな?この後……」
「えー今日初めて会ったのにぃ?」
「まぁまぁいーじゃないかぁ♡」
「いやーん♡」
どうやら彼等は初対面らしい……。
俺はそんな二人の背中を見送る。
何となく近付いてはイケない気がしたからだ。
改札を出るとあの二人は真っ直ぐホテル街へと消えていった。
何となくやる気が削がれた俺はコンビニで朝食を買うと家へと帰り、ポストを確認した。
だがまだ封筒は入っていなかった。
「はあぁぁ……」
深く溜息を吐くと変身を解き、冷蔵庫からビールを出して一気に飲んだ。
買ってきた弁当を食べた後そのまま寝た。
「変態って何だろう……」
寝ながら考えたが、答えは出なかった。
◇
朝から私は酔っていた。
ここ暫く不眠症で中々熟睡出来ない上にストレスもピークになり、酒の量も増えいる。
「明日には出勤しろよ?」
今朝一番に上司からの留守電を確認した。
こんなボロボロで働けるのだろうか……、分からないけど取り敢えず酔い止めの薬を買いに来たが薬屋はまだ開いていない。
コンビニで水でも買おうと寄ると、あの少女が弁当を買っていた。
魔法少女と言われているあの子だ。
今あの子を変態協会へ突き出せば私はまた会員に戻れるかもしれない……そう一瞬魔が刺した。
店内で彼女の後ろを付け回す。
ジュースが並ぶ前を横切った時、ガラスに映る自分の顔を見た。
その顔はまんま犯罪者のそれだった。
私は立ち止まりマジマジと自分の顔を覗き込む。
「なんて顔をしているんだ……」
私は自分の顔を触る。
頬がコケて目の下には隈が出来ていた。
目付きは悪く、今にも犯罪を犯しそうなそんな顔をしていた。
彼女をつけるのを止めた私は酒を数本購入し、呑みながら歩く。
ウィスキーをラッパ飲みしながら力なく笑った。
「正義の味方に成ろうとしてたのになぁ……」
そう呟くと涙を流がし咽び泣いた。
そんな私に誰かがポケットティッシュをくれた。
同情でもしてくれたんだろうか……。
何となく苛ついた私はティッシュをくれた人に文句を言おうと振り向くと誰も居なかった。
「……何なのよ」
そのティッシュを何となく裏返すと其処には……
【魔法少女募集中】
そう書いてあった。
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