魔法少女チナツ

あるちゃいる

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魔法少女1-9

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 ~コンビニ強盗立て篭もり事件から数時間前~

 日曜深夜のとある団地の3階では、窓が曇る程の熱気を放つ者がいた。

 「ほっ!ほっ!だいぶ早くなってきた!」

 ピンクのスカートをフリフリとまくりながら、自分のパンツを上げ下げしながら間に正拳突きを放つ

 この恐ろしいまでの速さなら、少女の姿に一瞬ブレたおっさんが写るくらいで済むかもしれない。

 そう思えるほど素早いものだった

 もうかれこれ2日程頑張ってパンツの上げ下げをしてきたので少し疲れた俺は休憩がてら自販機へ飲み物を買いに行った。

 勿論おっさんの姿でな。
 その帰りにティッシュを配る人がいた……
 (あ……何かデジャビュ……)っと思っていたら、案の定俺にティッシュを渡してきた。

 すると其処には……

 【魔法が高くて困ってるそこのあなたに朗報! なんと今なら五万円で武器カタログや賞金首カタログが貰えちゃうよ♡】

 と、書かれていた。

 俺は振り返りティッシュを配っていた人を見たが、もうそこには居なかった。

 「どこで買うんだよこれ……」
 そう呟いたが返事は返ってこず、深夜の大気に消えていった。

 まぁいーやとポケットにティッシュをしまって部屋へと戻ると、再びステッキを取り出して変身する。

 すると、一瞬ハートが光った

 「なんた⁉ 俺魔法使ってないぞ⁉」と焦っていると急にどこからか音がした。

 ”コンコン”

 ベランダから窓を叩く音がするのでカーテンを開けてみると……

 緑髪をハーフアップにした美少女が立っていた。

 窓の鍵を外すとその子は勝手に窓をカラカラと開ける。

 「こんばんは!」
 「へ?……ああ、コンバンハ?」
 「あれ? おはよう御座います?」
 「あ、いや、(今晩はで)多分あってる」
 「そうならいいの……上がっても?」
 「ああ、どーぞどーぞ」

 そう言うと靴を脱いで部屋へと入る
 ちゃんと脱いだ靴は揃えていた。
 その子は名前は告げずに本を二冊取り出した。
 「此方が商品になります、お買い上げありがとう御座います」
 そう言って頭を下げた。
 「え?……え?」
 俺は何がなんだか分からないので説明を求めたがニコニコするだけで何も言わなかった。
 「何を買ったって?」

 「武器とマンハントのカタログです」
 「あ、さっきのティッシュ?」
 「そうです、そちらには盗聴器を仕掛けました」
 「さっき仕掛けたってか? あなたさっきティッシュ配ってた人?」
 「……よく分かりましたね」
 「分かりやす過ぎですよ!」

 そう言うとその子は立ち上がりパンツをずらした

 すると細マッチョの男が現れた。
 そしてそのままの格好で座り直した。
 


 
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