魔法少女チナツ

あるちゃいる

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魔法少女1-5

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 数日後俺は会社に出社する為に満員電車に揺られていた。

 電話で「治りました」と、言ったら
 「早く来い」と言われた。

 普通の会社なら必要な診断書もいるだろうから、貰ってきますと言ったが要らないから早く来いと言われた。
 
 流石は曰く付きの派遣会社である
 精神的に病む人が多く、俺の様に休んだあと
 飛ぶ(無言退社)奴が多いのだそうだ。
 なのでこうして戻ってくると連絡してくるのは珍しいと言われ
 診断書も無いんだから気にするなと言われた。
 完全に仮病とバレていた。

 まぁその分今月の給料は少なくなるが
 ずる休みをしたからと言ってクビにはならなかった。






 何時もなら始発で会社へ向かうのだが
 次に行く予定の会社が午前10時~18時までなので
 九時半に会社に入れば良いという。
 なので、満員電車で出勤する事になった。

 降りる駅になると突然女の人の泣きそうな声がした。

 「いい加減にしてください!」

 その声は俺の隣の隣にいた女子高生だった。
 そして、言われた男は俺の隣に居た禿げたデブだった。

 「痴漢?」っと、周りからボソボソ聞こえハゲデブ男が狼狽える。

 ドアが開いた瞬間ハゲデブは走り出して逃げた。
 その後を女子高生が追い掛けて行く

 「誰がその人捕まえて! 痴漢です!」

 だがその声も虚しくハゲデブは逃げて行き姿が人混みで見えなくなった。

 だが、俺は見ていた。
 その男が改札を抜けて路地裏へと走って行く所を
 そしてその背中を追って俺は走り出していた。

 普段なら見逃していたかもしれない。
 だが、魔法少女になった事により正義感が芽生えたようだ。

 路地裏へと続く道にはトイレがあったので
迷わずへと入る。
 そして鞄からステッキを取り出して変身する。
 その時に気付いた、カバンはどうしようかと……
 その時カバンが光りだして胸のリボンの中へ消えたのだ。

 家にいた時ステッキ以外は何度唱えても消えなかったのになぜ今消えたのか分からなかった。

 だが、考えてる時間など無かったのでそのまま男を追い掛ける。

 程なくして、息を切らしながら公園のベンチに座っているハゲデブを見付けた。

 そして俺はその男の前に飛び出すと決めポーズをしながら

 「魔法少女チナツ只今参上! 
悪は絶対許さないんだからね!」

 と、ステッキを構えながら言った。

 これは正式に魔法少女になった時に考えてた台詞だった。

 決めポーズをしながら佇む俺を見ながらその男は言う

 「あー、すまんな譲ちゃん
 俺は女子高生は好きだが君の様なちんちくりんには興味無いんだわ
 分かったらさっさと学校へ行け」

 そう言うとベンチから立ち上がり去ろうとしたので、俺は諦めずにハゲデブの背中目掛けてグーパンした。
 のだが、少女の姿では全く効かず背中をポコポコと叩くだけだった。

 それが鬱陶しかったのかハゲデブは振り返ると俺の腕を掴み、煩わしそうにつるぺたな胸を揉んできた。

 「ほら、大人は怖いんだから失せろガキ! ていうかガキでも少しは膨らんでるんだなぁブヒブヒ」

 そう言うとさらに撫で回すように胸を揉まれた。

 俺は一瞬で鳥肌が立ち、掴まれてる手を解こうともがいたが外せなかった。

 そうこうしてるうちにハゲデブの手は俺の尻を揉みだした。
 そして、スカートを捲らずに脱がし始めた。

 その瞬間俺に力が戻って来たので掴まれていた手を振りほどく事に成功した。

 そして、目を剥いて驚くハゲデブが叫ぶ前に顔面を殴り飛ばした。

 顎にモロに食らったハゲデブは脳震盪を起こしぶっ倒れた。
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