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5キロ
しおりを挟む「ふふふ!遂に出来たぞ俺用オマル!」
風呂の後でオマル作りの名人という庭師を紹介されて、夜中にようやく一般人用オマルが出来た。
それを見た庭師も欠伸をしながら褒めてくれた
「ようやく出来たな!これで一応免許皆伝だ、頑張ったな!あとは継続して練習すれば自分なりのオマルが出来る筈だ!」
そう言って固く握手を交して庭師さんは自分の家へ帰っていった。
俺は深々と頭を下げてそれを見送った。
その後は中庭に一人残って永遠とオマルを作っては壊し作っては壊しを続けて、明け方になってやっと自分用の大きなオマルを完成させた。
そのオマルは普通の大きさの3倍くらいで、座る所が太く返しが付いていて、大きな物を出して水が跳ねても返しで溢れて来ないすぐれものだった。
徹夜で頑張って作ったオマルを横に置いて満足した俺は急に眠くなって、中庭で寝てしまった。
◇◇
どれ程寝たか分からないが、耳元でパシャパシャという音で目が覚めた。
凸凹した地面で寝ていても、背中に石があっても背肉の肉で痛みを感じさせない俺にとって寝る場所など何処でも良かったようで、意外とスッキリと目が覚めた。
そして、先程からパシャパシャ音がする方向を見ると昨日のメイドさんが何かを激しく洗っていた。
俺の渾身のオマルを使って洗濯をしていたのだ。
「あ、あの……」
俺はまだ未使用とはいえ、オマルとして作った物を使って洗濯をするメイドさんに何て言葉を掛けて良いか分からなくて、言葉に詰まっていると
「おはようございます!ショー様、あ!申し訳ございません勝手に洗濯桶を借りてしまって」
っと、恥ずかしそうに言う。
「え、洗濯桶……?」
「はい!しかもこれ最新何ですか?激しく洗っても水が溢れて来ないんです!凄いですね!どこに売ってるんですか?」
「い、いやそれを作ったのは俺です……」
「何と!こんな素晴らしい洗濯桶を作ったのがショー様ですか!ぜひ売ってください!」
何故か洗濯桶を作った事になって、しかも返しの付いた洗濯桶なんて他には無く、絶賛された。
その騒ぎを聴きつけた庭師さんや他の従者さんまで集まってきてしまい、返しの付いた最新洗濯桶としてこの街で売りに出す事が決まってしまった。
どうせならと洗濯板のレシピも教えると、それも木工職人を呼び出して作らせ、完成した洗濯板をメイドが試しに使ってみた所大好評となり、レシピを売ってくれと頼む業者に、売らずに教えるから勝手に作れと言い、教える代わりにその分も合わせてアイデア商品として、売上の三十%を受け取れる事になった。
ひょんな事から生活資金を得れる事になったのは良かったのだが、返しを付けた洗濯桶をオマルとして使うと変な目で見られる事になってしまい、また一からオマル作りをする事になってしまった。
オマルがないと困るのは自分なので、今日から始まる予定だった訓練は一先ず中止してくれる様に頼んだ。
宰相さんも生理的な問題の方が大事だと理解してくれて、俺のオマルが完成するまで訓練はしないと言ってくれた。
そこで心の余裕が出来た俺は遊び心も加えてオマル作りに精を出す事になった。
亀や鳥の頭を付けたオマルを作ったり、アヒルの形にしてみたりしていたら、様子を見に来てくれた宰相様とその奥方様がアヒルの形のオマルに飛び付き、売ってくれと言われた。
そしてそれも俺のアイデア商品として売りに出される事になり、また売上の三十%を受け取る事になった。現代の知識からの商品という事もあり、何となく悪い事をしてる気分になったが、まぁ異世界だしっと思う事にして、遠慮無くお金を受け取る事にした。
何やかんやと売れてしまう商品を作りあげてばかりで、一向に進まないオマル作りにようやく日の光がさした。
現代のどっかに浮かぶス○ンボートを模して作った巨大なアヒルボート。
座る所を便座にして、その中にオマルを置いて使う、俺専用トイレの完成である。
トイレのオマルは巨大に作って浄化槽の様に地面に入っいる。
匂いが出ない様にオマルの中に水を入れて、外にある池から水を一杯持ってきてそれも入れたあと、肥料を水に入れる。こうする事で、水の中のバクテリアが繁殖する事によって、水に浮かぶ大きなブツを分解させるのだ。クリアが何処までクリアするのか見えないので、念には念を入れた形だ。
そしてオマルを作っていて思ったのが、座ったあとの事である。手摺があれば捕まって立てるが、オマルには無いのだ。
当然勢いを付けても立ち上がれない、何故ならオマルは固定されていないからだ。
固定されていない物の上に座って勢いを付けた所で立てなかったのだ。
これはイカンと考えた俺は手摺の付いた乗り物に乗って其処の椅子をオマルにしてしまえば良いと考えた!このアイデアは、昔……まだ俺が百kg無かった時代家族旅行でスワンボートに乗った時に腹が痛くなり、岸に向かって急いで漕いでた時に思ったのが、椅子がトイレだったら良いのに!っだった。
その時の事を思い出した俺は俺が座れる三人掛け位の幅で座っても壊れない頑丈さと、見た目トイレに見えないが、椅子の真ん中に蓋を付けたオマルを作った。
作った直後、遂に我慢出来なくなってた俺は誰かが来る前にそのトイレを使う事に成功したのである。
ために貯めたおっきいブツを捻り出したあと、尻を拭くのだが、うっかりその事を忘れてた俺は咄嗟に生活魔法の火と水で温水を作り、尻穴に向けてシャワーを出していた。
魔法はイメージでどうとでもなる。そんな話を昔の友が語っていた事を思い出させて良かった。
尻のシャワーはそのまま固定されたらしく、アヒルボート型トイレに座って用を足し、シャワーと思うと出る様になっていた。仕組みは分からなかったので説明も出来ないが……
その後温風まで出て来たので、拭き取りいらずのウォシュレットが完済してしまった事になる。
イメージをフル活用するのは止めておこうと思った瞬間だった。これでは、中世時代に現代知識を持ってきてしまったような物で、あまり良くないんじゃないかと思ったからだった。
だがしかし、作ってしまた便利差は中々壊す事も出来ず、そして巨大なトイレはその日の内に宰相様の目にも映る事になり、どういった物なのかと説明する羽目に……
俺用サイズなので普通の人には使い辛いかもと言ったのだが、我先にと人が押し寄せてトイレの前には長蛇の列が出来ていた。
そのうち外庭で訓練をしていた兵士達も鎧を付けたままトイレに並び、鎧を付けたままでも用が足せると評判になってしまい、同じ物をもっと作ってくれと頼まれる羽目に……
三人掛けの幅も何故か好評で、装備を外して置けるとか、荷物を持ったまま使用しても外に置く心配も無く、安心して用が足せるとメイドさんや従者達にも好評だった。
そして俺は訓練もしないまま、毎日アヒル型巨大トイレを土魔法で作るようになり、毎日倒れそうになるまで魔力を使ったお陰か、体重が百キロも減る事になった。
「それでもまだ百三十キロあるってどういう事なのだね?」
そう鎧を着させられながら俺を見る宰相様が呆れる様に言う。
「いやぁ……ははは」
何も言えない俺は曖昧に笑って誤魔化した。
そして、ようやく始まる訓練は俺が召喚されてから実に、三年間も過ぎていたのだった。
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