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22話
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街を出てから数刻が過ぎ、今夜の野営場所へと着いた
倉庫は既に改造済みで、仕込みのできる部屋と
台所は一緒にして、4人部屋を作った。
一樹は自分の倉庫で寝ると言ったが、折角の旅なのだからと同じ空間にしてもらった。
食事を作るのは楓に任せた。猫は晩酌がしたいというので、一献付けたが沢山は駄目だと言ったら泣き出したが、そこは徹底したら諦めた
猫の憔悴しきった顔と言うのは見てられない物があったが、心を鬼にして耐えた
商売道具をそうそう振る舞っていたらアッという間に無くなってしまう
そうなると、寿司や刺し身の出が悪くなる
まぁ、旅に生物を食べる強靭な胃を持ってる人が居るかどうかは分からないが
野営地には他に団体さんが居た
ガリボリと保存食を齧っていて、とても味気ない食事をしていた
まぁ、それが普通なのだろうが
なので、試しとばかりに店を出してウサギ肉の寿司を作り(無難に)提灯を掲げ【営業中】としてみた
それを見た人がやって来て
「ここは店なのかね? 」と聞いてきた
「はい! 是非食べていってください! 」
そう進めてみた。
じゃあ少しと言いながらカウンターに座って、壁に付いてるメニューを見出したが、分からなかったらしく、適当なものを出してくれと頼まれた。
なので、サクッと兎肉の握りを出した
醤油を少し付けて食べて下さいとというと、一口で食べた。
まぁそのくらいの大きさだしね
「うん。美味いね! ドンドン出してくれ! 」
なかなか好評で、握る速さが食べる速さに追いついて無く、度々待たせる事になってしまって居たので、お酒を勧めてみた。
旅先なのと野営ということもあって、度数の高いのはやめて、生ビールをだしてみた
これが、兎肉と合さって大好評
やがてその人の仲間も集まり始めて、すっかり宴会みたくなってしまった。
夜は大丈夫なのかと聞くと、一応見張りを別に頼んであるからと言って、指差した方向を見ると
何とも恨めしそうに見てる数人の護衛が居た
一樹に耳打ちして度数の高いラムを小瓶に入れて
渡す様に言い「寒くなるから少し飲んどけ」って言っといてと頼んだ
小走りで向かって渡すと手を振って喜んでくれた
暫くすると腹が満ちたのか話しかけてきた
「なぁご亭主よ、こんな美味いものを食ったのは初めてだ、どうだろう? この先の町で店を出してみないか? 資金なら儂が出資してやろう! 」
そう言われたが「いえいえ、実は私共はその街から来たのですよ」そう言うと
「店持ちが何でまた旅なんかするんだね? 」
と、たいそう驚き唖然とされた
『俺もそう思うよ』と猫ニャンかお猪口片手に手酌で呑みながらやって来た
それを見た商人は「あれっ!?魔法使いギルドのマスターじゃないか! 何してんの? 」
と、驚愕的な事を仰った
「ギルドマスターっ⁉ 」思わず叫ぶのは仕方ないだろう、今の今まで知らなかった。職員とは思っていたが……まさか、マスターって。
「仕事はどーしたんだ? 猫ニャン」
「ちゃんと言ってきたニャ。暫くヨロシクニャって、サブマスに」
(うーわー……)と、全員の心の声が重なった気がした
その次の日に、団体さんと「またいつか会いましょう」と言い合って、手を振って別れた。護衛さん達も、ご機嫌で手を振りあった
移動寿司屋も中々の手応えを感じた良い夜だった。さぁ、行きますニャ!っという猫ニャンの掛け声で馬が馬車を引く、風が舞って窓から覗く俺の髪を揺らした
倉庫は既に改造済みで、仕込みのできる部屋と
台所は一緒にして、4人部屋を作った。
一樹は自分の倉庫で寝ると言ったが、折角の旅なのだからと同じ空間にしてもらった。
食事を作るのは楓に任せた。猫は晩酌がしたいというので、一献付けたが沢山は駄目だと言ったら泣き出したが、そこは徹底したら諦めた
猫の憔悴しきった顔と言うのは見てられない物があったが、心を鬼にして耐えた
商売道具をそうそう振る舞っていたらアッという間に無くなってしまう
そうなると、寿司や刺し身の出が悪くなる
まぁ、旅に生物を食べる強靭な胃を持ってる人が居るかどうかは分からないが
野営地には他に団体さんが居た
ガリボリと保存食を齧っていて、とても味気ない食事をしていた
まぁ、それが普通なのだろうが
なので、試しとばかりに店を出してウサギ肉の寿司を作り(無難に)提灯を掲げ【営業中】としてみた
それを見た人がやって来て
「ここは店なのかね? 」と聞いてきた
「はい! 是非食べていってください! 」
そう進めてみた。
じゃあ少しと言いながらカウンターに座って、壁に付いてるメニューを見出したが、分からなかったらしく、適当なものを出してくれと頼まれた。
なので、サクッと兎肉の握りを出した
醤油を少し付けて食べて下さいとというと、一口で食べた。
まぁそのくらいの大きさだしね
「うん。美味いね! ドンドン出してくれ! 」
なかなか好評で、握る速さが食べる速さに追いついて無く、度々待たせる事になってしまって居たので、お酒を勧めてみた。
旅先なのと野営ということもあって、度数の高いのはやめて、生ビールをだしてみた
これが、兎肉と合さって大好評
やがてその人の仲間も集まり始めて、すっかり宴会みたくなってしまった。
夜は大丈夫なのかと聞くと、一応見張りを別に頼んであるからと言って、指差した方向を見ると
何とも恨めしそうに見てる数人の護衛が居た
一樹に耳打ちして度数の高いラムを小瓶に入れて
渡す様に言い「寒くなるから少し飲んどけ」って言っといてと頼んだ
小走りで向かって渡すと手を振って喜んでくれた
暫くすると腹が満ちたのか話しかけてきた
「なぁご亭主よ、こんな美味いものを食ったのは初めてだ、どうだろう? この先の町で店を出してみないか? 資金なら儂が出資してやろう! 」
そう言われたが「いえいえ、実は私共はその街から来たのですよ」そう言うと
「店持ちが何でまた旅なんかするんだね? 」
と、たいそう驚き唖然とされた
『俺もそう思うよ』と猫ニャンかお猪口片手に手酌で呑みながらやって来た
それを見た商人は「あれっ!?魔法使いギルドのマスターじゃないか! 何してんの? 」
と、驚愕的な事を仰った
「ギルドマスターっ⁉ 」思わず叫ぶのは仕方ないだろう、今の今まで知らなかった。職員とは思っていたが……まさか、マスターって。
「仕事はどーしたんだ? 猫ニャン」
「ちゃんと言ってきたニャ。暫くヨロシクニャって、サブマスに」
(うーわー……)と、全員の心の声が重なった気がした
その次の日に、団体さんと「またいつか会いましょう」と言い合って、手を振って別れた。護衛さん達も、ご機嫌で手を振りあった
移動寿司屋も中々の手応えを感じた良い夜だった。さぁ、行きますニャ!っという猫ニャンの掛け声で馬が馬車を引く、風が舞って窓から覗く俺の髪を揺らした
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