【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙

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賞金の出る部屋

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　世の中には、成功すると賞金がもらえるという課題がある。それも莫大な賞金だ。そんな課題は、当然だが簡単にできるものではない。

　物理的に難しい課題。
　時間的に厳しい課題。
　肉体的に苦しい課題。
　精神的に激しい課題。
　倫理的に悲しい課題。

　さて、ある男は課題内容を説明されて悩んでいた。男の目の前には二十畳ほどの大きな四角い部屋がある。内容はこうだった。

『部屋の中に入れ。その部屋にいる人物を殺せ。さすれば賞金が手に入る。』

　人を殺すことは犯罪である。しかし、この課題を与えた者にかかれば、そんな違法も罪ではなくなる。問題は人を殺す胆力の有無。一度課題を受け入れれば、成功するまで部屋から出ることは叶わないという。

　男は悩んだが、金に目がくらんだ。

　ゆえに、男は部屋に入った。そして後悔した。

　なぜなら部屋の中にいたのは──。

「あれ？」

　いなかった。

　部屋の中には誰もいなかったのだ。

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　〈ヒント「誰もいなかったということは？」〉

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【解説】

　部屋に誰もいなかったということは、殺す対象がいないから賞金が出ない？　──と考えた方は優しい方でしょう。

　考えられるオチは二つです。

　一つは、部屋の中には主人公だけがいた。つまり、主人公は自分を殺して賞金を獲得しなければならなかった、というオチ。

　もう一つは、誰かが自分の次に入ってくるまで待たなければならない、というオチ。そうすると次にやってくる人物は、自分と同じ課題内容を聞かされているであろうから、当然殺し合いになります。まあ、この場合は生き残れる可能性がある分、一つ目よりはまだましでしょう。

　とはいえ、いつ入ってくるかはわからない上に、入ってきた人物は自分を殺そうとしている人物ですから、主人公は常に気を張っていないといけません。トイレや食事、睡眠の問題を考えると、こちらの方がきつかったりするのでしょう。

　もっと最悪なのは、いつか現れるだろうと思っていて、誰も入らなかった場合。その場合は餓死という残酷な死が待っていることでしょう。