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廃墟探検
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神隠しに遭うと噂の廃墟に、私を含めたオカルト研究会の五人は、夏休みの合宿として探検することになった。
場所は、とある山の中にある古びた洋館。私たちは、雰囲気が出るからと夕方になって廃墟に侵入。一通り捜索したのち、地元に帰って上映会を開始したのだった。
映像は、部長であるゴロウの姿が映っているところから始まっていた。
「よし、いくぞ」と、ゴロウが先頭を切り、屋敷の中へと足を踏み入れていく。恐る恐る皆もそれに続いていった。
皆それぞれ懐中電灯を持って各々あたりを照らしていく。歩くたびに埃が舞い、ライトに照らされた。ギシギシと床の軋む音を聞きながら、皆は奥へと進んでいく。
しばらくは皆、言葉少なに周囲を見ていた。
そんな中、突如ガタッとまだ誰も行っていないはずの奥の部屋から物音が聞こえてきた。エミコが部長の腕にしがみつく。皆の動きがぴたりと固まる。皆が互いを見つめ合う。
そんな中で、私は勇気を振り絞り、扉を開けようと一人動きだした。カメラはその後を追うように私の背中を映しだす。するとなんと、映し出されたその背中には、べたっと赤く血塗られた手の跡が張り付いていた。
「うあぁっ!」
部員の一人、タケルが悲鳴をあげる。カメラは振り返りタケルの姿を映しだす。腰を抜かしたタケルの腹には、私のと同じような赤い手形が張り付いていた。
「おい、へんな冗談はやめろシンゴ!」
いきなりの部長の怒号に、カメラがシンゴに向けられると、シンゴは両手を真っ赤にしてヘラヘラと笑っていた。
「へへへ、冗談だって。ジョークだよジョーク」
赤い手形はシンゴの悪戯だったようだ。
暗闇の中で、降参するかのような手を上げるポーズのシンゴの姿が映る。しかし、タケルはシンゴに近づくと彼の胸ぐらを掴み、怒鳴り始めた。画面の端で二人が喧嘩を始める。
そこへすかさずゴロウが仲裁に入った。映像では、私とエミコがただ呆然としている姿が映し出され、その後すぐ「きゃっ!」とエミコが悲鳴を上げた。画面が大きく揺れる。足元が照らされ、見ればネズミが一匹駆け抜けていった。
映像はここで終わっていた。
陰鬱とした雰囲気が漂う。エミコがなんとかして皆を盛り上げようとしていたが、それは徒労に終わっていた。
しかしながら噂は噂でしかないようだった。誰一人として欠けていない。映像にはしっかりと私たち五人の姿が映っていたのだから。
【解説&ヒントは↓をスクロール】
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〈ヒント「オカルト研究会は何人いた?」〉
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【解説】
五人で廃墟探索に行ったはずなのに、映像にはしっかりと五人の姿が映っていました。いったい誰が撮影していたのでしょうか?
噂の真相は、神隠しに遭った人間の存在とともに周囲の人間の記憶からも消えてしまうというものでした。
場所は、とある山の中にある古びた洋館。私たちは、雰囲気が出るからと夕方になって廃墟に侵入。一通り捜索したのち、地元に帰って上映会を開始したのだった。
映像は、部長であるゴロウの姿が映っているところから始まっていた。
「よし、いくぞ」と、ゴロウが先頭を切り、屋敷の中へと足を踏み入れていく。恐る恐る皆もそれに続いていった。
皆それぞれ懐中電灯を持って各々あたりを照らしていく。歩くたびに埃が舞い、ライトに照らされた。ギシギシと床の軋む音を聞きながら、皆は奥へと進んでいく。
しばらくは皆、言葉少なに周囲を見ていた。
そんな中、突如ガタッとまだ誰も行っていないはずの奥の部屋から物音が聞こえてきた。エミコが部長の腕にしがみつく。皆の動きがぴたりと固まる。皆が互いを見つめ合う。
そんな中で、私は勇気を振り絞り、扉を開けようと一人動きだした。カメラはその後を追うように私の背中を映しだす。するとなんと、映し出されたその背中には、べたっと赤く血塗られた手の跡が張り付いていた。
「うあぁっ!」
部員の一人、タケルが悲鳴をあげる。カメラは振り返りタケルの姿を映しだす。腰を抜かしたタケルの腹には、私のと同じような赤い手形が張り付いていた。
「おい、へんな冗談はやめろシンゴ!」
いきなりの部長の怒号に、カメラがシンゴに向けられると、シンゴは両手を真っ赤にしてヘラヘラと笑っていた。
「へへへ、冗談だって。ジョークだよジョーク」
赤い手形はシンゴの悪戯だったようだ。
暗闇の中で、降参するかのような手を上げるポーズのシンゴの姿が映る。しかし、タケルはシンゴに近づくと彼の胸ぐらを掴み、怒鳴り始めた。画面の端で二人が喧嘩を始める。
そこへすかさずゴロウが仲裁に入った。映像では、私とエミコがただ呆然としている姿が映し出され、その後すぐ「きゃっ!」とエミコが悲鳴を上げた。画面が大きく揺れる。足元が照らされ、見ればネズミが一匹駆け抜けていった。
映像はここで終わっていた。
陰鬱とした雰囲気が漂う。エミコがなんとかして皆を盛り上げようとしていたが、それは徒労に終わっていた。
しかしながら噂は噂でしかないようだった。誰一人として欠けていない。映像にはしっかりと私たち五人の姿が映っていたのだから。
【解説&ヒントは↓をスクロール】
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〈ヒント「オカルト研究会は何人いた?」〉
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【解説】
五人で廃墟探索に行ったはずなのに、映像にはしっかりと五人の姿が映っていました。いったい誰が撮影していたのでしょうか?
噂の真相は、神隠しに遭った人間の存在とともに周囲の人間の記憶からも消えてしまうというものでした。
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