【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙

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何か用かい？

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　とある町のとある場所。そこで誰かが、誰かに話しかけていました。

「やあやあ、サトー君」
「おお、スズキ君か。何か用かい？」
「いやあ、なにしてるのかなーと思ってさ」

　誰かは、もう一人の様子をじろじろと見ていました。もう一人の誰かが答えます。

「そりゃあ釣つり竿ざお持っているんだから見りゃあ分かるだろう。釣りだよ。釣り」
「へえ、そう……。どうだい、釣れてるかい？」

　誰かは、誰かに訊ねてみました。

「まあまあいいかな。餌えさがいいからね」
「どんな餌だい？」
「一万円だよ。やっぱり高いとよく釣れるね」
「へえ、そう……」
「やつらは違いが分かってるんだよ」
「不思議だなあ……。遠くから見たら千円も五千円も同じに見えるけどねえ……」

　誰かは首を傾げるのでした。

【解説＆ヒントは↓をスクロール】
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　〈ヒント「どうして値段を答えているのだろう？」〉

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【解説】

　餌が何かと聞かれているのに値段を答えているのは、ちぐはぐした感じがします。しかし、それが正しい返答だとしたらどうでしょう？

　それにどうして「一万円」に対する比較が「千円」と「五千円」なのでしょうか……。

　実は、餌とは「一万円札」のことだったのです。そしてお札さつを餌にしているということは、釣ろうとしているのは、お札の価値を理解している「人間」ということになります。

　会話していた何者かは、人間を襲う類の妖怪だったのでした。