【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

脱毛症

　最近わたしは、抜け毛に悩まされている。最初に気づいたのは三日前だ。


　朝起きて枕元にふと目をやると、細く長い黒い線が数十本見えた。何だろうと思って顔を近づけてみて分かった。そう、抜け毛だ。


「いやいや、まさかね……」


　頭に手をやる。
　気のせいだと信じたかった。たぶん、偶然誰かの毛が服に付いて、それが偶然枕元に落ちて……。なんて、そんな都合よく考えてしまっていた。


　でもそんな目を逸らしたくなる現象は、どうやら夢ではなく現実だったようだ。


　次の日、また次の日と三日連続で抜け毛を発見した。これはもう受け入れるしかなかった──。


「よし！」


　気持ちを切り替える。目を逸らし続けても悪化するだけだ。受け入れると決めたら、あとは行動するのみ。さてではどうしよう。


　わたしは警察に行くべきか、それとも神社や寺に行くべきか……。



【解説＆ヒントは↓をスクロール】
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　〈ヒント「どうして主人公は病院に行こうとしないのだろう？」〉

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【解説】

　一見すると、だんだんと薄くなっていく頭頂部にショックを受けた主人公が事実を受け入れて治療をしようとするお話に見えます。しかしそうすると、主人公が行くべきは病院で、警察や寺社に行こうとしているのは不自然です。どうして主人公はそこに行こうとしていたのでしょう。


　つまり、そこに行かなければ解決しないと思っているわけです。
　おそらくこの主人公はスキンヘッド、あるいは、地毛の色が黒ではない人なのでしょう。


　つるつる頭であるにもかかわらず枕元に長い毛が落ちていたら、まさかそれが自分のものだとは思わないでしょう。毛の色が違っていても同様です。


　なにか霊的なものが原因なのか、あるいは主人公の知らない間に誰かがそこで寝ていたのかもしれません。前者の場合なら寺社、後者の場合なら警察に相談するのがよいでしょう。