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呪いのベッド
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病院といえばそっち方面の噂の一つや二つはあるもの。どうやらいま僕が入院しているこの病院にもそのような噂があるようです。
実は、僕は六日前に自転車に乗っていた時、車と事故を起こして脚の骨を折ってしまいました。
酷い怪我だったのでベッドの上から動くことはできません。
実に退屈です。病院内を探検できたらよかったのですけど、生憎のこの骨折ではどうしようもありません。
「退屈だなぁ……」
そう思っていたその時、ふと、オカルト好きな後輩が以前言っていたことを思い出したのです。
「先輩、知ってますか? 犀華病院にあるこんな噂話を――。なんでも三階の一番西にある大部屋の、入って右側の窓の隣のベッドに入院すると、一週間以内に死ぬそうなんですよ。どうやらそのベッドの上で死んだ患者の霊がまだいるらしくて、呪われてしまうんだとか、なんとか……」
はっきりとは覚えてませんが確かそんなことを言っていたと思います。そして確認してみると、どうやらその呪いのベッドは僕のちょうど右隣のベッドなのです。
そこには一人の女性患者が既に使っていました。僕と同じ、脚の骨折のようです。聞いたところによると彼女は僕より一日早く入院していたのだとか。つまりその噂話が本当なら、明日には彼女は死んでしまうのです。
僕は、どうしたものかと考えました。
正直に言ってあまり噂話を信じていません。なので、このまま黙って観察することにしました。
そして七日が過ぎた次の日、つまり彼女が入院して八日目です。彼女はいたって普通に過ごしていました。やはり噂話は嘘だったようです。
僕はたまらず、隣の彼女にその噂を話してしまいました。
「知っていましたよ。ですけど私、窓から外の景色を見たいんです」
「怖くないんですか。あ、呪いとか信じないタイプなんですね」
すると彼女はこう言ったのです。
「いえいえ。信じてますよ。ですから病院にお願いして隣のベッドと交換してもらったんです」
【解説&ヒントは↓をスクロール】
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〈ヒント「隣のベッドと交換したということは……」〉
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【解説】
最後のセリフからもわかるように、呪われると噂されているベッドは隣のベッドと交換されました。そのベッドとは……そう、主人公のベッドですね。果たしてその呪いは本物なのか。彼は身をもって実証することになってしまいました。
◆
この話の怖い点は、真実に気付いた語り手の絶望を目の当たりにする、という点ではなく(それも怖いとは思いますが、)呪いの存在を知るだけでなく、信じているにもかかわらずそれを語り手に黙っていた女性の存在です。他人のことならどうなろうと構わないというのでしょうか?
実は、僕は六日前に自転車に乗っていた時、車と事故を起こして脚の骨を折ってしまいました。
酷い怪我だったのでベッドの上から動くことはできません。
実に退屈です。病院内を探検できたらよかったのですけど、生憎のこの骨折ではどうしようもありません。
「退屈だなぁ……」
そう思っていたその時、ふと、オカルト好きな後輩が以前言っていたことを思い出したのです。
「先輩、知ってますか? 犀華病院にあるこんな噂話を――。なんでも三階の一番西にある大部屋の、入って右側の窓の隣のベッドに入院すると、一週間以内に死ぬそうなんですよ。どうやらそのベッドの上で死んだ患者の霊がまだいるらしくて、呪われてしまうんだとか、なんとか……」
はっきりとは覚えてませんが確かそんなことを言っていたと思います。そして確認してみると、どうやらその呪いのベッドは僕のちょうど右隣のベッドなのです。
そこには一人の女性患者が既に使っていました。僕と同じ、脚の骨折のようです。聞いたところによると彼女は僕より一日早く入院していたのだとか。つまりその噂話が本当なら、明日には彼女は死んでしまうのです。
僕は、どうしたものかと考えました。
正直に言ってあまり噂話を信じていません。なので、このまま黙って観察することにしました。
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僕はたまらず、隣の彼女にその噂を話してしまいました。
「知っていましたよ。ですけど私、窓から外の景色を見たいんです」
「怖くないんですか。あ、呪いとか信じないタイプなんですね」
すると彼女はこう言ったのです。
「いえいえ。信じてますよ。ですから病院にお願いして隣のベッドと交換してもらったんです」
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【解説】
最後のセリフからもわかるように、呪われると噂されているベッドは隣のベッドと交換されました。そのベッドとは……そう、主人公のベッドですね。果たしてその呪いは本物なのか。彼は身をもって実証することになってしまいました。
◆
この話の怖い点は、真実に気付いた語り手の絶望を目の当たりにする、という点ではなく(それも怖いとは思いますが、)呪いの存在を知るだけでなく、信じているにもかかわらずそれを語り手に黙っていた女性の存在です。他人のことならどうなろうと構わないというのでしょうか?
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