43 / 47
急章
回想
しおりを挟む
何年か前のゴールデンウィーク後の休日。
その日の夜、新菜は僕をあの公園まで呼び出して告白をしてきた。
その告白は「好きです。私と付き合ってください」というありふれたものだったが僕には嬉しかった。
いや、嬉しいと思ってしまった。
それを思考した途端に僕が無意識に秘めていた「好き」という感情が有意識に入り込んできた。
つまり、呪いが発動してしまったのだ。
僕にはどうすることもできない事態に陥ってしまった。
玲沙曰く、呪いが発動してからも一時間は普通に生きれるらしい。
何もできない不甲斐なさと自分の所為だという罪悪感で押しつぶされてしまいそうになっていたがそんな時間さえもったいないので僕はとりあえず新菜に全てを話すことにした。
「それってつまり、両想いだったってことですよね」
全てを話した後、新菜は自分が死の間際にいるのにもかかわらず、余裕そうにそう言った。
「死ぬのが怖くないのか??」
「そんなわけ、ないじゃないですか。死ぬのが怖くなかったらその人は人間じゃありません」
「じゃあどうしてそんなに余裕そうなんだよ?!」
「それは、次に自分がすべきことがわかっているからじゃないですか??」
「すべきことだって??」
「それじゃあさようなら」
そう言うと新菜は僕に背を向けて走り出した。
さようならという台詞から僕は新菜が何処に向かっているのかおおよそ理解した。
僕はそれを止めるべく地面を蹴り駆け出そうとした。
しかし、小石につまずき、転んでしまった。
じんじんと体が痛む。
膝から出血していたが気にせずに僕は起き上がり、駆け出した。
そして、僕は新菜が来たであろうその場所に辿り着いた。
淡々と流れる川の音が静かな空間に響く。
そこには新菜の姿はなく、新菜が持っていたカバンだけが置かれていた。
僕は事実を信じられず、公園内でずっと新菜を探した。
そうしているうちに一時間が経った。
僕は生きていた。
呪いは断ち切られたのだ。
僕は信じたくない事実を信じざるをえなかった。
その日の夜、新菜は僕をあの公園まで呼び出して告白をしてきた。
その告白は「好きです。私と付き合ってください」というありふれたものだったが僕には嬉しかった。
いや、嬉しいと思ってしまった。
それを思考した途端に僕が無意識に秘めていた「好き」という感情が有意識に入り込んできた。
つまり、呪いが発動してしまったのだ。
僕にはどうすることもできない事態に陥ってしまった。
玲沙曰く、呪いが発動してからも一時間は普通に生きれるらしい。
何もできない不甲斐なさと自分の所為だという罪悪感で押しつぶされてしまいそうになっていたがそんな時間さえもったいないので僕はとりあえず新菜に全てを話すことにした。
「それってつまり、両想いだったってことですよね」
全てを話した後、新菜は自分が死の間際にいるのにもかかわらず、余裕そうにそう言った。
「死ぬのが怖くないのか??」
「そんなわけ、ないじゃないですか。死ぬのが怖くなかったらその人は人間じゃありません」
「じゃあどうしてそんなに余裕そうなんだよ?!」
「それは、次に自分がすべきことがわかっているからじゃないですか??」
「すべきことだって??」
「それじゃあさようなら」
そう言うと新菜は僕に背を向けて走り出した。
さようならという台詞から僕は新菜が何処に向かっているのかおおよそ理解した。
僕はそれを止めるべく地面を蹴り駆け出そうとした。
しかし、小石につまずき、転んでしまった。
じんじんと体が痛む。
膝から出血していたが気にせずに僕は起き上がり、駆け出した。
そして、僕は新菜が来たであろうその場所に辿り着いた。
淡々と流れる川の音が静かな空間に響く。
そこには新菜の姿はなく、新菜が持っていたカバンだけが置かれていた。
僕は事実を信じられず、公園内でずっと新菜を探した。
そうしているうちに一時間が経った。
僕は生きていた。
呪いは断ち切られたのだ。
僕は信じたくない事実を信じざるをえなかった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説



甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

好きな人がいるならちゃんと言ってよ
しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる