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急章
魔法の無駄遣い
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コンッと氷入りのグラスが置かれる音が響いた。
店内に人が少ないためかそれがより一層大きく聞こえる。
「意外と美味しかったわね」
「僕には、インスタントと違いがないと思うが」
「そんなこというんじゃないわ。人が少ないんだからよく聞こえるでしょ?? 失礼だわ」
「どっちのほうが失礼なんだろうな」
「さ、そんなことはさておき、さっさと会計して行きましょう」
「行くって何処に??」
「もちろん、次の場所へよ」
次の場所という言葉に、僕は多少めまいを覚えた。
何故かはしらないが今日一日は玲沙に付き合わされるらしい。
僕は嫌々ながらも立ち上がり、玲沙の後を付いて行った。
ちなみに会計は四百四十円だった。
ざわざわとさっきのカフェとは違って喧騒がしている。
僕は自分とは縁がないと思っていた場所、デパートに来ていた。
いや、来ていたという表現は正しくない。
正しくは零時間移動していた、だ。
「おいおい、こんなにポンポン魔法使っていいのか?? ここは田舎じゃないぞ??」
「人が多い分バレないわ。ここらへんに住む人はみんな生き急いでるのよ」
「この時代、いつ誰に見られてるかわからない。だからあまり頻発しないほうがいいだろ」
「まぁそうなったらその時よ。この現代社会、非現実なことを誰も信じなくなってるでしょ?? きっと見られても幻かなんかだと思うに違いないわ」
玲沙はそう言ったが、僕の知り合いにそういうのを本気で信じている人が居るため、信頼性は低かった。
「で、こんなところになんの用だ?? もちろん、僕には用はないが」
「あら奇遇ね。私も用なんかないわ」
「は??」
玲沙の行動、言動の読めなさに僕は素っ頓狂な声を出した。
「適当に移動したら着いただけよ」
「お前の目的が本当にわからないな」
「……さあ、せっかくデパートに来たことだし、買い物でもしましょうか??」
後々話すと言いながら全然その気配がない玲沙に少しイライラしたが、帰る手法が玲沙しかいないのでなんとか抑えて僕は雑踏の中を歩く玲沙の後を追った。
「ここは服屋か??」
歩きに歩いて、ようやくたどり着いたのは洋服屋だった。
見たこともないぐらい派手な服を着たマネキンが店内に並んでいる。
この店に入ったことはないが僕は自分には合わないと直感した。
「……この服とこの服、どっちが似合ってるかしら??」
色々と見回しているといきなり玲沙が二着の服を左右に並べ、そう尋ねてきた。
「お前、買う気無いくせに訊くなよ」
「この質問、本で読んで一回してみたかったんだけど、もう少し乗ってくれたっていいんじゃない??」
「事実なんだから仕方がない」
「ウィンドウショッピングって言ってくれる??」
「オブラートを外すとただの冷やかしだけどな」
そんな妙な調子でずっと買い物を続けていると、気が付けば日が暮れていた。
僕は隣の魔女に時間を加速させる魔法でも使ったのかと訊いたが魔女は「知らない」と答えた。
店内に人が少ないためかそれがより一層大きく聞こえる。
「意外と美味しかったわね」
「僕には、インスタントと違いがないと思うが」
「そんなこというんじゃないわ。人が少ないんだからよく聞こえるでしょ?? 失礼だわ」
「どっちのほうが失礼なんだろうな」
「さ、そんなことはさておき、さっさと会計して行きましょう」
「行くって何処に??」
「もちろん、次の場所へよ」
次の場所という言葉に、僕は多少めまいを覚えた。
何故かはしらないが今日一日は玲沙に付き合わされるらしい。
僕は嫌々ながらも立ち上がり、玲沙の後を付いて行った。
ちなみに会計は四百四十円だった。
ざわざわとさっきのカフェとは違って喧騒がしている。
僕は自分とは縁がないと思っていた場所、デパートに来ていた。
いや、来ていたという表現は正しくない。
正しくは零時間移動していた、だ。
「おいおい、こんなにポンポン魔法使っていいのか?? ここは田舎じゃないぞ??」
「人が多い分バレないわ。ここらへんに住む人はみんな生き急いでるのよ」
「この時代、いつ誰に見られてるかわからない。だからあまり頻発しないほうがいいだろ」
「まぁそうなったらその時よ。この現代社会、非現実なことを誰も信じなくなってるでしょ?? きっと見られても幻かなんかだと思うに違いないわ」
玲沙はそう言ったが、僕の知り合いにそういうのを本気で信じている人が居るため、信頼性は低かった。
「で、こんなところになんの用だ?? もちろん、僕には用はないが」
「あら奇遇ね。私も用なんかないわ」
「は??」
玲沙の行動、言動の読めなさに僕は素っ頓狂な声を出した。
「適当に移動したら着いただけよ」
「お前の目的が本当にわからないな」
「……さあ、せっかくデパートに来たことだし、買い物でもしましょうか??」
後々話すと言いながら全然その気配がない玲沙に少しイライラしたが、帰る手法が玲沙しかいないのでなんとか抑えて僕は雑踏の中を歩く玲沙の後を追った。
「ここは服屋か??」
歩きに歩いて、ようやくたどり着いたのは洋服屋だった。
見たこともないぐらい派手な服を着たマネキンが店内に並んでいる。
この店に入ったことはないが僕は自分には合わないと直感した。
「……この服とこの服、どっちが似合ってるかしら??」
色々と見回しているといきなり玲沙が二着の服を左右に並べ、そう尋ねてきた。
「お前、買う気無いくせに訊くなよ」
「この質問、本で読んで一回してみたかったんだけど、もう少し乗ってくれたっていいんじゃない??」
「事実なんだから仕方がない」
「ウィンドウショッピングって言ってくれる??」
「オブラートを外すとただの冷やかしだけどな」
そんな妙な調子でずっと買い物を続けていると、気が付けば日が暮れていた。
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