僕は人を好きになれない

杜鵑花

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破章

懐疑的な会議の終了

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 しばらく、詳しくは数時間の間、僕たちは木陰を養うことになった経緯や今後どうするかなどをちょくちょく雑談を挟みながら話し合っていた。
今思えばよくこんな長時間集中力が続いたものだ。

「……っと、ようやく話がまとまったわね。……とりあえず、アンタが木陰ちゃんを学校を卒業させるまで育てる。この方針で異論はないわよね??」

僕は無言で首肯した。
なんやかんやで玲沙は僕の意見を尊重してくれる。
今回もだいたい僕が望む方向で話が進んだ。
いい知り合いを持ったものである。

「もし、恋愛とかそういう方面に行きそうになったらアンタの秘密をバラしなさい。アンタにはその義務があるはずよ。二度とあの惨劇を繰り返さないように」

誰にも話せない僕の秘密。
それはいわば呪いのようなものだ。
その所為で、僕は絶対に恋愛をしてはいけない。
してしまうと、確実にバッドエンドを迎えるようなそんなとんでもない秘密である。
故に、秘密を知っている玲沙は僕の恋愛事情にかなり厳しいのだ。
ただ、本当にその道を望むのなら止めはしないだろう。
こいつはそういう奴だ。

「まさか、そんなこと絶対にあるわけないだろ??」

一応、そう否定しておいた。
今のところ、その気は僕にも木陰にもないだろうが、僅かながら可能性はあるだろう。

「もしもよ。もしも。絶対なんて言葉は絶対にないんだから。まあ、どうしても後戻りしたいって状況になったら私を頼りなさい。記憶を消すなりなんなりしてあげるから」

「前から思ってたんだがどうしてお前はそこまでしてくれるんだ?? 単なるお人好しってわけじゃないだろ」

「あら、私たちは知り合いでしょう??」

そう言った玲沙の顔は何故か少し悲しそうだった。


 その後、会議が終わった僕たちは幻想世界を出ていた。
そして今は街中を僕と玲沙の二人で歩いている。
どうして二人かと言うと、僕が実験器具を買うのに付き合わされてるからだ。
「予定を前倒しにしてやったんだから付き合って」と言われて僕は断ることができなかった。
たまにはこういうこともいいかと僕は考えることにした。

「こうして二人で街中を歩くのは何年ぶりだろうな」

「さあね。数えてないわ。でも、最近じゃなかったかしら??」

「そうだっけ……?? まあそんなことより実験器具ってのは何処で買うんだ?? 割と歩いているわけだが」

「もうそろそろ着くわ。ほらっ、あそこよあそこ」

僕は玲沙が指差した方に視線をやる。
そこには、他の家々とは雰囲気がまるっきり違う如何にも老舗のような建物、ではなく結構最近に建てられたと思われる比較的新しい建物だった。
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