僕は人を好きになれない

杜鵑花

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破章

話の続き

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 朝食を摂った後、木陰は学校に行き、ようやく一段落ついた。
びっくりするぐらい静まり返ったリビングを通り、僕は自室兼仕事部屋に向かった。
リビングもいいが自室はやはりとても落ち着く。
僕は座り心地が最高に良いゲーミングチェアに座り、しばらくボーっとした。
そして、思い出したかのようにスマホを取り出す。
玲沙とメールをするのは少し気が重いが重要な話だからやるしかないか。
そうして、手紙のアイコンをしたアプリを指でクリックする。
刹那、僕はとてつもない程の浮遊感に見舞われた。
脊髄反射で僕は下を見る。
驚くべきことに先程までは存在していた床が跡形もなく消えていた。

「うわっ?!?!」

そんな情けない声と共に、僕は地面に落下した。
衝撃が全身をほとばしる。
頭から落ちていたら恐らく死んでいただろう。
嫌な想像をしてしまって身震いがしたが僕は冷静に痛いところをさすりながら周囲を見回した。
どうやら何処かの家のリビングらしい。
しかし、どうも見覚えがある内装をしている。
つい最近、ここにきたような……。

「あら、いらっしゃい」

そのつい数分前に聞いた声で瞬時にここが何処か完全に理解した。
そして目の前の人物に対する怒りがわいた。

「いらっしゃい、じゃないだろ!?!? 続きはメールでって言ってたじゃあないか!?」

「あら?? 信じてたの?? そんなの臨機応変についた嘘に決まってるじゃない。……それにアンタ、私と連絡先交換してないじゃないの」

「……そういえば、そうだったな。嘘を嘘と見抜けなかった僕の責任か。だが、別にここじゃなくても話せるだろ!?」

「落ち着くじゃない。こっちのほうが」

「そうかい。だったらもっと優しく来させることはできなかったのか??」

「アンタのスマホに仕掛けたトラップ式の魔法だったからね。ちょっと乱暴になってしまったかしら」

はぁー、と僕は呆れのため息を吐いた。
勝手に人のスマホに罠を仕掛けるなんてもう呆れるしかない。

「……もういい。さっさと本題に入るとしよう。僕がここから少しでも速く抜け出すために」

「そうね。私だってそこまで暇じゃないし」

「嘘は休み休み言えよ??」

「これは嘘じゃないわ。言ったじゃない愛用していた実験器具が壊れたって」

「ふむ。……じゃあ、本当はそれを買いに来たけどちょうど僕が居たから予定を前倒ししたってことか」

「いつかは問い詰めてやろうと思ってたからつまりはそういうことね」

「今日に関しては僕は完全についでってことかよ。そこそこ重要な話だと思うんだがな」

「自分でそう思ってるなら今すぐにでもやめなさいよ」

「そんな簡単な話じゃねーよ」

「ま、いいわ。それじゃあ少し遅くなったけど本題に入りましょうか」

そうして、おおよそ厳かな雰囲気で僕たちは話を始めた。
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