僕は人を好きになれない

杜鵑花

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破章

付き合わされる話

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 校長室は意外にも足の踏み場がないぐらいに散らかっていて、厳かな雰囲気の欠片すら感じなかった。

「踏まないでね。大事な資料とかあるから」

「そう言うんだったら普通に片付けて欲しいんですけど」

彩理はまるで某アクションゲームのようにぴょんぴょんと散乱した物の間を飛んでいく。
体が小さいためそのような動きができるのだろう。
僕は今初めて小さいことを羨ましく思った。

「まあまあ、とりあえずそこに座って!」

彩理は、いかにも校長が座りそうな椅子に腰をかけると、机を挟んでその正面にある小さな椅子を指差した。
その椅子は、背もたれこそあるものの固く、体育館にあるようなものだった。
床に座るのも嫌なので、僕は仕方なくそれに腰をかけた。

「……それで、僕が付き合わされる、話っていうのは何ですか??」

「おぉ、軽い世間話とかなしでいきなり本題に入ろうとするんだね~。でも、まずは君の名前を聞いてもいいかな」

「僕は八雲皐月です」

そう簡潔に自己紹介をすると、僕は再び本題に入るように催促した。
別に、急いでいるわけではないのだが、彩理と居るとどうも落ち着かないのだ。
僕の勘が警鐘を鳴らしているのかもしれない。

「そんなに私と居るのが嫌なの?? まあそれはそれと八雲か、珍しい苗字だね」

「僕はそうは思いませんけどね」

「……こうも話をブツブツ切られると、なんか傷つくからお望み通り本題に入るね」

彩理は若干悲しそうな顔をすると、ようやく本題とやらを話し始めた。
彩理の見た目は小学生ぐらいなので、割と罪悪感に苛まれたが僕は話を聞く態度を取った。

「まず、この学校が普通じゃないってことは知ってるよね??」

「周知の事実です。門番が居る学校なんてここしかないんじゃないんですか??」

「門だけじゃなくて他のところも色々とセキュリティ万全だよ」

「何か理由があるんですか?? 生徒を守るためじゃないですよね。いくらなんでも心配性すぎます」

「そう、これはこの学校が普通じゃないって言われる所以なんだけど……この学校はとある実験と調査を行っているの」

僕は改めてなんでこんな学校に木陰を入れたのだろうと後悔した。
この街には高校がここしかないため当然と言えば当然なのだが。

「その内容は――」

彩理はそこで少し溜めを作る。
その後、放たれた言葉は突拍子もないものだった。

「――不老不死についてだよ」
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