13 / 47
破章
付き合わされる話
しおりを挟む
校長室は意外にも足の踏み場がないぐらいに散らかっていて、厳かな雰囲気の欠片すら感じなかった。
「踏まないでね。大事な資料とかあるから」
「そう言うんだったら普通に片付けて欲しいんですけど」
彩理はまるで某アクションゲームのようにぴょんぴょんと散乱した物の間を飛んでいく。
体が小さいためそのような動きができるのだろう。
僕は今初めて小さいことを羨ましく思った。
「まあまあ、とりあえずそこに座って!」
彩理は、いかにも校長が座りそうな椅子に腰をかけると、机を挟んでその正面にある小さな椅子を指差した。
その椅子は、背もたれこそあるものの固く、体育館にあるようなものだった。
床に座るのも嫌なので、僕は仕方なくそれに腰をかけた。
「……それで、僕が付き合わされる、話っていうのは何ですか??」
「おぉ、軽い世間話とかなしでいきなり本題に入ろうとするんだね~。でも、まずは君の名前を聞いてもいいかな」
「僕は八雲皐月です」
そう簡潔に自己紹介をすると、僕は再び本題に入るように催促した。
別に、急いでいるわけではないのだが、彩理と居るとどうも落ち着かないのだ。
僕の勘が警鐘を鳴らしているのかもしれない。
「そんなに私と居るのが嫌なの?? まあそれはそれと八雲か、珍しい苗字だね」
「僕はそうは思いませんけどね」
「……こうも話をブツブツ切られると、なんか傷つくからお望み通り本題に入るね」
彩理は若干悲しそうな顔をすると、ようやく本題とやらを話し始めた。
彩理の見た目は小学生ぐらいなので、割と罪悪感に苛まれたが僕は話を聞く態度を取った。
「まず、この学校が普通じゃないってことは知ってるよね??」
「周知の事実です。門番が居る学校なんてここしかないんじゃないんですか??」
「門だけじゃなくて他のところも色々とセキュリティ万全だよ」
「何か理由があるんですか?? 生徒を守るためじゃないですよね。いくらなんでも心配性すぎます」
「そう、これはこの学校が普通じゃないって言われる所以なんだけど……この学校はとある実験と調査を行っているの」
僕は改めてなんでこんな学校に木陰を入れたのだろうと後悔した。
この街には高校がここしかないため当然と言えば当然なのだが。
「その内容は――」
彩理はそこで少し溜めを作る。
その後、放たれた言葉は突拍子もないものだった。
「――不老不死についてだよ」
「踏まないでね。大事な資料とかあるから」
「そう言うんだったら普通に片付けて欲しいんですけど」
彩理はまるで某アクションゲームのようにぴょんぴょんと散乱した物の間を飛んでいく。
体が小さいためそのような動きができるのだろう。
僕は今初めて小さいことを羨ましく思った。
「まあまあ、とりあえずそこに座って!」
彩理は、いかにも校長が座りそうな椅子に腰をかけると、机を挟んでその正面にある小さな椅子を指差した。
その椅子は、背もたれこそあるものの固く、体育館にあるようなものだった。
床に座るのも嫌なので、僕は仕方なくそれに腰をかけた。
「……それで、僕が付き合わされる、話っていうのは何ですか??」
「おぉ、軽い世間話とかなしでいきなり本題に入ろうとするんだね~。でも、まずは君の名前を聞いてもいいかな」
「僕は八雲皐月です」
そう簡潔に自己紹介をすると、僕は再び本題に入るように催促した。
別に、急いでいるわけではないのだが、彩理と居るとどうも落ち着かないのだ。
僕の勘が警鐘を鳴らしているのかもしれない。
「そんなに私と居るのが嫌なの?? まあそれはそれと八雲か、珍しい苗字だね」
「僕はそうは思いませんけどね」
「……こうも話をブツブツ切られると、なんか傷つくからお望み通り本題に入るね」
彩理は若干悲しそうな顔をすると、ようやく本題とやらを話し始めた。
彩理の見た目は小学生ぐらいなので、割と罪悪感に苛まれたが僕は話を聞く態度を取った。
「まず、この学校が普通じゃないってことは知ってるよね??」
「周知の事実です。門番が居る学校なんてここしかないんじゃないんですか??」
「門だけじゃなくて他のところも色々とセキュリティ万全だよ」
「何か理由があるんですか?? 生徒を守るためじゃないですよね。いくらなんでも心配性すぎます」
「そう、これはこの学校が普通じゃないって言われる所以なんだけど……この学校はとある実験と調査を行っているの」
僕は改めてなんでこんな学校に木陰を入れたのだろうと後悔した。
この街には高校がここしかないため当然と言えば当然なのだが。
「その内容は――」
彩理はそこで少し溜めを作る。
その後、放たれた言葉は突拍子もないものだった。
「――不老不死についてだよ」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説



甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

好きな人がいるならちゃんと言ってよ
しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる