僕は人を好きになれない

杜鵑花

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破章

緑髪の人物

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「ちょっと君、ダメでしょ授業中にうろついたら」

僕は気づかないふりをしてその生徒の横を通り過ぎようとしたが声をかけられてしまった。
僕は生徒じゃないが人のこと言えないだろと思いつつも仕方なくそいつの方を向く。
改めて容姿を見てみると、僕はある重大なことに気づいた。
童顔で、身長が低い。
そう、相手はお手本のようなロリだった。
本当に高校生なのだろうか。

「勘違いしてるようだから言っておくが、僕は忘れ物を届けに来て帰っている最中の保護者だ。……お前こそ教室に戻れよ」

相手が自分より遥かに小さい所為か僕は少し強気でそう言った。

「ありゃ、保護者だったの?? 若いから生徒かと思っちゃった」

「……わかったなら通してくれないか??」

「いいけどちょっと待って! 君も勘違いしてるようだから一応言っておくけど私はこの学校の校長だよ??」

たった今、全米が震撼した。
そのくらいの衝撃が僕を襲った。

「じょ、冗談だろ??」

「いやホントだよ。ほらっ、名刺」

そいつは胸ポケットからサッとそれを取り出すと僕に見えるように腕を上げた。
そこには神薙かんなぎ高等学校長、神薙彩理かんなぎさいりとしっかり書かれていた。

「ほ、本当だ……」

「わかった?? ところで、さっき失礼な態度で私に話しかけたよね??」

彩理は悪い笑みを浮かべながらそう言った。
何か、とてつもないほどの嫌な予感が脳内を駆け巡る。

「本当にすいません! あまりにもお若く見えて生徒だと思っていました!!」

「ふ~ん、ロリだなぁとか思ったんじゃないの??」

「ギクッ」

驚きで、僕はアニメや漫画の効果音のような声を洩らしてしまった。
終わったと僕の中の全細胞がそう直感した。

「当たりだね。じゃあ反省として付き合ってもらおうかな、私の話に」

「へっ??」

今度はそんな素っ頓狂な声を出してしまう。
録音してゲームの効果音にでも使おうかなぁ。
そんな呑気なことを考えれるほどに僕は困惑した。

「何かおかしいこと言った??」

「いや、殺されるのかなって思ってたので拍子抜けで」

「私のこと何だと思ってるの?! さすがにそんなことしないよ! まあしたとしても君のお子さんを退学にするぐらいかなぁ」

さらっと恐ろしいことを言う彩理に僕は久しぶりに恐怖を覚えた。

「じゃあ行こっか! 校長室へ」

そうして、僕は何故か校長室へ連行されるのだった。
僕はロリコンじゃないのだが……
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