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取材
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彼女は、ポケットからペンとメモ帳を取り出した。
いよいよ取材とやらが始まってしまうようだ。
「さて、まず初めに名前を伺ってもいいですか??」
「知ってるだろ??」
「これは、儀式のようなものなんです」
どんなことを訊かれるのか身構えていたが、この程度とは……はっきり言って拍子抜けだ。
まぁ、これからヒートアップしていくのかも知れないが……
「香宮麗依だ。これで満足か??」
「座右の銘はなんですか??」
座右の銘か……こんな面接みたいなことを訊かれると予知していなかったため、俺は少し考える。
そして、一番はじめに頭に浮かんだ四字熟語を言った。
「完全無欠だ」
「先生らしいですね」
彼女はスラスラとメモ帳に何かを書いている。
俺の答えに何の価値があるのか、些か疑問だ。
「では、趣味はなんですか??」
「おいおい、まさかこんなのをずっと続けるのか?? お前が知りたいのはきっともっと別のことだろう??」
ちまちました質問に、嫌気が差した俺は問いかけで返す。
何もしないままだと恐らくは優に三時間は越える取材となると予感した故の発言でもあった。
「そうですね……私が知りたいのはもっと別のこと。取材っぽい雰囲気を出すためにあんな質問をしてきましたけど、もうそんなのはどうでもいいですね。では、本命と言っても過言ではない質問をしましょう」
辺りが一瞬静まり返り、空気が緊張を帯びる。
俺はゴクリと唾を飲んだ。
「先生は、どうして最強なんですか??」
少しの間の後、彼女が放ったその質問は、俺をまたもや拍子抜けさせた。
「最強だから最強なんだ。そこに理由はない」
端的に俺はそう答えた。
すると、彼女は得心がいかないような顔をした。
「絶対にそんな理由じゃないですよね??」
「いや、それが答えだ。それ以上でもそれ以下でもない。これを疑われたらもう嘘をでっち上げるしかなくなるわけだが……」
彼女は数秒間、疑うような顔をしていたが、人を見透かしたような態度を取る彼女だ。
俺が嘘を付いていないことに気付いたんだろう。
途端に、溜め息を吐いた。
「はぁ~、もっと深い理由があると読んでいたのに……残念です。新聞が面白くなれば、新聞部は安泰なのに……」
そこには、以前のような見透かしたような態度を取る彼女は居らず、ネタを失ったことに嘆く彼女が居た。
どっちが彼女の素なのだろうか……
恐らくは後者だろう。
家での姿が容易に想像できる。
「まぁ、でも……先生にはもっと多くのネタがあると見ています。だから、これからもお願いしますね! 今度は放課後なんかじゃあなくて……」
結局のところ、彼女には俺の弱みを握られているので、良いように扱われるのは変わらないのだ。
これから彼女に振り回されると考えると目眩がする。
だがまぁ、取り敢えず、第一回目の取材は無事に幕を下ろした。
いよいよ取材とやらが始まってしまうようだ。
「さて、まず初めに名前を伺ってもいいですか??」
「知ってるだろ??」
「これは、儀式のようなものなんです」
どんなことを訊かれるのか身構えていたが、この程度とは……はっきり言って拍子抜けだ。
まぁ、これからヒートアップしていくのかも知れないが……
「香宮麗依だ。これで満足か??」
「座右の銘はなんですか??」
座右の銘か……こんな面接みたいなことを訊かれると予知していなかったため、俺は少し考える。
そして、一番はじめに頭に浮かんだ四字熟語を言った。
「完全無欠だ」
「先生らしいですね」
彼女はスラスラとメモ帳に何かを書いている。
俺の答えに何の価値があるのか、些か疑問だ。
「では、趣味はなんですか??」
「おいおい、まさかこんなのをずっと続けるのか?? お前が知りたいのはきっともっと別のことだろう??」
ちまちました質問に、嫌気が差した俺は問いかけで返す。
何もしないままだと恐らくは優に三時間は越える取材となると予感した故の発言でもあった。
「そうですね……私が知りたいのはもっと別のこと。取材っぽい雰囲気を出すためにあんな質問をしてきましたけど、もうそんなのはどうでもいいですね。では、本命と言っても過言ではない質問をしましょう」
辺りが一瞬静まり返り、空気が緊張を帯びる。
俺はゴクリと唾を飲んだ。
「先生は、どうして最強なんですか??」
少しの間の後、彼女が放ったその質問は、俺をまたもや拍子抜けさせた。
「最強だから最強なんだ。そこに理由はない」
端的に俺はそう答えた。
すると、彼女は得心がいかないような顔をした。
「絶対にそんな理由じゃないですよね??」
「いや、それが答えだ。それ以上でもそれ以下でもない。これを疑われたらもう嘘をでっち上げるしかなくなるわけだが……」
彼女は数秒間、疑うような顔をしていたが、人を見透かしたような態度を取る彼女だ。
俺が嘘を付いていないことに気付いたんだろう。
途端に、溜め息を吐いた。
「はぁ~、もっと深い理由があると読んでいたのに……残念です。新聞が面白くなれば、新聞部は安泰なのに……」
そこには、以前のような見透かしたような態度を取る彼女は居らず、ネタを失ったことに嘆く彼女が居た。
どっちが彼女の素なのだろうか……
恐らくは後者だろう。
家での姿が容易に想像できる。
「まぁ、でも……先生にはもっと多くのネタがあると見ています。だから、これからもお願いしますね! 今度は放課後なんかじゃあなくて……」
結局のところ、彼女には俺の弱みを握られているので、良いように扱われるのは変わらないのだ。
これから彼女に振り回されると考えると目眩がする。
だがまぁ、取り敢えず、第一回目の取材は無事に幕を下ろした。
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