21 / 29
21 一方通行
しおりを挟む
真剣なその言葉を聞いた時、私の脳裏に浮かんだのは、とても冷めた言葉だった。
……そうやって、他の人にも言ってきたの?
こたろーちゃんの真剣に見えるその言葉を聞いても、私は何も言えずじっと自分の足元を見つめ続けた。
「きっと、ずっと前から比奈の事が好きだった。でも、ちゃんと気が付いたのは高三で。だから、そこから気持ちを伝えてきた。……つもりだった」
冷めた気持ちで聞いている私を置いてけぼりにしたまま、こたろーちゃんは話し続けてる。
「最初は、年齢差に戸惑った。でも、やっぱり諦めきれなくて」
そのまま、自分の気持ちを、私への想いをつらつらと話し続けるこたろーちゃん。
でも、言わないんだね。
高三の時、自分が何をしていたかなんて。
そして、聞かないんだね。
その時、私がどう思っていたかなんて。
自分の気持ちだけで突っ走って、私を置いてけぼりにする――
ねぇ。
何も言わないで、終わりにするの?
こたろーちゃん。そんなんじゃ、信じたくても信じられないよ。
穏やかで優しいこたろーちゃんは、私を好きになったと言ったその時、何、してた?
高校三年生。
私が中学生になった年。
その年、こたろーちゃんが私の事を好きになったというのならば。
思い出す、綺麗な女の人。
言われた言葉。
心を抉る、辛辣な願い。
ねぇ、こたろーちゃん。
私は、その年にあなたを好きでいる事を諦めたんだよ。
……そうやって、他の人にも言ってきたの?
こたろーちゃんの真剣に見えるその言葉を聞いても、私は何も言えずじっと自分の足元を見つめ続けた。
「きっと、ずっと前から比奈の事が好きだった。でも、ちゃんと気が付いたのは高三で。だから、そこから気持ちを伝えてきた。……つもりだった」
冷めた気持ちで聞いている私を置いてけぼりにしたまま、こたろーちゃんは話し続けてる。
「最初は、年齢差に戸惑った。でも、やっぱり諦めきれなくて」
そのまま、自分の気持ちを、私への想いをつらつらと話し続けるこたろーちゃん。
でも、言わないんだね。
高三の時、自分が何をしていたかなんて。
そして、聞かないんだね。
その時、私がどう思っていたかなんて。
自分の気持ちだけで突っ走って、私を置いてけぼりにする――
ねぇ。
何も言わないで、終わりにするの?
こたろーちゃん。そんなんじゃ、信じたくても信じられないよ。
穏やかで優しいこたろーちゃんは、私を好きになったと言ったその時、何、してた?
高校三年生。
私が中学生になった年。
その年、こたろーちゃんが私の事を好きになったというのならば。
思い出す、綺麗な女の人。
言われた言葉。
心を抉る、辛辣な願い。
ねぇ、こたろーちゃん。
私は、その年にあなたを好きでいる事を諦めたんだよ。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。


生まれ変わっても一緒にはならない
小鳥遊郁
恋愛
カイルとは幼なじみで夫婦になるのだと言われて育った。
十六歳の誕生日にカイルのアパートに訪ねると、カイルは別の女性といた。
カイルにとって私は婚約者ではなく、学費や生活費を援助してもらっている家の娘に過ぎなかった。カイルに無一文でアパートから追い出された私は、家に帰ることもできず寒いアパートの廊下に座り続けた結果、高熱で死んでしまった。
輪廻転生。
私は生まれ変わった。そして十歳の誕生日に、前の人生を思い出す。


婚約解消したら後悔しました
せいめ
恋愛
別に好きな人ができた私は、幼い頃からの婚約者と婚約解消した。
婚約解消したことで、ずっと後悔し続ける令息の話。
ご都合主義です。ゆるい設定です。
誤字脱字お許しください。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
氷萌
恋愛
彼との未来を本気で考えていた―――
ブライダルプランナーとして日々仕事に追われていた“棗 瑠歌”は、2年という年月を共に過ごしてきた相手“鷹松 凪”から、ある日突然フラれてしまう。
それは同棲の話が出ていた矢先だった。
凪が傍にいて当たり前の生活になっていた結果、結婚の機を完全に逃してしまい更に彼は、同じ職場の年下と付き合った事を知りショックと動揺が大きくなった。
ヤケ酒に1人酔い潰れていたところ、偶然居合わせた上司で支配人“桐葉李月”に介抱されるのだが。
実は彼、厄介な事に大の女嫌いで――
元彼を忘れたいアラサー女と、女嫌いを克服したい35歳の拗らせ男が織りなす、恋か戦いの物語―――――――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる