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蜘蛛猫になった
蜘蛛猫たちが気絶してから……
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「あら、あらら?」
シャロママが正気に戻る。
周りを見渡す、娘の部屋は半壊。
家宝の盾を構えるあなた。
燃える木々に凍った木々。それを魔法で鎮火や溶かすメイドや、シャロママを止めに来たは良いものの、どうしたらいいか分からなくぽかんとしていた騎士たち。
そして、ぼろぼろの状態のチョコちゃんと、
守るように抱き抱え気絶しているイトさん。
その周りに見える防御スキルの残骸らしき、糸で出来た檻。
そして未だ脈打つ断罪の大剣。何度も無理な治癒を繰り返したと思われる私の腕。
ぷっつんきてる娘。
自分がしでかした事の重大さに気づいた瞬間、冷や汗が止まらなかった。
「シャロちゃ」
「正座!!」
食い気味に言われた。
「はぃい!!」
シャロママはその場にジャンピング正座をする。その肩にシャロちゃんが握っていた木刀の先が置かれた。
「お母様。どうして私が怒っているのか、理解しておりますよね?」
「はい」
「声が小さい!!」
「はい!!!」
「良し!それでお母様。どちらのコースが宜しいですか、24時間0度のお湯に浸かるのと、24時間100度のお湯に浸かるの??」
これぞ0.100と言わんばかりに、普通の人間なら死んでしまってもおかしくない事を、さも当然の様に言った。
だがこれは顔を青ざめているシャロママの顔を見れば分かる事だが、シャロちゃんは本気でどちらかをやらせようとしていた。
早く決断しなければ、両方を2日掛けてやるはめになるかもしれない。
シャロパパに助け舟を求めようにも、いつになく強気で無表情であった。
これはシャロパパもシャロママの肩を持つと、自分も巻き込まれることを知っているから。
「で、どちらになさいますか?お母様」
ひっ……笑顔が逆に怖い。顔は笑ってるのに、声色は低いから尚更。
「100度の方でお願いします」
「はい分かりました。0度の方ですね」
何故か答えた逆の選択肢を言うシャロちゃんに困惑するシャロママ。
「いえ、わ……」
首筋に殺気を感じた。チラッと見ると、木刀の刃先(刃は無いが)がこちらを向いていた。油汗が凄い。
返答一つで私の首は折れる。
シャロちゃんの言葉に、答える言葉は。YESかNOではなく、YESor YESだった。
「はい。それでお願いします」
泣きそうな顔で言った。
「はいでは、お母様は後ほど、お部屋の方に向かいに行きますので、それまで正座してて下さい。分かりましたか?」
「はい!」
ビシッと敬礼してお姉さんメイドズに連行されていった。
シャロママが見えなくなるくらいで、シャロちゃんとシャロパパは、荒れ果てた部屋や敷地を見て、最後にイトとチョコちゃんを見て、「「はあ……」」と大きなため息をついた。
「シャロちゃん」
「パパ」
「「はあ……」」
もう一度周りを見てから、ため息をついた。
そのため息と同タイミングで、猫ちゃんのスキルが完全に解け、運べる状態になった。
二人を別々に運ぶことも考えたが、猫ちゃんがチョコちゃんの事を離さなかった為、諦めた。
部屋は取り敢えず客室に移送された。
驚くべき事に、チョコちゃんは土埃などで汚れてはいたが、生傷が一つも無かったのだ、どれだけ猫ちゃんが守っていたとしても、これはあり得ない。確かチョコちゃんに回復スキルは無いはず、魔物の身である猫ちゃんも魔物だからこそ、純粋な回復、それも自身以外を回復させるスキルは覚えれないはず。
パパも同じことを考えたに違いない。
パパが珍しく真剣な顔をしていたから。
これは、起きてから聞かないといけないね。
早く起きてね二人とも。
シャロはその間にママを躾けてくるから。
ふふふ。
不穏な笑みを浮かべ、シャロちゃんは部屋を後にした。
パパは悪寒を感じ、娘を見ることが出来なかった。
シャロママが正気に戻る。
周りを見渡す、娘の部屋は半壊。
家宝の盾を構えるあなた。
燃える木々に凍った木々。それを魔法で鎮火や溶かすメイドや、シャロママを止めに来たは良いものの、どうしたらいいか分からなくぽかんとしていた騎士たち。
そして、ぼろぼろの状態のチョコちゃんと、
守るように抱き抱え気絶しているイトさん。
その周りに見える防御スキルの残骸らしき、糸で出来た檻。
そして未だ脈打つ断罪の大剣。何度も無理な治癒を繰り返したと思われる私の腕。
ぷっつんきてる娘。
自分がしでかした事の重大さに気づいた瞬間、冷や汗が止まらなかった。
「シャロちゃ」
「正座!!」
食い気味に言われた。
「はぃい!!」
シャロママはその場にジャンピング正座をする。その肩にシャロちゃんが握っていた木刀の先が置かれた。
「お母様。どうして私が怒っているのか、理解しておりますよね?」
「はい」
「声が小さい!!」
「はい!!!」
「良し!それでお母様。どちらのコースが宜しいですか、24時間0度のお湯に浸かるのと、24時間100度のお湯に浸かるの??」
これぞ0.100と言わんばかりに、普通の人間なら死んでしまってもおかしくない事を、さも当然の様に言った。
だがこれは顔を青ざめているシャロママの顔を見れば分かる事だが、シャロちゃんは本気でどちらかをやらせようとしていた。
早く決断しなければ、両方を2日掛けてやるはめになるかもしれない。
シャロパパに助け舟を求めようにも、いつになく強気で無表情であった。
これはシャロパパもシャロママの肩を持つと、自分も巻き込まれることを知っているから。
「で、どちらになさいますか?お母様」
ひっ……笑顔が逆に怖い。顔は笑ってるのに、声色は低いから尚更。
「100度の方でお願いします」
「はい分かりました。0度の方ですね」
何故か答えた逆の選択肢を言うシャロちゃんに困惑するシャロママ。
「いえ、わ……」
首筋に殺気を感じた。チラッと見ると、木刀の刃先(刃は無いが)がこちらを向いていた。油汗が凄い。
返答一つで私の首は折れる。
シャロちゃんの言葉に、答える言葉は。YESかNOではなく、YESor YESだった。
「はい。それでお願いします」
泣きそうな顔で言った。
「はいでは、お母様は後ほど、お部屋の方に向かいに行きますので、それまで正座してて下さい。分かりましたか?」
「はい!」
ビシッと敬礼してお姉さんメイドズに連行されていった。
シャロママが見えなくなるくらいで、シャロちゃんとシャロパパは、荒れ果てた部屋や敷地を見て、最後にイトとチョコちゃんを見て、「「はあ……」」と大きなため息をついた。
「シャロちゃん」
「パパ」
「「はあ……」」
もう一度周りを見てから、ため息をついた。
そのため息と同タイミングで、猫ちゃんのスキルが完全に解け、運べる状態になった。
二人を別々に運ぶことも考えたが、猫ちゃんがチョコちゃんの事を離さなかった為、諦めた。
部屋は取り敢えず客室に移送された。
驚くべき事に、チョコちゃんは土埃などで汚れてはいたが、生傷が一つも無かったのだ、どれだけ猫ちゃんが守っていたとしても、これはあり得ない。確かチョコちゃんに回復スキルは無いはず、魔物の身である猫ちゃんも魔物だからこそ、純粋な回復、それも自身以外を回復させるスキルは覚えれないはず。
パパも同じことを考えたに違いない。
パパが珍しく真剣な顔をしていたから。
これは、起きてから聞かないといけないね。
早く起きてね二人とも。
シャロはその間にママを躾けてくるから。
ふふふ。
不穏な笑みを浮かべ、シャロちゃんは部屋を後にした。
パパは悪寒を感じ、娘を見ることが出来なかった。
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