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第49話 決着

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 『不浄の泉』から湧き出してきた『巨大クソロムン』は、高笑いを上げている。しばらく前、生きていた時に上げていた、あの高笑いだ。そして、その口元には牙は無い。
「バンパイヤちゃう!?」
 上半身まで湧き出してきた『巨大クソロムン』の首が、ぐるりと90度回ってこちらを向く。そして、ヤツの高笑いが止まった。
「ア──!ヤ──!ノ──!!」
「「「「!?」」」」
「喋りよった!!」
 ヤツの目は、確実にティアを捕らえている。その真っ赤に染まった目には、憎悪しか見えない。
 ヤツには意思があるのか? ヤツの意思が残っている? それとも、アレはヤツなのか? 疑問が頭の中を駆け巡るが、そんな余裕は無いようだ。
 ヤツの巨大な手がこちらに…ティアに向かって振るわれる。まだ上半身しか出てきていないため、届く距離では無いのだが、もしもを考えて『バリアーシールド』でブロックした。ヤツは、何度『バリアーシールド』でブロックされても、構わずに腕を振るい続ける。
「ア──!ヤ──!ノ──!!」
 俺は、MPの消費を最小限度に抑えるため、『バリアーシールド』の展開面積を直径10センチ程に抑えた。その小さな『バリアーシールド』にヤツの拳がぶつかると、その『バリアーシールド』はヤツの拳にめり込んでいく。どうやら、面積を小さくした事で、単位面積当たりに掛かる力が増えてヤツの拳の強度を上回ったようだ。
 これが通常のモンスターであれば、それによって十分なダメージを与える事が出来るのだが、アンデッドと思われるヤツには、物理的な攻撃は意味を成さない……そのはずだった。だが、その瞬間、ヤツの口から悲鳴が飛び出す。そして、拳からは真っ黒な血と思われる物が飛び散った。
「おりょ!? アンデッドちゃうんかい!?」
「いや、ネムの浄化には反応している!。アンデッドである事は間違い無い!!」
 確かに、他の『巨大スケルトン』と同じ反応が見て取れる。それから言えば、間違い無くアンデッドであるはず。
 俺は、他の巨大アンデッド同様に、周囲のアンデッドを取り込んで修復するのかを見極めようと、ヤツを注視してていたのだが、その目に全く別の現象を目撃してしまう。
「血が動いてる!!」
「何じゃぁ!?」
「……スライムか!?」
 ヤツの拳から飛び散った黒い血液は、『不浄の泉』表面に落下すると、そのまま蠢きだし、こちらに向かって移動してくる。そして、それは『般若心経バリアー』によっても消滅しない。
 更に、真っ黒なスライムに見えるソレは、ネムの『聖域』すらも突破してきた。その想定外の事に慌てる俺達だったが、シェーラだけは冷静に『地裂斬』を放つ。放たれた『地裂斬』は、その『黒いスライム』を切り裂くと、完全に消滅させた。ただ、その斬撃は、『黒いスライム』の延長線上にいた『巨大クソロムン』にも直撃し、更なる『黒い血液』をバラ撒く結果を生む。そして、それから更なる『黒いスライム』が生まれる。
「マジか──!! シェーラ! スライムメインでよろ!!」
 『黒いスライム』の反応から見て、『般若心経』も効果がないと見て取ったミミが、シェーラに指示を出す。
「あと、デカ汚物王子には物理攻撃禁止!!」
 そう言い放ったミミは、高熱版『火炎旋風』を『巨大クソロムン』に放っている。この炎魔法では、ヤツの『黒い血液』はまき散らされる事はないようで、新たな『黒いスライム』が生まれる事はなかった。また、『黒いスライム』にも効果があり、通常の『スライム』同様にのたうち蠢いて焼け死んでいく。
 周囲のアンデッドからはティアの『般若心経バリーアー』で身を守り、『巨大クソロムン』はミミの『火炎旋風』で攻撃、『黒いスライム』はシェーラの『地裂斬』、『不浄の泉』にはネムの『浄化』と言う形で当たっていく。ティアは、『スピーカー』による『般若心経』で、『不浄の泉』にダメージを与えつつ、湧き出し来ているクソロムン型の『ヴァンパイア』にも攻撃だ。
「巨大汚物が完全に出切るまでに、何とかせんと、いつもの足切断が出来んかんね!!」
 若干焦り気味のミミの声が聞こえてくる。
 通常は、巨大アンデッドに関しては、シェーラの『地裂斬』によって足や下半身を切断する事で行動不能にし、その間に『浄化』『般若心経』『火炎旋風』によってダメージを与えていくと言う戦法を取るのだが、今回は『黒いスライム』の関係でそれが難しい。
 『地裂斬』や『火炎旋風』によって殲滅出来る範囲の数であれば問題無いが、それを上回る数がヤツの黒い血から生まれれば、『聖域』や『般若心経バリアー』が効果が無いだけに危険度が高すぎる。
 こういう時に、適切な攻撃手段を持たない我が身が悔しい。
 そして、こう言った時に限って、更なる厄介事というのは得てして発生する。
「包帯が何か吐いたです!!」
「うげっ!! 毒霧かい!!」
 ネム言う『包帯』とは『マミー』の事だ。その『マミー』が口の部分から緑色の霧状の何かを吐き出し始めた。『マミー』は口の部分も包帯で巻かれているのだが、その隙間から、緑色の霧が漏れ出している。
 一体の『マミー』がそれを吐き出すと、周囲の『マミー』も吐き出し始めた。
 『浄化』範囲外に湧き出した『マミー』からだけとは言え、30体以上の『マミー』によって吐き出された緑色の霧によって、周囲は直ぐに緑色に染まる。
「浄化と聖域は利いてる! あれは今は気にするな!」
 その『緑色の霧』が毒なのか、何らかのバッドステータスを与える物なのかは不明だが、『浄化』『聖域』で完全に防げるなら、一般の雑魚アンデッドと対処は変わらない。焦る必要は無いって事だ。
 俺は、『MP回復薬』を全員に掛けて回りながら、とにかく『巨大クソロムン』の行動に注視した。ヤツが、現時点において最も危険な相手なのは間違いない。
 ネムの『浄化』の効果によって、『巨大クソロムン』の湧き出し速度は遅くなっている。そこにミミの『火炎旋風』を連打する事で、だいぶダメージを与え続けてはいるが、多分、体躯が6㍍を切る前に全身が湧き出しそうだ。
 やはり、『リビングアーマー』によるスキル攻撃の影響が大きい。『ゴースト』の魔法攻撃以上に『聖域』へのダメージが高いため、ネムが『聖域』を張り直す回数が増え、それにしたがって『浄化』に集中出来ずにいる。
 状況に余裕が無いためか、ミミの口数も少ない。発せられるのは指示だけで、いつもの戯れ言は入っていない。
「ア──!ヤ──!ノ──!!」
 『巨大クソロムン』は、相も変わらず同じ事だけを吠え続けている。そして、その吠え声の度に、ティアの顔がゆがみ、一瞬ではあるが『般若心経』に揺らぎが発生していた。
 クソロムンは、ティアを憎悪した状態で死んだために、それを『巨大クソロムン』も引き継いだのだろうか。無論、ティアに責任は無い。完全な逆恨みである。元々、ヤツの憎悪の対象は俺達であり、その中で唯一知っている存在がティアだったから、ティアに憎悪が集中しただけに過ぎない。これ以上無いと言うぐらいに迷惑な話だ。
 自身に責がないとは言え、死して尚、憎悪を真正面から受けるのはキツい。変わってやれるものなら変わりたい。それが出来ない以上は、できるだけ早く決着を付けるしか無いのだが、俺自身は、それを成す術が全くない。人それぞれ役割がある、と言う事は当然理解している。だが、それでも尚、直接貢献出来ない事にいらだちを感じてしまう。そんな心の中に渦巻く感情を抑えつけ、自身の役割を果たして行く。それがパーティーと言うものなのだから。
 実質的には、何倍にも感じる5分が経過した。そして、やはり予想どおり、『不浄の泉』が消滅する前に『巨大クソロムン』の全身が湧き出していた。
「やっぱ無理やつたか!! シェーラ! 黒スラ出来ても良いから、足止めよろ!!」
 ミミは、大量の『黒いスライム』が発生するのを覚悟の上で、『巨大クソロムン』の行動阻害を優先する事にしたようだ。それなら、俺も。
 俺は、足が完全に『不浄の泉』から抜け出た途端に、こちら(ティア)に向かってこようとした『巨大クソロムン』の股間前方に、直径30センチ程の『バリアーシールド』を展開する。ヤツは、それに気付かずそのまま自ら当たりに行った。
 ハッキリ言って、『バリアーシールド』を股間の位置に展開したのは、クソロムンと言う存在に対する嫌がらせ以外の何ものでもない。アンデッド相手に、股間と言う急所攻撃に意味があるはずも無い。頭の位置に展開して後ろ向きに転倒させる、踏み出そうとした足の前に展開して斜め前に転倒させる、と言う案も浮かんだのだが、それを選択せずに『転倒』しない股間を選択した。感情的で、良くない選択だと思う。
 俺の感情任せの股間攻撃は、意外にもヤツに悲鳴を上げさせる事に成った。
 ヤツは、人間の男が同じ目に遭った時のリアンションをそのまま行った。悲鳴を上げ、前屈みに成って股間に手をやりうずくまっている。
「何だ!? 何があった!?」
「やっぱ痛覚有るんかい!! ロウ! グッジョブ!!」
「バリアーシールドか!」
 シェーラは、小さく展開した『バリアーシールド』に気付かなかったらしい。痛覚に関しては、拳を『バリアーシールド』で傷めた際、悲鳴を上げていたので今更驚く訳ではないが、人間同様の痛みがあるとは思っていなかった。
 股間を押さえてうずくまっている『巨大クソロムン』に、シェーラが『地裂斬』を放つ。その斬撃は、ヤツの右足と右腕を切り飛ばし、それと共に大量の黒い血液をまき散らした。そして、その黒い血液からは、『黒いスライム』が生まれる。
 発生した『黒いスライム』の大半は、即座に放たれた『火炎旋風』と『地裂斬』によって消滅して行くが、全ては消滅してくれない。『浄化』と『般若心経』の範囲外から、今なお、ゆっくりとではあるが『マミー』『ヴァンパイア』『リビングアーマー』が湧き出し続けている。絶対数は確実に減ってはいるはずだが、この場だけで言えば、攻撃スキル持ちのアンデッドの数が増えて、危険度は増しているとも言える。
 俺達の周囲には、空になった『MP回復薬』のビンが大量に散乱していた。そして、俺達全員が土砂降りの雨に降られたように、全身がびしょ濡れだ。それだけの『MP回復薬』を使用しなければ、この状況を維持出来ない。余裕は無いって事だ。
 『地裂斬』によって切断されたヤツの手足は、10秒程でくっ付き元に戻ってしまう。それを見越して、シェーラは次の『地裂斬』を放っている。その斬撃は、生き残っている『黒いスライム』を消滅させながら『巨大クソロムン』の身体を切り裂く。
 足止めとダメージの増加を続ける以外ない。
 ミミは、ヤツと俺達の位置が近いため、自身が放った『火炎旋風』の熱気を防ぐ風の流れも発生させている。そのため、只でさえMP消費が多いのに、更なるMPを使用する事で『MP回復薬』の消費が多い。この世界に、『ポーション中毒』と言う設定が存在しない事が、これ程有り難いと感じた事は無い。そんな設定があれば、俺達はとっくに壊滅していただろう。
 俺達の生命線は、ネムの『聖域』と『MP回復薬』だ。ティアの『般若心経バリアー』も入るが、『聖域』が代用しているので、無くても最悪何とかなる。何はともあれ、この二つだけは切らせる訳には行かない。だから、俺は『巨大クソロムン』の行動を注視しながら、『MP回復薬』を掛け続ける。
 体感的には、驚くほど時間は進まない。『不浄の泉』の明滅速度は遅々として速くならない。長い。
 何度となく足止めに失敗して、『巨大クソロムン』が聖域にまで到達する事もあったが、その際は、『バリアーシールド』を俺との相対座標に展開して、俺自身が前進する事でヤツを押し戻した。『バリアーシールド』を展開している時間が長くなる事によって、消費MPが一気に多くなるので連続使用は出来ない方法だ。
 『不浄の泉』の明滅速度から、消滅まで2分を切った時、俺は『バリアーシールド』の展開をミスした。ヤツが殴りかかった来た際、展開のタイミングを失敗し、拳が通過したあとの座標に『バリアーシールド』を展開してしまった。
 『バリアーシールド』の検証時に、展開場所に空気や水以外の物体が存在していた場合には、『バリアーシールド』は顕現せず、MPだけを消費する事が分かっていた。つまり失敗となる訳だ。当然、この場合も失敗となると思ったのだが、なぜかそう成らなかった。
 殴りかかったヤツの腕の中程に『バリアーシールド』は顕現し、ヤツはそれによってつんのめる。そして、それだけでは無く、『バリアーシールド』より先の腕がちぎれて、慣性に従ったまま飛んで行く。『バリアーシールド』の前後には黒い血がまき散らされた。
「「「切れた!?」」」
 この現象には、俺は勿論、ミミとシェーラも驚いたようで、三人の声がハモってしまった。
「赤称号か!?」
「アンデッドが理由やない!?」
 原因は分からないが、ダメージを与えられないまでも攻撃手段として使えるのであれば、利用させて貰おう。俺は即座に『バリアーシールド』を多重展開して、切断された腕を更に細かく切り刻む。
「ミミ! 燃やせ!!」
「ほい来た!!」
 ミミは、直ぐにガスバーナーのような炎を作り出し、『聖域』の直ぐ外に落ちている腕の破片を燃やす。複数に分解されたその腕は、表面積が何倍にもなっているため、炎によるタメージもそれに従って多くなる。そのため、ヤツに取り込まれる前に、全てを焼き尽くす事がだ来た。
「よっしゃ──!!」
 腕を肘関節から失った『巨大クソロムンは』、それを再生するために、体躯を小さくしていく。
「同じ方法で、ヤツの本体のダメージを増加出来ないか!?」
「多分無理だと思うぞ。今みたいに離れた所に身体の一部があるならだが、近くにあれば、接着自体は直ぐだからな、今みたい燃やすのは無理だ」
「だ~ね~。普通に火炎旋風掛けるんと、ほとんど変わらんのとちゃう?」
 シェーラの案を、俺とミミが否定する。効果は無くは無いが、MPを大量消費した分のダメージは無い。
「その代わり、足止めは手伝えるぞ」
 俺はそう言って、『巨大クソロムン』の股関節部分に、地面と水平向きの『バリアーシールド』を顕現させる。ヤツは、腕が切断された時以上の悲鳴を上げながら、上半身と下半身を真っ二つにしながら倒れていった。展開面積が大きいため、MP消費が多く、連続使用は出来ない。急いで『MP回復薬』を被る。纏めて2本だ。
 この『バリアーシールド』の使い方に気付いた事が、この戦いの潮目だった。最大の脅威である『巨大クソロムン』を抑え続ける事が出来れば、あとは『浄化』『聖域』『般若心経』によって対処出来る。
 シェーラの『地裂斬』と違って、任意の場所を、任意の方向で、ほぼ確実に切断出来る『バリアーシールド』は、ヤツをその場へと完全に釘付けにした。そして、手の空いたシェーラは『黒いスライム』に専念出来る。完全に、こちらの流れが出来ている。
「ア──!ヤ──!ノ──!!」
 相も変わらず、同じ事を叫び続ける『巨大クソロムン』が、こちらに這い寄って来ようとするが、即座に両肩の部分に『バリアーシールド』を顕現させ、両腕を切断した。
「お──!ま──!え──!さ──!え──!い──!な──!け──!れ──!ば──!」
 ミミの『火炎旋風』による青白い炎の中から、ヤツの声が聞こえてくる。
「あに言ってんの!! ティア居なくても、変わる訳ないじゃん!! あんた!なんもせんかったじゃん!!」
「そのティアを、真っ先に捨てたのはお前だろうが!! このチキン野郎!!」
 『巨大クソロムン』が、クズな事を言ってきたので、反射的に叫んでいた。ミミも同じだろう。
 俺が叫んだ瞬間、それまで常にティアの方を見ていたヤツの目が、俺の方を向く。
「チ──!キ──!ン──!じゃ──!な──!い──!」
「お前はチキンだ!! 完全無欠のチキンだよ!! 神のやつが認定した由緒正しいチキン野郎だ!!」
「こ──!ろ──!す──!」
「黙れチキン!! 息をするなチキン!! とっとと死ねチキン!! 次のお前の転生先はニワトリだ!!」
 その時、『般若心経』が突然消える。そして代わりに流れてくるのは、某フライドチキンのCMソングだ。クリスマス用では無く、通常のCM用ソング。元々はアメリカ某州の州歌だったはず。その歌自体にチキンと言うワードは無い。だが、前世の記憶を持つものであれば違う。
「ア──!ヤ──!ノ──!!」
 ヤツは、俺の時以上に憎悪を燃やし、歯ぎしりまでしている。ティアは、ヤツが逆上したのを確認すると、直ぐに『般若心経』に切り替えた。『般若心経バリアー』は『聖域』で賄えるとしても、『巨大クソロムン』周囲のアンデッドを消滅させて修復を妨害するには、やはり『般若心経』は必要だからだ。
 ティアが、短時間とは言え『般若心経』を止めたのは、その危険を押しても尚、ヤツを罵倒したかったと言う事なのかも知れない。これが、ティアなりの仕返しか。……いや、違うな、多分、ヤツのタゲを取り戻したんだろう。ヤツの攻撃が俺に向かないように。
 『巨大クソロムン』がクソロムンその者なのかはともかく、ヤツに、クソロムンの意識がある程度有るのは間違いないようだ。だからと言って、手加減などをするわれなど無い。それどころか、心を込めて全力で攻撃出来る。
 俺は、『MP回復薬』を三本同時に被りながら、『バリアーシールド』でヤツの身体を切り刻んでいく。その攻撃自体に意味は然程ない。多少なりとも『火炎旋風』によって焼かれる表面積は増えるが、誤差の範囲だ。それは、今までのヤツに対する鬱憤をぶつけただけに過ぎない。ヤツの悲鳴が心地良い。……ダークサイドに落ちそうな気がするな。だが、今は良い。
 右腕を切る、股間を切る、左足を切る、股間を切る、左腕を切る、股間を切る、右足を切る、股間を切る……エンドレス。
 60本以上の『MP回復薬』の空ビンを地面に散乱させて、実行された俺の拷問行為は、残念な事に終わりを告げる。『不浄の泉』消滅と共に走り出した、シェーラの『爆砕断』によって。
 ヤツは、消滅する寸前までアヤノの名を叫んでいた。漫画やアニメで良くある、最後の瞬間に改心したり、自身の今までを後悔するよう台詞を呟くなど全くない。ただただ、憎悪と共に消滅していった。
 ヤツが消滅した瞬間だけは、ティアの『般若心経』に若干の揺らぎが出たが、それは、ほんの僅かな瞬間にしか過ぎなかった。ティアの、天川に対する思いは、完全に失われていたのだろう。『浄化師』の爺さんの時のように、その死を悼む『般若心経』を唄う様子は無い。それで良い。それが当たり前だ。
「うっしゃ~!! 汚物王子完全消毒完了!! あとは、周りの雑魚仕留めて、早く家に帰んべ~!!」
「ああ、もう少しだ、最後まで気を抜かずに行くぞ」
「早く帰って、メムのご飯が食べたいです!」
「しもた──!! 巨大汚物王子からスティールしとくんやった──!!」
「そんな余裕無かっただろ」
「あに言ってんの!! あんなイレギュラーなスキルを持っちょったから、絶対普通じゃ無いもん、持ってたはず!! ちっくしょ──!! ロウ!! せめて、ミイラ男と動く鎧からは盗れ!! ……何で、バンパイヤは残っちょらんの──!!」
 ミミのヤツは、平常運転に戻ったようだ。それを見ているティアの顔にも、自然な笑顔が浮かんでいる。
 俺達は、これ以上のイレギュラーが発生しない事を祈りながら、残っているアンデッドの殲滅を続けた。
 ちなみに、『マミー』からは『スティール』出来たのは、『一般品』で一巻きの包帯。『リビングアーマー』から『スティール』出来たのは、こちらも『一般品』のみで、各種武具だ。『黒いスライム』は『ヴァンパイア』同様、既に全て消え去っていて存在しなかったので、何を持っていたかは不明だ。
 包帯は、後に『鑑定』して貰うと『腐敗防止の包帯』と言う名で、その包帯で包んだ物の腐敗を完全に停止出来る物だった。再使用も可能で、『ストレージ』の無い一般冒険者や商人であれば、十分に使い道のある品だ。
 『リビングアーマー』からの武具は、外観はそのまま元の騎士が使用していた意匠で、性能だけが若干プラスされていた。多分、現時点のトマスさんが『昇華』を実行した位の性能アップだろう。ただ、意匠が各騎士団の意匠そのままなので、売ったり、孤児院出の冒険者にやる訳にも行かない、実に困った品でもある。
 
 城内のアンデッドは、その日のうちに全て殲滅出来た。一部、あの第二城壁の消滅した部分からその内側に侵入したアンデッドも居て、まだその区画に残っていた何名かが犠牲になったようだ。
 消滅していた第二城壁の一部は、大きな『不浄の泉』が消滅した時点で姿を現していた。ただ、消滅していた部分と、残っていた部分にはよく見れば分かる程度の切断面が見える。多分、その部分は切れているはずなので、元の強度は無いと思う。切断面の周囲だけでも、一旦ばらして、再度組み直す必要があるだろう。まあ、俺達の知った事では無いが。

 この騒ぎの大本のクーデターは、こちらもその日のうちに終わっている。なんと言っても、首魁たるクソロムンが消滅しているし、それ以外のメインとなっていた騎士達も、あの場で消滅している。死体が残っている者の方が少ない位だ。そんな状態では、それまで優勢だったとしてもクーデターが続けられるはずが無い。
 最終的には、ギルド主体の冒険者連合によって完全に鎮圧されたらしい。それには俺達は参加しなかった。家でゆっくりしていた。

 王族に関しては、第二王子や王女達が生き残っていたようで、そのまま第二王子が王の座に付いた。
 第二王子は、騎士団団長候補と言われていただけはあって、このクーデターにおいても、ギムネル侯爵達と共に戦い続けていたようで、即位する事に反対する者は居なかったらしい。
 事の発端はどうであれ、ギムネル侯爵が中心となってクーデター軍と戦った事から、侯爵がそのまま宰相の地位に就いたそうだ。その辺りの、上の人事なども俺達には関係ない事だ。クソロムンのようなクズでなければ、誰でも良い。多分、大半の一般人はそう思っているはずだ。だから、その即位や受任を喜ぶような一般人は誰もいなかった。

 クーデター騒動から三日ほどは、いろいろと周囲もバタバタしていたために、通常の活動は出来なかったが、その後はいつもどおりに戻った。それは、俺達だけでなく、ギルドや、王都の一般住人も皆だ。皆には自分達の生活があり、その生活をする為には稼がなくては成らない。だから、上のドタバタなど関係なく、下々の者は自身の生活のために活動していく。

 第二城壁前での事は、城に入ってきていた他の冒険者達も知らない。クソロムンが『スキルの実』を奪って、『不浄の泉』を発生させるスキルを得た事は勿論、騎士の手によって殺され、『ヴァンパイア』や『巨大クソロムン』としてアンデッド化(アンデッドのベース化)した事も知らない。当然、それらを俺達が消滅させた事もだ。
 ロミナスさんにだけは、その事は話してある。ロミナスさんも、ギルド上層部に不審を感じているようで、その話は彼女の胸に留めたようだ。一応、西ギルドの者は信用出来るのだが、それでも、そこから漏れる可能性を考えてギルマスにも話さなかったらしい。

 あのクソロムンのスキルに関して、何というスキルだったかは分からない。だが、ヤツが新たに得たJOBに関しては予想は付く。『魔王』だ。そう考えた理由は、俺達のステータスに、青い文字の称号が加わっており、そこに『魔王を下せし者』と書かれていたからだ。自身のステータスを確認した時のヤツの反応からしても、多分間違い無いだろう。
 ただ、ヤツを殺したのは俺達ではなく、騎士だった事を考えると、あの『巨大クソロムン』が『魔王』だった可能性も有る。だが、血液が『黒いスライム』に成ると言う以外にこれと言った能力がなかった『巨大クソロムン』よりは、『不浄の泉』を生み出していたクソロムンの方が『魔王』らしい気はする。
 多分、結果として騎士に殺させる状況を作った、もしくは、その結果発生した特殊な『不浄の泉』や『巨大クソロムン』を消滅させた事も含めての『魔王を下せし者』なのだろう。
 この称号によって、この世界に初めて『魔王』と言う言葉が正式に刻まれた事に成る。少なくとも、この国の歴史上には『魔王』と言う言葉は存在していなかった。
 『魔王』と言うJOBが、実際の所どのようなJOBで、どのような条件によって得る物なのかは分からない。歴史上に存在しなかった事から考えて、『託宣の儀』によって得るJOBではなく、今回のように後天的に得るJOBだと思う。そして、多分、『赤称号』と言う存在が影響しているはず。
 クズ騎士達の死体が、『不浄の泉』へと沈み込んだ事に関しても、原因は『赤称号』位しか考えられない。もしかすると、あの大型の『不浄の泉』限定の可能性も有る。その辺りは、検証しようと思えば出来なくはないが、さすがに実行は出来ないだろう。
 疑問点は複数残ったままだが、何はともあれ、俺達にとっての、この騒動は終了だ。あとの事は、全て、それぞれの上の方々に任せる。俺達はやるべき事はやった。あとは知らない。
 
 俺達は南西の森へと向かっている。以前クソロムン達の襲撃を受けた場所だ。
 全員で、ワイワイギャアギャアと話しながらの、お気楽道中である。
「しっかし、汚物王子には感謝やね~。よくぞ魔王になってくれた!」
「ミミ、それはさすがに不謹慎だと思うが」
「そ~だよ、ミミちゃん」
 ミミをいさめるシェーラとティアの口調は、それ程強くはない。かなり軽めだ。
「あ~に言ってんの、ヤツのおかげで青称号が手に入ったんじゃん! だから、ちょびっと位はヤツに感謝してもええやん!」
「確かにそうなのです。少しぐらい感謝しても罰は当たらないのです」
「罰って……それはちょっと違う気がするよ」
「違うですか?」
「うん」
 彼女達が言う『青称号』とは、新たに得た『魔王を下せし者』と言う称号の事だ。『赤称号』や一般の白文字による称号と違い、青文字で書かれている。付与によるプラス補正値などと同じ色だ。
 この『青称号』と言う物も、記録上は存在していない。少なく見積もっても、この国の記録には存在しない。この事はルミナスさんにも確認した。
 『白称号』には、『救国の英雄』『村の英雄』『国士無双』などと言う物が存在した事が記録として残っている。ミミのやつは『炎旋』と『慈悲なく燃やす者』と言う『白称号』も持っているらしい。『炎旋』はともかく、もう一つは、時おり他の冒険者達から漏れ聞く話が原因だろう……まあ、赤でなく白なので、『慈悲なく燃やされたヤツら』に問題が有ったと言う事なのだろう。
 この『白称号』だが、『赤称号』同様に、それ自体に特殊な効果は発見されていなかった。『赤称号』に関しては、しばらく前に隠し効果の存在が判明した訳だが、それを踏まえても、ステータス上に記載される形での効果と言うものは存在していない。
 だが『青称号』は、ステータス上にハッキリとその効果が表記されている。それは、全てのパラメーターにプラス補正だ。『MP』に+200、それ以外のパラメーターには+20が表記されている。更に、既存スキルのスキルレベル上限が+10されており、更なる成長が見込める。カンスト済みのスキルも成長可能となった。
 スキルの上限に関してはともかく、パラメーターへの+20と言う追加補正値は大きい。『素早さ』や『力』が突然+20になれば、身体のコントロール自体が難しくなるレベルだ。俺達も、数日間は力加減が出来ずに、いろいろと壊しまくったり、転びまくったりした。
 この追加補正値は、レベルアップ分に換算すれば、相当な値になる。通常のレベルアップ時のパラメーターが増える値は、+4だ。それにSP分の1を加えても5。この『青称号』によっては、『運』も含めて六つ全てのパラメーターに20ずつが入っている。すなわち合計120だ。120÷5=24、すなわち、24のレベルが上がったのと同じだという事に成る。
 ミミのやつが不謹慎ながらも喜ぶのは理解出来る。
「スキルレベルの上限解放もあるし! うひょ~! 異世界転生無双もでける!!」
「パラメーター的には強くは成っているが、実力はそれには見合ってはいない、油断すれば死ぬぞ」
「分かっちょるって! 取りあえずは、未来は安泰っちゅう事!!」
「まあ、確かに、このまま行けば、ティアとシェーラとネムと、ついでに俺の未来は安泰だな」
「ちょっち待て!! なして私が入っちょらん!!」
「ああ、心配すんな、お前の冒険者としての・・・・・・・未来は安泰だよ」
「あに!? その変な含みは!!」
「いや、だって、お前に結婚とかまず無理だろう。普通の幸せってヤツは諦めろ」
「ムッキー!! なして私だけなん!!」
「いや、シェーラはモテモテで引く手あまただぞ。ネムも、結構アプローチ受けてるしな」
「モテモテなのです。……半分はお金目的なのが残念なのです」
「私は、ロウが骨拾ってくれるからね♪」
「私もロウが骨拾え!!」
「だが断る!!」
「だが言うな──!! 拾え──!! 骨拾え──!!」
 ああ、今日も平和だ。
「骨拾え────!!」
 未来の事は分からないが、こんな日常が続けば良い。
「骨拾え────!!」
 ミミが指輪を指し示してくるが、残念、その指輪は『パーティーリング』であって、『骨拾いリング』ではなくなっているのだよ。
 まあ、この先、気が変わって、拾ってやるかも知れないが、その可能性は口にしない。
「骨拾え────!!」
 草原にミミの声がこだまする。
 今日も良い日だ。


 END
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感想 1

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みんなの感想(1件)

梅ちゃん
2020.11.26 梅ちゃん

49話まで一気に読みました。やはり「ももも」さんの作品は面白いです。
ランキングが低いのは、アルファポリスでの知名度と、タイトルが問題では?「なろう」でタイトルを変えて連載する時、同時にタイトルを変えてはどうでしょうか?

解除

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 エンデラント大陸最古の王国、グライフトゥルム王国の英雄の一人である、マティアス・フォン・ラウシェンバッハは転生者である。  彼は類い稀なる知力と予知能力を持つと言われるほどの先見性から、“知将マティアス”や“千里眼のマティアス”と呼ばれることになる。  彼は大陸最強の軍事国家ゾルダート帝国や狂信的な宗教国家レヒト法国の侵略に対し、優柔不断な国王や獅子身中の虫である大貴族の有形無形の妨害にあいながらも、旧態依然とした王国軍の近代化を図りつつ、敵国に対して謀略を仕掛け、危機的な状況を回避する。  しかし、宿敵である帝国には軍事と政治の天才が生まれ、更に謎の暗殺者集団“夜(ナハト)”や目的のためなら手段を選ばぬ魔導師集団“真理の探究者”など一筋縄ではいかぬ敵たちが次々と現れる。  そんな敵たちとの死闘に際しても、絶対の自信の表れとも言える余裕の笑みを浮かべながら策を献じたことから、“微笑みの軍師”とも呼ばれていた。  しかし、マティアスは日本での記憶を持った一般人に過ぎなかった。彼は情報分析とプレゼンテーション能力こそ、この世界の人間より優れていたものの、軍事に関する知識は小説や映画などから得たレベルのものしか持っていなかった。  更に彼は生まれつき身体が弱く、武術も魔導の才もないというハンディキャップを抱えていた。また、日本で得た知識を使った技術革新も、世界を崩壊させる危険な技術として封じられてしまう。  彼の代名詞である“微笑み”も単に苦し紛れの策に対する苦笑に過ぎなかった。  マティアスは愛する家族や仲間を守るため、大賢者とその配下の凄腕間者集団の力を借りつつ、優秀な友人たちと力を合わせて強大な敵と戦うことを決意する。  彼は情報の重要性を誰よりも重視し、巧みに情報を利用した謀略で敵を混乱させ、更に戦場では敵の意表を突く戦術を駆使して勝利に貢献していく……。 ■■■  あらすじにある通り、主人公にあるのは日本で得た中途半端な知識のみで、チートに類する卓越した能力はありません。基本的には政略・謀略・軍略といったシリアスな話が主となる予定で、恋愛要素は少なめ、ハーレム要素はもちろんありません。前半は裏方に徹して情報収集や情報操作を行うため、主人公が出てくる戦闘シーンはほとんどありません。 ■■■  小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+でも掲載しております。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
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生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

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2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
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私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

【3章開始】刀鍛冶師のリスタート~固有スキルで装備の性能は跳ね上がる。それはただの刀です~

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ただいま、【3章・魔獣激戦】を書いてます。【簡単な粗筋】レベルがない世界で武器のレベルをあげて強くなって、国を救う物語【ちゃんとした粗筋】その世界には【レベル】の概念がなく、能力の全ては個々の基礎能力に依存するものだった。刀鍛冶師兼冒険者である青年は、基礎能力も低く魔法も使えない弱者。──仲間に裏切られ、魔獣の餌になる寸前までは。「刀の峰に数字が?」数字が上がる度に威力を増す武器。進化したユニークスキルは、使えば使うだけレベルがあがるものだった。これは、少しお人好しの青年が全てをうしない──再起……リスタートする物語である。小説家になろうにも投稿してます

異世界忍法帖 ~影に生きた忍は異世界で希望の光となる~

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※本編完結済み ※今後は番外編を投稿(時期は不定期)していく予定です。 戦国時代の少年忍者・支部斬九郎は、主君である矢凪国領主の永西時勝を討ち取った織田信長の軍勢と交戦中に異世界ヴェールへと召喚されてしまう。人々が魔法を当たり前のように使うこの世界で、斬九郎は気絶していた自分を助けてくれた小国の若き女王・イヴリット・ハートレイクを新たな主君として忠義を誓い、彼女の影として生きることを決意する。魔力ゼロの斬九郎は鍛え上げた肉体と魔法によって強化された手裏剣や忍刀を武器にして、新たな主君イヴリットを守るため、仲間たちと異世界を駆ける。

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 俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。  そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。  しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。 「ここはどこだよ!」  夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。  あげくにステータスを見ると魔力は皆無。  仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。 「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」  それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?  それから五年後。  どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。  魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!  見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる! 「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」 ================================  月見酒です。  正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。

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