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第十二話 黄金伝説5
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俺は手頃な屋根の上に伏せて様子をうかがった。
ゴブリンどもはまずサトミに狙いを定めたらしい。索敵だ。蔦が二手に分かれて通りの右と左のそれぞれの建物に形に沿ってぐるりと一周させるような念の入りようでゆっくりと伸びていく。まるで鎌首をもたげた蛇が獲物を狙うかのように上下左右に先端が揺れた。いくら距離をとっているとはいえ壁際に身を潜めているサトミにやつらの蔦が届くのは時間の問題だ。
もちろん戦線を離脱する気なら話は別だがサトミにその気はないだろう。鏡なのか棒の先端に何やらつけたもの差しだして様子を窺っている。日光が反射して位置を気取られないか不安に駆られたが俺に心配されるような腕じゃないのだろう。言われたこともできない俺をおいて行くような真似はしないでいてくれるらしい。
だが、サトミもそのことは気が付いてるのだろうが俺にもっと近づくようにとは言ってこない。もちろん声で位置を把握されないようにと言う配慮もあるのだろうが、彼女はいざとなったら自分がなんとかすると言っていた。
サトミとともに戦ってきた男たちと比較したうえで俺の配置を決めたのだろうが予想を超える期待はずれだったことは証明されてしまった。別に恥を雪(そそ)ぐつもりもないがサトミ一人に負担をかけたくない。
俺は日本で孤独を紛らわせるためにゲームをプレイしていた。決して上手くはないがそこから得た知見といものもある。とある島で飛び道具を使って最後の一人になるまで倒しあうバトルロワイヤル系のゲームでは相手から狙われにくくするために壁を作ったり砦を作って高い位置に移動したりした。そしてそれができないときはジャンプを繰り返して狙いにくくさせる。その要領で高さをずらしていけば弓矢の無駄弾を撃たせられると踏んだ。
だがゴブリンどもを甘く見ていたことを思い知った。俺が屋根の上に立ち上がり挑発しても相手にしない。鳴き声すらこちらに送ってこない。弓矢を雨あられと降らされたらたまらないが無駄弾を撃たせたかった。だが挑発には乗ってこない。
ゴブリンどもが知性でやっているのか奴らの捕食者としての本能がやらせてるのかわからないがとんでもなく厄介な相手だというのが身に染みてくる。人間の女さえ手に入れて離脱すれば勝ちと考えているなら逃げてしまった猫族の女から狙いをサトミに変えた可能性がある。
しかもサトミはここを気にいって俺と一緒に守ろうとしている。このままだとサトミが危険を冒してでも行動に出てしまいかねない。彼女の拳銃のような瓢箪、便宜上瓢箪銃と呼ぶがあれで正面から撃っても蔦に襲われれば蔦を撃退するのに追われ本体を狙うことすら無理だろう。
だったら俺が蔦野郎を何とかするしかない。近づいてゴブリンの盾を打ち破る前に蔦野郎だ。俺は棒高跳びの要領で屋根から屋根に伝わり奴らの背後に回り上空から竹やりをズドンだ。そして、離脱。
そう決めた。手ごろな屋根に狙いを定めて飛び乗る。遠回りになるが迂回して、建物の陰に隠れるようにしていた。正面からは近づかないようしていた。だが続けていくうちに手ごろな建物がなくなっていく。やむを得ず奴らの正面の方に向かった。これからはスピード勝負だ。
急いではいたが俺は奴らの視界に入ったであろう。だが奴らは動かない。目的の人間の女さえ獲得できればいいのか。かなり近づいたと思う。それでも奴らは動かない。蔦だけがのそのそとゆっくり地面を舐めている。
そのままでいてくれればいい。あと数回跳べば奴らの頭上を取れる。竹を地面についた瞬間だった。あっという間だった。竹ごと持っていかれる。俺はとっさに別の竹を伸ばして地面につく。それも持っていかれる。数回繰り返したところで俺は蔦で空中に持ち上げられていた。
俺は最後に残ったたった一本の竹を魔法で鉈のように形を変えてて蔦を切ろうともがいた。だが切っても切っても自由を奪われる。あれよあれよというまにかなり上方に持ち上げられてしまっていた。俺はここで魔法で竹を元の形に戻した。逆に蔦を俺の思い通りに動かそうと念じてみる。だめだ。ビクともしない。
この世界の魔法は頭数が多いほうが強い力を発揮できる。もちろん個人でとんでもない魔法を使える奴の話も聞くが俺はそうじゃない。デカ物の後ろで協力して蔦を動かしているのであろう三匹のゴブリンより強力な魔法使いでもない。
それに知能でも負けた。確かに間抜けな猿が近づいてくるのを待ったて網に賭けたほうが弓で射って仕留めるよりも簡単だろう。サトミを守るためとはいえ俺の知能はゴブリンに負けた。だがあきらめるつもりもない。
そうこうしているうちに蔦を切って自由になっても落下した衝撃で死ぬであろう高さまで持ち上げられていた。
「ここで放されたら死ぬ」
そう思った俺は放されたときに備えていつでも竹を伸ばせるように身構えた。だが俺はここでもゴブリンどもに後れを取った。奴らそのまま俺を地面に叩きつけようとしやがった。俺の身体は猛スピードで地面へ。
間一髪、竹を伸ばして地面に突き立て踏ん張る。一瞬止まった。と思ったら今度はまた上に持ち上げられていく。必死で竹を伸ばした。踏ん張る。だが身体は登っていかない。むしろジリジリと地面に向かっている。気を抜いたら猛烈な勢いで地面に叩きつけられる。わかっていても徐々に力が出なくなっていく。地面に叩きつけられバラバラなった俺の姿が頭に浮かんだ。
ゴブリンどもはまずサトミに狙いを定めたらしい。索敵だ。蔦が二手に分かれて通りの右と左のそれぞれの建物に形に沿ってぐるりと一周させるような念の入りようでゆっくりと伸びていく。まるで鎌首をもたげた蛇が獲物を狙うかのように上下左右に先端が揺れた。いくら距離をとっているとはいえ壁際に身を潜めているサトミにやつらの蔦が届くのは時間の問題だ。
もちろん戦線を離脱する気なら話は別だがサトミにその気はないだろう。鏡なのか棒の先端に何やらつけたもの差しだして様子を窺っている。日光が反射して位置を気取られないか不安に駆られたが俺に心配されるような腕じゃないのだろう。言われたこともできない俺をおいて行くような真似はしないでいてくれるらしい。
だが、サトミもそのことは気が付いてるのだろうが俺にもっと近づくようにとは言ってこない。もちろん声で位置を把握されないようにと言う配慮もあるのだろうが、彼女はいざとなったら自分がなんとかすると言っていた。
サトミとともに戦ってきた男たちと比較したうえで俺の配置を決めたのだろうが予想を超える期待はずれだったことは証明されてしまった。別に恥を雪(そそ)ぐつもりもないがサトミ一人に負担をかけたくない。
俺は日本で孤独を紛らわせるためにゲームをプレイしていた。決して上手くはないがそこから得た知見といものもある。とある島で飛び道具を使って最後の一人になるまで倒しあうバトルロワイヤル系のゲームでは相手から狙われにくくするために壁を作ったり砦を作って高い位置に移動したりした。そしてそれができないときはジャンプを繰り返して狙いにくくさせる。その要領で高さをずらしていけば弓矢の無駄弾を撃たせられると踏んだ。
だがゴブリンどもを甘く見ていたことを思い知った。俺が屋根の上に立ち上がり挑発しても相手にしない。鳴き声すらこちらに送ってこない。弓矢を雨あられと降らされたらたまらないが無駄弾を撃たせたかった。だが挑発には乗ってこない。
ゴブリンどもが知性でやっているのか奴らの捕食者としての本能がやらせてるのかわからないがとんでもなく厄介な相手だというのが身に染みてくる。人間の女さえ手に入れて離脱すれば勝ちと考えているなら逃げてしまった猫族の女から狙いをサトミに変えた可能性がある。
しかもサトミはここを気にいって俺と一緒に守ろうとしている。このままだとサトミが危険を冒してでも行動に出てしまいかねない。彼女の拳銃のような瓢箪、便宜上瓢箪銃と呼ぶがあれで正面から撃っても蔦に襲われれば蔦を撃退するのに追われ本体を狙うことすら無理だろう。
だったら俺が蔦野郎を何とかするしかない。近づいてゴブリンの盾を打ち破る前に蔦野郎だ。俺は棒高跳びの要領で屋根から屋根に伝わり奴らの背後に回り上空から竹やりをズドンだ。そして、離脱。
そう決めた。手ごろな屋根に狙いを定めて飛び乗る。遠回りになるが迂回して、建物の陰に隠れるようにしていた。正面からは近づかないようしていた。だが続けていくうちに手ごろな建物がなくなっていく。やむを得ず奴らの正面の方に向かった。これからはスピード勝負だ。
急いではいたが俺は奴らの視界に入ったであろう。だが奴らは動かない。目的の人間の女さえ獲得できればいいのか。かなり近づいたと思う。それでも奴らは動かない。蔦だけがのそのそとゆっくり地面を舐めている。
そのままでいてくれればいい。あと数回跳べば奴らの頭上を取れる。竹を地面についた瞬間だった。あっという間だった。竹ごと持っていかれる。俺はとっさに別の竹を伸ばして地面につく。それも持っていかれる。数回繰り返したところで俺は蔦で空中に持ち上げられていた。
俺は最後に残ったたった一本の竹を魔法で鉈のように形を変えてて蔦を切ろうともがいた。だが切っても切っても自由を奪われる。あれよあれよというまにかなり上方に持ち上げられてしまっていた。俺はここで魔法で竹を元の形に戻した。逆に蔦を俺の思い通りに動かそうと念じてみる。だめだ。ビクともしない。
この世界の魔法は頭数が多いほうが強い力を発揮できる。もちろん個人でとんでもない魔法を使える奴の話も聞くが俺はそうじゃない。デカ物の後ろで協力して蔦を動かしているのであろう三匹のゴブリンより強力な魔法使いでもない。
それに知能でも負けた。確かに間抜けな猿が近づいてくるのを待ったて網に賭けたほうが弓で射って仕留めるよりも簡単だろう。サトミを守るためとはいえ俺の知能はゴブリンに負けた。だがあきらめるつもりもない。
そうこうしているうちに蔦を切って自由になっても落下した衝撃で死ぬであろう高さまで持ち上げられていた。
「ここで放されたら死ぬ」
そう思った俺は放されたときに備えていつでも竹を伸ばせるように身構えた。だが俺はここでもゴブリンどもに後れを取った。奴らそのまま俺を地面に叩きつけようとしやがった。俺の身体は猛スピードで地面へ。
間一髪、竹を伸ばして地面に突き立て踏ん張る。一瞬止まった。と思ったら今度はまた上に持ち上げられていく。必死で竹を伸ばした。踏ん張る。だが身体は登っていかない。むしろジリジリと地面に向かっている。気を抜いたら猛烈な勢いで地面に叩きつけられる。わかっていても徐々に力が出なくなっていく。地面に叩きつけられバラバラなった俺の姿が頭に浮かんだ。
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