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1.2 魔法祭まで
3話 決闘
しおりを挟む今回シャルロット様が決闘するため、俺も学園へ一緒に向かう。
「先生...」
無言の時間が続いていた時、突然話しかけられたため少し驚いてしまったが、シャルロット様の顔を見て後悔する。顔が白く、体が震えていた。
(俺はバカか)
誰だって決闘するの時、緊張する。シャルロット様ならなおさらだ。なんたって今までバカにされてきた奴との決闘であり、自分の実力を見せつける最初である。それに加えてもし負けたら俺がクビになるという条件も付けられていた。
「シャルロット様。一旦深呼吸しましょう」
「え?」
「騙されたと思ってやってみてください」
「はい...」
深呼吸している時、俺が話かける。
「シャルロット様はなぜ緊張しているのですか? それを考えてみてください」
「もし負けたら先生がクビにされちゃう...」
「そうですね。クビになってしまうのは嫌ですね。ですけどちゃんと考えてみてください。今までやってきた努力を」
「...」
自分を信用できていない感じか...。
「努力とは裏切らないものですよ。今までやってきたことをやればシャルロット様なら勝てますよ」
「でも練習通りになるとは限らないじゃないですか...」
シャルロット様が言う通り練習時に出せる実力を本番どれだけ使えるかなんてわからない。精度や速度が落ちてしまうかもしれない。でもできなくなるわけじゃない。
「そうですね。実際練習時の実力を出せたら不安なんてないですよね。ですが練習したことは自分自身が覚えていると思います。ですので魔法を使う速度や精度が落ちたとしても使うことはできる。0と1では違いますが1と10はさほど変わりません」
「...」
(もう一押しだな)
「それに考えてみてください。誰だって決闘をする時は緊張します。それはシャルロット様だけじゃないってことですよ」
「!!」
ずっと下を向いていた顔がやっと俺に向けられた。
「言われてみればそうですね。やれるだけやってみます」
「はい。それにもし負けてしまっても死ぬわけじゃない。負けを糧に頑張ればいいじゃないですか!」
「はい」
一応これで精神的に負けているわけじゃなくなったと思う。相手がどれぐらいの実力かわからないが、最低限五分五分の戦いができるだろう。
そこから一緒に学園に入り、すぐさま決闘場に向かい、シャルロット様と別れる。俺が観客席に入ると大勢の人が見に来ていた。
(それにしても多いな)
昨日決闘が決まったばかりなのになんでこんなに人が多いのだろうか? 逆に考えればシャルロット様が認めてもらえるチャンスでもあった。両者が決闘場に入ると大きな歓声が沸き上がった。俺はすぐさまシャルロット様を見る。
(よかった)
緊張していなさそうであった。そして決闘の合図が言われた。バケルと言う生徒が火玉を撃とうとした瞬間、シャルロット様は俺が教えた複合魔法で応戦した。
(すごい。こんな簡単に)
前世でここまでスムーズに使える人がどれだけいただろうか。そう思わされるほど魔法を放つスピードが速かった。そして案の定、複合魔法と火玉では威力も違い、バケルの近くの地面に大きな穴が開いた。
「は?」
シャルロット様の魔法にバケルや観客たち全員が驚いていた。でもシャルロット様はバケルが驚いているのを見逃さず、火玉と水玉を同時に発動してバケルに放つ。火玉を避けることはできたが、水玉を避けることができず直撃していた。
そして追い打ちをかけるようにもう一度複合魔法を使う。
(やばい!)
基礎魔法の複合技と言えど、人が死ぬ可能性はある。
(やるしかない...)
俺はシャルロット様が放った魔法を消滅させた。決闘中にこんなことをするのはご法度であるが、こうでもしない限りシャルロット様に汚名がついてしまう恐れがあった。観客含め、教員やバケルは俺が使ったことに気付いていなかった。
でも複合魔法の威力に腰を抜けたのか、バケルは降伏した。
その時、俺が誰かに見られているのに気付くことができなかった。
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