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2章 主人公と勇者たちの関係
16話 新たな仲間
しおりを挟むアーサーさんたちが勇者にフードを被せて宿を出ていった。
「どうしよう...」
アメリアが絶望そうな顔をしながらため息をつく。
いきなり言われたらそうなるよな。パーティメンバーが居なくなって今の状況になったら俺でもため息をつく。
アメリアにエルミナが話しかけた。
「今後どうするの?」
「どうって。わからないわよ」
「他のパーティに入るとかは?」
「そんな簡単に言わないで! 聖女ってだけで誰しもパーティに入れたがる。でも聖女が必要なだけで私を必要としていない。そんなパーティに入りたいと思う?」
「ごめんなさい...」
エルミナが軽率なことをいうのはいつも通りだけど、いつもと違う点があった。仲間にならないかって一言。多分俺を気遣って言わなかったんだと思う。
「なあみんな。少しアメリアと2人で話させてくれないか?」
「え? まあいいけど...」
みんな了承してくれたため、部屋の中には俺とアメリアだけになった。
「アメリアは勇者のことどう思っている?」
「どうって...」
「まだ一緒にパーティとして組みたい思っている?」
「わかんないよ。だっていつも話していたジャック様は魔王に操られていたんだよ? 本当のジャックがいつ話していて、いつ話していたのが魔王だったかなんてわからない。だから一緒にパーティとして組みたいかなんてわかんないよ」
そうだよな...。俺ももし仲間が魔族に操られていたら信用できるかわからない。今後一緒に冒険してもそいつのことを心のどこかでまた操られているかもって思ってしまう。そうなった時点で仲間っていえるのか?
「もしさ。もし俺がアメリアをパーティに招待したら入るか?」
「え?」
「そのまんまの意味だよ」
アーサーさんが行った時から決心はついていた。アメリアがもし一人で冒険するなら俺たちのパーティに誘おうと思っていた。
状況は違えどこの気持ちはあの時アメリアが俺を突き放した気持ちと同じだと思う。もしアメリアが一人で冒険して危険な目にあったら? それなら一緒のパーティで行動した方がいい。
多分アメリアの場合はあの時仲間がいなかったから俺を誘えなかったんだと思う。もし誘えていたとしても俺の実力が分かっていない。そしたらどんな扱いをされるかわからないし、一緒に冒険をしていても危険な目に合うだけ。だから突き放したんだろうと俺は結論に至った。だから俺も同じことをする。アメリアがより安全に生きていける選択をさせてあげたい。パーティのメンバーと比べてもアメリアの実力は申し分ない。だったら一緒のパーティに入ってもいいと思った。
「一緒のパーティに入ってもいいの? 私はクリスのことを突き放したんだよ?」
「それは俺を守るためだろ? だったら俺もアメリアを守る選択をしたい」
「それでも。それでも私は酷いことをした...」
「そうだな。じゃあ今度から酷いことをしなければいいじゃん」
「許してくれるの?」
「あぁ。もうとっくに許しているよ」
アメリアの性格を考えたらすぐにわかる。幼馴染なんだから。だからもうとっくに許しているよ。
「じゃあ入ってもいい?」
「待って。俺はパーティに入ってもいいと思っている。でも他のメンバーがなんていうかはわからない」
「...。そっか」
話が終わるのと同時にみんなが入ってきた。
「私は入ってもいいと思うわよ!」
「私もです!」
「あぁ」
するとアメリアが泣きながら言う。
「ありがとう...。ありがとう...。本当にありがとう」
「でもクリスを罵倒したのは許さないからね! 今度からはちゃんと考えていってよね」
「うん」
「じゃあよろしくね!」
「よろしくお願いします!」
「うん。よろしく」
「じゃあご飯でもいこ!」
エルミナがそう言って宿から出た。まて...。アメリアに回復してもらったとはいえ、俺あまり動けないんだけど...。
(まあいっか)
エルミナに続くようにみんながぞろぞろと部屋を出ていった。部屋の中がアメリアと俺になったので俺も出る。
「アメリアいこ。後助けてくれてありがとう」
「うん。幼馴染なんだし助けたのは当たり前だよ。まあ幼馴染じゃなくても助けるのは当たり前なんだけど!」
「それでもさ。ありがとう」
俺とアメリアが最後に出て、みんなで酒場に向かった。
「二人とも遅ーい。早くしてよ」
「そうですよ!」
「早く行くぞ」
(こいつら俺の怪我忘れてるだろ!)
「うん!」
「あぁ」
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