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2章 主人公と勇者たちの関係

7話 守護人19との対戦

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 こんな魔法があるなんて...。この魔法を使われただけでわかる。魔法を使ってきたレベルが違う。今魔法を使われたことすらわからなかった。普通なら少なからず魔法を使う時に魔素の乱れが起きる。だけど今回はそれがなかった。



(この次元に行くためにどれぐらいの時間を要したのだろうか...)



 俺が唖然としているとティーさんが話しかけてくる。



「あなたもそこそこ魔法をかじっているからわかるのね」



「あ、はい。そうですね...」



「でも今回は殺し合いじゃなくて試合。だから楽しみましょう」



「はい」



 この次元に来るだけでもすごい事だろう。何年先になるかわからないほどの実力差。でもこれだけじゃないはず。守護人19ナインティ―はこんなもんじゃ多分慣れない。何かしら他の武器も持っているはず...。試合が始まる前にノアが俺に問う。



「クリス大丈夫か? もし無理なら俺一人でやるけど?」



「いや、大丈夫。俺も楽しみだしな」



「やっぱりそうだよな。この人はっきり言ってやばいぜ。歩き方がまずやばい。歩く際、一定の音で歩いている。このレベルってことに達するのに最低10年以上かかるって言われている。剣士としてお前が戦ったアーサーさんより強いってことだと思う。それぐらい剣士としてレベルが違う。お互い本気を出して一矢報いてやろうぜ」



「あぁ」



 やっぱりノアも気づいていたか。それにしても剣士としてもそんなに実力が違うとはね...。魔導士としてもレベルが違うのに剣士としてもそこまで実力があるってことは...。何かしらの策がなくちゃやばいな...。



「じゃあ始めようか」



「「はい」」



 ティーさんの合図と同時に試合が始まる。まずノアがティーさんと剣を合わせる。俺は後ろから火玉ファイヤーボールを撃ちつつ援護をする。だけど火玉ファイヤーボールを軽くかわしつつノアと戦っている。



(援護する攻撃魔法がない...。俺も前に出るか?)



 その後も1分程度火玉ファイヤーボールでティーさんの行動を制限しつつ戦っていたが、キリがなかった。それどころか俺の魔力は減ってきているし、ノアも疲れが見えてきた。



 そう思った俺もノアと同様に近接戦に入る。まず身体強化を使い、そこに預言を使う。



{戦闘中ね。援護するわ。でも結果はわかっているんじゃない?}



{それでもやらなくちゃいけないときはあるんだよ}



{そっか。わかったわ}



{あぁ。頼む}



 ノアが引くタイミングで俺が攻撃をする。ノアの通常時が俺の身体強化を使っているスピードと同じため、ついていくのでやっとだ。だけどノエルの予知のおかげで少し考える余裕はできている。そんな中でもティーさんは余裕がある。それにまだ魔法を使っていない。いや、使うに値しないのだろう...。



 ノアが俺にアイコンタクトを送って来たため俺が一歩後方に下がるとグランドクロスを使った。



「へー。まあそれぐらいはやってもらわなくちゃね」



 ティーさんは右手に水玉ウォーターボール、左手に風切ウィンドカッターを使い複合する。すると単体魔法の数倍の威力が出ていた。それでグランドクロスを相殺していた。



(そんな使い方もあるのか...)



 簡単な魔法の複合でもグランドクロスを打ち消せるぐらいの威力を出すことも可能になるってことだよな...。



(ノアが魔法を使わせたんだ。次は俺の番だよな)



 相殺した瞬間に出来た霧のせいで周りが見えない。俺が見えないってことはティーさんも見えないってこと。そこを利用して俺はラウンドを使いつつ隠密を使って影を薄くした。それに付け加えて身体強化がまだ継続しているし預言も続いている。



 戦いの最中に4つの魔法を重ね掛けすることが初めてだったため、魔力消費が半端ない。もって5分ってところ...。



 霧の中で俺は戦後左右から斬りかかる。だけどなぜか位置が分かっているかのようにすべてが防がれてしまう。



 そこで賭けに出た。霧がなくなるのは時間の問題。だったら勝負に出るしかない。そう思った俺は前方方向から火玉ファイヤーボールを撃ち、高速ウィップを使い瞬時に後方に移動して痹動ニールを使う。さらにまた前方に移動して斬りかかる。



 5つ連続の魔法を使っているためすでに足が震えていた。でもここでやらなかったら今までの努力が水の泡になってしまう。



 ティーさんは火玉ファイヤーボールに対して火玉ファイヤーボールで相殺して、痹動ニールに対してはよけていた。そこで俺が前方方向から斬りかかったため、ティーさんがほんの少し対処が遅れてしまい服の端っこが少し斬れた。そこで俺が倒れた。
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