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2章 主人公と勇者たちの関係
5話 決闘するクリス
しおりを挟む宿のロビーに行くとすでにエルミナがいた。
「クリスおはよ~」
「おはよ」
「昨日はごめんなさい...。ちょっとお酒を飲みすぎたわ...」
「まあそんな日もあっていいんじゃないか?」
「うん...。ありがとぅ。いつも優しいね」
最後の方に言った言葉が聞き取れなかったが、まあいいか...。
「今日はワイバーン討伐に行く予定だけど大丈夫?」
「うん! そしたら寄っていきたいところがあるんだけどいい?」
「いいよ」
二人で話しているとノアとルビアが同時にロビーに来た。
「「おはよう」」
「おはよ」
「おはようございます!」
「今日からワイバーン討伐に行く予定だけどいい? 多分1泊2日になるかもだけど大丈夫?」
「「「大丈夫」」」
「じゃあクエストを受けに行こうか」
みんなと今回の方針を決めたためクエストを受注しに行く。ギルドについて受付嬢にワイバーン討伐を受けると言うと
「ワイバーン討伐ですか!? Dランクの中でも最上位になるほど難しいクエストですよ?」
「大丈夫です」
「は~。まあ皆さんなら大丈夫でしょうけど...。はい。ではいってらっしゃい」
「行ってきます」
受付嬢からクエスト受注を確認したのでみんなのところに行く。するとみんなが一人の男性と話していた。
「なあ俺を仲間に入れてくれよ。運よく闘技大会ベスト8に上がった底辺職業じゃなくて剣士の俺の方が絶対役に立つって。今だけだってあいつが強いのだってさ。今後を見たら俺の方が絶対いいぜ?」
あ~。こういう話か...。まあ普通そう言う目で見られるよな...。俺以外は上級職業で俺だけ底辺職業。だったら俺よりいい職業になっている人とパーティになった方がいいって考えになるだろう。
「悪いけどあなたじゃクリスの足元にも及ばないわよ。それにこのパーティは実力で決めているわけじゃないから結構よ」
「は? あいつよりおれのほうが弱いって? 俺はDランク冒険者であいつはEランクだぞ。普通に考えて俺の方が強いだろ!」
「まあ口だけなら何とでもいえるわ。そう思ってもらっても構わないし。はっきり言ってあなたと組む気は無いわよ。私以外だってそうじゃないかしら?」
エルミナがそう言うと周りも頷く。
「じゃあそいつと決闘させろ。それで勝ったらお前ら全員俺のパーティはいれよ!」
「いいわよ」
「あぁ」
「わかりました」
え? なんで俺がいないところでそんな重要な話をしているの? 遠くから聞いていたから状況はわかるけどさ...。それに俺が負けたらパーティ解散? そんなの嫌だ...。
俺が少し時間をおいてみんなのところに行くとそいつが俺に言う。
「おいお前! 俺と決闘しろ」
「嫌ですけど?」
まずは断る。だって戦ったってこっちのメリットがない。
「なんでだよ。とんだ腰抜けじゃねーか」
「俺にとってメリットがないからですよ。メリットがあれば戦いますって」
「...。じゃあこれなんてどうだ?」
そいつが俺に巻物を見せてくる。これって確か...。
「お前でもわかるだろ?」
「もしかして魔導書?」
「そう! まだ未使用の雷玉エレクトロボール。これならメリットがあるだろ? どうだ?」
「いいよ」
なんで持っているかわからない。魔導書とはそこらへんじゃ手に入らない代物。ダンジョンで運よく見つけるか、大量の金貨をはたいて買うかの2択でしか手に入らない。それをこの試合で勝ったらもらえるならやるしかない。
俺とそいつが決闘場に向かい戦闘を始める。
「ではルールは敵の気絶または降伏のどちらか。戦闘開始!」
「おりゃあ」
その掛け声と一緒に剣を振りかざして来る。俺は試合の合図と同時に試したいことをやってみた。威圧。魔法でも剣術でもない。普通強い人ならだれでも使えるだろうけど、俺はその領域まで行っていない。でも強い魔力を持っている人はその人付近に魔素が寄ってくる。剣で戦う時もそうだ。相手の動きで力量が分かる。
俺はどちらもその領域に行っていないが、どちらも組み合わせたらもしかしたらって思った。まず最初に身体強化を使う。そして剣を構え、他の魔法を使うイメージで魔力を練ると体中に魔素がやってくる。そして最後に圧をかける。
(これでどうだ?)
俺がそう思ったら対戦相手が寄ってこなくなった。
(成功か...?)
俺が徐々に近づいていくとそいつが少し震えながら尋ねてくる。
「待ってくれ。なんだよ。その圧...」
(成功していたってことだよな。このレベルなら使えるってことか...)
そして俺がそいつの剣と交える。するとあっけなくそいつがしりもちをつく。
「降参する...」
「勝者クリス」
試験官の合図と同時に威圧を解く。そしてそいつから魔導書をもらってみんなのところに行く。
「「「お疲れ様」」」
「おう。でだけど、この魔導書はルビアに使ってもらおうと思うけどいい?」
「クリスが手に入れたんだからいいんじゃない?」
「あぁ」
「なんで私なんですか?」
「ルビアは戦闘魔法を持っていないからね。これで使えると思うから自衛ぐらいはできると思う」
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ」
そう言って魔導書を渡す。ここで使うわけにもいかないため、広場に行ってルビアに使ってもらう。するとルビアが少し光りだして言う。
「頭の中に使い方がスーッと入ってくるっていうか...。すごいですね。早く使ってみたいです」
「成功ってことかな? ワイバーン戦の時にでも使ってみよっか」
「はい!」
ルビアが戦闘魔法を覚えたことだしワイバーン討伐に向かう。こんなことで時間を使ってしまうとは思わなかったけどいいものが手に入ったから良しとしよう。
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