18 / 66
1章 仲間が増えるまで
14話 闘技大会 予選1
しおりを挟む
闘技大会前日。エルミナと一緒にエントリーをする。
「エルミナもでるの?」
「うん! 1人より2人の方が残れる可能性が高いじゃん!」
「そうだね」
お互いエントリーを済ませて各自宿に戻る。この2週間ひたすら高速の練習をしていた。まず高速の下限を知るところから始めて、その次は高速と身体強化の連携技。この二つを合わせるだけで大抵のモンスターは瞬殺できた。そして最終段階として高速と身体強化の連携に付け加えて魔法無効化を使う。
最終段階は結局ものにすることができなかった。高速と身体強化を組み合わせるだけで大抵のモンスターを倒してしまうため、モンスターが魔法を使う前に終わってしまう。エルミナに頼んでもよかったが、多分ついてこれなかっただろうし。
☆
そして闘技大会当日。エルミナと一緒に闘技大会の会場に行く。
「頑張ろうね!」
「あぁ」
そして会場に入る前でルビアさんがいた。
「二人とも頑張ってください。怪我だけはしないように...」
「うん!」
「ありがとうございます」
これを言うためだけに言いに来てくれたのだろうか? 本当に律儀な人だな。そう思いつつルビアさんと別れて会場に入る。すると受付員にカードを渡される。
[第2ブロック 1番]
「クリスどこだった? 私は第1ブロックの100番目だったよ!」
来た人順に分けているのか...。それにしてもブロックが別々でよかった。同じブロックになっていたらお互い勝ち上がれる可能性が低くなる。
「俺は第2ブロックの1番だったよ」
「じゃあ私が最初に始まるのね。期待してて!」
「あぁ」
二人で話しているとこちらに男性が近づいてきた。
「生きていたんだね。よかった」
迷宮ダンジョン入り口で話した人だ。この人も出るんだな...。
「はい。あなたも出るのですね」
「そうだよ。俺は第2ブロックの77番。君たちは?」
「俺も同じブロックです。エルミナは第1ブロックだそうです」
「ふーん。じゃあ君と対戦するってことか...。知り合いと当たるのは嫌だけど、戦う時はよろしくね」
「はい」
その男性がそう言って立ち去っていく。
「あの人誰なの?」
「ダンジョンで少し話した人だよ」
「そっか。負けないでよ!」
「あぁ!」
そうは言ったものの勝てるかわからない。あの人は多分できる人だ。歩き方から立ち振る舞い。はっきり言ってそこらへんにいる人とは次元が違う。それに加えて迷宮ダンジョンで15階層まで行ったって言っていた。俺は5階層できつかったのに更に奥まで行っているってことはやり手だ。
(本当に勝てるのだろうか...)
そんな不安を抱えながら第1ブロックの試合が開始する数分前になる。
「じゃあ行ってくるね!」
「行ってらっしゃい。頑張ってきて」
「うん!」
エルミナが闘技場に向かった。それを見送った時あの男性がまた話しかけてくる。
「あの人は上がれると思うかい?」
「え? まあ上がれると信じていますよ」
俺がそう言うとその男性が真剣な顔で言う。
「本当にそう思っているかい?」
ドキッとした。俺の真意を見通しているような言葉を言ってきた。はっきり言ってエルミナの実力じゃ厳しいだろう。それこそ運が良ければ2位通過できるかもしれない。だけど今の実力で上がることはほぼ不可能だろう。
「まあ厳しいでしょうね。でも上がれる可能性はあると思っていますよ」
「はは。そう言えば自己紹介がまだだったね。騎士爵家次男のノア・ホワイトだ。君は?」
「クリス・ペテロと言います。平民です」
「そうか。でもここでは貴族や平民、種族は関係なく個々の力を競う所。俺の見立てだと君はそこそこできるよね。一つ提案なんだけど、試合が開始したら手を組まないかい?」
「え?」
そんなことしていいのか? 予選とはいえ正式な試合だぞ?
「予選は言わば団体戦。手を組む人も多いんだよ。だから残り二人になるまで手を組むって言うのはどうかなって思ってさ」
「...。いいですよ」
それなら断る理由がない。今だけ仲間になるってことか。
「じゃあ試合が始まったらよろしくね」
「はい」
仲間になったからって気を抜けるわけじゃない。もしノアさんに裏切られたら? もし他の人とも手を組んでいたら? 警戒をしておいて損はないだろう。
ノアさんと会話が終わって試合を見ようとしたら第1ブロックの試合がすでに終わっていた。...。早くないか? こんなに早く終わるものなのか? すると司会者から勝利者にインタビューが入っていた。
「1位通過おめでとうございます!」
「ありがとう」
「ご職業は何ですか?」
「賢者」
「また珍しい職業ですね! 素晴らしい魔法でした。本戦でも頑張ってください」
「あぁ」
そして2人目のインタビューに入る。エルミナじゃない...。やっぱりダメだったか。
「2位通過おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
「ご職業を聞いてもいいですか?」
「騎士」
「2位通過するのも納得の職業ですね! 本戦でも頑張ってください」
1位通過の人と2位通過の人のインタビューを見て思った。試合をあまり見ていなかったからわからなかったけど、多分1位通過の人がほとんどの敵を倒して終わらせたのだろう。2位通過の人が弱いわけじゃない。それでも1位通過の人が強すぎるんだろう。
すこし待つとエルミナが来た。
「負けちゃった...」
「お疲れ様。怪我がなかっただけよかったよ」
「うん...。クリス頑張ってね」
「あぁ。行ってくる」
エルミナが負けたため、もし俺が負けたらルビアさんと一緒のパーティが組めなくなる。ここが大一番だな...。
そして第2ブロックの試合が来た。
「エルミナもでるの?」
「うん! 1人より2人の方が残れる可能性が高いじゃん!」
「そうだね」
お互いエントリーを済ませて各自宿に戻る。この2週間ひたすら高速の練習をしていた。まず高速の下限を知るところから始めて、その次は高速と身体強化の連携技。この二つを合わせるだけで大抵のモンスターは瞬殺できた。そして最終段階として高速と身体強化の連携に付け加えて魔法無効化を使う。
最終段階は結局ものにすることができなかった。高速と身体強化を組み合わせるだけで大抵のモンスターを倒してしまうため、モンスターが魔法を使う前に終わってしまう。エルミナに頼んでもよかったが、多分ついてこれなかっただろうし。
☆
そして闘技大会当日。エルミナと一緒に闘技大会の会場に行く。
「頑張ろうね!」
「あぁ」
そして会場に入る前でルビアさんがいた。
「二人とも頑張ってください。怪我だけはしないように...」
「うん!」
「ありがとうございます」
これを言うためだけに言いに来てくれたのだろうか? 本当に律儀な人だな。そう思いつつルビアさんと別れて会場に入る。すると受付員にカードを渡される。
[第2ブロック 1番]
「クリスどこだった? 私は第1ブロックの100番目だったよ!」
来た人順に分けているのか...。それにしてもブロックが別々でよかった。同じブロックになっていたらお互い勝ち上がれる可能性が低くなる。
「俺は第2ブロックの1番だったよ」
「じゃあ私が最初に始まるのね。期待してて!」
「あぁ」
二人で話しているとこちらに男性が近づいてきた。
「生きていたんだね。よかった」
迷宮ダンジョン入り口で話した人だ。この人も出るんだな...。
「はい。あなたも出るのですね」
「そうだよ。俺は第2ブロックの77番。君たちは?」
「俺も同じブロックです。エルミナは第1ブロックだそうです」
「ふーん。じゃあ君と対戦するってことか...。知り合いと当たるのは嫌だけど、戦う時はよろしくね」
「はい」
その男性がそう言って立ち去っていく。
「あの人誰なの?」
「ダンジョンで少し話した人だよ」
「そっか。負けないでよ!」
「あぁ!」
そうは言ったものの勝てるかわからない。あの人は多分できる人だ。歩き方から立ち振る舞い。はっきり言ってそこらへんにいる人とは次元が違う。それに加えて迷宮ダンジョンで15階層まで行ったって言っていた。俺は5階層できつかったのに更に奥まで行っているってことはやり手だ。
(本当に勝てるのだろうか...)
そんな不安を抱えながら第1ブロックの試合が開始する数分前になる。
「じゃあ行ってくるね!」
「行ってらっしゃい。頑張ってきて」
「うん!」
エルミナが闘技場に向かった。それを見送った時あの男性がまた話しかけてくる。
「あの人は上がれると思うかい?」
「え? まあ上がれると信じていますよ」
俺がそう言うとその男性が真剣な顔で言う。
「本当にそう思っているかい?」
ドキッとした。俺の真意を見通しているような言葉を言ってきた。はっきり言ってエルミナの実力じゃ厳しいだろう。それこそ運が良ければ2位通過できるかもしれない。だけど今の実力で上がることはほぼ不可能だろう。
「まあ厳しいでしょうね。でも上がれる可能性はあると思っていますよ」
「はは。そう言えば自己紹介がまだだったね。騎士爵家次男のノア・ホワイトだ。君は?」
「クリス・ペテロと言います。平民です」
「そうか。でもここでは貴族や平民、種族は関係なく個々の力を競う所。俺の見立てだと君はそこそこできるよね。一つ提案なんだけど、試合が開始したら手を組まないかい?」
「え?」
そんなことしていいのか? 予選とはいえ正式な試合だぞ?
「予選は言わば団体戦。手を組む人も多いんだよ。だから残り二人になるまで手を組むって言うのはどうかなって思ってさ」
「...。いいですよ」
それなら断る理由がない。今だけ仲間になるってことか。
「じゃあ試合が始まったらよろしくね」
「はい」
仲間になったからって気を抜けるわけじゃない。もしノアさんに裏切られたら? もし他の人とも手を組んでいたら? 警戒をしておいて損はないだろう。
ノアさんと会話が終わって試合を見ようとしたら第1ブロックの試合がすでに終わっていた。...。早くないか? こんなに早く終わるものなのか? すると司会者から勝利者にインタビューが入っていた。
「1位通過おめでとうございます!」
「ありがとう」
「ご職業は何ですか?」
「賢者」
「また珍しい職業ですね! 素晴らしい魔法でした。本戦でも頑張ってください」
「あぁ」
そして2人目のインタビューに入る。エルミナじゃない...。やっぱりダメだったか。
「2位通過おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
「ご職業を聞いてもいいですか?」
「騎士」
「2位通過するのも納得の職業ですね! 本戦でも頑張ってください」
1位通過の人と2位通過の人のインタビューを見て思った。試合をあまり見ていなかったからわからなかったけど、多分1位通過の人がほとんどの敵を倒して終わらせたのだろう。2位通過の人が弱いわけじゃない。それでも1位通過の人が強すぎるんだろう。
すこし待つとエルミナが来た。
「負けちゃった...」
「お疲れ様。怪我がなかっただけよかったよ」
「うん...。クリス頑張ってね」
「あぁ。行ってくる」
エルミナが負けたため、もし俺が負けたらルビアさんと一緒のパーティが組めなくなる。ここが大一番だな...。
そして第2ブロックの試合が来た。
0
お気に入りに追加
507
あなたにおすすめの小説
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)
佐藤醤油
ファンタジー
アイドルをやってる女生徒を家まで送っている時に車がぶつかってきた。
どうやらストーカーに狙われた事件に巻き込まれ殺されたようだ。
だが運が良いことに女神によって異世界に上級貴族として転生する事になった。
その時に特典として神の眼や沢山の魔法スキルを貰えた。
将来かわいい奥さんとの結婚を夢見て生まれ変わる。
女神から貰った神の眼と言う力は300年前に国を建国した王様と同じ力。
300年ぶりに同じ力を持つ僕は秘匿され、田舎の地で育てられる。
皆の期待を一身に、主人公は自由気ままにすくすくと育つ。
その中で聞こえてくるのは王女様が婚約者、それも母親が超絶美人だと言う噂。
期待に胸を膨らませ、魔法や世の中の仕組みを勉強する。
魔法は成長するに従い勝手にレベルが上がる。
そして、10歳で聖獣を支配し世界最強の人間となっているが本人にはそんな自覚は全くない。
民の暮らしを良くするために邁進し、魔法の研究にふける。
そんな彼の元に、徐々に転生者が集まってくる。
そして成長し、自分の過去を女神に教えられ300年の時を隔て再び少女に出会う。
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>
ラララキヲ
ファンタジー
フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。
それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。
彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。
そしてフライアルド聖国の歴史は動く。
『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……
神「プンスコ(`3´)」
!!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!!
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇ちょっと【恋愛】もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる