かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない~現代ダンジョンのある学園都市で、俺はミステリアス美少女ムーブを繰り返す~

不破ふわり

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七章 ぞろぞろ偽者ソルシエラ

第209話 ニギニギおててお姉さん

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少年の脳が破壊される瞬間。
 これ程美しい瞬間は中々ない。

「どうしたの? そんなに強く引っ張っちゃって」
「……別に。ミズヒさん達に早く会いたいなって思って」
「ふふっ、そっか」

 もはやソウゴ君は手のひらの上でコーロコロ。
 むすっとしてて可愛いねぇ。
 でも手はしっかり握ったままなんだねぇ^^

『人類、可愛いねぇ』
『人類、なんと哀れな』

 相反する感情を抱いていやがる。
 
 さて、しかしそろそろソウゴ君を虐めるのはやめておこうか。
 このままだと成長したソウゴ君ルートに入りかねない。

 そうなると俺がお姉さん枠の攻略対象になってしまうだろう。
 それだけは避けなければならない。

『手遅れでは?』

 まだ大丈夫。
 師匠と憧れのお姉さんを高速で反復横跳びしている状態だからね。
 
 今の俺はなぜか本編で攻略ルートが存在しないヒロインだ。
 そしてアペンドディスクの開発予定はない。

「ソウゴ君、こっち見て」
「え? ……っ、なんで急に撫でるの」
「何でだろうねー。……俺も君くらいの年頃にはそうだったからかな?」

 ソウゴ君を引き留め、頭を撫でる。
 脳を回復させてあげようね。

「ケイお兄さんもそうだったの?」
「そうだよ、うん。お父様は厳しい人だったから、こうして頭を撫でてくれるのはお母様だけだったけれど」

 まあ、那滝家の家族事情なんか知った事ではない。
 というか、原作の流れ的にたぶんもうそろそろ御三家の当主死ぬし。

 だからここで何か言ってもそれが嘘だとバレる事はないんですね。

『なぜ死ぬと分かっているのに助けないのだ、マイロード』

 トウラク君にとって重要なイベントだからね。
 それに、御三家の当主が全員倫理観を捨てた畜生だからだよ。
 人類のためとかいってとんでもねえ犠牲を強いているからね。

 ちなみに、牙塔家は次期当主を決めるために一族で殺し合いトーナメントを開催する。
 そして勝ち抜いたトウラク君が当主になり秘宝を入手するというのが原作の流れだ。

 ここで重要なのは、トウラク君とミハヤちゃんの婚約が確定するという事。
 そこからはもうラブラブよ。

「信じられないって顔してるね」
「うん。だって、ケイお兄ちゃん強いし」
「そうあるべきだからね。頑張った……のかもしれない。今となっては分からないけどね」

 俺は気さくなお兄さんとして話す。
 が、その言葉の端々に影を残すことは忘れない。

 曇らせにより脳を回復させてあげよう。

『破壊のアプローチが変わっただけだねぇ』

 どこか遠い所を見るような眼差しで、俺はふっと息を漏らす。
 そして、ソウゴ君を見て言った。

「ソウゴ君、家族とは仲良くするんだよ」
「え?」
「後悔しても遅いからさ。ほら、お姉ちゃんとか大事にね」

 そう言うと、ソウゴ君は少し悲しそうに頷く。

 あー、見て見て! 勝手に俺の過去を想像して曇っているよ。かわいいね!

「……ケイお兄ちゃんは、後悔しているの?」
「どうだろうね。よくわからないや。でも」

 今です、ヒロインスマイル用意!

「今、結構楽しいんだ。俺には勿体ないくらいに」

 俺の笑顔を真正面から浴びたソウゴ君は、暫し呆然とする。
 いたいけな少年に対して放つスマイルとしては破格の威力を持つヒロインスマイル。

 その威力たるや、美少女粒子の収束砲撃と言っても過言ではない。

「……そうなんだ。ねえ、ケイお兄ちゃん」

 ソウゴ君は意を決したように顔を上げる。

「僕、強くなるから。絶対」

 まるで主人公のような強い意志を感じさせる瞳。
 子供とはいえ、その力強さに俺は感動していた。

「あの人、Sランクの六波羅さんだよね。……どういう関係かはわからない。けど、あの人も倒す。そして……その……えっと」

 もじもじしたまま、顔を赤くするソウゴ君。
 俺は彼の言葉を静かに待つ。

 これはCG回収タイミングでしてよ!

『良いですわねー!』

 俺達の期待を一身に背負ったソウゴ君は、真っ赤な顔のまま言った。

「絶対に貴女に相応しい男になって見せるから!」
「……そう、楽しみにしているよ」

 俺は立ち上がる。
 そして、ソウゴ君へと敢えて魔力を放出しながら答えた。

「ここまで、上がってきなさい」
「――っ!?」

 主人公が幼少期に出会った超えるべき壁であり憧れのソルシエラ……うーん、完璧だ。
 これから沢山のヒロインと出会ってどんどん強くなったソウゴ君と戦える日を楽しみにしているよ。

『クリア後に裏ボスで前作の強キャラソルシエラと戦えるんだねぇ』
『なぜ子供にアレだけの魔力を放出した……? 普通に可哀そうではないのか』

 彼には人造ギャルゲー主人公になって貰うのだから必要だろう。
 自分の手で主人公を作り出す……これが、神の領域か。

 美少女は作り出すことはできない。
 が、命や主人公なら創造することができる……!
 
『価値観の基準が分からない……』

「あ、ミズヒ先輩だ」

 困惑するカメ君にどう説明しようか迷っている内に、俺達はミズヒ先輩達を見つけた。
 その横には、ソウゴ君のお姉ちゃんであるヒナミちゃんがいる。

 ヒナミ社長! いつも支援ありがとうございます!

「ああっ、ソウゴ!」
「お姉ちゃん!?」

 ソウゴ君を見つけたヒナミちゃんは、此方へと駆け寄ってくる。
 そして、俺の隣にいるソウゴ君を思いきり抱き締めた。

「心配したんだよ? 迷子になったと思って……!」
「大丈夫だよ。ケイお兄ちゃんに助けて貰ったから」

 ソウゴ君の言葉を聞いて、ヒナミちゃんは顔を上げると俺を見る。
 そして、何度も礼を言いながら手を握ってきた。

 美少女との握手。
 当然、俺はすぐに己の肉体を美少女に変換していた。

『臨機応変〇』
『果たしてその臨機応変さは人類なのか?』

 俺はれっきとした人類だよ^^

「ありがとうございました……!」
「いえ、礼を言われる事なんて何も」

 むしろこっちが礼を言いたいくらいです。
 弟君の脳をミンチにしてからオーブンで焼く機会をくれてありがとう。

『規制が掛かるタイプのスプラッタ映画か?』

 次はもっと楽しく脳を焼こうね。

『犯行予告すぎる』

「ケイ、助かったぞ連絡をくれて」
「丁度良かったですね。まさかそっちも合流していたとは」

 ミズヒ先輩とリュウコちゃんはSランク。
 なので、その辺で突っ立ってても目立つ。
 そう、まるでモブ背景にネームドキャラがいるとわかるように。

 ヒナミちゃんがミズヒ先輩たちを見つけたのは、必然と言えば必然だった。

「お姉ちゃんごめんなさい。一人で行動して」
「ううん。無事ならいいの。……ん? 何か買ったの?」

 ヒナミちゃんが、ソウゴ君の持っている袋を見て首を傾げる。
 ま、マズイ!

「あ、これはね「そっ、そう言えば! ソウゴ君、まだ俺達と遊びたいって言っていたよね!」……え、うん」

 あぶねえ。
 ジルニアースは別に良いんだが……あの中にはもう一冊忍び込ませているのである。

『私の描いた同人誌だ^^』

 ★ヨミ先生の同人誌が欲しかったようなので、俺の奢りでこっそりプレゼントだ。
 これで家に帰った時、恥ずかしさや嬉しさ、その他諸々のイケない感情で大爆発の時限式性癖爆弾なのである。

 憧れのお姉さんに揶揄われた後、気が付けば自分の欲しかった同人誌が手元にある。
 全てを見透かされていた羞恥心と、それすらも許容されたという妙な嬉しさ。

 ソウゴ君、堪能したまえ^^

「良かったらヒナミさんも一緒にいかがですか。こっちには、リュウコちゃんというクローマに詳しい人もいますし。観光とか」
「社長と友達になれるチャンス……! 渡雷リュウコ、頑張りますよ!」

 拳を握りやる気満々のリュウコちゃん。
 これは頼もしい。
 観光なら、普通に有能だからね、彼女。

「いいんでしょうか、私達みたいなよそ者が」
「大丈夫ですって。クローマは観光客も沢山来る学院ですから。むしろ大歓迎ですって!」

 ニコニコしながらそういうリュウコちゃん。
 既にゴマすり接待モードである。

 この人、自分で起業できるだけの金があるのになんでまだ下手に出てるんだろう……。

「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……。ソウゴも、それでいいかな?」
「うん!」

 ソウゴ君は年相応に元気な返事と共に頷く。
 それから、俺と顔を見合わせて笑い合った。
 
「そろそろヒカリ達と合流でもするか?」
「そうですね、行きましょう。ほら、ソウゴ君」

 俺達は再び手を繋ぐ。
 その姿を見て、ヒナミちゃんとミズヒ先輩は微笑ましそうにしていた。

 喜べソウゴ君。
 君は今、お姉さんハーレム状態だ^^

『一人おかしなのいない?』

 リュウコちゃんに失礼だろ。

『自分は当然のように選択肢から除外するんだねぇ』
『マイロード、お姉さんキャラだけでは駄目だ。バランスを保つためにロリを五十人ほど用意しよう』

 バランスって言葉の意味知ってるのか君は。

 まあいい。
 とにかく、ここからは普通にソウゴ君達と遊ぶんだ^^

「ソウゴ君、またはぐれないようにもっと近づいて」
「う、うん」

 照れてる
 憧れのお姉さんとデートで来て嬉しいねぇ。

『憧れがあまりにも景品表示法違反すぎる』

 この後、滅茶苦茶お姉さんデートした。
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