かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない~現代ダンジョンのある学園都市で、俺はミステリアス美少女ムーブを繰り返す~

不破ふわり

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七章 ぞろぞろ偽者ソルシエラ

第203話 サンサンお日様モーニング

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 おはようございます!!!!!!
 気持ちの良い朝です!!!!!!

『おはよう^^ と言っても寝てないけどねぇ』

 それはミズヒ先輩も同じだ。
 会議で大変だったようだし、あの人だけに無理をさせるわけにはいかない。

 影で少しでも偽シエラを倒して貢献するんだ……!

『流石だマイロード。しかし、それで貴女が体調を崩しては困るからな。無理はしちゃだめだぞ。きちんと、お昼寝はするんだ』
『お昼寝してポカポカ体温のロリシエラは存在する』
『当然だ』

 変態同士で共鳴するな。
 
 というか、俺が無理をするわけないだろう。
 この心に美少女の輝きがある限り、俺は不滅だ!

 トウラク君達相手にミステリアスムーブをして、朝はヒカリちゃんとミズヒ先輩と朝食を食べた!
 これで元気じゃない訳が無いだろう!

 と、いう訳でこれから三人で聖域のお勉強に行きます。
 私達は、全員聖域について何も知らないので。

 そこ、アホの子三人衆とか言わない!

『頭の悪いソルシエラも可愛いよ^^ 必死にミステリアスムーブをしようとするけど空回りしちゃうんだねぇ』
『ほっこりエピソードが盛り沢山だな、マイロード』

 盛り沢山じゃねえよ。
 ソルシエラで二次創作するな。
 
「あっ、あそこの塔ですよ! そこで聖域についてお勉強出来るってパンフレットに書いてあります!」
「大きいな。……いつか、あれだけ立派な建物をフェクトムに建てたいものだ」
「そうですね」

 三人で並んで歩く。
 まだ九時前だというのに、クローマは凄い人混みである。
 これが文化大祭の影響……!

『だが、これだけ人がいても一番かわいいのはやはりソルシエラだねぇ』
『マイロードはやはり至高だ』

 へへっ……あんがとよっ! おめえらっ!

『江戸っ子?』
『鼻の下擦りながら笑うタイプの江戸っ子?』

 てやんでぇ。
 こちとら根っからの美少女でぃ!

「ケイ、見てください。あの塔のてっぺん! 綺麗ですねー、鉱石でしょうか」
「……ああ、アレは聖域の制御システムだよ。聖遺物を演算装置にしているんだ」
「ほう、詳しいな。流石は那滝家。その辺は勉強済みか」
「たまたまですよ」

『いかがでしたか?』
『聖域の始まりは? 今の聖域使いは? 聖域の制御方法は? 調べてみた!』

 揃いも揃ってソースが弱い……。
 もっとやる気出してよー><

『だって興味ないからねぇ。デモンズギアには劣るし……』
『その気になればいつでも改竄出来るしな……』

 君たちが敵じゃなくて本当に良かったよ、マジで。
 聖域そんな簡単に壊しちゃ駄目だからね、めっ。

『なら掌握はどうだろうか。聖域を使うソルシエラも見たいぞマイロード』
『ならば聖域というよりももっとダーク寄りにするべきだ。それか上下左右のない宇宙空間が良い。その場所に相手を転移させ、必殺技を放つんだ』

 かっこいいね、ソレ。
 ソルシエラもそういう空間を変える系の技作ろうかしら。

『ダンジョンコアでも持ち歩くかい? そうすれば、使うときに私が干渉して好きに作り変えてあげるよ^^ 』

 星詠みの杖君、さらっと凄いことするねぇ。

『妹に出来て私に出来ないわけないからねぇ』

 少し得意げな星詠みの杖君は、今日も頼もしい。

 と、その時俺の原作センサーが激しい警報を鳴らした。
 エマージェンシー! エマージェンシー!

『うおっ、うるさ』
『なんだこの音は……! どうして実際に音が鳴るのだ。いや、本当に鳴っているのか!? ここに音が存在する……? どういう仕組みだ……!?』

 見れば、そこにはトウラク君とルトラちゃん、そしてミハヤちゃんの原作いつメンがいた。
 なんてこったい、もう原作主人公様と再会しそうだぞ!

『もしや、偽シエラを調べているのか?』

「ケイ、どうした?」
「いえ、何でもないです……」

 俺の反応に気が付いたミズヒ先輩が声を掛けてくれた。
 些細な変化も見逃がさないミズヒ先輩……しゅき……!

『ミズ×ソル?』
『またか。配慮せず、反射的にカプを作るのは良くない。それが人類の共通認識だと学んだぞ』
『なんでロリコンが常識人ぶっている……???』

 こういう時のカメ君は頼もしいぞ!

『安心しろマイロード。君のおはようからおやすみまで全ての安寧は私が保証しよう。勿論、頭も撫でてやる』

 やっぱ星詠みの杖君サイドだったわ。

 って、こうしちゃいられねえや。
 このままばったりトウラク君達に出会っちゃうと気まずい。

 あんなカッコよく去ったのだから、暫くは出会いたくないぞ!

「……急ぎましょうか。あそこ、中々に混むらしいので」
「むっ、そうか。では急ごう」
「はぐれないように手を繋ぎましょう!」

 ヒカリちゃんが真ん中に入り、おててを繋いで俺達は駆け出す。
 トウラク君にみつかる前に急げー^^

『わぁい^^』
『転ばないように気をつけるんだ、マイロード』

 キャッキャウフフと駆けていると、不意にミズヒ先輩のダイブギアが音を鳴らす。
 どうやら連絡が入ったらしい。

「少し待て…………うん、どうやらミユメがこちらに合流したいらしい」
「ミユメちゃんも一緒に遊べるんですか!?」

 昨日、ミユメちゃんはジルニアス学術院のクソデカロボットのお手伝いに行っていた。
 予定では今日の夜に終わる予定だったようだが、どうやら予定よりもずっと早く終わったらしい。

 流石はフェクトム一の天才美少女。
 流石っすよ!

『お勉強教えて貰ったら?^^』
『慌てず、おててで数を数えるのだマイロード』
 
 どんだけアホだと思ってんだ。
 しっかり予習復習すれば俺だって成績上位者になれるわ。

『優等生タイプ……成程、委員長ソルシエラか。凄くエッチだねぇ^^』

 どこにエッチを見出したんだよ。

「どうやらミユメは既にあの塔にいるらしい。早く行って合流しよう」
「はい! 急ぎましょう! あ、飛びますか!?」
「怪我したら危ないから、止めよう」
「はい!」

 俺の制止に、ヒカリちゃんは元気いっぱいに頷いた。
 いい子だ……。

「では、行こう」

 俺達は再び駆け出す。
 ミユメちゃん、待っててくれー^^

『赤点ばかりの主人公に放課後勉強を教えてくれる委員長ソルシエラ、ありです。「貴方の成績が低いと、私の評価も下がるのよ」と言いながら教えて欲しい。そして、実は心のどこかでその勉強タイムを楽しみにしててほしい^^』

 急に脳内にシチュエーションを流すな。










 
 クソデカ塔は意外と空いていた。
 朝が早いのと、そもそもこんな時に聖域のお勉強をしに来る人がいないせいだろうか。

 ともかく、良かった。

「あ、こっちっすよー!」

 入り口でサンドイッチ片手にミユメちゃんはこちらに手を振る。
 どうやら朝ごはんを今食べているらしい。

 もしかして、フェクトムで誰よりもこの子が一番忙しかったんじゃ……。

『フェクトムでは自治区拡大やダイブギアの整備。ジルニアス学術院では姉の蘇生と諸々の研究の手伝い。間違いなく彼女は働き過ぎだねぇ。ミズヒと同等かそれ以上だ』

 流石ミユメちゃん。
 でもしっかり休むんだ。

『ミユメちゃんを休ませ隊、発足!』

 またソルシエラ式膝枕をしてあげるからね。

「おはようっす、三人とも!」
「ああ、おはよう」
「おはようございます!」
「おはよう。朝からお疲れ様。大丈夫?」

 どう見ても徹夜した後だが、ミユメちゃんはピースサインを作って笑う。

「まだまだ余裕っすよ! 早く聖域を知りたくてうずうずしてるっす。何と言っても、魂と繋がりを持つ魔法式っすからね。これを調べれば『グッドモーニングお姉ちゃん零式』の完成にまた一歩近づける気がするっす」
「……そうか、私に手伝えることがあればいつでも言ってくれ」
「私もお手伝いしますよー!」

 ヒカリちゃんが元気よく手を上げる。
 しっとりした空気になりそうなとき、ヒカリちゃんの存在は非常にありがたい。

 美少女には、笑顔でいて欲しいからね。
 それが俺のエゴであったとしても。

「それにしても丁度良かったっすね。まさか皆もここを目指していただなんて」
「ああ、聖域について知ろうと思ってな。ミユメはどうしてここに?」
「あー、ジルニアスの展示品が一つ移動になったんすよ。それが丁度ここに運ばれて。……なんでも、元の展示会場で偽者のソルシエラが暴れたとか。だから、一番安全な場所に移動したっす」

 でもここ昨日偽シエラ第二形態来てましたよ。
 セキュリティ大したことないっすよ!
 やばいっす!

「ここは生徒会長が自ら守るらしいので信頼できるっすね。流石に、アレを適当に展示するのは気が引けるっすから」
「アレってなんですか?」

 ヒカリちゃんの問いに、ミユメちゃんはウィンドウを立ち上げ一つの画像を見せた。
 それは巨大な宝石のように見える。

「宝石?」
「演算装置っすよ。ジルニアスの生徒会が作った巨大ロボットのコアっす。これをはめる事で、キングジルニアースは起動するっす」
「キングジルニアース! かっこ良いです!」

 ちびっ子大喜びのロボットか。
 なんか原作でもそんなのあったような……。

「巨大ロボットを展示しようとしたらスペースの関係で却下喰らったみたいで……結局これだけの展示になるっすよ。あとは、この超合金のDXキングジルニアース」

 そう言ってミユメちゃんは拡張領域からそこそこ大きいサイズのロボット玩具を取り出した。
 瞬間、ヒカリちゃんのテンションが最高潮に達する。

「おおおおおおお! かっこいいです! これ、販売の予定あるんですか!?」
「本祭で売るっすよ。……というか、欲しいならあげるっすけど」
「いえ! 並んで買う事にこそ意味がありますから! ……あっクラムには内緒でお願いしますね」
「あ、わかったっす」
「二人も、ね?」

 俺とミズヒ先輩も同様に頷く。
 ヒカリちゃん、俺もそういうロボットのカッコよさは理解できるぞ。
 
「と、いう訳で早速中に入るっすよー。時は金なりっす。聖域、最高に興味深いっすねー!」

 知識欲を刺激されておめめキラキラのミユメちゃんは意気揚々と歩き出した。
 その時だ。

「――ちゃん? 嘘、どうして……!?」

 聞こえた声に振り返れば、そこには見覚えのある美人さんがいた。

 あ、ネイさん、おはようございます!
 所で、その片手に下げたレジ袋、どう見ても酒が入っているように見えるんですが。
 あと、顔がほんのり赤い気がするんですけど。

『というか、今ユメって言ってなかったか?』

「ユメちゃん!」

 駆け出したネイさんは、そのままミユメちゃんを背後から思い切り抱きしめる。
 突然の事に驚いたミユメちゃんは、ジタバタと藻掻くが抜け出すことができずにいた。

「え、ちょ、なんすか急に!?」
「よかった……! 生きていてくれたんだ……! わ、わたし、あの時何も出来なくてっ……ごめん……!」
「え、何!? 酔っ払いがなんで!? 誰か、大人の人!大人の人を呼んで欲しいっすー! 酔っ払いに絡まれたっすー! やたらと顔の良い酔っ払いにー!」

 ミユメちゃんとネイさんで明かな温度差がある。
 引き剥がそうにも、ネイさんが感動の再会みたいなテンションなので、俺達三人は見ていることしかできない。
  
「ちょ、なんなんすかー!」

 その場には、ミユメちゃんの叫び声だけが響いていた。
 
 
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