207 / 255
七章 ぞろぞろ偽者ソルシエラ
第203話 サンサンお日様モーニング
しおりを挟む
おはようございます!!!!!!
気持ちの良い朝です!!!!!!
『おはよう^^ と言っても寝てないけどねぇ』
それはミズヒ先輩も同じだ。
会議で大変だったようだし、あの人だけに無理をさせるわけにはいかない。
影で少しでも偽シエラを倒して貢献するんだ……!
『流石だマイロード。しかし、それで貴女が体調を崩しては困るからな。無理はしちゃだめだぞ。きちんと、お昼寝はするんだ』
『お昼寝してポカポカ体温のロリシエラは存在する』
『当然だ』
変態同士で共鳴するな。
というか、俺が無理をするわけないだろう。
この心に美少女の輝きがある限り、俺は不滅だ!
トウラク君達相手にミステリアスムーブをして、朝はヒカリちゃんとミズヒ先輩と朝食を食べた!
これで元気じゃない訳が無いだろう!
と、いう訳でこれから三人で聖域のお勉強に行きます。
私達は、全員聖域について何も知らないので。
そこ、アホの子三人衆とか言わない!
『頭の悪いソルシエラも可愛いよ^^ 必死にミステリアスムーブをしようとするけど空回りしちゃうんだねぇ』
『ほっこりエピソードが盛り沢山だな、マイロード』
盛り沢山じゃねえよ。
ソルシエラで二次創作するな。
「あっ、あそこの塔ですよ! そこで聖域についてお勉強出来るってパンフレットに書いてあります!」
「大きいな。……いつか、あれだけ立派な建物をフェクトムに建てたいものだ」
「そうですね」
三人で並んで歩く。
まだ九時前だというのに、クローマは凄い人混みである。
これが文化大祭の影響……!
『だが、これだけ人がいても一番かわいいのはやはりソルシエラだねぇ』
『マイロードはやはり至高だ』
へへっ……あんがとよっ! おめえらっ!
『江戸っ子?』
『鼻の下擦りながら笑うタイプの江戸っ子?』
てやんでぇ。
こちとら根っからの美少女でぃ!
「ケイ、見てください。あの塔のてっぺん! 綺麗ですねー、鉱石でしょうか」
「……ああ、アレは聖域の制御システムだよ。聖遺物を演算装置にしているんだ」
「ほう、詳しいな。流石は那滝家。その辺は勉強済みか」
「たまたまですよ」
『いかがでしたか?』
『聖域の始まりは? 今の聖域使いは? 聖域の制御方法は? 調べてみた!』
揃いも揃ってソースが弱い……。
もっとやる気出してよー><
『だって興味ないからねぇ。デモンズギアには劣るし……』
『その気になればいつでも改竄出来るしな……』
君たちが敵じゃなくて本当に良かったよ、マジで。
聖域そんな簡単に壊しちゃ駄目だからね、めっ。
『なら掌握はどうだろうか。聖域を使うソルシエラも見たいぞマイロード』
『ならば聖域というよりももっとダーク寄りにするべきだ。それか上下左右のない宇宙空間が良い。その場所に相手を転移させ、必殺技を放つんだ』
かっこいいね、ソレ。
ソルシエラもそういう空間を変える系の技作ろうかしら。
『ダンジョンコアでも持ち歩くかい? そうすれば、使うときに私が干渉して好きに作り変えてあげるよ^^ 』
星詠みの杖君、さらっと凄いことするねぇ。
『妹に出来て私に出来ないわけないからねぇ』
少し得意げな星詠みの杖君は、今日も頼もしい。
と、その時俺の原作センサーが激しい警報を鳴らした。
エマージェンシー! エマージェンシー!
『うおっ、うるさ』
『なんだこの音は……! どうして実際に音が鳴るのだ。いや、本当に鳴っているのか!? ここに音が存在する……? どういう仕組みだ……!?』
見れば、そこにはトウラク君とルトラちゃん、そしてミハヤちゃんの原作いつメンがいた。
なんてこったい、もう原作主人公様と再会しそうだぞ!
『もしや、偽シエラを調べているのか?』
「ケイ、どうした?」
「いえ、何でもないです……」
俺の反応に気が付いたミズヒ先輩が声を掛けてくれた。
些細な変化も見逃がさないミズヒ先輩……しゅき……!
『ミズ×ソル?』
『またか。配慮せず、反射的にカプを作るのは良くない。それが人類の共通認識だと学んだぞ』
『なんでロリコンが常識人ぶっている……???』
こういう時のカメ君は頼もしいぞ!
『安心しろマイロード。君のおはようからおやすみまで全ての安寧は私が保証しよう。勿論、頭も撫でてやる』
やっぱ星詠みの杖君サイドだったわ。
って、こうしちゃいられねえや。
このままばったりトウラク君達に出会っちゃうと気まずい。
あんなカッコよく去ったのだから、暫くは出会いたくないぞ!
「……急ぎましょうか。あそこ、中々に混むらしいので」
「むっ、そうか。では急ごう」
「はぐれないように手を繋ぎましょう!」
ヒカリちゃんが真ん中に入り、おててを繋いで俺達は駆け出す。
トウラク君にみつかる前に急げー^^
『わぁい^^』
『転ばないように気をつけるんだ、マイロード』
キャッキャウフフと駆けていると、不意にミズヒ先輩のダイブギアが音を鳴らす。
どうやら連絡が入ったらしい。
「少し待て…………うん、どうやらミユメがこちらに合流したいらしい」
「ミユメちゃんも一緒に遊べるんですか!?」
昨日、ミユメちゃんはジルニアス学術院のクソデカロボットのお手伝いに行っていた。
予定では今日の夜に終わる予定だったようだが、どうやら予定よりもずっと早く終わったらしい。
流石はフェクトム一の天才美少女。
流石っすよ!
『お勉強教えて貰ったら?^^』
『慌てず、おててで数を数えるのだマイロード』
どんだけアホだと思ってんだ。
しっかり予習復習すれば俺だって成績上位者になれるわ。
『優等生タイプ……成程、委員長ソルシエラか。凄くエッチだねぇ^^』
どこにエッチを見出したんだよ。
「どうやらミユメは既にあの塔にいるらしい。早く行って合流しよう」
「はい! 急ぎましょう! あ、飛びますか!?」
「怪我したら危ないから、止めよう」
「はい!」
俺の制止に、ヒカリちゃんは元気いっぱいに頷いた。
いい子だ……。
「では、行こう」
俺達は再び駆け出す。
ミユメちゃん、待っててくれー^^
『赤点ばかりの主人公に放課後勉強を教えてくれる委員長ソルシエラ、ありです。「貴方の成績が低いと、私の評価も下がるのよ」と言いながら教えて欲しい。そして、実は心のどこかでその勉強タイムを楽しみにしててほしい^^』
急に脳内にシチュエーションを流すな。
■
クソデカ塔は意外と空いていた。
朝が早いのと、そもそもこんな時に聖域のお勉強をしに来る人がいないせいだろうか。
ともかく、良かった。
「あ、こっちっすよー!」
入り口でサンドイッチ片手にミユメちゃんはこちらに手を振る。
どうやら朝ごはんを今食べているらしい。
もしかして、フェクトムで誰よりもこの子が一番忙しかったんじゃ……。
『フェクトムでは自治区拡大やダイブギアの整備。ジルニアス学術院では姉の蘇生と諸々の研究の手伝い。間違いなく彼女は働き過ぎだねぇ。ミズヒと同等かそれ以上だ』
流石ミユメちゃん。
でもしっかり休むんだ。
『ミユメちゃんを休ませ隊、発足!』
またソルシエラ式膝枕をしてあげるからね。
「おはようっす、三人とも!」
「ああ、おはよう」
「おはようございます!」
「おはよう。朝からお疲れ様。大丈夫?」
どう見ても徹夜した後だが、ミユメちゃんはピースサインを作って笑う。
「まだまだ余裕っすよ! 早く聖域を知りたくてうずうずしてるっす。何と言っても、魂と繋がりを持つ魔法式っすからね。これを調べれば『グッドモーニングお姉ちゃん零式』の完成にまた一歩近づける気がするっす」
「……そうか、私に手伝えることがあればいつでも言ってくれ」
「私もお手伝いしますよー!」
ヒカリちゃんが元気よく手を上げる。
しっとりした空気になりそうなとき、ヒカリちゃんの存在は非常にありがたい。
美少女には、笑顔でいて欲しいからね。
それが俺のエゴであったとしても。
「それにしても丁度良かったっすね。まさか皆もここを目指していただなんて」
「ああ、聖域について知ろうと思ってな。ミユメはどうしてここに?」
「あー、ジルニアスの展示品が一つ移動になったんすよ。それが丁度ここに運ばれて。……なんでも、元の展示会場で偽者のソルシエラが暴れたとか。だから、一番安全な場所に移動したっす」
でもここ昨日偽シエラ第二形態来てましたよ。
セキュリティ大したことないっすよ!
やばいっす!
「ここは生徒会長が自ら守るらしいので信頼できるっすね。流石に、アレを適当に展示するのは気が引けるっすから」
「アレってなんですか?」
ヒカリちゃんの問いに、ミユメちゃんはウィンドウを立ち上げ一つの画像を見せた。
それは巨大な宝石のように見える。
「宝石?」
「演算装置っすよ。ジルニアスの生徒会が作った巨大ロボットのコアっす。これをはめる事で、キングジルニアースは起動するっす」
「キングジルニアース! かっこ良いです!」
ちびっ子大喜びのロボットか。
なんか原作でもそんなのあったような……。
「巨大ロボットを展示しようとしたらスペースの関係で却下喰らったみたいで……結局これだけの展示になるっすよ。あとは、この超合金のDXキングジルニアース」
そう言ってミユメちゃんは拡張領域からそこそこ大きいサイズのロボット玩具を取り出した。
瞬間、ヒカリちゃんのテンションが最高潮に達する。
「おおおおおおお! かっこいいです! これ、販売の予定あるんですか!?」
「本祭で売るっすよ。……というか、欲しいならあげるっすけど」
「いえ! 並んで買う事にこそ意味がありますから! ……あっクラムには内緒でお願いしますね」
「あ、わかったっす」
「二人も、ね?」
俺とミズヒ先輩も同様に頷く。
ヒカリちゃん、俺もそういうロボットのカッコよさは理解できるぞ。
「と、いう訳で早速中に入るっすよー。時は金なりっす。聖域、最高に興味深いっすねー!」
知識欲を刺激されておめめキラキラのミユメちゃんは意気揚々と歩き出した。
その時だ。
「――ユメちゃん? 嘘、どうして……!?」
聞こえた声に振り返れば、そこには見覚えのある美人さんがいた。
あ、ネイさん、おはようございます!
所で、その片手に下げたレジ袋、どう見ても酒が入っているように見えるんですが。
あと、顔がほんのり赤い気がするんですけど。
『というか、今ユメって言ってなかったか?』
「ユメちゃん!」
駆け出したネイさんは、そのままミユメちゃんを背後から思い切り抱きしめる。
突然の事に驚いたミユメちゃんは、ジタバタと藻掻くが抜け出すことができずにいた。
「え、ちょ、なんすか急に!?」
「よかった……! 生きていてくれたんだ……! わ、わたし、あの時何も出来なくてっ……ごめん……!」
「え、何!? 酔っ払いがなんで!? 誰か、大人の人!大人の人を呼んで欲しいっすー! 酔っ払いに絡まれたっすー! やたらと顔の良い酔っ払いにー!」
ミユメちゃんとネイさんで明かな温度差がある。
引き剥がそうにも、ネイさんが感動の再会みたいなテンションなので、俺達三人は見ていることしかできない。
「ちょ、なんなんすかー!」
その場には、ミユメちゃんの叫び声だけが響いていた。
気持ちの良い朝です!!!!!!
『おはよう^^ と言っても寝てないけどねぇ』
それはミズヒ先輩も同じだ。
会議で大変だったようだし、あの人だけに無理をさせるわけにはいかない。
影で少しでも偽シエラを倒して貢献するんだ……!
『流石だマイロード。しかし、それで貴女が体調を崩しては困るからな。無理はしちゃだめだぞ。きちんと、お昼寝はするんだ』
『お昼寝してポカポカ体温のロリシエラは存在する』
『当然だ』
変態同士で共鳴するな。
というか、俺が無理をするわけないだろう。
この心に美少女の輝きがある限り、俺は不滅だ!
トウラク君達相手にミステリアスムーブをして、朝はヒカリちゃんとミズヒ先輩と朝食を食べた!
これで元気じゃない訳が無いだろう!
と、いう訳でこれから三人で聖域のお勉強に行きます。
私達は、全員聖域について何も知らないので。
そこ、アホの子三人衆とか言わない!
『頭の悪いソルシエラも可愛いよ^^ 必死にミステリアスムーブをしようとするけど空回りしちゃうんだねぇ』
『ほっこりエピソードが盛り沢山だな、マイロード』
盛り沢山じゃねえよ。
ソルシエラで二次創作するな。
「あっ、あそこの塔ですよ! そこで聖域についてお勉強出来るってパンフレットに書いてあります!」
「大きいな。……いつか、あれだけ立派な建物をフェクトムに建てたいものだ」
「そうですね」
三人で並んで歩く。
まだ九時前だというのに、クローマは凄い人混みである。
これが文化大祭の影響……!
『だが、これだけ人がいても一番かわいいのはやはりソルシエラだねぇ』
『マイロードはやはり至高だ』
へへっ……あんがとよっ! おめえらっ!
『江戸っ子?』
『鼻の下擦りながら笑うタイプの江戸っ子?』
てやんでぇ。
こちとら根っからの美少女でぃ!
「ケイ、見てください。あの塔のてっぺん! 綺麗ですねー、鉱石でしょうか」
「……ああ、アレは聖域の制御システムだよ。聖遺物を演算装置にしているんだ」
「ほう、詳しいな。流石は那滝家。その辺は勉強済みか」
「たまたまですよ」
『いかがでしたか?』
『聖域の始まりは? 今の聖域使いは? 聖域の制御方法は? 調べてみた!』
揃いも揃ってソースが弱い……。
もっとやる気出してよー><
『だって興味ないからねぇ。デモンズギアには劣るし……』
『その気になればいつでも改竄出来るしな……』
君たちが敵じゃなくて本当に良かったよ、マジで。
聖域そんな簡単に壊しちゃ駄目だからね、めっ。
『なら掌握はどうだろうか。聖域を使うソルシエラも見たいぞマイロード』
『ならば聖域というよりももっとダーク寄りにするべきだ。それか上下左右のない宇宙空間が良い。その場所に相手を転移させ、必殺技を放つんだ』
かっこいいね、ソレ。
ソルシエラもそういう空間を変える系の技作ろうかしら。
『ダンジョンコアでも持ち歩くかい? そうすれば、使うときに私が干渉して好きに作り変えてあげるよ^^ 』
星詠みの杖君、さらっと凄いことするねぇ。
『妹に出来て私に出来ないわけないからねぇ』
少し得意げな星詠みの杖君は、今日も頼もしい。
と、その時俺の原作センサーが激しい警報を鳴らした。
エマージェンシー! エマージェンシー!
『うおっ、うるさ』
『なんだこの音は……! どうして実際に音が鳴るのだ。いや、本当に鳴っているのか!? ここに音が存在する……? どういう仕組みだ……!?』
見れば、そこにはトウラク君とルトラちゃん、そしてミハヤちゃんの原作いつメンがいた。
なんてこったい、もう原作主人公様と再会しそうだぞ!
『もしや、偽シエラを調べているのか?』
「ケイ、どうした?」
「いえ、何でもないです……」
俺の反応に気が付いたミズヒ先輩が声を掛けてくれた。
些細な変化も見逃がさないミズヒ先輩……しゅき……!
『ミズ×ソル?』
『またか。配慮せず、反射的にカプを作るのは良くない。それが人類の共通認識だと学んだぞ』
『なんでロリコンが常識人ぶっている……???』
こういう時のカメ君は頼もしいぞ!
『安心しろマイロード。君のおはようからおやすみまで全ての安寧は私が保証しよう。勿論、頭も撫でてやる』
やっぱ星詠みの杖君サイドだったわ。
って、こうしちゃいられねえや。
このままばったりトウラク君達に出会っちゃうと気まずい。
あんなカッコよく去ったのだから、暫くは出会いたくないぞ!
「……急ぎましょうか。あそこ、中々に混むらしいので」
「むっ、そうか。では急ごう」
「はぐれないように手を繋ぎましょう!」
ヒカリちゃんが真ん中に入り、おててを繋いで俺達は駆け出す。
トウラク君にみつかる前に急げー^^
『わぁい^^』
『転ばないように気をつけるんだ、マイロード』
キャッキャウフフと駆けていると、不意にミズヒ先輩のダイブギアが音を鳴らす。
どうやら連絡が入ったらしい。
「少し待て…………うん、どうやらミユメがこちらに合流したいらしい」
「ミユメちゃんも一緒に遊べるんですか!?」
昨日、ミユメちゃんはジルニアス学術院のクソデカロボットのお手伝いに行っていた。
予定では今日の夜に終わる予定だったようだが、どうやら予定よりもずっと早く終わったらしい。
流石はフェクトム一の天才美少女。
流石っすよ!
『お勉強教えて貰ったら?^^』
『慌てず、おててで数を数えるのだマイロード』
どんだけアホだと思ってんだ。
しっかり予習復習すれば俺だって成績上位者になれるわ。
『優等生タイプ……成程、委員長ソルシエラか。凄くエッチだねぇ^^』
どこにエッチを見出したんだよ。
「どうやらミユメは既にあの塔にいるらしい。早く行って合流しよう」
「はい! 急ぎましょう! あ、飛びますか!?」
「怪我したら危ないから、止めよう」
「はい!」
俺の制止に、ヒカリちゃんは元気いっぱいに頷いた。
いい子だ……。
「では、行こう」
俺達は再び駆け出す。
ミユメちゃん、待っててくれー^^
『赤点ばかりの主人公に放課後勉強を教えてくれる委員長ソルシエラ、ありです。「貴方の成績が低いと、私の評価も下がるのよ」と言いながら教えて欲しい。そして、実は心のどこかでその勉強タイムを楽しみにしててほしい^^』
急に脳内にシチュエーションを流すな。
■
クソデカ塔は意外と空いていた。
朝が早いのと、そもそもこんな時に聖域のお勉強をしに来る人がいないせいだろうか。
ともかく、良かった。
「あ、こっちっすよー!」
入り口でサンドイッチ片手にミユメちゃんはこちらに手を振る。
どうやら朝ごはんを今食べているらしい。
もしかして、フェクトムで誰よりもこの子が一番忙しかったんじゃ……。
『フェクトムでは自治区拡大やダイブギアの整備。ジルニアス学術院では姉の蘇生と諸々の研究の手伝い。間違いなく彼女は働き過ぎだねぇ。ミズヒと同等かそれ以上だ』
流石ミユメちゃん。
でもしっかり休むんだ。
『ミユメちゃんを休ませ隊、発足!』
またソルシエラ式膝枕をしてあげるからね。
「おはようっす、三人とも!」
「ああ、おはよう」
「おはようございます!」
「おはよう。朝からお疲れ様。大丈夫?」
どう見ても徹夜した後だが、ミユメちゃんはピースサインを作って笑う。
「まだまだ余裕っすよ! 早く聖域を知りたくてうずうずしてるっす。何と言っても、魂と繋がりを持つ魔法式っすからね。これを調べれば『グッドモーニングお姉ちゃん零式』の完成にまた一歩近づける気がするっす」
「……そうか、私に手伝えることがあればいつでも言ってくれ」
「私もお手伝いしますよー!」
ヒカリちゃんが元気よく手を上げる。
しっとりした空気になりそうなとき、ヒカリちゃんの存在は非常にありがたい。
美少女には、笑顔でいて欲しいからね。
それが俺のエゴであったとしても。
「それにしても丁度良かったっすね。まさか皆もここを目指していただなんて」
「ああ、聖域について知ろうと思ってな。ミユメはどうしてここに?」
「あー、ジルニアスの展示品が一つ移動になったんすよ。それが丁度ここに運ばれて。……なんでも、元の展示会場で偽者のソルシエラが暴れたとか。だから、一番安全な場所に移動したっす」
でもここ昨日偽シエラ第二形態来てましたよ。
セキュリティ大したことないっすよ!
やばいっす!
「ここは生徒会長が自ら守るらしいので信頼できるっすね。流石に、アレを適当に展示するのは気が引けるっすから」
「アレってなんですか?」
ヒカリちゃんの問いに、ミユメちゃんはウィンドウを立ち上げ一つの画像を見せた。
それは巨大な宝石のように見える。
「宝石?」
「演算装置っすよ。ジルニアスの生徒会が作った巨大ロボットのコアっす。これをはめる事で、キングジルニアースは起動するっす」
「キングジルニアース! かっこ良いです!」
ちびっ子大喜びのロボットか。
なんか原作でもそんなのあったような……。
「巨大ロボットを展示しようとしたらスペースの関係で却下喰らったみたいで……結局これだけの展示になるっすよ。あとは、この超合金のDXキングジルニアース」
そう言ってミユメちゃんは拡張領域からそこそこ大きいサイズのロボット玩具を取り出した。
瞬間、ヒカリちゃんのテンションが最高潮に達する。
「おおおおおおお! かっこいいです! これ、販売の予定あるんですか!?」
「本祭で売るっすよ。……というか、欲しいならあげるっすけど」
「いえ! 並んで買う事にこそ意味がありますから! ……あっクラムには内緒でお願いしますね」
「あ、わかったっす」
「二人も、ね?」
俺とミズヒ先輩も同様に頷く。
ヒカリちゃん、俺もそういうロボットのカッコよさは理解できるぞ。
「と、いう訳で早速中に入るっすよー。時は金なりっす。聖域、最高に興味深いっすねー!」
知識欲を刺激されておめめキラキラのミユメちゃんは意気揚々と歩き出した。
その時だ。
「――ユメちゃん? 嘘、どうして……!?」
聞こえた声に振り返れば、そこには見覚えのある美人さんがいた。
あ、ネイさん、おはようございます!
所で、その片手に下げたレジ袋、どう見ても酒が入っているように見えるんですが。
あと、顔がほんのり赤い気がするんですけど。
『というか、今ユメって言ってなかったか?』
「ユメちゃん!」
駆け出したネイさんは、そのままミユメちゃんを背後から思い切り抱きしめる。
突然の事に驚いたミユメちゃんは、ジタバタと藻掻くが抜け出すことができずにいた。
「え、ちょ、なんすか急に!?」
「よかった……! 生きていてくれたんだ……! わ、わたし、あの時何も出来なくてっ……ごめん……!」
「え、何!? 酔っ払いがなんで!? 誰か、大人の人!大人の人を呼んで欲しいっすー! 酔っ払いに絡まれたっすー! やたらと顔の良い酔っ払いにー!」
ミユメちゃんとネイさんで明かな温度差がある。
引き剥がそうにも、ネイさんが感動の再会みたいなテンションなので、俺達三人は見ていることしかできない。
「ちょ、なんなんすかー!」
その場には、ミユメちゃんの叫び声だけが響いていた。
13
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!


Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる